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第2章 ドラゴン襲来編
第37話 交渉
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王ユーディーンからの指示で軍務長官ベルゼスはドラゴン達が集結する王都南部へと急行していた。
既に馬車から見えるだけでもドラゴンが南の空の一部を完全に埋め尽くし、一体いれば小国をいとも簡単に滅ぼすとされるドラゴンが数百体も集まっていた。
「……なんだ、これは、世界の終わりか?」
ベルゼスが思わず呟いた言葉はあながち間違いではなかった。
これだけの数のドラゴンがいれば人間の国々を蹂躙しつくすなど簡単な事だからだ。
それだけドラゴンという神獣は超常の戦闘力を有しており、だからこそ剣聖レイが単騎で行ったドラゴン撃退という偉業は後世まで続く伝説として語られるであろうと言われているのである。
そんなドラゴンが数百体。既に数を数えるのすらバカらしくなってくる数だった。
正直、ドラゴンがドレアス王国どころか人間世界そのものを滅ぼしに来たと言ってもベルゼスはなんの疑いを持つことなく納得するだろう。
「神獣の領域を侵した報復とドラゴンを撃退したレイへの報復か。ドレアスは禁忌に手に出してしまったという訳か」
ドラゴンがやってきた理由を王であるユーディーンはそう予想していた。
ベルゼス自身もそれが正しいと思っているが、その予想と共にユーディーンが出した命令にベルゼスはどうにも納得できないでいた。
(3日間、時間を稼げだと? そんなもの無理に決まっている)
すぐに攻撃をしてこない以上ドラゴン達にはドレアスに対して何らかの要求があると予想したユーディーンはその要求を餌に3日もの時間を稼げとベルゼスに命令したのである。
そもそも言葉が通じる相手かも定かではないし、戦力が集まってくるのをただ待っているだけなのかもしれない。
そんな相手に3日間もの時間を稼ぐなどベルゼスには到底無理だと思える。
それどころか今この瞬間ドラゴンによる蹂躙が始まってもおかしくはないのだ。
そうなってしまえばいくら剣聖レイと世界最強の軍隊を持つドレアスといえどもひとたまりもない。
どう考えても不安要素しか浮かんでこないベルゼスだったが、その問題の一つが解消される事態が起きた。
「レイという剣聖を出せぇー!」
そんな大きな女の声がベルゼスの頭に響き渡り、その言葉に動揺したのか御者が引く馬車が大きく左右に揺れた。
言葉が通じるかという一番大きな問題を不意にクリアしたベルゼスはドラゴンが集結している南の空を見るとある事に気付く。
「人間の女?」
巨大なドラゴンの群れの前にあまりにも場違いにしか思えないこの距離からでは豆粒サイズくらいに見える女性の姿が見え、ベルゼスは思わず驚きで声を出した。
しかも、どういう原理かは分からないが、女は宙に浮いている。
少しして、まったく人の姿がない町中で自分の元に全速力で走っているベルゼスの馬車が目立っていたのか、女とベルゼスの目が合った。
「ほぅ、お前か」
まるで耳元でささやくような声量で美しい女の声がベルゼスの耳元に響く。
次の瞬間、豆粒ほどにしか見えていなかった女の姿が見る見るうちに大きくなってきた。
そして、数秒後には数百メートルは離れていたはずの女の姿は馬車の窓際に座っていたベルゼスのすぐ傍にあった。
「入っていいかしら?」
まるでデートに誘われた時の淑女のような笑顔と仕草でそう言った女に思わずベルゼスはドキッとしてしまうが、自身がドレアス王国軍団長で今回の交渉役であるということは忘れてはいない。
「どうぞ」
驚きを態度に出さないようにしてベルゼスは女を馬車の中へと促した。
ここに至ってベルゼス自身の安全などどうでもいい事だった。
この女が本気になればベルゼスがどう対応しようが、ベルゼスの命など一瞬で吹き飛ぶことはすぐに理解できたからである。
ベルゼスが促すと、女は何の警戒すらせず馬車の中へと入ってきた。
不意の襲撃などまるで警戒していないと言わんばかりだが、実際女にはそんな警戒など不要なのだとベルゼスは本能で理解している。
圧倒的強者ということもそうだが、女の美しさにもベルゼスも衝撃を受けた。
微かに光を放っているようにすら感じるエメラルドグリーンの長髪を揺らす女の美しさはドレアス一の美女と称されるエリシアにも全く劣っておらず、未だ少女のような幼さを持つエリシアとは正反対の妖艶さと神々しさを兼ね備えていた。
ベルゼスがそんな女に一瞬見惚れている中、女はベルゼスの正面の席に着くと冷たい視線を向けながら言った。
「それでお前は?」
「ドレアス王国軍務長官ベルゼス=フォースターです。以後お見知りおきを」
「私がなぜやってきたのかは理解できているのかしら?」
ドレアス王国を蹂躙しに? と生意気な小国相手の外交官であればそんなジョーク交じりの脅しを使ったかもしれないが、相手はドレアスすら一瞬で滅ぼしうる強者の軍勢である。
そんな事が言えるわけもなくベルゼスは恐る恐る答えた。
「神獣の領域への騎士団派遣の件と剣聖レイが撃退したドラゴンの件でしょうか?」
「そうね。私それで凄く怒っているの。だってそうでしょう? カルルちゃんの住処を侵した上にカルルちゃんに怪我まで負わせたのだから」
カルルと言うのはレイが撃退したというドラゴンの名なのだろう。
ドラゴン襲来の理由はユーディーンとベルゼスの予想通りだが、わざわざ交渉の席に着いたというからには女も話し合いに応じる気はあるらしい。
「それで何がお望みでしょう?」
「まずは私の支配領域から人間達を即時撤退させる事」
「もちろん、すぐに騎士団を撤退させます」
「次にカルルちゃんに手傷を負わせたレイという名の剣聖の身柄をこちらに引き渡す事」
「すいません、それについてなのですが——」
1つ目の要求を即座に了承し、2つ目の要求を告げた女にベルゼスが即座に要求を飲まなかったのが気に食わなかったのか女から笑みが消え、冷たい視線がベルゼスへと向けられる。
「まさかとは思うけど、拒否するというのかしら?」
「い、いえ、そうではなく——」
ここが交渉最大の見せ場だとベルゼスはそんな女の射殺すような視線に耐えながら話を続ける。
「剣聖レイはただいま北の帝国国境付近へと偵察任務に出ておりまして、帰還にはあと3日程かかってしまうのです。ですから身柄を引き渡すのには最低でも3日程時間がかかってしまいます」
「なら場所を教えなさい。今すぐ私が始末してくるわ」
「それが極秘任務の為、進行ルートは誰にも知らせていないのです。候補となりうるルートは10通り程予想がつくのですが、ピンポイントで待ち伏せしなければ逃げられてしまいます。北の帝国との緩衝地帯は見通しが悪い所も多いですから」
ベルゼスがそう言うと女はドレアス北方地域に土地勘が無いのか、黙り込んで考え込むように口元に手を当てた後、ベルゼスの話に納得したのかこう返してきた。
「そうね、3日後にまた来るわ。その時に剣聖レイを私の前に連れてきなさい」
その瞬間、ベルゼスはユーディーンの無茶な命令を遂行できたとふっと胸を撫でおろす。
だが、そんな期待を裏切るかのように女は馬車を降りる直前にベルゼスへと爆弾を投下したのだった。
「あ、そうそう、剣聖レイを3日後、無事に連れて来れたら王都の人間だけで勘弁してあげるわ」
なんでもないかのように言ったそんな女の言葉をベルゼスは一瞬理解できなかった。
だが、すぐに女が言いたい事を理解したベルゼスは女を引き留めようと「おいっ!」と声を荒げたが——。
「じゃあね、愚かな人間さん」
そう言い残すと小さく妖艶な笑みを浮かべながら、ベルゼスの言葉も虚しく女は音もなく去って行くのだった。
既に馬車から見えるだけでもドラゴンが南の空の一部を完全に埋め尽くし、一体いれば小国をいとも簡単に滅ぼすとされるドラゴンが数百体も集まっていた。
「……なんだ、これは、世界の終わりか?」
ベルゼスが思わず呟いた言葉はあながち間違いではなかった。
これだけの数のドラゴンがいれば人間の国々を蹂躙しつくすなど簡単な事だからだ。
それだけドラゴンという神獣は超常の戦闘力を有しており、だからこそ剣聖レイが単騎で行ったドラゴン撃退という偉業は後世まで続く伝説として語られるであろうと言われているのである。
そんなドラゴンが数百体。既に数を数えるのすらバカらしくなってくる数だった。
正直、ドラゴンがドレアス王国どころか人間世界そのものを滅ぼしに来たと言ってもベルゼスはなんの疑いを持つことなく納得するだろう。
「神獣の領域を侵した報復とドラゴンを撃退したレイへの報復か。ドレアスは禁忌に手に出してしまったという訳か」
ドラゴンがやってきた理由を王であるユーディーンはそう予想していた。
ベルゼス自身もそれが正しいと思っているが、その予想と共にユーディーンが出した命令にベルゼスはどうにも納得できないでいた。
(3日間、時間を稼げだと? そんなもの無理に決まっている)
すぐに攻撃をしてこない以上ドラゴン達にはドレアスに対して何らかの要求があると予想したユーディーンはその要求を餌に3日もの時間を稼げとベルゼスに命令したのである。
そもそも言葉が通じる相手かも定かではないし、戦力が集まってくるのをただ待っているだけなのかもしれない。
そんな相手に3日間もの時間を稼ぐなどベルゼスには到底無理だと思える。
それどころか今この瞬間ドラゴンによる蹂躙が始まってもおかしくはないのだ。
そうなってしまえばいくら剣聖レイと世界最強の軍隊を持つドレアスといえどもひとたまりもない。
どう考えても不安要素しか浮かんでこないベルゼスだったが、その問題の一つが解消される事態が起きた。
「レイという剣聖を出せぇー!」
そんな大きな女の声がベルゼスの頭に響き渡り、その言葉に動揺したのか御者が引く馬車が大きく左右に揺れた。
言葉が通じるかという一番大きな問題を不意にクリアしたベルゼスはドラゴンが集結している南の空を見るとある事に気付く。
「人間の女?」
巨大なドラゴンの群れの前にあまりにも場違いにしか思えないこの距離からでは豆粒サイズくらいに見える女性の姿が見え、ベルゼスは思わず驚きで声を出した。
しかも、どういう原理かは分からないが、女は宙に浮いている。
少しして、まったく人の姿がない町中で自分の元に全速力で走っているベルゼスの馬車が目立っていたのか、女とベルゼスの目が合った。
「ほぅ、お前か」
まるで耳元でささやくような声量で美しい女の声がベルゼスの耳元に響く。
次の瞬間、豆粒ほどにしか見えていなかった女の姿が見る見るうちに大きくなってきた。
そして、数秒後には数百メートルは離れていたはずの女の姿は馬車の窓際に座っていたベルゼスのすぐ傍にあった。
「入っていいかしら?」
まるでデートに誘われた時の淑女のような笑顔と仕草でそう言った女に思わずベルゼスはドキッとしてしまうが、自身がドレアス王国軍団長で今回の交渉役であるということは忘れてはいない。
「どうぞ」
驚きを態度に出さないようにしてベルゼスは女を馬車の中へと促した。
ここに至ってベルゼス自身の安全などどうでもいい事だった。
この女が本気になればベルゼスがどう対応しようが、ベルゼスの命など一瞬で吹き飛ぶことはすぐに理解できたからである。
ベルゼスが促すと、女は何の警戒すらせず馬車の中へと入ってきた。
不意の襲撃などまるで警戒していないと言わんばかりだが、実際女にはそんな警戒など不要なのだとベルゼスは本能で理解している。
圧倒的強者ということもそうだが、女の美しさにもベルゼスも衝撃を受けた。
微かに光を放っているようにすら感じるエメラルドグリーンの長髪を揺らす女の美しさはドレアス一の美女と称されるエリシアにも全く劣っておらず、未だ少女のような幼さを持つエリシアとは正反対の妖艶さと神々しさを兼ね備えていた。
ベルゼスがそんな女に一瞬見惚れている中、女はベルゼスの正面の席に着くと冷たい視線を向けながら言った。
「それでお前は?」
「ドレアス王国軍務長官ベルゼス=フォースターです。以後お見知りおきを」
「私がなぜやってきたのかは理解できているのかしら?」
ドレアス王国を蹂躙しに? と生意気な小国相手の外交官であればそんなジョーク交じりの脅しを使ったかもしれないが、相手はドレアスすら一瞬で滅ぼしうる強者の軍勢である。
そんな事が言えるわけもなくベルゼスは恐る恐る答えた。
「神獣の領域への騎士団派遣の件と剣聖レイが撃退したドラゴンの件でしょうか?」
「そうね。私それで凄く怒っているの。だってそうでしょう? カルルちゃんの住処を侵した上にカルルちゃんに怪我まで負わせたのだから」
カルルと言うのはレイが撃退したというドラゴンの名なのだろう。
ドラゴン襲来の理由はユーディーンとベルゼスの予想通りだが、わざわざ交渉の席に着いたというからには女も話し合いに応じる気はあるらしい。
「それで何がお望みでしょう?」
「まずは私の支配領域から人間達を即時撤退させる事」
「もちろん、すぐに騎士団を撤退させます」
「次にカルルちゃんに手傷を負わせたレイという名の剣聖の身柄をこちらに引き渡す事」
「すいません、それについてなのですが——」
1つ目の要求を即座に了承し、2つ目の要求を告げた女にベルゼスが即座に要求を飲まなかったのが気に食わなかったのか女から笑みが消え、冷たい視線がベルゼスへと向けられる。
「まさかとは思うけど、拒否するというのかしら?」
「い、いえ、そうではなく——」
ここが交渉最大の見せ場だとベルゼスはそんな女の射殺すような視線に耐えながら話を続ける。
「剣聖レイはただいま北の帝国国境付近へと偵察任務に出ておりまして、帰還にはあと3日程かかってしまうのです。ですから身柄を引き渡すのには最低でも3日程時間がかかってしまいます」
「なら場所を教えなさい。今すぐ私が始末してくるわ」
「それが極秘任務の為、進行ルートは誰にも知らせていないのです。候補となりうるルートは10通り程予想がつくのですが、ピンポイントで待ち伏せしなければ逃げられてしまいます。北の帝国との緩衝地帯は見通しが悪い所も多いですから」
ベルゼスがそう言うと女はドレアス北方地域に土地勘が無いのか、黙り込んで考え込むように口元に手を当てた後、ベルゼスの話に納得したのかこう返してきた。
「そうね、3日後にまた来るわ。その時に剣聖レイを私の前に連れてきなさい」
その瞬間、ベルゼスはユーディーンの無茶な命令を遂行できたとふっと胸を撫でおろす。
だが、そんな期待を裏切るかのように女は馬車を降りる直前にベルゼスへと爆弾を投下したのだった。
「あ、そうそう、剣聖レイを3日後、無事に連れて来れたら王都の人間だけで勘弁してあげるわ」
なんでもないかのように言ったそんな女の言葉をベルゼスは一瞬理解できなかった。
だが、すぐに女が言いたい事を理解したベルゼスは女を引き留めようと「おいっ!」と声を荒げたが——。
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