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十二章 激闘! 神の僕 スパイデー

十二話 激闘! 神の僕 スパイデー その十

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 ジャック、ソレイユ、テツはスパイデーに向かって一直線に走り出す。
 エリンがその後ろからアローを放ち、ジャック達を援護する。アローはスパイデーの目に吸い込まれるように飛んでいく。
 スパイデーは右前足でアローを防ぐが、連続でとんでくる為、防御を崩せない。
 スパイデーは鳴き声を上げながら、尻尾の針をジャック達目掛けて解き放つ。
 砲弾を思わせる一撃は風を切り、獲物を一発で仕留める必殺の攻撃。

「ジャック! くるよ!」
「問題なし!」

 リリアンの声にジャックは右に、ソレイユは左に、テツはスライディングでスパイデーの攻撃を回避する。
 スパイデーはすぐさま、一番前にいるテツに左前足を打ち下ろす。受け止めることはおろか、受け流すことも難しい暴風のような一撃。

「うぉおおおおおおお!」

 ムサシは予備のスクトゥムを放り投げ、スパイデーの尻尾に激突させた。相殺はできなくても、軌道は変更できた。
 テツのすぐ横にスパイデーの尻尾が着弾し、風圧がテツを吹き飛ばそうとするが、テツは顔色一つ変えずに、前進をとめることなく、突っ走る。
 テツはスパイデーが次弾装填される前に、グレイブを前方の地面に突き刺し、棒高跳びの要領でスパイデーの頭上を飛び越える。

「いくぜぇえええええええええええええ!」

 テツはグレイブの鋭い穂先をスパイデーの頭上に突き刺しながら、スパイデーの背中に向かって走り出す。
 火花を散らしながら、テツは走り抜けていく。
 スパイデーは背中に痛みを感じながらも、前方にいるジャックとソレイユを見据えていた。

「ソレイユ、僕は左からいくから!」
「了解したわ」
「GYUWAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!」

 スパイデーの鳴き声は咆哮に変わり、ジャックとソレイユを迎え撃つ。
 左右の前足がジャックとソレイユを容赦なく、圧倒的な力でねじ伏せようとする。一撃一撃が地面をえぐり、風圧で体が吹き飛ばされそうになる。
 その合間に、スパイデーは口から糸を吐き出し、ジャックとソレイユの動きを封じようとした。糸に絡まれれば最後、今度こそき殺されてしまうだろう。
 スパイデーの巨体に、威圧感に、プレッシャーに恐怖を感じない人間などいない。
 だが、ジャックとソレイユは足を止めることなく、攻撃をかいくぐり、攻撃を繰り出す。スパイデーの目に刃と拳が届く距離までは近づけなくても右前足の関節をすれ近いざま、斬りつけ、たたき込む。

 狙うは間接の破壊。
 スパイデーの目に攻撃をくわえるにはスパイデーの前両足を攻略しなければならない。
 そこでテツが出した作戦は関節部分の破壊だ。ねらいを右前足の関節部に絞り、ジャックとソレイユは攻撃を与え続けている。
 関節を破壊することで、スパイデーの攻撃をとめる、もしくは緩めることを期待した作戦だ。
 
 もちろん、関節部を破壊したからといって激しい攻撃がおさまる保証はない。命を削ってやってきたことが完全に無意味になることだってある。

 それでも、ジャックもソレイユも気迫は充分だった。互いの存在を、息づかいを感じ、孤独ではない事、共に戦っている共有感がお互いに勇気を与えてくれる。
 もちろん、それだけではない。

 エリンの援護がジャック達を助けている。エリンの放った矢はスパイデーの目だけでなく、スパイデーが攻撃をする瞬間、間接部に攻撃することで、攻撃のタイミングを潰し、ジャックとソレイユをフォローしていた。
 

「ジャック! 負けないで!」
「任せてよ!」

 リリアンの応援に背中を押され、ジャックのスピードは更に速く、鋭くなっていく。ボクシングでつちかったステップと身のこなしでスパイデーの攻撃を完全に見切っていく。
 スパイデーは前足の振り下ろしの攻撃だけでは当たらないと悟ると、攻撃パターンを変更させた。
 まずは右前足の振り下ろしをわざと大きく振りかぶって振り下ろす。その間に前左足をたたむようにして後方へ下げた。

「チャンス!」

 ジャックが大ぶりの攻撃の隙を突いて、前へ前進する。その前進に合わせて、スパイデーはたたんでいた前左足を手前から前へとジャック目掛けて振り払った。

「しまった!」

 ジャックはスパイデーの誘いに乗ってしまい、スパイデーの左前足がモロにジャックの体に直撃する。
 ジャックの体がスパイデーの左前足に食い込み、空へと吹き飛ばされる。ジャックは咄嗟に受け身を取るが、痛みでうなってしまう。
 今の一撃だけでジャックのSPが三分の一ほど消滅する。
 動けずうずくまるジャックに、スパイデーは巨大な牙でジャックを貫こうとした。

「やらせるか!」

 ムサシはスクトゥムを放り投げ、スパイデーの顔面に直撃させる。
 スパイデーの顔がのけぞり、隙が生まれる、

「ムサシ!」
「ぶった斬る!」

 テツの声に、ムサシはすぐさまツーハンデッドソードを両手で握りしめたまま、全速力でスパイデーに突っ込む。
 まずはエリンの矢の連射がスパイデーの動きを抑制する。

「そこっ!」

 ソレイユは姿勢を低くし、一気にスパイデーの顔面まで潜り込む。
 スパイデーが迎え撃つ前に、ソレイユは両手にファルシオンを逆手に握りしめたまま、一気に振り下ろした。
 スパイデーは苦痛の叫び声を上げながら、ソレイユに攻撃を仕掛けるが、それよりも早く。

「いったれぇええええええええ!」

 ムサシの全体重を乗せたツーハンデッドソードの突進がスパイデーの目に深々と突き刺さった。
 これにはスパイデーもたまらず全身を震わせ、前両足をやみくもに振り回す。
 ムサシはツーハンデッドソードを手放し、ソレイユと一緒にバックステップで後退し、難を逃れた。
 その間にジャックは痛みから回復し、立ち上がる。

「ジャック、大丈夫?」
「ノープロブレム! ガンガンいくよ!」

 リリアンの心配げな顔に、ジャックは自分の胸の前で拳を付き合わせる。まだまだ体は動く。ならば、戦うべきだ。
 ジャックはすぐさま、スパイデーの元へと走り出す。
 スパイデーの攻撃をジャックは体で覚えていく度に動きが更に洗練され、スパイデーの攻撃を見切っていく。
 スパイデーの台風のような苛烈な攻撃の中、ジャックは思い知しらされる。

 自分の拳はどうしてこうも小さいのかと。

 ジャックは今まで剣道、柔道、ボクシングと格闘技を学んできた。しかし、そのどれもが対人用に想定されたものだ。化け物相手ではほとんど通じない。
 ジャックがスパイデーに与えられる一撃など、スパイデーにとったら小石をぶつけられた程度だろう。
 スパイデーの殻は固く、護りが鉄壁だった。スパイデーの前では意味がないと突きつけられている気分だった。

 ジャックのリーチでは弱点であろうスパイデーの目に拳が届くまでに、スパイデーの前両足と牙、糸を全て回避しなければならない。まさに至難の業だ。
 こちらは一撃を食らえばアウト。相手は何度ダメージを受けてもやりかえしてくる。
 まさに無理ゲーだ。

 だが、ジャックはそんなに悲観していなかった。なぜなら……。

「ジャック! お前の背中は護ってやるからな!」

 ムサシがジャックを援護してくれている。

「私も忘れないでほしいんですけど~」
「絶対に勝つわよ、ジャック君!」
「へばってるんじゃねえぞ! ジャック!」

 エリンが、ソレイユが、テツが共に戦ってくれている。

「ジャック! 私がついているからね!」

 リリアンが応援してくれている。ここは死地だが、ジャックは自分が死ぬとは全く思っていなかった。
 エリンの援護でスパイデーの攻撃を何度かキャンセルしてくれている。
 それにソレイユ、テツがスパイデーの注意を引きつけてくれているから、ジャックへの攻撃も少なくなった。
 何かあれば、ムサシがかばってくれる。仲間に支えてもらっている。

 ジャックに怖いものは何もなかった。湧き上がるのは勇気と闘志。
 拳が熱くなり、それに呼応するようにソウルがジャックの全身を淡く光り輝かせていた。
 ジャックは本来の実力を発揮しつつあった。まだまだ、全盛期とはいえないが、それでも、ジャックの力は着実に戻ってきていた。

「いくよ! リリアン、応援よろしく!」
「うん! やっちゃえ、ジャック!」

 ジャックは全神経を集中させ、スパイデーに挑む。



 ジャック達が奮闘している姿を、ASは討伐隊に指示をしながら見つめていた。
 ASは最初、ジャックは素人で足手まといだと感じていた。
 場を乱し、勝手にピンチにおちいる未熟者。そう思っていた。
 しかし、今は評価を変えていた。
 ジャックは自覚していないのかもしれないが、あの化け物相手に正面で戦い続けるのは異常な事なのだ。

 普通の人間なら、スパイデーに見据えられたら、足がすくみ、動けないだろう。格闘技や軍の訓練を受けた者でも普段の実力を発揮できるか分からない。
 そもそも、近距離戦を挑もうだなんて露程にも思わないはずだ。重火器で相手の射程から離れた場所で攻撃するのがセオリーだろう。
 近距離戦闘では自殺行為にしかならない。戦車に格闘技で立ち向かうようなものだ。

 そんな圧倒的な存在の前に、ジャックは今も正面からスパイデーに戦いを挑んでいる。
 ソレイユも正面からスパイデーに挑んでいるが、ソレイユはスパイデーの攻撃範囲に出入りしている。
 常に攻撃にさらされる危険を回避し、うまく緊張感をコントロールすることでスパイデーに挑み続けていた。
 しかし、ジャックは違う。常にスパイデーの攻撃範囲にとどまり、戦い続けている。タゲをとり続けることで、仲間に危険が及ばないようにしていた。
 きっと、ジャックは仲間を危険にさらしたことを悔いて自ら危険地帯に踏み込んでいるのだろう。
 
 ただ、タゲをとり続けるには、恐怖を克服する勇気とタフネス、戦闘のセンスが必要となる。それをジャックは持ち合わせているのだ。

 ジャックは感情に身を委ねるタイプだとASは思った。
 あの手の者は感情が不安定な場合は実力が発揮できず、自滅するタイプだが、気分が乗れば、実力以上の力を発揮できるタイプでもある。

 彼は今、気迫も気力もみなぎっている。あれなら、そうそうスパイデーに捕まることはないだろう。
 希望の光が見えてきた。ASはそう確信していた。



 スパイデーは焦っていた。目の前にいるジャックに攻撃が当たらなくなっている。それに後ろにいるテツが暴れているせいで、前にいるジャック達に集中できない。
 しかも……。

「もう少しだ! 一気に殲滅せんめつしろ!」
「「「応!」」」

 蜘蛛達もASの指揮の下、討伐隊によって数が激減している。このままだと、スパイデーはここにいる討伐隊全て相手にしなければならない。
 スパイデーの体調が万全なら何の問題もなかった。いつものように力でねじ伏せればいい。
 だが、ジャックが放った釘打ちにより、スパイデーの体からは大量の血が流れ、そのせいで力が入らない。突進はおろか、ジャンプすら出来ない状態だった。

 スパイデーの中で逃げるという選択肢はなかった。
 森に住むあらゆる生命を奪い取り、強奪する人間に背を向けることなど、神からこの土地を任されているスパイデーのプライドが許さなかった。
 ならば、今出せる全力の力で排除するしかない。
 スパイデーの目が青から瞬時に真っ赤になる。予告なしの危険ゾーンに入った。

「ジャック! スパイデーの目が真っ赤になった! 備えて!」
「おうよ!」

 リリアンの警告に、ジャックは勢いよく応えるが、すぐに青ざめることになる。
 スパイデーは全両足をしっかりと踏ん張り、体を沈める。そして、尻尾を水平の位置に保つ。その姿は生身の人間に戦車砲を向けられたような恐怖感があった。
 ジャックもソレイユも足が硬直し、尻尾の動きに注視する。
 スパイデーの針がジャック達を貫かんと狙いを定めようとしていたとき。

「邪魔するぜ」

 進路上にテツが飛び込んでくる。グレイブを肩に担ぎ、不遜な態度でスパイデーの針を凝視している。

「危ないよ、テツ! 逃げて!」
「逃げる? それはいつもの冗談か? まあ、見てろ」

 テツは深く腰を落とし、右手一本でグレイブを握り、穂先をスパイデーの針へ向け、口金に左手を添えた構えをとる。
 テツが何をしようとしているのか、ジャックは気づいてしまった。テツはあのどでかいスパイデーの尻尾の針を破壊しようとしているのだ。

 あまりにも無謀。自殺願望者の所業。

 それでも、ジャックはテツならやれると確信してしまった。
 テツは計算高く、無茶なことはしない性格だ。勝算があってのことだろう。
 スパイデーはテツのあまりにも突拍子もない行動に驚いていたが、すぐに気持ちを切り替える。
 進路上に邪魔者がいるのであれば、もろとも打ち抜くまでだ。

「GYFAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!」

 スパイデーの尻尾が真っ直ぐ後ろに伸びきった後、タメをつくり、渾身の力でテツごとジャック達を貫かんと襲いかかってきた。
 今までで一番早く、鋭く、殺意のこもった一撃がテツを貫こうとする。スピードと体重が乗った一撃はムサシのスクトゥムさえ、軽々と突破するだろう。
 テツは大きく目を見開き、

「やぁってやるぜぇええええええええ!」

 テツのかけ声と共に、右腕に宿っていたソウルが爆発し、湧き上がっていた。ソウルはらせんを描くようにテツの右腕に張り付いている。
 目がくらむほどの強いソウルの光がテツの右腕とグレイブを包み込み、巨大な矛を形取った。

「これでもくらぇえええええええええ!」

 テツは獰猛な笑みを浮かべ、ソウルをまとったグレイブをスパイデーの尻尾目掛けて突き出した。
 スパイデーの針とテツのグレイブがぶつかった瞬間、耳を引き裂くような轟音が響き渡り、大気が震えた。
 そして……。

「GUUUUUUUUUUUUUUGIIIIIIIIIIIIIIII!」

 スパイデーの針は尻尾の先端ごと粉々に引き飛び、尻尾の半分が消え去った。
 テツのグレイブが打ち勝ったのだ。

「す、すごい……」

 これにはジャックも陳腐ちんぷな言葉しか出てこなかった。
 テツは決して力業でスパイデーの針を破壊したわけではない。テツの立ち位置、爆発的なソウルを生み出す力、タイミング……その全てが計算されたかのような動きだった。
 テツはスパイデーの尻尾を伸ばしきったときの半分の位置に陣取っていた。
 突きは基本、振り切ったところに当てるのが一番威力が高い。伸ばしきる前だと威力が発揮できず、ダメージも低くなる。その点をテツは着目した。
 テツの立ち位置はスパイデーの突きが振り切れない場所であり、テツの突きが振り切れるところに陣取っていた。テツは渾身の力とソウルをグレイブに込めて、一撃を放ち、打ち勝った。
 打ち勝てた理由はもちろん、それだけではない。

 テツはジャック達がスパイデーの注意を引きつけていたとき、スパイデーの足の関節と尻尾の針を攻撃していたのだ。
 テツの鋭く、威力の高い攻撃に、スパイデーの尻尾はヒビが入っていた。その状態でテツの強烈な攻撃を受け、尻尾が崩壊したのだ。

 テツの戦闘のセンスはずば抜けているとジャックは常々感じていた。
 一見無謀に見える行動も、裏打ちされた根拠をもち、それを実行できる度胸と実力を兼ね備えた、まさに戦士になるために生まれてきた者だと言えるだろう。
 テツの一撃にスパイデーは絶叫し、動きが止まる。

「ここだ! ソレイユ、ジャック! 右前足の関節部を一気に叩くぞ! エリン! 援護を頼む!」

「「「了解!」」」

 ムサシの一声に、ジャック、ソレイユはスパイデーの右前足に向かって集合する。
 スパイデーは尻尾が破壊されたことで、動きを止めている。
 今ならば、何の障害もなくスパイデーの右前足に集中できると誰もが確信していた。
 ムサシの判断は間違ってはいなかった。ただ、見落としていたのだ。
 ジャックはテツの攻撃に見とれてしまい、出遅れたことが幸いした。ジャックは見てしまったのだ。

 ――スパイデーの目が真っ赤なままだ。ということは……。

 目が死んでいない。その意味するものとは……。

 ――反撃がくる。

 スパイデーは大きく口を開け、息を吸い込む。ジャックには見覚えがあった。
 あれは、糸を吐き出すためのモーションだ。
 スパイデーの狙いは……ソレイユだ。

「こいつをご馳走してあげる!」

 ジャックは反射的に行動を起こした。
 両手にウォー・ハンマーを装備したまま、ハンマー投げの要領で放り投げた。
 ウォー・ハンマーは真っ直ぐに、吸い込まれるようにスパイデーの口に飛び込んでいく。

「いっけぇええええええええええええええ!」

 リリアンは拳を天に向かって突き上げる。
 スパイデーが糸を吐き出そうとしたその瞬間、ウォー・ハンマーがスパイデーの喉の奥まで突き抜けた。
 スパイデーの口から吐き出されたのは唾液のみ。喉の奥でつっかえたウォー・ハンマーを吐き出そうとしているが、エリンの矢が襲いかかり、うまく吐き出すタイミングを逃してしまう。

「突貫!」

 ムサシは全力疾走からのソウルを宿したツーハンデッドソードを全体重乗せてスパイデーの右前足の間接部に突き出した。
 鈍い音と共に、スパイデーの右前足が震え、ついにヒビが入る。

「ジャック、予備をよこせ!」
「はいな!」

 テツはジャックからウォー・ハンマーを受け取り、そのまま振り下ろした。この場面で一番有効な武器がウォー・ハンマーだと判断し、装備し直していたのだ。
 間接部のヒビが扇状に広がっていく。

「追撃するわ!」

 ソレイユのファルシオンが間接部のヒビに間に入り込み、そこから血が吹き上がる。

「ヒーローは……」
「遅れてやってくる! ってね!」

 リリアンのかけ声に、ジャックは拳にソウルを宿し、さらにヒビに一撃を加えた。
 手応えはあった。今ならば間接部を破壊できる。

「今だ!」

 ムサシ、テツ、ソレイユ、ジャックの一斉攻撃でついに……。

「GUBUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!」

 スパイデーの間接部が破壊された。
 右前足は力なく垂れ下がり、動かなくなった。これでは攻撃を繰り出すことは出来ないだろう。

「やったね、ジャック!」
「まだまだいくよ!」
「ったりまえだ! 全員、分散して他の間接部を狙え!」
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