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三試合目終了から、四試合目開始
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確実に確実にセリシャさんを追い詰めていく。それに比例してセリシャさんから感じる闘気らしきものが確実に膨れ上がっていく。この感覚は、ツヴァイがやられた時とうり二つ。やはりツヴァイの体を貫いたあの槍が飛んでくるのは間違いないだろう。
(タイミングはツヴァイが体を張って教えてくれた。とはいえ相手は切り札を決めて勝ったという勢いがある。だからこそここで相手の切り札を潰して相手の士気を下げないと、より激しくなった相手の勢いに飲まれる事に繋がる可能性があるからな。絶対にミスできない)
ただ勝つだけでなく、相手の切り札を潰して勝つ事がここでは求められる。それが出来なければ、切り札を見せるためにあえて相手の攻撃を食らう事で情報を引き出したツヴァイに対して顔向けができない。セリシャさんの様子を常に伺いながらの攻めを継続し、切り札を使わせるための舞台を整えていく。
(与えたダメージとここまでの流れを考えると──切り札を切るしかないと思わせる精神状態に追い込むまでに必要な手数はあと少し、かな。ここからは一つのミスも許されない。確実に一歩一歩、切り札を使わせるように詰めていかなければ)
相手の反撃を徹底的に潰す。相手の防御をすり抜けてダメージを取る。相手の冷静な思考を痛みと熱で削ぎ落す様に奪い取っていく。切り札を使うしかない、という思考に持っていくために。その狙い通りに、セリシャさんの目が覚悟を決めた人間のそれになった。仕掛けてくるな──あとはこちらが反応できるか否かだ。
軽いステップを踏みながらセリシャさんへと迫る自分。ある程度間合いを詰めたその時だった、セリシャさんの目が大きく見開かれていく瞬間を自分の目が捉えたのは。直後、突如現れた一本の槍が自分の体を貫いていく──と周囲には見えたことだろう。しかし、その槍に貫かれた自分の体は霞んで消える。
「え!?」「《トライアングルシュート》」
蹴りのアーツの一つ、《トライアングルシュート》。このアーツのおまけ的な要素の一つに、発動した直後短時間その場に幻影を残すという特性がある。そう、セリシャさんの切り札の槍が貫いたのはその幻影でしかない。当然自分にはノーダメージであり、当然アーツによって放たれる蹴りは、切り札を外して隙だらけのセリシャさんの右後頭部付近にしっかりと突き刺さった。鈍い音が足を通じて伝わって来るかのようだ。
「あ、がっ!?」「セリシャー!?」
セリシャさんの苦悶の声と、ヴァルキュリアス側から悲鳴に近い叫び声が上がったが情けをかけるわけにはいかない。動けないセリシャさんの首を、背後からレガリオンにて刎ね飛ばした。落ちる首と、首を失って倒れる体。その後すぐに両方ともに武舞台の上から消えた。これで、相手にはかなりの衝撃が行ったはず……切り札を見切られた事になるのだから。
「決着です、次の選手は武舞台へあがってください!」
その声に反応して、レイジが武舞台の上へと上がって来る。自分は降りるわけだが、すれ違い気味に会話を交わす。
「見えたか?」「ああ、ツヴァイとアースのおかげで前兆は分かった」
その一言で、レイジは大丈夫だろうと安心しながら武舞台を降りられた。武舞台の下では、ツヴァイが待っていた。ツヴァイが手を出してきたので、自分も手を出しハイタッチを交わした。
「どうやら、俺の意図は伝わってたようだな」「流石にね、ツヴァイがああもまともに食らいに行くって時点で意味がないとは思えなかったから。おかげで相手の切り札を見切る事が出来たよ」
ツヴァイの行動がなかったら、自分も違和感を感じる事は出来たがどういう切り札なのかを分からない状態で戦う形になっていたから、さっきの様に対処できたかどうかは怪しい所。いや、たぶん無理かな? やはり情報の有無は大事だ。
「レイジにも伝えたが、あの槍に対して防御行動をとるのは無意味だって感じたぜ。防御しようとした大軒をすり抜けてきたうえにこの鎧を容易く貫かれたからな……回避一択、完全回避はできなくても首や心臓への直撃だけは避けないとダメだな。俺は心臓に食らっちまった」
やっぱりツヴァイは心臓に貰ってしまっていたんだな。それでも一度大剣を振って見せたのだからツヴァイも大概な根性をしている。
「切り札は一枚だけとは限らないが、どう見る?」「あれはそう何枚も持てる切り札って感じじゃないな。本当に槍を鍛えて鍛えて鍛え抜いた先にあるアーツって感じだ。それを俺との勝負で早々に使わされ、アースには見切られた。正直あっちの精神的なダメージは相当なはずだぜ。切り札が切り札として考える事が出来なくなりつつあるんだからよ」
自分の問いかけに対するツヴァイの返答はこうだった。ツヴァイの考えは間違っていないだろう、切り札がばれた上によけられたと来れば、かなり向こう側の動揺は大きいはず。そしてここでレイジも引き続いて切り札を回避するなり何らかの手段で潰すなりしたら、決定的だろう。
(だからこそ、レイジにも頑張ってもらわないといけない。畳みかけられる機会があるなら、逃さないようにしないといけない。だが、それが過剰なプレッシャーになって動きが硬くなったら意味がないんだが──レイジも幾多の修羅場をくぐった猛者だ。そういうレベルはとっくに通過しているはず。後は信じて応援するだけだ)
情報は出そろった。後は本人が対応できるか否かという形である。ただ、これはあくまでこれ以上の手を相手が持っていなかったらの話である。あれ以上の切り札を持つ、もしくは切り札につなげる事が出来るコンボを持っているなどの可能性はまだまだ残されている。が、それを乗り越えてくれるだけの経験がレイジにはある。
(何せ、タンカーだからな。一番攻撃を受ける機会が多く、一番その攻撃に対する対処を知っていなければならない立ち位置。ツヴァイ達のギルドの中で一番そういった受け、回避の技術経験が高いのはレイジだろう。そして、重装備の彼が回避に成功すれば──その優位性は大きい)
自分がやった回避方法は、アーツを使ったものだ。故にアーツを使わなければ回避できない、されないという考えがまだ向こうにはある可能性は高いだろう。そこでレイジがアーツに頼らずに回避して見せれば、その衝撃は大きいはず。ましてやレイジの鎧は重鎧、機動性が一番落ちる装備だ。それでもなお回避されたとなれば、先ほどの自分のよりもはるかに大きい精神的な衝撃を相手に与えるだろう。
武舞台に両者がそろい、四試合目が開始される。が、両者ともに自分とセリシャさんの時よりも慎重な立ち上がりだ。本当に一歩一歩どころか半歩半歩ずつ、足を引きずるかのような感じで間合いを詰めている。レイジはしっかりと盾に身を隠しながら、相手は槍を構えながら双方ともに出方をうかがっている。しかし、今回の相手の使う槍は少々装飾が派手だな。持ち手部分付近に花を模したと思われる飾り、穂先付近にも花のような飾りがある。
が、ここでレイジが動く。普段使っている方手斧とは別の片手斧を持ち出し、相手に向かって投げつけた。投げられた方手斧は縦回転しながら高速で相手に迫る。だが相手も体を半歩横に動かしてするりと回避して見せた。とりあえず最初の挨拶──と思いきや、レイジが投げた片手斧が地面にぶつかったと思いきや直後に跳ね上がり、再び相手を狙った。
「後ろー!!」
ヴァルキュリアスの一人が、武舞台に上に立つ仲間に対して大声を出して危機を知らせた。その声に反応した相手が、一瞬だけ後ろを振り返り斧の位置を把握。回避行動をとるが──レイジがぼーっと突っ立っているはずがない。盾を構えてシールドバッシュを行い、跳ね返ってきた片手斧との挟み撃ちを仕掛ける。
「あぶなっ!?」「むっ」
相手が行った行動は、槍を使って上にではなく横に大きく飛んで回避するであった。そうなるとレイジに向かって片手斧が飛んで来る形となるわけだが、レイジはあっさりと縦回転している方手斧の持ち手部分を掴んで止めてしまった。何事もなかったかのように。あの片手斧、魔剣の類なのか? しかし、レイジが新しい魔剣扱いの片手斧を手に入れたという話は全く聞いていない。あの片手斧は何なのだろう?
「最初から容赦がないね?」「そりゃあそうだろう。ここまで勝ち上がってきた相手だ、弱いなんて可能性はゼロだ。だからこそ、相応の手を使うだけの話だろう」
なんて会話が行われた後、再び両者が武器を構えなおす。が、今度はお互い一気に距離を詰める。当然槍を使う相手が先制するわけだが、レイジは盾を斜めに傾けて槍の下を潜り込むように動く。槍が盾の上をすべるように突き抜け、レイジが潜り込んだことで片手斧の間合いに入る。当然レイジは片手斧を振り抜こうとするが、相手は槍の装飾と思われていた花の部分の一部を引き抜いて片手斧を上からたたき落とす。
(あの槍の飾りの一部は、飾りっぽくした短剣か!)
武器の仕込みを疑われないようにするための装飾だったのか。すぐに槍の中に短剣を仕舞いながら槍の間合いまで下がる相手。暗器使いの側面を持つ相手か、迂闊に距離を詰めるとカウンターで強烈な一撃を貰いねない。やっぱりここまであがてきたギルドだ容易く負けてくれるはずがないな。
(タイミングはツヴァイが体を張って教えてくれた。とはいえ相手は切り札を決めて勝ったという勢いがある。だからこそここで相手の切り札を潰して相手の士気を下げないと、より激しくなった相手の勢いに飲まれる事に繋がる可能性があるからな。絶対にミスできない)
ただ勝つだけでなく、相手の切り札を潰して勝つ事がここでは求められる。それが出来なければ、切り札を見せるためにあえて相手の攻撃を食らう事で情報を引き出したツヴァイに対して顔向けができない。セリシャさんの様子を常に伺いながらの攻めを継続し、切り札を使わせるための舞台を整えていく。
(与えたダメージとここまでの流れを考えると──切り札を切るしかないと思わせる精神状態に追い込むまでに必要な手数はあと少し、かな。ここからは一つのミスも許されない。確実に一歩一歩、切り札を使わせるように詰めていかなければ)
相手の反撃を徹底的に潰す。相手の防御をすり抜けてダメージを取る。相手の冷静な思考を痛みと熱で削ぎ落す様に奪い取っていく。切り札を使うしかない、という思考に持っていくために。その狙い通りに、セリシャさんの目が覚悟を決めた人間のそれになった。仕掛けてくるな──あとはこちらが反応できるか否かだ。
軽いステップを踏みながらセリシャさんへと迫る自分。ある程度間合いを詰めたその時だった、セリシャさんの目が大きく見開かれていく瞬間を自分の目が捉えたのは。直後、突如現れた一本の槍が自分の体を貫いていく──と周囲には見えたことだろう。しかし、その槍に貫かれた自分の体は霞んで消える。
「え!?」「《トライアングルシュート》」
蹴りのアーツの一つ、《トライアングルシュート》。このアーツのおまけ的な要素の一つに、発動した直後短時間その場に幻影を残すという特性がある。そう、セリシャさんの切り札の槍が貫いたのはその幻影でしかない。当然自分にはノーダメージであり、当然アーツによって放たれる蹴りは、切り札を外して隙だらけのセリシャさんの右後頭部付近にしっかりと突き刺さった。鈍い音が足を通じて伝わって来るかのようだ。
「あ、がっ!?」「セリシャー!?」
セリシャさんの苦悶の声と、ヴァルキュリアス側から悲鳴に近い叫び声が上がったが情けをかけるわけにはいかない。動けないセリシャさんの首を、背後からレガリオンにて刎ね飛ばした。落ちる首と、首を失って倒れる体。その後すぐに両方ともに武舞台の上から消えた。これで、相手にはかなりの衝撃が行ったはず……切り札を見切られた事になるのだから。
「決着です、次の選手は武舞台へあがってください!」
その声に反応して、レイジが武舞台の上へと上がって来る。自分は降りるわけだが、すれ違い気味に会話を交わす。
「見えたか?」「ああ、ツヴァイとアースのおかげで前兆は分かった」
その一言で、レイジは大丈夫だろうと安心しながら武舞台を降りられた。武舞台の下では、ツヴァイが待っていた。ツヴァイが手を出してきたので、自分も手を出しハイタッチを交わした。
「どうやら、俺の意図は伝わってたようだな」「流石にね、ツヴァイがああもまともに食らいに行くって時点で意味がないとは思えなかったから。おかげで相手の切り札を見切る事が出来たよ」
ツヴァイの行動がなかったら、自分も違和感を感じる事は出来たがどういう切り札なのかを分からない状態で戦う形になっていたから、さっきの様に対処できたかどうかは怪しい所。いや、たぶん無理かな? やはり情報の有無は大事だ。
「レイジにも伝えたが、あの槍に対して防御行動をとるのは無意味だって感じたぜ。防御しようとした大軒をすり抜けてきたうえにこの鎧を容易く貫かれたからな……回避一択、完全回避はできなくても首や心臓への直撃だけは避けないとダメだな。俺は心臓に食らっちまった」
やっぱりツヴァイは心臓に貰ってしまっていたんだな。それでも一度大剣を振って見せたのだからツヴァイも大概な根性をしている。
「切り札は一枚だけとは限らないが、どう見る?」「あれはそう何枚も持てる切り札って感じじゃないな。本当に槍を鍛えて鍛えて鍛え抜いた先にあるアーツって感じだ。それを俺との勝負で早々に使わされ、アースには見切られた。正直あっちの精神的なダメージは相当なはずだぜ。切り札が切り札として考える事が出来なくなりつつあるんだからよ」
自分の問いかけに対するツヴァイの返答はこうだった。ツヴァイの考えは間違っていないだろう、切り札がばれた上によけられたと来れば、かなり向こう側の動揺は大きいはず。そしてここでレイジも引き続いて切り札を回避するなり何らかの手段で潰すなりしたら、決定的だろう。
(だからこそ、レイジにも頑張ってもらわないといけない。畳みかけられる機会があるなら、逃さないようにしないといけない。だが、それが過剰なプレッシャーになって動きが硬くなったら意味がないんだが──レイジも幾多の修羅場をくぐった猛者だ。そういうレベルはとっくに通過しているはず。後は信じて応援するだけだ)
情報は出そろった。後は本人が対応できるか否かという形である。ただ、これはあくまでこれ以上の手を相手が持っていなかったらの話である。あれ以上の切り札を持つ、もしくは切り札につなげる事が出来るコンボを持っているなどの可能性はまだまだ残されている。が、それを乗り越えてくれるだけの経験がレイジにはある。
(何せ、タンカーだからな。一番攻撃を受ける機会が多く、一番その攻撃に対する対処を知っていなければならない立ち位置。ツヴァイ達のギルドの中で一番そういった受け、回避の技術経験が高いのはレイジだろう。そして、重装備の彼が回避に成功すれば──その優位性は大きい)
自分がやった回避方法は、アーツを使ったものだ。故にアーツを使わなければ回避できない、されないという考えがまだ向こうにはある可能性は高いだろう。そこでレイジがアーツに頼らずに回避して見せれば、その衝撃は大きいはず。ましてやレイジの鎧は重鎧、機動性が一番落ちる装備だ。それでもなお回避されたとなれば、先ほどの自分のよりもはるかに大きい精神的な衝撃を相手に与えるだろう。
武舞台に両者がそろい、四試合目が開始される。が、両者ともに自分とセリシャさんの時よりも慎重な立ち上がりだ。本当に一歩一歩どころか半歩半歩ずつ、足を引きずるかのような感じで間合いを詰めている。レイジはしっかりと盾に身を隠しながら、相手は槍を構えながら双方ともに出方をうかがっている。しかし、今回の相手の使う槍は少々装飾が派手だな。持ち手部分付近に花を模したと思われる飾り、穂先付近にも花のような飾りがある。
が、ここでレイジが動く。普段使っている方手斧とは別の片手斧を持ち出し、相手に向かって投げつけた。投げられた方手斧は縦回転しながら高速で相手に迫る。だが相手も体を半歩横に動かしてするりと回避して見せた。とりあえず最初の挨拶──と思いきや、レイジが投げた片手斧が地面にぶつかったと思いきや直後に跳ね上がり、再び相手を狙った。
「後ろー!!」
ヴァルキュリアスの一人が、武舞台に上に立つ仲間に対して大声を出して危機を知らせた。その声に反応した相手が、一瞬だけ後ろを振り返り斧の位置を把握。回避行動をとるが──レイジがぼーっと突っ立っているはずがない。盾を構えてシールドバッシュを行い、跳ね返ってきた片手斧との挟み撃ちを仕掛ける。
「あぶなっ!?」「むっ」
相手が行った行動は、槍を使って上にではなく横に大きく飛んで回避するであった。そうなるとレイジに向かって片手斧が飛んで来る形となるわけだが、レイジはあっさりと縦回転している方手斧の持ち手部分を掴んで止めてしまった。何事もなかったかのように。あの片手斧、魔剣の類なのか? しかし、レイジが新しい魔剣扱いの片手斧を手に入れたという話は全く聞いていない。あの片手斧は何なのだろう?
「最初から容赦がないね?」「そりゃあそうだろう。ここまで勝ち上がってきた相手だ、弱いなんて可能性はゼロだ。だからこそ、相応の手を使うだけの話だろう」
なんて会話が行われた後、再び両者が武器を構えなおす。が、今度はお互い一気に距離を詰める。当然槍を使う相手が先制するわけだが、レイジは盾を斜めに傾けて槍の下を潜り込むように動く。槍が盾の上をすべるように突き抜け、レイジが潜り込んだことで片手斧の間合いに入る。当然レイジは片手斧を振り抜こうとするが、相手は槍の装飾と思われていた花の部分の一部を引き抜いて片手斧を上からたたき落とす。
(あの槍の飾りの一部は、飾りっぽくした短剣か!)
武器の仕込みを疑われないようにするための装飾だったのか。すぐに槍の中に短剣を仕舞いながら槍の間合いまで下がる相手。暗器使いの側面を持つ相手か、迂闊に距離を詰めるとカウンターで強烈な一撃を貰いねない。やっぱりここまであがてきたギルドだ容易く負けてくれるはずがないな。
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