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守護者戦、決着。その後に……
遂に奥義を撃てるだけの集中力を得たわけだが──たぶん、今までの打ち方と同じことをすると、守護者の敏捷力から考えて当たるか外れるかの結果はたぶん半々。ロスト・ロスは不可視の防壁を過信していたが故、その後のカザミネやカナさんはあくまで受ける事を前提とした動きをしていたからこそ命中した。だが、この守護者はそうではない。全力で回避しようとするだろう。
(だから、放つのは至近距離一択だな。一瞬で奥義の全てを叩き込んで終わらせる。ただ、タイミングが合うかどうか……ええい、ここまで来て悩んでもしょうがないだろう自分。時が来たら、全力で叩きこむ事だけを考えろ)
奥義を放つために八岐の月を背中に背負い、レガリオンも分割して鞘に納める。そして、奥義を叩きき込むために使う剣はガナード。格上に対して攻撃するときに攻撃力が跳ね上がる効果を持っている為で、今回はこちらを選択する。悪党相手ならレパードなんだけどね。さて、当然守護者も自分が明確に今までとは違う体勢に入ったため、警戒のレベルを明確に上げてきた。
(が、構わない。多少の被弾も覚悟する、肉までなら切られてもいい。その代わりこちらは骨だけじゃなくすべてを絶たせてもらうだけ……)
居合の構えを取る自分に対し、守護者側も一定の間合いをとってから動きを止めた。だが、すぐさま動けるようにしているのも分かる……こちらが動き次第、回避行動をとるつもりなのだろうか。まあ、守護者はロスト・ロスの事を始めとしたこちらの事を一定レベルで知っている以上、この奥義の事もある程度把握しているだろう。その把握に対し、こちらがそれを上回れるか……
(いざ、勝負という奴だ)
ゆっくりとガナードのグリップを握り、必要なだけの力を入れていく。後は、奥義を撃つ精神のタイミングと守護者との距離が至近距離まで詰まっているタイミングが合うその瞬間に一切の迷いなく全力で奥義を振るうのみ。徐々に自分の体を前傾させていく──守護者もそれに合わせて緊張感を高めているようだ。
それから数秒後、自分は全てを賭けて走り出した。一気に守護者のと間合いが詰まる。そして至近距離に間合いが詰まるその瞬間、守護者は前方へと高く跳躍。自分の後ろに回り込む形を取った。自分は少し滑りながらも停止、再び守護者とにらみ合う形に戻ってしまう。
(やっぱり、遠くから放つ形を取る奥義では当てられないと見て良い。先ほどの跳躍は素晴らしく早かった……多分、奥義を放った時の接近力でも間に合わない)
明確に、奥義を知っているからの対処。奥義を過信し、今まで通りの放ち方をしていればこの時点で負けていた。きちんと相手の動きから予想を立てて奥義の放ち方を変えていたおかげで、一つの負け筋を消すことが出来た。さて、守護者の様子は……回避したのにこちらの集中が途切れていない事に気が付いて……いるようだな。
何せ、こちらに対しての警戒レベルが全く落ちていない。その上表情からは不発に終わらせることが出来なかったが故の不満げな色がわずかではあるが浮かんでいる。そして、このにらみ合いではらちが明かないと判断したようで……両手の拳に闘気を集めて、それを連続して放ってきた。
これに対して自分はもちろん回避行動をとるが……この飛んでくる連続の闘気の弾はある程度こちらに向かってホーミングしてくる特性を持っていたようだ。完全回避はならず、数発が体や左肩などに命中した。そこまで重い一撃ではないが、それでも集中を乱されかねない衝撃はある。恐らくダメージよりもこちらの集中状態を崩す事が目的の攻撃なのだろう。
(厄介な……が、それでもこちらは至近距離まで詰めるしかない……行くか、この球を掻い潜って突き進むしかない)
反復横跳びのように体を動かして相手の弾を誘導し、隙間が出来るのを待つ。その隙間が出来れば、後は多少の被弾覚悟で突撃するのみ。不規則に左右に体を動かし、球の誘導を続けて……その時が来た。何とかか細い道が自分の目の前に開ける。それを確認した直後、自分は躊躇なく突っ込んだ。
頭部や体に弾がいくつか命中するが、こちらの集中力がそれを被弾したことによる衝撃に勝った。再び至近距離直前。今度は守護者がバックステップで距離を取ってきた──だが、そんな事だろうと予想していた自分はさらに踏み込む。明確に驚愕の表情を浮かべながらも守護者はさらにバックステップ。だが、焦ったためか最初のバックステップよりも距離が短い。だから、自分は躊躇なく更に踏み込み──奥義に発動するために必要な要素を完成させる。
(斬る!)
間合いに入った瞬間、全てが終わった。一瞬でガナードを振りぬき、鞘に戻した。多分、自分が全ての行動を終えるのにかかった時間は一秒足らず。もしこの戦いをそばで見ている人がいたとしたら、一瞬腕を動かしたと思ったらすぐに戻していた──そんな風に多分見えたはずだ。ただ、そんな一瞬で相手を斬ったためなのか、手ごたえが無かった。
(成功したのか? それともしくじったのか?)
集中力が切れた事で疲労感をかなり感じるようになっただけでなく、無茶な抜刀術をしたためか振った右腕がかなり痛い。痛みのレベルはアームブレイクの状態異常を受けた時とほぼ同等だ。少しの間、武器を握ることが出来そうにない。ステータスにも右腕がアームブレイク状態と出ていた。こんなパターンもあったのか……
いや、それはあとでいい。守護者はどうなった? 先ほどから全く動いていないのだが……倒れるのか? それとも動き出すのか? 警戒した状態で見ていること十秒ほど。ゆっくりと守護者は崩れ落ち、膝を付いた。これは、どういう判断をすればいいんだ?
「避けれ、なかったかぁ……何という一撃。この一撃なら、あの障壁を持っていたロスト・ロスを障壁事切り裂いたと言われても納得するわ……私の負けよ。五回ぐらい死んだ痛みという物を味わっている最中よ……とんでもない技ね」
守護者が負けを認めた……そうか、ついにこの階層の戦いが終わったのか。長かった、本当に長かった。数か月この階層に閉じ込められていたからなぁ。ああ、やっと先に進める。残り時間は二か月弱しかないけど、まだ何とかなるはずだ。
「今日はこの階層のクリアを記録して、外に戻って。明日、勝利報酬を渡させてもらうわ。正直、こちらも休まないと身動きが取れないから……」
守護者の、歯を食いしばるようにしながら発せられた言葉に従う事にした。出現した記録する球に触れて、記録された事を確認。崩れた落ちたまま動かない(動けない、の方が適切な言い方かな)守護者をそこに残して静かに塔の外に出る。いや、もちろんせめて横にしようか? ぐらいは守護者に問いかけたんだが、少しでも体を動かすと六回目の死の痛みを味わう事になりそうと言われてしまったのでそこにそのまま残すしかなかったのだ。
久しぶりの塔の合間にあるエリアに足を踏み入れた……と、その瞬間自分と目が合ったプレイヤーが三人いた。それは、カザミネ、カナさん、そして確かオサカゲさんだったか? ふむ、確かカザミネはカナさんの家がやっている古武術の道場に今は世話になっているんだよな? で、オサカゲさんはカナさんの父親だったという記憶がある。だからその三人が一緒にいるのはおかしくない。と、そう思いだしているとカザミネが声をかけてきた。
「アースさん、久しぶりですね。暫く姿をみませんでしたが……」
カザミネの声に手をあげて反応を示し、カザミネたちの所に歩み寄る。そして、しばらく塔の試練で缶詰め状態だったことを話す。話の内容を聞いて、カザミネとカナさんはまた厳しくて変な試練を引いてるなと呆れ半分驚き半分といった感の表情を浮かべていた。一方でオサカゲさんは良い修練だなと言いながら頷いていたが。
「なんにせよ、ここでアースさんに会えたのは良かったです。実はその、オサカゲさんもアースさんの奥義に強い興味を持ってしまいまして」
なんでも、カザミネとカナさんがリアルで修練の休息中に自分が放ったあの奥義に対してあれこれ話をしていた。大きな声ではなかったそうなのだが、オサカゲさんはそれを聞き逃さず……カザミネとカナさんから根掘り葉掘り聞きだしたらしい。
「私が鍛えているカザミネ君やカナですら全く防げぬ奥義となれば、興味を持つなと言う方が酷という物。アース殿が疲れているのは重々承知ではありますが、一度で良いのでその奥義、ぜひ私にも味わう機会を頂きたい」
そしてやっぱりそう言う結論になったらしい。と言っても今アームブレイク状態なんだよね……回復するまで少し待ってもらうしかないんだけど、良いのかな?
(だから、放つのは至近距離一択だな。一瞬で奥義の全てを叩き込んで終わらせる。ただ、タイミングが合うかどうか……ええい、ここまで来て悩んでもしょうがないだろう自分。時が来たら、全力で叩きこむ事だけを考えろ)
奥義を放つために八岐の月を背中に背負い、レガリオンも分割して鞘に納める。そして、奥義を叩きき込むために使う剣はガナード。格上に対して攻撃するときに攻撃力が跳ね上がる効果を持っている為で、今回はこちらを選択する。悪党相手ならレパードなんだけどね。さて、当然守護者も自分が明確に今までとは違う体勢に入ったため、警戒のレベルを明確に上げてきた。
(が、構わない。多少の被弾も覚悟する、肉までなら切られてもいい。その代わりこちらは骨だけじゃなくすべてを絶たせてもらうだけ……)
居合の構えを取る自分に対し、守護者側も一定の間合いをとってから動きを止めた。だが、すぐさま動けるようにしているのも分かる……こちらが動き次第、回避行動をとるつもりなのだろうか。まあ、守護者はロスト・ロスの事を始めとしたこちらの事を一定レベルで知っている以上、この奥義の事もある程度把握しているだろう。その把握に対し、こちらがそれを上回れるか……
(いざ、勝負という奴だ)
ゆっくりとガナードのグリップを握り、必要なだけの力を入れていく。後は、奥義を撃つ精神のタイミングと守護者との距離が至近距離まで詰まっているタイミングが合うその瞬間に一切の迷いなく全力で奥義を振るうのみ。徐々に自分の体を前傾させていく──守護者もそれに合わせて緊張感を高めているようだ。
それから数秒後、自分は全てを賭けて走り出した。一気に守護者のと間合いが詰まる。そして至近距離に間合いが詰まるその瞬間、守護者は前方へと高く跳躍。自分の後ろに回り込む形を取った。自分は少し滑りながらも停止、再び守護者とにらみ合う形に戻ってしまう。
(やっぱり、遠くから放つ形を取る奥義では当てられないと見て良い。先ほどの跳躍は素晴らしく早かった……多分、奥義を放った時の接近力でも間に合わない)
明確に、奥義を知っているからの対処。奥義を過信し、今まで通りの放ち方をしていればこの時点で負けていた。きちんと相手の動きから予想を立てて奥義の放ち方を変えていたおかげで、一つの負け筋を消すことが出来た。さて、守護者の様子は……回避したのにこちらの集中が途切れていない事に気が付いて……いるようだな。
何せ、こちらに対しての警戒レベルが全く落ちていない。その上表情からは不発に終わらせることが出来なかったが故の不満げな色がわずかではあるが浮かんでいる。そして、このにらみ合いではらちが明かないと判断したようで……両手の拳に闘気を集めて、それを連続して放ってきた。
これに対して自分はもちろん回避行動をとるが……この飛んでくる連続の闘気の弾はある程度こちらに向かってホーミングしてくる特性を持っていたようだ。完全回避はならず、数発が体や左肩などに命中した。そこまで重い一撃ではないが、それでも集中を乱されかねない衝撃はある。恐らくダメージよりもこちらの集中状態を崩す事が目的の攻撃なのだろう。
(厄介な……が、それでもこちらは至近距離まで詰めるしかない……行くか、この球を掻い潜って突き進むしかない)
反復横跳びのように体を動かして相手の弾を誘導し、隙間が出来るのを待つ。その隙間が出来れば、後は多少の被弾覚悟で突撃するのみ。不規則に左右に体を動かし、球の誘導を続けて……その時が来た。何とかか細い道が自分の目の前に開ける。それを確認した直後、自分は躊躇なく突っ込んだ。
頭部や体に弾がいくつか命中するが、こちらの集中力がそれを被弾したことによる衝撃に勝った。再び至近距離直前。今度は守護者がバックステップで距離を取ってきた──だが、そんな事だろうと予想していた自分はさらに踏み込む。明確に驚愕の表情を浮かべながらも守護者はさらにバックステップ。だが、焦ったためか最初のバックステップよりも距離が短い。だから、自分は躊躇なく更に踏み込み──奥義に発動するために必要な要素を完成させる。
(斬る!)
間合いに入った瞬間、全てが終わった。一瞬でガナードを振りぬき、鞘に戻した。多分、自分が全ての行動を終えるのにかかった時間は一秒足らず。もしこの戦いをそばで見ている人がいたとしたら、一瞬腕を動かしたと思ったらすぐに戻していた──そんな風に多分見えたはずだ。ただ、そんな一瞬で相手を斬ったためなのか、手ごたえが無かった。
(成功したのか? それともしくじったのか?)
集中力が切れた事で疲労感をかなり感じるようになっただけでなく、無茶な抜刀術をしたためか振った右腕がかなり痛い。痛みのレベルはアームブレイクの状態異常を受けた時とほぼ同等だ。少しの間、武器を握ることが出来そうにない。ステータスにも右腕がアームブレイク状態と出ていた。こんなパターンもあったのか……
いや、それはあとでいい。守護者はどうなった? 先ほどから全く動いていないのだが……倒れるのか? それとも動き出すのか? 警戒した状態で見ていること十秒ほど。ゆっくりと守護者は崩れ落ち、膝を付いた。これは、どういう判断をすればいいんだ?
「避けれ、なかったかぁ……何という一撃。この一撃なら、あの障壁を持っていたロスト・ロスを障壁事切り裂いたと言われても納得するわ……私の負けよ。五回ぐらい死んだ痛みという物を味わっている最中よ……とんでもない技ね」
守護者が負けを認めた……そうか、ついにこの階層の戦いが終わったのか。長かった、本当に長かった。数か月この階層に閉じ込められていたからなぁ。ああ、やっと先に進める。残り時間は二か月弱しかないけど、まだ何とかなるはずだ。
「今日はこの階層のクリアを記録して、外に戻って。明日、勝利報酬を渡させてもらうわ。正直、こちらも休まないと身動きが取れないから……」
守護者の、歯を食いしばるようにしながら発せられた言葉に従う事にした。出現した記録する球に触れて、記録された事を確認。崩れた落ちたまま動かない(動けない、の方が適切な言い方かな)守護者をそこに残して静かに塔の外に出る。いや、もちろんせめて横にしようか? ぐらいは守護者に問いかけたんだが、少しでも体を動かすと六回目の死の痛みを味わう事になりそうと言われてしまったのでそこにそのまま残すしかなかったのだ。
久しぶりの塔の合間にあるエリアに足を踏み入れた……と、その瞬間自分と目が合ったプレイヤーが三人いた。それは、カザミネ、カナさん、そして確かオサカゲさんだったか? ふむ、確かカザミネはカナさんの家がやっている古武術の道場に今は世話になっているんだよな? で、オサカゲさんはカナさんの父親だったという記憶がある。だからその三人が一緒にいるのはおかしくない。と、そう思いだしているとカザミネが声をかけてきた。
「アースさん、久しぶりですね。暫く姿をみませんでしたが……」
カザミネの声に手をあげて反応を示し、カザミネたちの所に歩み寄る。そして、しばらく塔の試練で缶詰め状態だったことを話す。話の内容を聞いて、カザミネとカナさんはまた厳しくて変な試練を引いてるなと呆れ半分驚き半分といった感の表情を浮かべていた。一方でオサカゲさんは良い修練だなと言いながら頷いていたが。
「なんにせよ、ここでアースさんに会えたのは良かったです。実はその、オサカゲさんもアースさんの奥義に強い興味を持ってしまいまして」
なんでも、カザミネとカナさんがリアルで修練の休息中に自分が放ったあの奥義に対してあれこれ話をしていた。大きな声ではなかったそうなのだが、オサカゲさんはそれを聞き逃さず……カザミネとカナさんから根掘り葉掘り聞きだしたらしい。
「私が鍛えているカザミネ君やカナですら全く防げぬ奥義となれば、興味を持つなと言う方が酷という物。アース殿が疲れているのは重々承知ではありますが、一度で良いのでその奥義、ぜひ私にも味わう機会を頂きたい」
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