とあるおっさんのVRMMO活動記

椎名ほわほわ

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ルールの確認後に、練習タイム

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 一、この階の試練は自分とグラッドパーティによる非対称対戦である。

 二、自分はこの試練中は全能力が十倍になる。

 三、自分の勝利条件はグラッド達全員を拘束して牢屋に入れるか、三〇分扉を開けさせない事。

 話の中ではっきりしているのはこの三つだろうか。グラッドも同じことを整頓して話をして、試験官に対して確認を取っていた。特殊なルールである以上、しっかりと確認をしないと戦いにすらならない。それでもまだ自分の方は単純だ。相手を見つけて、倒して拘束する。やるべきことはこれだけだからね……

「あのさ、質問。檻に閉じ込められた後の救出方法はどうなってるの? 後は助け出せる回数に制限はある?」「檻についている扉はは内部からは絶対に開きませんが、外部からは道具なしで簡単に開けられます。ただし、捕まるごとに入れられる檻が中央の草原近辺になっていきます。そして四回捕まると、扉前にある特注の檻に入れられてしまい脱出不可能となります」

 ガルの質問に対する返答が返された、なるほど、最初の内は外周部付近に檻が作られれるから救出しやすくなっていると。こういうゲームの手段の一つにキャンプと言う作戦がある。一人側が多数側の一人を倒した後にその一人を蘇生させないように張り付いて確実に退場させる手段だ。この場合、自分が檻の前で待機して救出させないようにする事だが……

 一人を捉えて外周部の檻に張り付いていたら、他の五人が自由に動けるようになってしまうので勝つことはできない。その一方で中央の草原に檻があるのであれば、見張る事はかなり簡単になる。周囲のエリアを見て回る合間に草原を突っ切り、確認することが出来るからだ。

「俺からも質問だ。鍵を五つみつけ、扉に差し込むと言ったが……それですぐに開くと言う事はないのだろう? すぐ開くとなれば、鍵をそろえた時点でアース側がまず勝てなくなる。例えアースの能力が十倍になったとしても、防御に徹すればこちらもそれなりには持ちこたえられる。こちらが持ちこたえているうちに素早いメンツが鍵を差し込めばいいだけだからな」

 これはザッドの質問だ。これは自分も気になった所だ。鍵なりなんなりが揃っても、脱出するまでに最後の山場があるのはお約束の一つだ。それが無いというのは流石にないだろう。

「はい、鍵を見つけ、全ての鍵を扉に差し込んだ所で最終決戦となります。扉は時間をかけて徐々に開いていきますので、扉が完全に開くまでグラッド様達は生存するために全力を尽くさなければなりません。また、扉に鍵を差し込んだら後は各自バラバラに逃げて時間を稼ぐという手段も取れません。アース様も、扉が開き始めたら扉に対する妨害行為が解放されるからです」

 その扉を巡る攻防が最後の山場となるのだろう。なおその妨害行為とは扉の後ろに手回しのクランクシャフトが出現するので、これを回すことが出来る用になるのが妨害。妨害側である自分がこれを回す事で開いた扉を閉じることが出来る用になるとの事。だから完全に開いてさえなければ、ダメージを受けながらも強引にこの手回しのクランクシャフトを回す事で時間を稼ぐことが可能となるのだろう。

 なお、グラッド側もこの手回しクランクシャフトを回す事で扉が完全に開く時間を早めることが出来るとの事。両陣営にとって、最後の駆け引きにになるのがこの手回しクランクシャフトと言う事か。

「大雑把にルールは理解していただけたでしょうか? ルールが理解いただければ、制限十五分の練習を兼ねた模擬試合を行って頂きます。いきなりの実戦ではあまりにもひどいですからね」

 ああ、練習させてもらえるのか。それならぶっつけ本番でよく分からないまま右往左往する心配が少し減るな。地形の広さも分かるし、感じはつかめるだろう。

「確かに、後は一回やって見た方が早いか……よし、ならっとっとと始めてくれ」「了解しました、アース様もよろしいですか?」「はい」

 グラッドの言葉に試験官は頷き、試験官からの確認に自分は同意した。そして飛ばされたのは草原。まずは体の動きをチェック……うん、いつも通りに動けるな。次にレーダーを務めてくれる《危険察知》を確認……うん、確認できる範囲ぎりぎりに反応がひとつだけある。これはグラッドパーティの誰かと言う事だろう。草原の広さは……多分、東京ドーム一つ分ぐらいかな? 大体だから間違ってるかもしれないけど。

 各エリアの間はくっきりと線引きがされているような感じがするな……エリアとエリアの境目にうっすらと透明の足場が五センチほどあって両方のエリアがくっついている感じ。エリア一つがパーツ一つみたいな感じだ。草原の周囲の環境を簡単に変更できるようにする為にやっているような感じがする。

「皆様、お体は問題なく動かせるようですね? ではまず、グラッド様が率いるパーティメンバーの皆さまは近くにある宝箱を置開け下さい。宝箱には必ず何かしらのアイテムが最低一つ、多ければ三つ入っています。宝箱の外見が豪華なほど良いアイテムやアイテムが複数入っている可能性が高まります」

 宝箱のグレードがある事と、その意味を自分にも伝えるためこうやって全員に試験官は声を届けているのだろう。豪華な宝箱が開いていたら、強烈なアイテムがグラッド達に渡ったと考えろって事だな。どのようなアイテムがあるのかは……この後自分の体で味わう事になるんだろうな。

「それでは、後は実際にやってみた方が早いでしょう。制限時間は先ほど申しあげたとおりに十五分間。この十五分間で感覚を掴んでください」

 さて、どのように動くかを決めよう。この勝負に勝つためには、相手に連携を取らせない事が肝要だよな。こちらが強くなったとはいえ、グラッドパーティが全員そろって抵抗してきたら勝つのはまず無理だと思う。普段の能力に加えてアイテムによる妨害も混ざるのだから。だから単独か二人ぐらいで行動しているところを強襲し、一人ずつ檻に入れていく。

 檻に入れれば救出のために動かなければならない人が出るから、向こうの鍵探しを遅らせることが出来る。そうやって遅延させて制限時間を浪費させることが自分の勝ち筋だろう。向こうがもし探索よりも集合を優先するならそれはそれで構わない。六人が固まって行動してたら、探索は当然遅れる。そうなれば三十分以内に鍵を見つけ出す事はかなり困難になる。さらに自分が遠距離からチクチク妨害すれば、ますます時間を浪費させることに繋がる。

(とりあえずはそんな所か。後は動いて見ないと分からないね……さて、向こうはどう動きますかね)

 カウントダウンが始まり、自分は開始と同時に《危険察知》に反応があった方向に向かう事を決めている。エリアはジャングル……言うまでもなく木が多く、視界を防ぐエリアだ。《危険察知》が無ければ人を一人見つける事は非常に難しいだろう……カウントダウンがゼロとなり、練習が開始された。自分は当然ダッシュを開始して反応のある方に向かう。

(ファーストコンタクトは成功するかな? 木が多いから縫うように走らないといけないから結構大変だ)

 なんて事を考えつつ、反応がある方向に向かって走り続けていたのだが……ある程度距離が詰まったところで突如反応が消えた。多分アイテムを使ったんだろう、ただそのアイテムが『気配を消す』系統なのか『瞬間移動できる』系統なのかはこの時点では判断できない。先ほどまで反応があった現場に向かって移動して確認しなければならないだろう。

 そしてやってきた場所にはいくつかの空になった宝箱があり、木の宝箱の中に一つだけ、金色の宝箱があった。恐らくこの金色の宝箱の中にあった良いアイテムを使ったんだと予想できる。ただ、それがどういったものかは現時点では分からない。なので気配を消す系統のアイテムだと予想を立てて周囲を見渡す。

(反応は突如ふっと消えたんだ。高速で移動して譚違いに消えたわけではないから高速移動の線はない。そうなるとやはり気配を消すか瞬間移動化だと思うから……周囲に妙な物がないか見てみよう。忍者の隠れ身の術みたいな可能性もあるからな)

 この練習で大事なのは勝つ事じゃない、相手側の手札を一枚でも多く見て理解する事。そのためにも、こうやってこちらの《危険察知》からどのように逃れたのかを知っておく必要がある。では、検証を開始しよう。
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