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本編
迷宮には入るけど。
しおりを挟む「最下層まで行くかどうかは 中に入って様子見てから俺が決める。いいな?」
「え、せっかく入るんだったら、攻略したいんだけど。 ここ、そんなに難しい迷宮じゃないんでしょ?」
「………どうしても攻略したいってなら もう1回来てもいいからとりあえず、従え」
「はーい……」
隣街までの旅路は本当に驚くほど何もなく、平和そのものだった。
魔物に襲われるどころか 見かけさえもしなかった。
もちろん理由は、わかっている。
だから私もロイさんもそこについては何も触れなかった。
「楽しみだね、ロイさん!」
「……………」
念願の迷宮に うっきうきの私。
対して、ロイさんの顔色は悪い。
「あまり非常識なこと、するなよ」
「わかってるよ」
「お前の常識は非常識、お前の非常識は俺にとって悪い意味での想定外 だと思え 」
「わかってるってばぁ。しつこい!」
旅してる間もずーっと言われてたからもう耳にタコができるほど聞かされてるのにまだ言うんだ……。
「これだけ言ってもわからないのはどこの誰だろうなぁ? あ?」
そう言って思い切り睨まれた。
顔、怖いよ ロイさん。普通の子供だったらギャン泣き間違いなしだよ。
「………それに関しては、ごめんなさいとしか言いようないけどさぁ……」
まぁいろいろ前科ありだもんなぁ……
マジックアイテムとかマジックアイテムとか、マジックアイテムとか……?
あれ? 心当たりなんて マジックアイテムくらいしかないんだけど……そんなに根に持たれるほどのやらかしだったのかなぁ?あれって。
「きゃうーん?」
迷宮にわくわくしてるのは、私だけじゃなくて、リルもだったようで。
迷宮の入口付近にいるにも関わらず、なかなか中に入らないから待ちきれなくなったらしく、足元に擦り寄ってきた。
……早く入ろうという催促と、質問付きで。
「ロイさん、リルがはやく入ろうって。
あと、戦っていい?だって」
「………人が少ない階層に行くまでは、ダメだ」
「きゅう~ん」
「残念だけどわかった、だって」
「…………とりあえず入るか。迷宮」
「うん!」
「きゃうん!」
こうしてようやく、迷宮へと入ったー…。
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