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四連戦第二試合その二
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真同化を通じてレガリオンを引っ張り、右手に戻す。よく見なければ真同化のワイヤー部分は見えないので、大半の人はレガリオンが自分の手に勝手に戻ってきたように見えるだろう。
「そのへんな双刃のスネークソード、まさか魔剣か?」「どうでしょうねぇ?」
更に問いかけが飛んできたが当然とぼける。教える理由はないし、どんどん勝手に考えて自滅していってくれれば楽だからね。自分の返答に、やや考えた後相手は全てのナイフを戻して大剣の形に組み上げていく。ここからは大剣で戦う流れかと自分は思ったが相手はそうじゃなかった。
「集牙魔刃、最終奥義! 【刃海豪乱(じんかいごうらん)】!」
またしても最終奥義。今度は無数のナイフがまるで津波のように自分に向かって襲い掛かってくる。下手に逆らえば無数のナイフで身体が切り裂かれかねないので、【大跳躍】でそのナイフの波を飛び越える──そこに合わせて相手がナイフを集めた大剣で自分を叩き切ろうと襲い掛かってきた。
その攻撃をパイルバンカーが裏に収められている盾で何とか受け流し、地面に着地した。が、相手の攻撃はまだ終わっていない。今度はナイフの竜巻が自分に向かって襲い掛かってくる。それも複数。この最終奥義、もしかして一撃必殺系統じゃなくて、一定時間ナイフを様々な形に操って相手を追い詰める一定範囲に有効なタイプか?
そこに相手本人の攻撃も混じるのだ。こちらは無数のナイフが形作る大波、竜巻、更には足をすくう小波まで対処しなければならない。これらは海に関するものだとすれば、竜巻ではなく渦潮と表現すべきだななんて事を考えてしまった。もちろん余裕があるわけじゃない、竜巻に白波にしろ、そしてもちろん相手本人の攻撃にしろ、もろに食らえば一瞬で無数のナイフによる斬撃を無数に叩き込まれる。
まさに相手を切り刻むことに特化した最終奥義、しかも一撃ではなくじわりじわりと追い詰める形で。質が悪いったりゃありゃしない、この状態が収まるまで相手には回避を中心とした立ち回りを敷きつつ自分は長時間攻め続けられるのだから。しかも時間が経つごとに波も渦潮も強力になっていっているようだ。
(回避しきれなくてかすっただけで一気にHPが減る! 残り体力は四割を切ったし……しかも魔王様からのマントやクラネス師匠の防具があってこのダメージなんだから、並な防具だったらもう自分の命は終わってるな)
回避し損ねて、渦潮に触ったのが二回、小波にふれたのが一回だけだというのにダメージが重い。このままでは、こちらが削り切られて負ける。この状況を生み出した相手のMP消費はかなり激しいはずだが、今の所相手のMPが尽きる様子がない。いや、むしろMPがあるうちに勝負を賭けに来たんだろう。
自分との戦いでもっとMPを消費した後だったら、この最終奥義を長時間維持してこちらを追い詰める事は不可能。ならばさっさと使って確実に削り落して勝つ。そういう考えに至るのはおかしい事ではない。ちまちま小出しにして、奥の手に回せるMPがなくなったらそれこそ失策なのだから。その失策をしてほしかったのだが……
「粘るな! 流石だ! だが、その粘りごと削り切って俺が勝つ!」
こちらが確実に削られている事などお見通しって事か。だが、まだまだこれからという奴だ。波も渦も脅威ではあるが、こうして晒され続けていればその動きも見えてくる。明鏡止水をしっかりと維持し、周囲から襲ってくる様々な要素を回避する。試練で経験した一万の分身を相手にするよりははるかにましってやつだ。
一方で相手には焦りが見え始めた。ある程度までは自分に対して手傷を負わせたが、徐々に対処されて攻撃が当たらなくなってきた事もまた、わかっているはずだからな。だが、こちらが仕掛けるのはまだ早い。もっと相手が焦って、動きに粗が出てくるまでは粘らなければならない。
その為にも、安定した回避を続けなければならない。時々表情には笑みを浮かべて。言葉は発しない、戦いの最中で笑みを浮かべて回避し続ける。その姿は、相手にとって不気味に映るはずだ。気持ちが悪い、理解できない、だから早く決めたいと焦ってくれ。無数のナイフに対してその身を晒し続けるというのは想像以上にキツイ。
それでも、呼吸を始めとした動きを狂わせてはいけない。きつい所だからこそ、普段通りの呼吸を乱してはいけない。今までの経験と修業で身についた動きを忘れてはいけない。普段通りに動いて普段通りに対処する事を忘れてはいけない。確かに僅かにかすっただけでも切り刻まれる危険な存在が今の自分を取り囲んでいるが、それでもなお平常心を保つことが大事だ。
それに大きく心を乱せば、明鏡止水の状態が解けてしまう。今の状況からもう一度明鏡止水の状態に入りなおすのは難しい。だからこそ、集中と明鏡止水を途切れさせてはいけないのだ。相手の攻撃をここまで回避できるのは明鏡止水のおかげなのだから。明鏡止水が切れれば、その場で自分の負けが九分九厘決まってしまう。
(だが大丈夫、今の状況でも心の何割かは冷静さを保てている。雨竜師匠、砂龍師匠の教えはちゃんと自分の中に生きている。厳しかった修行の成果が、今明確に発揮できている)
様々な修行を受けさせてくれた雨竜師匠、砂龍師匠にはあらためて感謝しなければならない。こんな状況の中でもこうして攻撃を回避しながら戦えるのは、師の教えがあってこその物。あの時出会えた幸運にも感謝しなければならない。
「何故だ、なぜそこまで粘れる? 避けられる!? 俺の最終奥義は、そんなに安いものだと言いたいのか!?」
おっと、一方でついに相手のいら立ちは確実に募ってきたか。その表情は先ほどまでと違って怒りに染まり始めている。その怒りはこちらに対しての物か、それとも己に対してか──もしくはその両方、か? なんにせよ、あともう一息。あと一息でチャンスはやってくる。だからこそ、ここで被弾することは許されない。被弾してしまえば、相手は冷静さを取り戻してしまう。
だからこそ、自分は何も言葉を口にしない。ただ、静かに笑みを浮かべて襲い来る波や渦を避け続けるだけだ。意図的に相手の癇に障る事をするのもまた戦略だ。もちろん普段はこんなことはしないよ? あくまでこういった戦闘の中だけの話ね。
「くっそおおおっ!!」
どうやら頭に血が上ってしまったらしく、先ほどまでの波や渦と連携して攻撃してきた相手がナイフを集めた大剣をひたすら自分に向かって狂ったように振るってくる動きになった。が、自分はそれらも回避し続ける。むしろ波や渦との連携を忘れてくれたおかげで回避の難易度がかなり下がった。おかげでこちらは少し余裕が持てるようになった。
「おいバカ、落ち着け! そんな突っ込むな!」「冷静になれ! その動きじゃお前の最終奥義の良さを潰しちまうぞ!!」
なんて慌てた声がマッスル側から飛んでくるが──肝心な今自分と戦っているプレイヤーの耳には届いていない様子だ。もちろん届いていないふりをしているだけの可能性は常に考えているが……鬼の形相を浮かべて大剣を振り回し続ける今の姿を見るとまず届いていないだろう。これが演技ならなかなかの役者である。
(そろそろ頃合い、か。もう少し誘って相手がわずかな隙を晒したところで決める)
相手の大剣を回避しながら反撃の一手の切り所を考える。今の間合いから、レガリオンの刃を伸ばしても相手に明確な一撃を叩き込むのはちょっと難しい。それを考えるだけの冷静さだけはまだ相手に残っているようだ。だが、今の間合いのままでも届く攻撃はあるのだ。ハイドシザーズシールド・真打に仕込んでいるハサミがそれにあたる。
が、暗器は一発で決めなければその価値が下がる。故に自分の中で決められると思った瞬間が来るまで使うべきではない。その時が来るまで、ひたすら相手の大剣と波、そして渦の攻撃を避け続ける。そういう我慢比べは得意だ、我慢なんて、それなりに生きていればしなきゃいけないタイミングは無数にある。それらに比べればこのぐらいの我慢比べなんて、実に可愛いものだ。
「そのへんな双刃のスネークソード、まさか魔剣か?」「どうでしょうねぇ?」
更に問いかけが飛んできたが当然とぼける。教える理由はないし、どんどん勝手に考えて自滅していってくれれば楽だからね。自分の返答に、やや考えた後相手は全てのナイフを戻して大剣の形に組み上げていく。ここからは大剣で戦う流れかと自分は思ったが相手はそうじゃなかった。
「集牙魔刃、最終奥義! 【刃海豪乱(じんかいごうらん)】!」
またしても最終奥義。今度は無数のナイフがまるで津波のように自分に向かって襲い掛かってくる。下手に逆らえば無数のナイフで身体が切り裂かれかねないので、【大跳躍】でそのナイフの波を飛び越える──そこに合わせて相手がナイフを集めた大剣で自分を叩き切ろうと襲い掛かってきた。
その攻撃をパイルバンカーが裏に収められている盾で何とか受け流し、地面に着地した。が、相手の攻撃はまだ終わっていない。今度はナイフの竜巻が自分に向かって襲い掛かってくる。それも複数。この最終奥義、もしかして一撃必殺系統じゃなくて、一定時間ナイフを様々な形に操って相手を追い詰める一定範囲に有効なタイプか?
そこに相手本人の攻撃も混じるのだ。こちらは無数のナイフが形作る大波、竜巻、更には足をすくう小波まで対処しなければならない。これらは海に関するものだとすれば、竜巻ではなく渦潮と表現すべきだななんて事を考えてしまった。もちろん余裕があるわけじゃない、竜巻に白波にしろ、そしてもちろん相手本人の攻撃にしろ、もろに食らえば一瞬で無数のナイフによる斬撃を無数に叩き込まれる。
まさに相手を切り刻むことに特化した最終奥義、しかも一撃ではなくじわりじわりと追い詰める形で。質が悪いったりゃありゃしない、この状態が収まるまで相手には回避を中心とした立ち回りを敷きつつ自分は長時間攻め続けられるのだから。しかも時間が経つごとに波も渦潮も強力になっていっているようだ。
(回避しきれなくてかすっただけで一気にHPが減る! 残り体力は四割を切ったし……しかも魔王様からのマントやクラネス師匠の防具があってこのダメージなんだから、並な防具だったらもう自分の命は終わってるな)
回避し損ねて、渦潮に触ったのが二回、小波にふれたのが一回だけだというのにダメージが重い。このままでは、こちらが削り切られて負ける。この状況を生み出した相手のMP消費はかなり激しいはずだが、今の所相手のMPが尽きる様子がない。いや、むしろMPがあるうちに勝負を賭けに来たんだろう。
自分との戦いでもっとMPを消費した後だったら、この最終奥義を長時間維持してこちらを追い詰める事は不可能。ならばさっさと使って確実に削り落して勝つ。そういう考えに至るのはおかしい事ではない。ちまちま小出しにして、奥の手に回せるMPがなくなったらそれこそ失策なのだから。その失策をしてほしかったのだが……
「粘るな! 流石だ! だが、その粘りごと削り切って俺が勝つ!」
こちらが確実に削られている事などお見通しって事か。だが、まだまだこれからという奴だ。波も渦も脅威ではあるが、こうして晒され続けていればその動きも見えてくる。明鏡止水をしっかりと維持し、周囲から襲ってくる様々な要素を回避する。試練で経験した一万の分身を相手にするよりははるかにましってやつだ。
一方で相手には焦りが見え始めた。ある程度までは自分に対して手傷を負わせたが、徐々に対処されて攻撃が当たらなくなってきた事もまた、わかっているはずだからな。だが、こちらが仕掛けるのはまだ早い。もっと相手が焦って、動きに粗が出てくるまでは粘らなければならない。
その為にも、安定した回避を続けなければならない。時々表情には笑みを浮かべて。言葉は発しない、戦いの最中で笑みを浮かべて回避し続ける。その姿は、相手にとって不気味に映るはずだ。気持ちが悪い、理解できない、だから早く決めたいと焦ってくれ。無数のナイフに対してその身を晒し続けるというのは想像以上にキツイ。
それでも、呼吸を始めとした動きを狂わせてはいけない。きつい所だからこそ、普段通りの呼吸を乱してはいけない。今までの経験と修業で身についた動きを忘れてはいけない。普段通りに動いて普段通りに対処する事を忘れてはいけない。確かに僅かにかすっただけでも切り刻まれる危険な存在が今の自分を取り囲んでいるが、それでもなお平常心を保つことが大事だ。
それに大きく心を乱せば、明鏡止水の状態が解けてしまう。今の状況からもう一度明鏡止水の状態に入りなおすのは難しい。だからこそ、集中と明鏡止水を途切れさせてはいけないのだ。相手の攻撃をここまで回避できるのは明鏡止水のおかげなのだから。明鏡止水が切れれば、その場で自分の負けが九分九厘決まってしまう。
(だが大丈夫、今の状況でも心の何割かは冷静さを保てている。雨竜師匠、砂龍師匠の教えはちゃんと自分の中に生きている。厳しかった修行の成果が、今明確に発揮できている)
様々な修行を受けさせてくれた雨竜師匠、砂龍師匠にはあらためて感謝しなければならない。こんな状況の中でもこうして攻撃を回避しながら戦えるのは、師の教えがあってこその物。あの時出会えた幸運にも感謝しなければならない。
「何故だ、なぜそこまで粘れる? 避けられる!? 俺の最終奥義は、そんなに安いものだと言いたいのか!?」
おっと、一方でついに相手のいら立ちは確実に募ってきたか。その表情は先ほどまでと違って怒りに染まり始めている。その怒りはこちらに対しての物か、それとも己に対してか──もしくはその両方、か? なんにせよ、あともう一息。あと一息でチャンスはやってくる。だからこそ、ここで被弾することは許されない。被弾してしまえば、相手は冷静さを取り戻してしまう。
だからこそ、自分は何も言葉を口にしない。ただ、静かに笑みを浮かべて襲い来る波や渦を避け続けるだけだ。意図的に相手の癇に障る事をするのもまた戦略だ。もちろん普段はこんなことはしないよ? あくまでこういった戦闘の中だけの話ね。
「くっそおおおっ!!」
どうやら頭に血が上ってしまったらしく、先ほどまでの波や渦と連携して攻撃してきた相手がナイフを集めた大剣をひたすら自分に向かって狂ったように振るってくる動きになった。が、自分はそれらも回避し続ける。むしろ波や渦との連携を忘れてくれたおかげで回避の難易度がかなり下がった。おかげでこちらは少し余裕が持てるようになった。
「おいバカ、落ち着け! そんな突っ込むな!」「冷静になれ! その動きじゃお前の最終奥義の良さを潰しちまうぞ!!」
なんて慌てた声がマッスル側から飛んでくるが──肝心な今自分と戦っているプレイヤーの耳には届いていない様子だ。もちろん届いていないふりをしているだけの可能性は常に考えているが……鬼の形相を浮かべて大剣を振り回し続ける今の姿を見るとまず届いていないだろう。これが演技ならなかなかの役者である。
(そろそろ頃合い、か。もう少し誘って相手がわずかな隙を晒したところで決める)
相手の大剣を回避しながら反撃の一手の切り所を考える。今の間合いから、レガリオンの刃を伸ばしても相手に明確な一撃を叩き込むのはちょっと難しい。それを考えるだけの冷静さだけはまだ相手に残っているようだ。だが、今の間合いのままでも届く攻撃はあるのだ。ハイドシザーズシールド・真打に仕込んでいるハサミがそれにあたる。
が、暗器は一発で決めなければその価値が下がる。故に自分の中で決められると思った瞬間が来るまで使うべきではない。その時が来るまで、ひたすら相手の大剣と波、そして渦の攻撃を避け続ける。そういう我慢比べは得意だ、我慢なんて、それなりに生きていればしなきゃいけないタイミングは無数にある。それらに比べればこのぐらいの我慢比べなんて、実に可愛いものだ。
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