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六章 死闘! アミルキシアの森 中編
六話 死闘! アミルキシアの森 中編 その三
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「おい、ネルソンクン。コイツ、俺に殺させろよぉ。ムカつくぅ」
ジャックとネルソンの間に一人のプレイヤー、コリーが割り込んでくる。伊達メガネをかけたコリーはジャックを脅すように睨みつけ、手にしたダガーを舐めはじめた。
鋭利なナイフのように、頭も切れる男なのだろうか?
「あ痛っ! 舌、切っちゃったぁ……」
ただのお調子者のようだ。
「おいぃ、ネルソンクン。ヒーリングストーン、あるぅ?」
ヒーリングストーンとは、ソウルメイトを修復する石、つまりSP回復薬である。回復以外にも毒の浄化や麻痺回復等、様々な効果がある。
使い方はヒーリングストーンを体に当てるだけ。ただし、一回使用すると、リキャストタイム(再使用時間)が発生する為、連続で使用ことができない。
「そんなことで使わせないでください、コーリーさん。ヒーリングストーンは貴重なんですから。唾で十分ですよ」
ネルソンに邪険にされても、コリーはヘラヘラと笑っていた。ダガーをちらつかせ、ジャックを睨みつける。
「そうするわぁ……ってもう唾ついちゃってるけどねぇ。ねぇ、ライザークン! ジャックぅは~俺にぃ殺らせてよぉ! 俺はよぉ、ジャックぅ。ライザークンとネルソンクンと違って、お前みたいな偽善者、大っっっっっっっっっっっっ嫌ぃぃぃぃぃぃいなんだよぉ! この世界ではなぁあああ~、殺し合いを求められてるんだよぉ! なのに、殺しちゃダメですなんてぇ、矛盾してるだろうがぁああああああ!」
「だからなに? 殺人鬼にでもならないといけないってわけ? ここはオープンワールドだよ。人を殺すのもよし、暴挙を阻止するのもよし。自分の取るべき行動は自分で決める。誰かに強要されるいわれはないから」
コリーの挑発に、ジャックは冷静に対応する。その態度を見て、コリーは一瞬、顔をしかめるが、すぐに人を馬鹿にした笑みに戻る。
「おおっ~。言うじゃないですかぁ。ついさっきまでぇ、リザードマンに追い回されてぇ、泣きそうだったジャックさんがぁ、よくもまあ、ほえますなぁ」
「いやいや。リザードマン、怖かったってマジで! ちびりそうになったよ。いや、ついてないんだけどね。でも、なんでだろうね。八人の暴漢に襲われそうになっているのに全然怖くないんだ。格下の相手だからかな?」
「マジ殺すぅ」
コリーの人をバカにした目つきから、殺意のこもった目つきに変わる。
ついにプレイヤー同士の殺しあいが始まろうとしている。この世界に来て初めてのPVP戦。ジャック達はこの日の為に、何度もシミュレーションを繰り返し、備えてきた。ソレイユ達と模擬戦、武器、防具の強化等、対策も練った。
後は、最後まで相手のSPを減らすことができるかどうか……。
SPを0にすることは、相手の死を意味する。本当に死ぬわけではないが、それでも、この世界から消え去っていく。
それは殺人と同じではないか、違うならどう表現したらいいのか。
最後のふんぎりがつかないまま、ジャックは拳を握り、自分のコンディションを確認する。疲労は完全ではないがある程度回復している。スタミナ値が八割は回復できるようになっていた。
SPに関しては、ネルソンと話をしている最中にヒーリングストーンを使用して全回復している。肉体的には問題ない。後は精神的な問題だけだ。
ちなみに性犯罪防止のため、ソウルメイトには性器がついてない。
「相手さん、やる気満々だけど、ソレイユもエリンも準備はいい?」
「キミのおかげでずいぶん休ませてもらえた。感謝してるわ。それにしても、本当、最悪な日ね」
ソレイユは少しけだるそうに返事をしているが、気迫はみなぎっていた。
ジャックは素直にソレイユを尊敬していた。言い方は悪いが、ソレイユは女の子だ。それなのに、ソレイユは全く恐れず、強敵に立ち向かっていく。それが当たり前のことのように。
なにが、ソレイユをそこまで奮い立たせるのか?
ジャックには全く分からなかった。
ジャックはいつものように明るい声でソレイユに語り掛ける。
「同感。でも、この場を生き残れたら、笑って思い出せる日になるよ。あのときは大変だったねって酒の肴にしてさ。あっ、なんだかお腹すいてきた」
「……相も変わらずふざけた態度をとるのね。ちなみにジャック君はお酒を飲めるお年だった? お子様だったと思うのだけれど」
ソレイユもね。
その言葉を飲み込み、ジャックは肩をすくめる。
「もうすぐなってみせるさ」
「なってみせるってことは、もうすぐなれるの? それまで生き残れるといいわね」
「もしも~し! 私もいるんですけど~」
拗ねたように話に割り込んでくるエリンに、ジャックとソレイユはお互い笑みを浮かべる。
ジャックは決意する。もう、これ以上、仲間を失いたくない。例え殺人を犯すことになっても、罪悪感に苛まれることになっても……仲間を護ってみせる。
拳に力がこもる。ここにいない二人にむけて、ジャックはつぶやく。
――ロイド、リリアン……力を貸して。
三対八の完全に不利な戦いにどう立ち向かうか、ジャックは頭をフル回転させながら、今の戦力、相手の戦力、周りの状況の分析に入っていた。
この分析に新たな情報が加わる。
「おい、レベッカ。どうして、ジャックを助けた? 打ち合わせじゃあ、ジャック達とリザードマンの戦いを傍観して、勝った方を奇襲するつもりだったはずだよな?」
ライザー達は仮面の剣士、レベッカを問い詰める。ジャックもつられてレベッカを見つめる。
全員の視線がレベッカに向けられる中、彼女は肩をすくめる。
「嫌気がさしたのよ。最強のパーティを作ると言っておきながら、やっていることは漁夫の利を狙うようなずるい真似事や不意打ちばかり。それに、ライザー。あなたは数にものを言わせて私を無理矢理仲間に引き込んだ。正直、うんざりしてるのよ。王様気取っているところ悪いのだけど、私は認めてないから」
「要約すると裏切るって事か?」
「抜けさせてもらうわ」
レベッカとライザーはお互い睨みあう。殺気だった雰囲気は、二人の関係がもう、修復不可能なまでになっていることをあらわしていた。
お互い無言のまま、時間が過ぎていく。先に言葉を発したのはライザーだった。
「そっか……ならここでジャック達と一緒に死ね」
「お断りよ。力ずくで押し通らせてもらう。そういうことだから、ジャック。手を貸してあげる。感謝しなさいよ」
「あ、ありがとう……」
仲間になってくれるのは嬉しいが、素直に喜べないジャックであった。リザードマン戦でジャックがスカウトした時に、仲間になってほしかったからだ。
これでは、仕方なく仲間になってもらったようなものだ。
「ジャックさん、よかったですね。これならフラれたことにはならないですよ。女の子ばかりスカウトするのは正直どうかと思いますけどー」
仲間の背中を笑顔で撃ち抜く女。その名はエリン。
ジャックは、負けじと言い返す。
「まあね。戦いの前に精神的ダメージを受けなくてすんだよ。それと、僕は男女平等がモットーだから」
ジャックの冷静な回答にエリンはつまらなさそうな顔をするが、すぐに笑顔になる。
「そう言いつつ、男一人、女三人。これってハーレムですよね?」
「やめて! そんな言い方したら……ほら! ソレイユとレベッカが僕を睨んでるよ! 心臓に悪いから!」
笑顔で追い打ちをかける女。その名はエリン。
ジャックのあせった声に、エリンは満足げに微笑む。この反応こそジャックだと言いたげに。
「おいぃ! 俺達無視していちゃついてんじゃねーぞぉ! 切り裂くぞぉ、こらぁ!」
「と、とにかく、後ろを向いて前進!」
ジャックはライザー達に背を向け、レベッカの手を引いてこの場からダッシュで離れる。ソレイユとエリンは以前から打ち合わせていたので、驚くことなくジャックの後に続く。
いきなり逃げ出したジャックの行動に、ライザー達は虚をつかれ、立ち尽くしてしまう。まさか、何の躊躇もなく獲物が逃げ出すとは思っていなかったのだろう。
いち早く我に返ったのはネルソンだった。
「みなさん! 追いかけますよ! 絶対にこの森から逃がしてはいけません! いいですね!」
「お、おう!」
ネルソンの怒声に、その場にいた者全員が動き出す。ジャック達はライザーのはるか前方を駆けている。それでも、ライザー達は追いかけるのをやめなかった。
ジャックを追いかけていたライザー達に変化が現れる。AGI、つまり敏捷性が高いプレイヤーと低いプレイヤーとの差が出てきているのだ。
追いかけてくるライザー達に、何かが飛来してきた。あまりの速さに誰もが認識できずにいた。
何が飛んできたのか? 確認する前にライザーの仲間のうち、一人が悲鳴を上げた。
「痛っ! や、野郎!」
飛来してきたものは矢だった。矢がライザーの仲間の一人の肩に突き刺さっている。ライザー達は全員、その場で足を止める。
すぐさま第二の矢が飛んでくるが、今度は攻撃に備えていたので、ライザー達は無傷でやり過ごす。
「それじゃあ、作戦通りにいくよ!」
「「了解!」」
「さ、作戦って……ちょっと!」
ジャックはレベッカの手を引き、分かれ道を左に曲がる。ソレイユとエリン、ロビーは右に曲がった。
「おい、ライザークン! 俺はジャックを追うぜぇ!」
「私も追います!」
「なら、俺達はあっちにいくぜ!」
「だな。やっぱ、女の尻を追いかけた方が断然面白いからな!」
「待て! 勝手な行動は……ちっ! ムートとディーンはコリーとネルソンを追え! 他は俺についてこい! 絶対に一人で行動するな! 最低でも二人以上で行動しろ!」
ライザー達も四・四人で二手に分かれ、ジャック達を追っていく。まさに、命がけの鬼ごっこが始まろうとしていた。
ジャックとネルソンの間に一人のプレイヤー、コリーが割り込んでくる。伊達メガネをかけたコリーはジャックを脅すように睨みつけ、手にしたダガーを舐めはじめた。
鋭利なナイフのように、頭も切れる男なのだろうか?
「あ痛っ! 舌、切っちゃったぁ……」
ただのお調子者のようだ。
「おいぃ、ネルソンクン。ヒーリングストーン、あるぅ?」
ヒーリングストーンとは、ソウルメイトを修復する石、つまりSP回復薬である。回復以外にも毒の浄化や麻痺回復等、様々な効果がある。
使い方はヒーリングストーンを体に当てるだけ。ただし、一回使用すると、リキャストタイム(再使用時間)が発生する為、連続で使用ことができない。
「そんなことで使わせないでください、コーリーさん。ヒーリングストーンは貴重なんですから。唾で十分ですよ」
ネルソンに邪険にされても、コリーはヘラヘラと笑っていた。ダガーをちらつかせ、ジャックを睨みつける。
「そうするわぁ……ってもう唾ついちゃってるけどねぇ。ねぇ、ライザークン! ジャックぅは~俺にぃ殺らせてよぉ! 俺はよぉ、ジャックぅ。ライザークンとネルソンクンと違って、お前みたいな偽善者、大っっっっっっっっっっっっ嫌ぃぃぃぃぃぃいなんだよぉ! この世界ではなぁあああ~、殺し合いを求められてるんだよぉ! なのに、殺しちゃダメですなんてぇ、矛盾してるだろうがぁああああああ!」
「だからなに? 殺人鬼にでもならないといけないってわけ? ここはオープンワールドだよ。人を殺すのもよし、暴挙を阻止するのもよし。自分の取るべき行動は自分で決める。誰かに強要されるいわれはないから」
コリーの挑発に、ジャックは冷静に対応する。その態度を見て、コリーは一瞬、顔をしかめるが、すぐに人を馬鹿にした笑みに戻る。
「おおっ~。言うじゃないですかぁ。ついさっきまでぇ、リザードマンに追い回されてぇ、泣きそうだったジャックさんがぁ、よくもまあ、ほえますなぁ」
「いやいや。リザードマン、怖かったってマジで! ちびりそうになったよ。いや、ついてないんだけどね。でも、なんでだろうね。八人の暴漢に襲われそうになっているのに全然怖くないんだ。格下の相手だからかな?」
「マジ殺すぅ」
コリーの人をバカにした目つきから、殺意のこもった目つきに変わる。
ついにプレイヤー同士の殺しあいが始まろうとしている。この世界に来て初めてのPVP戦。ジャック達はこの日の為に、何度もシミュレーションを繰り返し、備えてきた。ソレイユ達と模擬戦、武器、防具の強化等、対策も練った。
後は、最後まで相手のSPを減らすことができるかどうか……。
SPを0にすることは、相手の死を意味する。本当に死ぬわけではないが、それでも、この世界から消え去っていく。
それは殺人と同じではないか、違うならどう表現したらいいのか。
最後のふんぎりがつかないまま、ジャックは拳を握り、自分のコンディションを確認する。疲労は完全ではないがある程度回復している。スタミナ値が八割は回復できるようになっていた。
SPに関しては、ネルソンと話をしている最中にヒーリングストーンを使用して全回復している。肉体的には問題ない。後は精神的な問題だけだ。
ちなみに性犯罪防止のため、ソウルメイトには性器がついてない。
「相手さん、やる気満々だけど、ソレイユもエリンも準備はいい?」
「キミのおかげでずいぶん休ませてもらえた。感謝してるわ。それにしても、本当、最悪な日ね」
ソレイユは少しけだるそうに返事をしているが、気迫はみなぎっていた。
ジャックは素直にソレイユを尊敬していた。言い方は悪いが、ソレイユは女の子だ。それなのに、ソレイユは全く恐れず、強敵に立ち向かっていく。それが当たり前のことのように。
なにが、ソレイユをそこまで奮い立たせるのか?
ジャックには全く分からなかった。
ジャックはいつものように明るい声でソレイユに語り掛ける。
「同感。でも、この場を生き残れたら、笑って思い出せる日になるよ。あのときは大変だったねって酒の肴にしてさ。あっ、なんだかお腹すいてきた」
「……相も変わらずふざけた態度をとるのね。ちなみにジャック君はお酒を飲めるお年だった? お子様だったと思うのだけれど」
ソレイユもね。
その言葉を飲み込み、ジャックは肩をすくめる。
「もうすぐなってみせるさ」
「なってみせるってことは、もうすぐなれるの? それまで生き残れるといいわね」
「もしも~し! 私もいるんですけど~」
拗ねたように話に割り込んでくるエリンに、ジャックとソレイユはお互い笑みを浮かべる。
ジャックは決意する。もう、これ以上、仲間を失いたくない。例え殺人を犯すことになっても、罪悪感に苛まれることになっても……仲間を護ってみせる。
拳に力がこもる。ここにいない二人にむけて、ジャックはつぶやく。
――ロイド、リリアン……力を貸して。
三対八の完全に不利な戦いにどう立ち向かうか、ジャックは頭をフル回転させながら、今の戦力、相手の戦力、周りの状況の分析に入っていた。
この分析に新たな情報が加わる。
「おい、レベッカ。どうして、ジャックを助けた? 打ち合わせじゃあ、ジャック達とリザードマンの戦いを傍観して、勝った方を奇襲するつもりだったはずだよな?」
ライザー達は仮面の剣士、レベッカを問い詰める。ジャックもつられてレベッカを見つめる。
全員の視線がレベッカに向けられる中、彼女は肩をすくめる。
「嫌気がさしたのよ。最強のパーティを作ると言っておきながら、やっていることは漁夫の利を狙うようなずるい真似事や不意打ちばかり。それに、ライザー。あなたは数にものを言わせて私を無理矢理仲間に引き込んだ。正直、うんざりしてるのよ。王様気取っているところ悪いのだけど、私は認めてないから」
「要約すると裏切るって事か?」
「抜けさせてもらうわ」
レベッカとライザーはお互い睨みあう。殺気だった雰囲気は、二人の関係がもう、修復不可能なまでになっていることをあらわしていた。
お互い無言のまま、時間が過ぎていく。先に言葉を発したのはライザーだった。
「そっか……ならここでジャック達と一緒に死ね」
「お断りよ。力ずくで押し通らせてもらう。そういうことだから、ジャック。手を貸してあげる。感謝しなさいよ」
「あ、ありがとう……」
仲間になってくれるのは嬉しいが、素直に喜べないジャックであった。リザードマン戦でジャックがスカウトした時に、仲間になってほしかったからだ。
これでは、仕方なく仲間になってもらったようなものだ。
「ジャックさん、よかったですね。これならフラれたことにはならないですよ。女の子ばかりスカウトするのは正直どうかと思いますけどー」
仲間の背中を笑顔で撃ち抜く女。その名はエリン。
ジャックは、負けじと言い返す。
「まあね。戦いの前に精神的ダメージを受けなくてすんだよ。それと、僕は男女平等がモットーだから」
ジャックの冷静な回答にエリンはつまらなさそうな顔をするが、すぐに笑顔になる。
「そう言いつつ、男一人、女三人。これってハーレムですよね?」
「やめて! そんな言い方したら……ほら! ソレイユとレベッカが僕を睨んでるよ! 心臓に悪いから!」
笑顔で追い打ちをかける女。その名はエリン。
ジャックのあせった声に、エリンは満足げに微笑む。この反応こそジャックだと言いたげに。
「おいぃ! 俺達無視していちゃついてんじゃねーぞぉ! 切り裂くぞぉ、こらぁ!」
「と、とにかく、後ろを向いて前進!」
ジャックはライザー達に背を向け、レベッカの手を引いてこの場からダッシュで離れる。ソレイユとエリンは以前から打ち合わせていたので、驚くことなくジャックの後に続く。
いきなり逃げ出したジャックの行動に、ライザー達は虚をつかれ、立ち尽くしてしまう。まさか、何の躊躇もなく獲物が逃げ出すとは思っていなかったのだろう。
いち早く我に返ったのはネルソンだった。
「みなさん! 追いかけますよ! 絶対にこの森から逃がしてはいけません! いいですね!」
「お、おう!」
ネルソンの怒声に、その場にいた者全員が動き出す。ジャック達はライザーのはるか前方を駆けている。それでも、ライザー達は追いかけるのをやめなかった。
ジャックを追いかけていたライザー達に変化が現れる。AGI、つまり敏捷性が高いプレイヤーと低いプレイヤーとの差が出てきているのだ。
追いかけてくるライザー達に、何かが飛来してきた。あまりの速さに誰もが認識できずにいた。
何が飛んできたのか? 確認する前にライザーの仲間のうち、一人が悲鳴を上げた。
「痛っ! や、野郎!」
飛来してきたものは矢だった。矢がライザーの仲間の一人の肩に突き刺さっている。ライザー達は全員、その場で足を止める。
すぐさま第二の矢が飛んでくるが、今度は攻撃に備えていたので、ライザー達は無傷でやり過ごす。
「それじゃあ、作戦通りにいくよ!」
「「了解!」」
「さ、作戦って……ちょっと!」
ジャックはレベッカの手を引き、分かれ道を左に曲がる。ソレイユとエリン、ロビーは右に曲がった。
「おい、ライザークン! 俺はジャックを追うぜぇ!」
「私も追います!」
「なら、俺達はあっちにいくぜ!」
「だな。やっぱ、女の尻を追いかけた方が断然面白いからな!」
「待て! 勝手な行動は……ちっ! ムートとディーンはコリーとネルソンを追え! 他は俺についてこい! 絶対に一人で行動するな! 最低でも二人以上で行動しろ!」
ライザー達も四・四人で二手に分かれ、ジャック達を追っていく。まさに、命がけの鬼ごっこが始まろうとしていた。
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