とあるおっさんのVRMMO活動記

椎名ほわほわ

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15巻

15-1

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 1


 ようやく「痛風つうふうの洞窟」に再チャレンジするための準備が整った。いざ……と、その前に、道具屋のおっちゃんがまだ自分のことを「貴方様」と呼ぶので、全力でめさせた。普通に「アース」でいいのに。
 別段身分が高いってわけでもないんだから、そんな言い方をされ続けたら気味が悪いというか落ち着かない。そういうのご理解いただけるだろうか?
 とにかく必要な道具などを整えて、いざ出陣! とばかりに気合いを入れ、街から出る。そうして洞窟についたまでは良かったんだが……

(あの外見からして獣人さん達か)

 この日は非常に珍しいことに、入り口前に先客がいたのである。何せとっても寒いという一点だけでも、人の気配を遠ざけているからな。
 それに、モンスターとして出てくる氷の結晶は厄介な相手だ。プレイヤーが情報交換に集まる掲示板でもここの洞窟の話が上がっていたが、やはり「寒い」「モンスターが厄介」「お宝がない」の三重苦で人気がない。
 もちろん、だからこそ戦い甲斐がいがあるという人も、いるにはいるが……それはごく一部だ。余所よそでスキルのレベルを上げることができる以上、無理に挑む理由も人気が出る理由もないという状態であったりする。宝箱なども見つからないらしいし。

「あれ? こんな所を訪れる人が私達以外にもいるなんてね~?」

 向こう……犬、リス、たぬきの獣人さん(ちなみに尻尾で見分けた)も、こちらに気が付いた。三人とも女性のようである。声をかけてきたのはこのうちのリスの獣人さんだった。
 とりあえず、自分は軽く会釈えしゃくする。危害を加えるつもりはないと示すために、武器に手をやったりはしない。「李下りかかんむりを正さず」ということわざもある通り、疑われるような行為を取るべきではないのだ。

「こちらとしても驚いた。この洞窟はいい修練の場所になるが、とてつもなく寒いからあまり人が寄り付かないと知っているだけに」

 獣人さん達に近づいてから、自分もこう応じる。戦闘の意思を見せない様子と合わせて、向こうも警戒のレベルを落としたようだ。
 これも、街の中ならともかく、外で見知らぬ人に出会ったなら当然の行動ではある。こちらの世界の人とやたらと戦っているプレイヤーがいるらしい、なんて話をツヴァイ達から教えてもらったこともあるし。
 システム上はプレイヤー同士の無差別対人戦闘PvP……つまりプレイヤーキラーPK行為はできないが、「ワンモア」世界の住人とならそのルールの範囲外。プレイヤーを襲えない分、こっちの世界の人に刃を向ける……なんて噂が立つのかもしれない。
 大体自分だって、今までの冒険の中でかなりの回数、こちらの世界の人と戦ってきた。この前、妖精国で襲ってきた盗賊連中とかね。なので、街の外で初対面の人を警戒するのは当たり前。その人が悪意を持っていないという証明は誰もしてくれないのだから、獣人さん達の行動は正当である。

「その口ぶりからすると、あんたもすでに何回かここに入ったことがあるって見ていいかい? あたしらも最近はここで修練を積んでるんだけどね、今日は男連中が『寒いのやだ』とか気合いが抜けるようなことを言うもんだから、あたしらだけで来たんだ」

 と言ってきた犬の獣人さんにちょっと話を聞くと、ここにいる女性獣人三人と別の男性獣人三人の六人でPTパーティを組んでいるらしい。が、今のお言葉通り男性陣が今日は訓練を見合わせたいと言い出し、ちょっとした言い合いになったという。で、「じゃあ今日はあたしらだけで行く!」と勢いで宣言してしまい、引っ込みがつかなくなってここまで来てしまったそうだ。

「いや、待ってや。うちは止めたで? さすがに戦力が半減しとる状況で戦うのはマズいゆうたやないか? なのにうちの言葉をほっとんど聞いてくれへんし。だからこうして洞窟の前で立ち往生しとるんやろ……」

 犬の獣人さんの説明に突っ込みを入れてきたのは、狸の獣人さん。ああ、なるほど。でもここで止まっていたのはこの狸の獣人さんのファインプレーかもな。
 普段から半減した人数でダンジョンに挑むというのは、かなりリスクが大きい。前衛と後衛で役割分担はちゃんと揃っていたとしても、前衛の前線維持能力も支援の厚さも、どちらも大きく下がるからな。これは人数が半分になったから戦力も半減で済む、と簡単に考えていい問題ではない。

「話をざっと聞いただけだが、街に戻ったほうがいいんじゃないか? 今までとガラッと変わった状況では、何が原因で崩れるか分からないだろうに。修練は大事だが、それで死んでしまったら何にもならないだろう? ましてや、貴女あなた一人だけではなくそこの二人を巻き込むことになるんだぞ」

 自分は狸の獣人さんの意見に同意して、犬の獣人さんに考えを伝える。死んでしまったらそこまでだ。修練は強くなるためにやることであって、命を縮めるためにやるものではない。

「ううっ、そ、うよね。やっぱりここは大人しく帰るべきなのよね……あたし一人だけが死ぬならともかく、戦友の二人を巻き込みたくはないし……」

 犬の獣人さんもその辺は分かっていたんだろうが、戦友だけではなくちょっと話を聞いただけの自分にすらそう言われてしまったことが相当にこたえたようで、頭を抱えてうずくまる。まあ、生きていればやり直せるから、それぐらいの頭痛は我慢していただくしかない。

「ほんまおおきに。この子は猪突猛進な一面があるから、止まってくれて良かったわぁ。まあうちらの男性陣も、もうちーっと寒さをこらえてくれるぐらいの甲斐性が欲しいところというのも本音なんやけどな。ここはいい修練になるっちゅーのに間違いはあらへんし、全員が揃っていれば、うちかて入るのに反対する理由はあらへん」

 犬の獣人さんがうんうんうなごえを上げている横で、狸の獣人さんがそう自分に話しかけてくる。その言葉に自分は思わず苦笑い。といってもフードで顔そのものは見えていないだろうけど。

「命あっての物種ものだねとも言うからな。まあ、今日は引き揚げて男性陣と話し合うほうがいいんじゃないか?」

 自分のこの言葉に、狸の獣人さんは「うちもさんざんここに来るまでそう言ったんや。まあ、第三者のあんさんにも同じことを言われてようやく認めたっちゅーところやろ」と苦笑気味に言う。とにかく、自分達の現状を認めてくれたんなら良しとしよう。

「ところで、おにーさんはどうしてここに? 一人だよね?」

 と、ここでリスの獣人さんから質問が飛んできた。それにしても、おにーさん、か。現実世界リアルじゃどうあがいても言ってもらえる言葉じゃなくなったよなぁ~、なんて一瞬考えてしまう。

「あ、ああ。自分もこの洞窟で修練を行うためにやってきたんだ。じゃあそろそろ行くので、失礼するよ」

 そうひと言残して洞窟に入ろうとしたのだが、ここで「ちょっと待った!」の声が。
 その声を出したのは犬の獣人さんだ。

「あんた、あたし達には入るなって言っておいて自分は入るの? しかもそっちは三人どころか一人ぼっちじゃない! 相応の説明を求めるわ!」

 あ、やっぱり言われたか。そりゃそうだよな、さんざん三人では危ないとか言っていた自分は単独ソロで入っていこうってんだから、文句の一つも出るってもんだろう。

「そう言ってくるとは思ってたが……自分は最初っから一人旅だからね。この洞窟にも一人で入った経験が何回もあるから、そちらの置かれている状況とは別物というわけだ」

 そう、「明らかに準備が足りていない」獣人の皆さんと、「最初からソロで行動することを見据えて準備してきている」自分では状況に違いがありすぎる。そもそも自分は死んでもやり直しが利くわけだし。
 とはいえ、そんな言葉では納得してもらえないだろうなぁ。仕方がない、ここは一番手っ取り早い、百聞は一見にかず作戦で行きますか。

「納得いかない気持ちは分かる。なら、一度自分の戦いぶりを見てもらうというのはどうだろうか? ここでただ言葉を交わすよりも、そのほうが有意義だと思うのだが」

 この自分の言葉に乗ってきたのは、意外なことにリスの獣人さん。

「確かに……ねえ、彼の言葉に乗っかってみない? たまには他の人がどう戦うのかを見てみるというのも、いい経験になると思うの。それにすぐ後ろにいれば、彼が危なくなったときに私達が助けに入れるでしょ? ここでああでもないこうでもないって話し合ってるよりはずっといいんじゃないかしら」

 対照的に難色を示したのは狸の獣人さんだ。

「うちはあまり賛成しとうないなぁ。この洞窟はここ獣人連合の中でもかなりの難所やで? そこに一人で入るって発言する時点で、アホ言うなや! と突っ込みたい気分や。うちとしてはそんなんに付き合うより、さっさと街に戻りたいというのが本音っちゅーところや」

 そして最後となった犬の獣人さんは……

「――よし、あたしはついていくほうに票を投じるよ。確かにあたし達は他の人と共闘したりする機会があまりなかった。それにもしあたし達が街に帰っても、あんたは変わらずこの洞窟に入るんだろう?」

 この質問に、自分は頷く。そりゃここに入るのが目的なんだしね。

「やっぱりね。そうなると、その後どうなったのかとても気になってイライラすると思うんだよ。だから精神的な安定を図るという意味も込めて同行し、あんたの戦いを見せてもらうことにするよ」

 この発言に、狸の獣人さんは「やっぱりそう言うと思うたわ。しゃあないなぁ、付きおうたるわ」と諦め半分の声でしぶしぶ同意した。こうして自分は妙な同行者と、「痛風の洞窟」の中へと入ることになった。


 そうして、四人で洞窟の中に入る。といってもPTパーティを組んでいるわけではなく、ただ四人で行動しているだけである。
 途中にある厄介な冷気の風が吹く場所を潜り抜け、氷の結晶体の集まりがふよふよと飛んでいるエリアまでやってきた。

「んじゃ、そこで止まって。手は出さないでくれよ」

 獣人さん達を一定のラインより向こうで待機させて、自分は結晶体を相手とした修練を開始する。そうしていくつかの団体と戦ったのだが、そこで一つはっきりとしたことがある。

(こりゃダメだ、もうここではなんの修練にもならんな)

 なんというか……自分の魔剣である【まどい】が、自重じちょうを忘れたと感じるぐらいに張り切りすぎるのである……というより色々とおかしいことになっていた。
 まず最初に結晶体を弓で攻撃して引き付け、敵と認識しながら【惑】をさやから抜くと、自分の意思を介さず勝手に切先きっさきが伸びて結晶体をぶち抜き始める。更には、アレとアレとあの結晶をこの順番でぶち抜いてくれるとうれしいな、なんて念を送ってみると、そのリクエストも受け付けてくれる。
 もう、剣を抜いておくだけで後は勝手に攻撃をやってくれる感じだ。

(あーうん、後ろにいる三人も、おそらく目が点になってるよな……使ってる自分ですら混乱してるんだから)

 その上、結晶を殲滅せんめつしたら、刀身がまるで小動物のようにすりすりとすり寄ってくるのである。もちろん自分に触れるのは刃ではなく腹部分であるが、他の人から見たら、刃物にすり寄られる人間ってどうよ?という疑問は当然湧いてくるだろう。
 もし自分が三人の立場だったら、間違いなくこの光景にドン引きしている。ツヴァイが自分の魔剣と一体化した一件を見て、【惑】が変な刺激を受けたのかもしれない。そんなの受けなくていいのに。
 そんなわけで、戦っても戦ってもろくな修練にならない。自分がやっていることといえば、たまに飛んでくる水攻撃を回避することと、最初に弓で釣り攻撃をすることだけである。これを修練と認めてくれる人はいるはずもない。
 こんなことを続けていたら、俗にプレイヤースキルと呼ばれる自分自身の戦闘技術は絶対に鈍る。なので途中からは、オート攻撃しないで自力でやらせてという変なお願いを【惑】にする羽目になってしまった。それでも、攻撃を数回外した時点で、ここからは私がやる~とばかりにオートモードに戻ってしまうのだが。

(なんか、相手をとことん甘やかしてダメにしてしまう人物像が浮かぶな)

 いずれ自分の魔剣として取り込むのが不安になってきた。ツヴァイのような大剣二刀流は、使いこなせるようになるまでに今までやったことのない修練を積む必要があるのに、この【惑】は正反対の方向に進んでいる。なんでこうなったのであろうか。
 と、そのとき、左手の薬指にはまっている指輪からこんな声が聞こえてきた。

(よっ、ほっ、やっと。こんな感じですか? ええ、マスターをお守りするための手段は多いほうが良いですわよね。私も貴女の意見に同意しますわ。私のマスターはいろんな場所に首を突っ込みますし、こうやって指輪の中にいる状態であっても攻撃を支援することができるようになったのは喜ばしいことですわね。そしてマスターが貴女を体内に取り込めば、より強力な攻撃も可能になるんですよね? 私も簡単に実体化するわけにいかないのは困りものでしたが、こうして同志を得たのは素晴らしい――って、あ、あらマスター、今の会話聞こえてました?)

 無言で【惑】を鞘に収める。【惑】がこんな動きをするようになった原因はお前か、お前だったのかフェアリークィーンの分身体! そして、彼女が話しかけていたのはおそらく【惑】の意思というやつだろう。どういうわけか、色々と混じり合って両者の間にパスかなんかが開いてしまっていたらしい。
 もしかして呪具と魔剣は相性がいいのか? どっちも闇属性だしな……少し頭に覚えた痛みを気合いでこらえ、後ろにいた獣人さん達に近寄っていく。ああ、見事に凍ってる。もちろん物理的な意味ではなく。

「えー、こんな感じです。見ていただいたように、戦ってもそれなりに被弾せずに相手を倒せるのはお分かりいただけたかと。これでもう疑問はありませんね?」

 今回は自分の実力ではないんだけど。とはいえ今は都合がいい。戦っても無傷で圧倒できる力を持っているからこそ一人でうろついていられるんだ、と誤解してくれるだろう。まあ、いいパフォーマンスになったと割り切ろう。分身体も悪意を持ってやっていたわけではない……はずだし。

「……嘘でしょ?」

 凍っていた時が動き出したのか、ぼそっとそんな声を上げたのは犬の獣人さん。あーうん、気持ちは良く分かりますよ。こっちだって、まさか呪具と魔剣がコンビ組んでオートアタックを始めるとか予想外だった。しかも自分よりはるかに腕が上っていうのがかなりくやしい。そりゃ自分は特化型ではないが……ないんだが!

「納得したわ。そんだけ戦えるんやったら、ソロでも問題あらへんわ。ハッキリ言ってうちら三人で襲いかかったとしても、無傷であっさりと返り討ちにされる未来しか見えんわぁ」

 狸の獣人さんもそんなことを言う。まあいい、納得してくれたのならそれでいい……こっちは納得できないんだけど。

「うん、今の私達じゃ、とてもじゃないけど同じような戦いをすることは無理だね。今日は大人しく引き揚げようよ。いいものが見られたってことで」

 このリス獣人さんのひと言に犬と狸の獣人さん達は同時に頷き、三人は引き揚げていった。その前に「実力は分かったけど無茶だけはすんじゃないよ!」との言葉を残して。
 とにかくこれでギャラリーはいなくなったことだし、そろそろ試してみるか。ここから更に奥に行けるかどうかを。
 そもそもこの氷の結晶がいる場所は、言うまでもなくこの「痛風の洞窟」の中では浅い場所である。洞窟の奥には何があるのかも直接見てみたくなってきていたので、今日は一歩前進する腹積もりだった。このまま結晶相手に戦っていたのでは、タッグを組んだ分身体と【惑】が蹴散けちらすだけになりそうだし。
 そうと決まれば、ゆっくりと氷の結晶の集合体の一つに近づいていく。積極的に襲ってくるアクティブモンスターなのかどうかを確認するためである。今までは遠距離から弓矢で釣る方法をとっていたので、アクティブなのかノンアクティブなのかの見分けがつかなかったのだ。
 アクティブなら一旦逃げ、ノンアクティブなら刺激せずそのまま横を通過する。シンプルにそう決めて、ゆっくりと近寄っていった結果は――ノンアクティブだった。〈隠蔽いんぺい〉スキルなんかに頼らずに通過できるのはありがたい。あれ系はマジックパワーMPを馬鹿食いするからな……消耗せずに済むのならそのほうがいい。
 そうして氷の結晶体が漂う区域を抜けた先では、分かれ道などが一切ないまま、冷たい風の洗礼を二回ほど浴びることになった。ここで焦って無理する意味はないため、確実にだんを取ってゆっくり進む。それにしても、かなり前進したのにモンスターのたぐいは一切出てこない。この洞窟にいるのがあの氷の結晶体だけとは思えないんだが。
 そう首を捻りながら更に前進すること数分、やっと新しいモンスターに出くわしたのだが……えーっと。

「ほお、人の身でありながらこんなところまでよく来たな。お前はひまなのか?」

 パチリ。

「まあそう言うな、ここに来た目的は探索か修練なんだろうよ。ほれ、王手飛車取りだ」

 パチリ。

「おお!? おい待ってくれ、その手は待ってくれ!」

 そこでは、全身が氷で出来たガーゴイル(アイスガーゴイル?)と思われる二匹のモンスターが、自分のほうを一切振り向かずにこれまた氷で出来た将棋盤でなぜか一局指していらっしゃった。なぜにこんな場所で将棋? いや、突っ込むべきところはそこじゃない気がする。

「ええっと、お二方(?)はアイスガーゴイルでよろしいんでしょうか?」

 まあ、モンスターには分類されるんだろうが、肝心のお二方は将棋の勝負のほうに夢中なようだ。右側のガーゴイルが「頼む、これは待ってくれ」と言っており、左の方が「もう待ったは五回目だぞ? いい加減に今回は負けを認めたらどうだ」と反論している。ええっと、どうしたもんだろうか。やがて右のガーゴイルが「くそ、投了だ!」と宣言した後、ようやくこちらを向く。

「いやはや、お待たせした。ここに少し前に来た変わった人間が教えてくれた、将棋、というものが我々の中で今流行っていてな」

 ここに元々将棋があったんじゃなくて、プレイヤーが持ち込んだのか。まあ自分もエルフの村にチェスを持ち込んだから、あれこれと強くは言えないが。

「ついつい勝負に熱くなってしまった。さて、我々はここから先に進もうという者に確認を取るためにいる。むろん、そちらが襲ってくるのなら戦うが」

 一転して真面目にしゃべり始めたアイスガーゴイルだが、そこには緊迫した空気というものが全くと言っていいほどない。なので自分もつい、「はぁ」と気の抜けた返事をしてしまった。
 それを聞いた左のガーゴイルが、右のガーゴイルを肘でつつき始める。

「ほらみろ、お前が待ったなんてやるから、この人間はあきれているだろうが。ここは緊迫した空気が流れるべき場面だというのに」

 つつかれた右側のアイスガーゴイルは、それに反論をし始める。

「自分のことをたなに上げるな。そもそも、まずここまで人なんか来ないから退屈だし、一つ指そうではないかと猛烈に誘ってきたのはそちらだろうが」

 とまあ、妙にぬるい空気が漂う。
 色々と大丈夫なんだろうか……入れてた気合いが抜けそうだよ。


【スキル一覧】

風迅狩弓ふうじんかりゆみ〉Lv40 〈剛蹴ごうしゅう(エルフ流・一人前)〉Lv38 〈百里眼ひゃくりがん〉Lv32 〈技量の指〉Lv49
〈小盾〉Lv31 〈隠蔽・改〉Lv7 〈武術身体能力強化〉Lv82
〈ダーク・チェイン〉Lv45(←1UP) 〈義賊頭ぎぞくがしら〉Lv33

妖精招来ようせいしょうらい〉Lv16(強制習得・昇格・控えスキルへの移動不可能)

 追加能力スキル
〈黄龍変身〉Lv10
 控えスキル
〈木工の経験者〉Lv8 〈上級薬剤〉Lv34 〈釣り〉(LOST!) 〈料理の経験者〉Lv22
鍛冶かじの経験者〉Lv28 〈人魚泳法〉Lv9 
 ExP50
 称号:妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 ドラゴンと龍に関わった者 
    妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相 
    託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人
    妖精国の隠れアイドル 悲しみの激情を知る者 メイドのご主人様(仮) 呪具の恋人
 プレイヤーからの二つ名:妖精王候補(妬) 戦場の料理人

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