風紀委員 藤堂正道 -最愛の選択-

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蔵屋敷強の願い編 一章

一話 俺も義信さんも楓さんもいつも強の事、想っている その三

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 俺は家に戻ると、早速、作業に取りかかる。
 楓さんは出かけているようで、俺達より先に、上春と朝乃宮が帰っていた。玄関の靴でそれが分かった。
 ちょうどいい。誰かに見つかる前に、片付けてしまうか。
 俺はミシンを取り出し、使い古したタオルを使って、雑巾作りに取りかかる。

 適度な大きさにカットし、両サイドもカットしておく。この部分は太くて縫いにくいからだ。
 後はミシンを動かし、焦らずゆっくりと縫っていく。
 ポイントは厚手のタオルを使わないことか。
 強さを調整すればいいだけかもしれないが、俺は薄手、もしくは普通の厚さのもので作るようにしている。
 四方を四角に全面縫いをして、真ん中は×印に縫い付ける。

 ミシンって本当、便利だよな。手縫いだと結構大変で、縫い目がズレやすい。
 青島の高校生男子がミシンのありがたみを感じるなど、俺くらいではないだろうかと思いつつ、作業を続けていく。
 強はじっと俺の作業を見守っている。少しテレくさかったが、作業を続けた。

「よし、完成だ」

 少し不格好ぶっかっこうかもしれないが、俺なりにうまく出来たと思う。もし、これで。

「ダサい」

 なんて事言われたら、寝込んでしまいそうだが、そんなこと、言わないよな、強?

「……ありがとう」

 おおっ、喜んでくれた! ちょっと、嬉しい。
 俺は強の頭を撫で、後片付けに入る。

「あんちゃんは……裁縫が得意なの?」

 強は俺のことをあんちゃんと呼ぶ。
 個人的には兄さん、兄ちゃんがいいのだが、上春が呼び方が被るといけないとのことで、あんちゃんになった。
 この件に関しては、上春には少し殺意を覚えている。
 俺が裁縫が得意かの質問に、俺は。

「たしなむ程度だけどな。ボタン付けくらいはならできる」
「……すごい」

 ふっ、そうでもないぞ。
 俺は強の頭をもう一度撫でた。

「ほんま、藤堂はんの言う通りです。自業自得ですから」

 ほんと、女子はいらんことばかり言いやがる。
 朝乃宮は俺の背後に立たないと気が済まないのか。そう言ってやりたかった。

「自業自得?」
「せや。喧嘩して、その際に服が破けたり、ボタンがとれたら、自分で修復していただけです」
「おい!」
「ウチの話したこと、間違ってます?」

 いや、あってるから。反論の余地もない。
 楓さんや義信さんに言えないだろうが。喧嘩したからボタンやシャツの破損を直してくれって。
 だったら、自分で直すしかない。

 外では不良達と大立ち回りしてきた『不良狩り』の異名を持つ大男が、家に帰れば自室で正座しながらちくちくと自分の服の修繕。泣けてくるわ。
 俺はそそくさとミシンを片付ける。強も部屋に戻った。
 後片付けが終わったところで上春がやってきた。

「兄さん、お昼ご飯、どうします? おばあちゃんは急用で出かけてしまって。出前でもとります? お金はほら、もらいましたし」

 上春がヒラヒラと二千円を見せびらかす。

「節約しろ。俺が作ってやる」

 俺は千円をかっさらう。出前は流石に厳しいだろ。ピザくらいしか頼めないし、もったいない。

「残りの千円はもらっとけ」
「いいんですか?」
「おつりはお小遣いにしていいって楓さんに言われなかったか?」

 上春は嬉しそうに笑っている。いや、お前……俺が言わなかったら、独り占めしていただろ?
 朝乃宮と視線が合い、お互い苦笑してしまう。

「買い物に行ってくる」

 朝、冷蔵庫を見たが、食材はほとんど残されていなかった。なら、買いに行く必要がある。
 上春家が来てから、冷蔵庫はフル活動している、出入りも激しい。壊れないことを祈るばかりだ。

「あんちゃん、出かけるの?」
「ああっ、昼ご飯を買いに」
「……一緒に行っていい?」

 最近、強はよく手伝いをしてくれる。本当にいい子だ。
 ただ、そのいい子は強の処世術なのが悲しい。

「あっ、それなら、私も一緒に行ってもいいですか?」
「ダメだ」
「なにゆえ!」

 俺が上春の同行を断った理由は……。

「忘れたのか? 今日、窓ガラスの見積もりに業者が来るだろ? 誰もいなかったら、見積もりしてもらえないから、そっちを頼む」
「りょ、了解です。意地悪じゃなかったんですね」

 いちいち意地悪なんてするかよ。面倒くさい。

「で、でも、何をしたらいいのか分からないんですけど」
「見積もりの人が来たら、身元を確認して、見積もりをしてもらってくれ。割れたガラスの写真はもう撮ってリビングの棚の上に置いてあるから、窓ガラスの交換する日と修繕費の確認を頼む。平日だと思うから、なるべくなら午後四時過ぎにしてくれ。楓さんが用事で出かけることもあるからな。分からない事があったら、電話してくれたらいいから」
「わ、分かりました! その任務、私が引き受けます」

 ビシッと敬礼してみせる上春に一瞬だけ、伊藤の姿を見た気がした。
 俺は自分の馬鹿さ加減に内心ため息をつく。

「ウチも一緒に留守番するさかい、心配ありません」
「ちょ! 後ろから抱きつかないで! ちーちゃん!」

 仲のいいことだ。けど、ナイスな判断だ。
 悪戯とはいえ、上春一人を残していくのは心許ない。だが、朝乃宮がいれば、そんじゃそこらの悪党なら瞬殺してくれるだろう。
 強は俺がついてるし、必ず守ってみせる。

 俺は制服のままなので、一度着替えに部屋に戻った。
 それにしても、上春が雑巾を作り終わってミシンを片付けた後に入ってきたのは、偶然じゃないよな?
 きっと、気遣って待ってくれていたのだろう。
 以前は上春が雑巾を作っていたと思う。だから、強が信吾さん達に遠慮している気持ちを知っているはずだ。

 なあ、強。お前は決して不幸じゃないと思うぞ。
 学校では上春と名乗れなくても、お前は上春家の一員で俺達藤堂家の家族だ。誰もが強を気に掛けている。
 それは同情や見返りじゃない。家族でいたいからだ。
 今は分からないかもしれないが、いつか、気づいて欲しいと願っている。
 俺はそう祈りつつ、着替え始めた。



「おい、あれじゃねえ? あのデカブツ」
「間違いない、アイツだ。てめえ! 藤堂だろ! ちょっと、面を貸せ」
「……」

 犬も歩けば棒に当たる。青島を歩けば不良とかち合う。
 私服姿で背格好から高校生以上と思われる。
 買い物に出かけて五分後、不良に絡まれた。はええよ。
 相手は四人。こっちが不利。だが、そんなことはどうでもいい。
 俺は四人……いや、奥に座っているヤツを睨みつけた。

「おい、何やってるんだ? お前?」

 奥にいたヤツは、誰かをひざまづかせ、その背中に座っていた。跪いている男は、制服……あれは青島西中の男子生徒か?
 これは偶然か?
 あの男子生徒は髪型や服装からして、一般の生徒だ。
 なぜ、一般の生徒を襲うようなことをするのか?

「何って、見て分からない? お前が来るまで暇だったから、椅子を用意していたんだ。立ったまま待つなんてしんどいだろ?」

 椅子にされている男子生徒は悔しくて泣いている。鼻血を出し、制服を汚され、理不尽に涙していた。

「ううっ……助けて……」
「椅子がしゃべるな!」
「痛い! やめて!」
「しゃべるなって言ってるだろうが! バカなのか、お前は!」

 コイツら……何が楽しいんだ? 泣いているヤツを笑顔で蹴るなんて、常識がないのか?
 頭の中が沸騰したように熱くなる。

「……お前、何様なんだ?」
「俺様だよ。俺達は今からお前を叩きのめして、上へと駆け上がるんだ。青島って強い不良がウヨウヨわいているんだろ? 俺達の強さでこの街を恐怖のどん底にたたき落としてやる。その生け贄第一号がお前だ、藤堂。光栄に思え……うげぇ!」

 俺は聞くに堪えなくて、男の胸ぐらを掴み、持ち上げた。
 男は俺を何度も蹴るが、空中に浮いたまま蹴られてもたいしたことがない。足の力だけで蹴られても痛くもかゆくもない。いや、ムカつくくらいか。
 俺は本気で男を壁に叩きつけた。

「うごっ!」

 男は背を伸ばしながら、地面に横たわる。
 俺は男の顔を踏みつけ、ゆっくりと足に力を込めていく。

「い、いてえ! は、離しやがれ!」
「てめえ!」

 三人の男はメンチを切ってくるが、腰が引けてビビっているのが丸わかりだ。声くらい裏返らずに怒鳴ってみせろ、間抜け共が。
 さて、コイツらを見逃すつもりはない。
 自分達の暇つぶしに他人を巻き込む阿呆共あほうどもを叩きのめすのは決定事項だが、今日は強がいる。巻き込むわけにはいかない。
 残りの相手は三人。油断できない。

「強、先にスーパーに行っててくれ」
「……」

 ん? んん?
 強はダッシュで来た道を戻っていった。なぜ、戻ったんだ?

「よそ見しているんじゃねえぞ、こら! ぶっ殺すぞ、てめえ!」

 はぁ……。
 俺は気合いを入れ直す。相手は弱そうだが、数が厄介だ。油断できない。
 神経を研ぎ澄まし、俺は三人に立ち向かった。



「痛っ……」

 俺は殴られた頬を撫でる。腫れるな、これ。
 不覚をとった。二人を無力化した瞬間、一瞬生まれた隙に一発もらってしまった。本当に情けない。
 正月ボケか? くそっ! 自分の迂闊さに腹が立ってきた。
 俺は最初に叩きのめした男の胸ぐらを掴み、無理矢理立たせた。

「おい、一応聞いておくが、俺を狙った理由は何だ?」
「……お前を倒せば……ナンバーがもらえるんだ……」
「ナンバー? 何の事だ?」

 確か年始に俺を襲ってきたヤツも同じようなことを言ってたな。何なんだ、ナンバーって?

「くっくっくっ……お前に……もう……安息はこない……お前は……処刑されるんだ……みんながお前を狙っている……」

 俺を狙っているだと? ふざけるな!
 俺は首が絞まるように服を上に突き上げた。

「ぐえっ!」
「一つ言っておく。お前のようなクズが何人来ようと無駄だ。全員叩きのめしてやる。それとな、カス野郎! 人を椅子にして楽しかったか? 粋がって偉くなったつもりか? 強いと思ったのか? お前は目障りなんだよ!」

 俺は更に上に服を押し上げ、男の首を完全に締め上げる。
 男はパクパクと金魚のように口を動かし、酸素を取り込もうとするが、そうはさせるか。
 もっと、もっと強く締め上げようとしたが。

「はあ……はあ……はあ……」
「ワンワン!」
「つ、強? シュナイダーまで」

 そう、強だ。しかも、シュナイダーも一緒だ。
 強は息を切らせ、片手には木刀を、もう片方はシュナイダーのリードを握りしめていた。
 もしかして、加勢に来てくれたのか? 木刀は武器で、シュナイダーは援軍か?

 けどな、強。シュナイダーは二、三回吼えただけで、強の後ろで後ずさり、その場で座り込んで尻尾と耳が震えてるぞ。
 首もせわしなく動いているし、舌を出しっぱなしで息が荒い。
 四人の厳つい男が地面に伏せ、こっちを睨みつけながら怒鳴っているから怖いんだろうな。
 こんなこと、初めての経験だろう。
 俺は掴んでいた男を地面に捨て、シュナイダーを男達の視界に入らないように抱っこし、アゴの下やお腹をいつものように優しくさすった。

「よしよしよし、怖くないからな」
「キュゥウウウウ」

 シュナイダーはせわしなく鼻を舐めつつ、されるがままになる。後は仰向けにして、胸の部分やお腹をふわっと撫でた。

「よしよし、怖くない、怖くない」

 ああっ、俺、やってるわ。
 犬に日本語なんて通じないのに、話しかけるんだよな、日本語で。

「ハアハアハア……」

 尻尾が徐々に力が抜けていく。少しは落ち着いたか。
 次は強だ。

「強、木刀はいらないから、戻して……って面倒か。シュナイダーをいちいち家に帰すのも面倒だし、このまま行くか」
「……あんちゃん。大丈夫?」
「もちろんだ。問題あるように見えるか?」

 木刀は店から離れたところに一度置いて後で回収すればいい。
 俺は強の頭を撫で、不良達が寝そべっている反対方向へシュナイダーを抱えたまま、歩き出す。
 少し回り道になるが、これ以上、ここにいても仕方ない。

「藤堂! 覚えてろよ! お前はこれからいろんなヤツに狙われるからな!」

 上等だ。
 とは言ったものの、鍛え直さないとな。あんなクズに後れをとるとか腕がなまっているとしか思えない。
 強くならなければ。
 不良に負けないように。目の前にいる強達を護る為に。

「……」



 一分ほど歩いてシュナイダーを下ろすと、シュナイダーは俺の足に体をこすりつけてきた。
 甘えたりないのだろうか。可愛いヤツめ。
 上着のポケットにシュナイダーの躾用のお菓子があったので、それをシュナイダーにくれてやる。
 おーおー尻尾を大きく右に振っている。ちなみに左に振ると怖がっているか警戒しているとのこと。
 警戒されてなくてよかったって思うんだよな。
 後は強だ。ちょうどいい機会だ。話しておくか。

「強、もし不良に絡まれたら、とにかく逃げろ。俺や上春が不良に絡まれていてもだ」
「どうして?」
「危ないからだ。まずは逃げて自分の安全を確保した後、義信さんか大人に助けを呼んでくれ。そうしてくれると助かる」

 もし、強が喧嘩に巻き込まれて怪我でもしたら、やりきれないからな。自分が殴られるよりもショックなんだ。
 ははっ、そんなこと言われても、納得いかないよな。
 強の顔にありありと不満が浮かび上がっている。けどな、ここは譲れない。

「頼む、強。強だって男の子だって事は分かってる。悪いヤツに背を向けたくない気持ちは理解できる。けど、俺との約束、護ってくれないか? そうしてくれると、俺や義信さんはすごく助かるんだ」
「……あんちゃんとおじいちゃんの助けになれる?」

 強の表情がかすかに変わる。
 俺はうなずいてみせた。

「そうだ。頼む。約束してくれ。決して無茶はしないと。基本は逃げてくれ。逃げられないときだけ、身を守ってくれ。頼む」

 俺は頭を下げ、強にお願いした。
 俺のお願いに強は……。

「……分かった。そうする」
「……ありがとな。俺のお願いを聞いてくれて。厄介ごとは俺に任せて、強は野球を頑張ってくれ」

 俺は強の頭を撫でる。シュナイダーは右手で、強は左手で撫でるようにしている。
 強は少しテレくさそうにしている姿に、ほっとした。
 強はいい子だ。きっと、無茶はしないだろう。
 これで少し肩の荷が下りたな。

「ねえ、あんちゃん。さっきの人達がガラスを割った犯人なの?」

 あの四人がガラスを割った犯人かどうかについては……。

「どうだろうな……」

 俺は答えを濁した。
 犯人は青島西中の野球部であることは左近の調査でほぼ間違いないと思っている。
 アイツらはまた別の思惑があるみたいだし、狙いは俺一人だ。家族は関係ない……はずだ。
 一つ気になるのが、アイツらが青島西中の生徒を痛めつけていたことだ。
 あれは偶然だったのか? それとも……。
 いつの間にか、青島西中の生徒はいなくなっていた。これでは確認できない。
 ちっ! まずったな……。
 もっと痛めつけてアイツらから情報をはかせるべきだった。
 いや、それは違うか。あの場で優先させるべき事は強とシュナイダーの安全確保だ。俺の行動は間違ってないはず。

 俺はため息をついた。
 窓ガラスの件もそうだが、アイツらの動向も注意しておくべきか。
 どちらの悪意からも強や上春をアイツらから守るために。
 負けられない。あんなクズ野郎共に。
 強くならなければ……弱かったら、全て踏みにじられてしまう。
 なんとかしなければ……俺が家族を守るんだ……。

「……」
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