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第3話 猫耳メイドミーニャ
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ごーろごーろ。
魔王が出て行った後、ルナティアは何をするでもなくベッドの上でゴロゴロしていた。
というよりもベッドの外で出ると全身が痛かった。
それに出た所で特に行きたい所もない。
もちろん一刻も早く人間界に帰りたかったが、魔王の言う通り今の身体では魔獣にやられて終わりなので魔王城の外に出る事もできない。
「あ、そういえばラミアスとカーナの事、聞くの忘れてた」
ラミアスとカーナはルナティアにとって大事な勇者パーティーの仲間である。
ルナティアがシュトライゼンに決死の覚悟で挑んだのもラミアスとカーナを人間界へと逃がすためだった。
ルナティアにとって2人の安否は今もっとも重要視すべきはずだが、ルナティアの脳内にはさっきの話で一杯になっていた。
「魔王のやつがあんなこと言うからだ」
——俺はこれまで生きてきてあなたのような美しい女性に会ったことがなかった。
「うあぁぁぁぁー!」
ルナティアは魔王の言葉を思い出し、少し顔を紅潮させるとベッドの上を転げまわる。
ルナティアは勇者だ。
これまで戦いに明け暮れたルナティアは恋らしい恋などしたことはなかった。
つまりは恋の免疫不足だ。
だが、そんなルナティアでも分かりきっている事がある。
「でもまー、魔人だしなぁ」
魔人は人類の敵。ましてやアレは魔王だ。
魔人の中のトップオブトップだ。
だが、ルナティアはあえて魔王が魔王だという事を忘れて魔王の事を考えてみた。
顔は——悪くない。むしろかなりイケている部類だ。まぁ角が2本生えていることを除けばだが。
身長は——高い。170cmあるルナティアと比べてもかなり高い。恐らく190cmくらいはあるだろう。流石に3m超えとかだったら困るが、高身長であるルナティアからすればかなり理想的な身長と言えなくもない。
最後に収入は——流石に魔王の給料がいくらかルナティアは知らないが、こんな豪華な部屋をすぐに準備できるくらいだ。どう考えてもそこらの貴族なんかより金を持っているだろう。
唯一のデメリットを抜きにして考えれば、超優良物件な事はおそらく間違いなかった。
「まぁ、結局ありえないんだけどねー。魔王だしー」
そう言ってルナティアは妄想を中断させた。
結局魔王は魔王だ。どれだけ優良物件だろうがルナティアの恋愛対象にはなりえないのだから。
「——何がありえないんでしょうか?」
「うぇっ!」
不意に後ろから声をかけられたルナティアは思わず変な声を上げてしまった。
ルナティアは恐る恐る声のした方を振り返ると……猫耳の少女がきょとんした顔で立っていた。
「初めまして、ルナティア様、わたくしこの魔王城にてメイドを勤めさせて頂いておりますミーニャと申します。以後お見知りおきを」
そういうとミーニャはメイド服の裾を掴んでルナティアにお辞儀した。
「あ、どうも」
思わずルナティアはミーニャにそう答えた後、ジロジロとミーニャの顔を見る。
(か、可愛い……。しかも猫耳……。あの野郎、何があなたのような美しい女性を見たことがないだ。早速1人目がきたじゃない)
ミーニャは美しいというよりは可愛いが似合う美少女だが、1発目からこれではどう考えても自身より美人な魔人も妖艶な魔人もいくらでも出てきそうだとルナティアは思った。
「どうかされましたか?」
ルナティアがあまりにも凝視するので、ミーニャは不思議そうな表情でルナティアを見返した。
「あ、ごめんなさい。それで何か用ですか?」
いくら美少女メイドとはいえ用もなく、会いに来るとはルナティアには思えなかった。
まぁ美少女は関係ないのだが、気分の問題だ。
「夕食をお持ちしました。ここに運ばれてから何も口にされていませんよね?」
ミーニャの横を見ると配膳台に料理が乗せられていた。
確かにルナティアはここに来てからは何も食べていなかった。
もっと言えば昨日は夕食前にシュトライゼンに追い掛け回されたので最後に食事を取ったのは昨日の昼食だ。
つまり丸一日以上何も食べていないことになる。
「ありがとう。いただきます」
ベッドから移動するのが辛いのでミーニャに机を移動してもらいベッドに横づけしてもらった。そこに料理を移動させ、ベッドに座ったままの夕食となった。
ルナティアは料理のうちの一つである薄くスライスされたローストビーフらしき物をフォークに突き刺した。肉の横には見たことのない色のソースが添えられている。
肉にソースを絡ませルナティアは肉を口に入れた。
(なにこれ? うまっ! 魔界じゃ捕虜にこんなものを食べさせるの?)
明らかにルナティアが普段食べている肉よりも数段上質な肉の味がした。只柔らかいだけでなく肉自体の味が最高に美味しい。
そんな考えを見抜いたのかミーニャがルナティアに微笑みかけた。
「魔王様と同じ食事を出すよう魔王様から仰せつかっています。お口に合いましたでしょうか?」
(魔王のやつ、いつもこんなに美味しいもの食べてるの? ……よく太らないわね)
その他の料理も食べたが、その全てがルナティアが普段食べている料理より数段上の美味さだった。
意外と魔人と人間の味の感覚は近いのかもしれない。
夢中で全てを食べ終えたルナティアはふとミーニャの方を見るとじっと見つめられていたことに気づく。
「な、なに?」
「えっと、魔王様のお妃様はどんな方かと気になりまして……申し訳ありません」
「違うから!」
慌てて、ルナティアは否定した。
「えっ、でも魔王様が「あれは俺の女だ! 誰も手を出すなよ!」と魔王城の者達全員の前ではっきりと……」
「あの野郎……」
(魔王のくせに周囲から固めに来やがった)
だが、そんなことではルナティアの意思は揺らいだりしない。
どんなことをしたってルナティアが魔人の事を好きになる事など絶対にないのだから。
魔王が出て行った後、ルナティアは何をするでもなくベッドの上でゴロゴロしていた。
というよりもベッドの外で出ると全身が痛かった。
それに出た所で特に行きたい所もない。
もちろん一刻も早く人間界に帰りたかったが、魔王の言う通り今の身体では魔獣にやられて終わりなので魔王城の外に出る事もできない。
「あ、そういえばラミアスとカーナの事、聞くの忘れてた」
ラミアスとカーナはルナティアにとって大事な勇者パーティーの仲間である。
ルナティアがシュトライゼンに決死の覚悟で挑んだのもラミアスとカーナを人間界へと逃がすためだった。
ルナティアにとって2人の安否は今もっとも重要視すべきはずだが、ルナティアの脳内にはさっきの話で一杯になっていた。
「魔王のやつがあんなこと言うからだ」
——俺はこれまで生きてきてあなたのような美しい女性に会ったことがなかった。
「うあぁぁぁぁー!」
ルナティアは魔王の言葉を思い出し、少し顔を紅潮させるとベッドの上を転げまわる。
ルナティアは勇者だ。
これまで戦いに明け暮れたルナティアは恋らしい恋などしたことはなかった。
つまりは恋の免疫不足だ。
だが、そんなルナティアでも分かりきっている事がある。
「でもまー、魔人だしなぁ」
魔人は人類の敵。ましてやアレは魔王だ。
魔人の中のトップオブトップだ。
だが、ルナティアはあえて魔王が魔王だという事を忘れて魔王の事を考えてみた。
顔は——悪くない。むしろかなりイケている部類だ。まぁ角が2本生えていることを除けばだが。
身長は——高い。170cmあるルナティアと比べてもかなり高い。恐らく190cmくらいはあるだろう。流石に3m超えとかだったら困るが、高身長であるルナティアからすればかなり理想的な身長と言えなくもない。
最後に収入は——流石に魔王の給料がいくらかルナティアは知らないが、こんな豪華な部屋をすぐに準備できるくらいだ。どう考えてもそこらの貴族なんかより金を持っているだろう。
唯一のデメリットを抜きにして考えれば、超優良物件な事はおそらく間違いなかった。
「まぁ、結局ありえないんだけどねー。魔王だしー」
そう言ってルナティアは妄想を中断させた。
結局魔王は魔王だ。どれだけ優良物件だろうがルナティアの恋愛対象にはなりえないのだから。
「——何がありえないんでしょうか?」
「うぇっ!」
不意に後ろから声をかけられたルナティアは思わず変な声を上げてしまった。
ルナティアは恐る恐る声のした方を振り返ると……猫耳の少女がきょとんした顔で立っていた。
「初めまして、ルナティア様、わたくしこの魔王城にてメイドを勤めさせて頂いておりますミーニャと申します。以後お見知りおきを」
そういうとミーニャはメイド服の裾を掴んでルナティアにお辞儀した。
「あ、どうも」
思わずルナティアはミーニャにそう答えた後、ジロジロとミーニャの顔を見る。
(か、可愛い……。しかも猫耳……。あの野郎、何があなたのような美しい女性を見たことがないだ。早速1人目がきたじゃない)
ミーニャは美しいというよりは可愛いが似合う美少女だが、1発目からこれではどう考えても自身より美人な魔人も妖艶な魔人もいくらでも出てきそうだとルナティアは思った。
「どうかされましたか?」
ルナティアがあまりにも凝視するので、ミーニャは不思議そうな表情でルナティアを見返した。
「あ、ごめんなさい。それで何か用ですか?」
いくら美少女メイドとはいえ用もなく、会いに来るとはルナティアには思えなかった。
まぁ美少女は関係ないのだが、気分の問題だ。
「夕食をお持ちしました。ここに運ばれてから何も口にされていませんよね?」
ミーニャの横を見ると配膳台に料理が乗せられていた。
確かにルナティアはここに来てからは何も食べていなかった。
もっと言えば昨日は夕食前にシュトライゼンに追い掛け回されたので最後に食事を取ったのは昨日の昼食だ。
つまり丸一日以上何も食べていないことになる。
「ありがとう。いただきます」
ベッドから移動するのが辛いのでミーニャに机を移動してもらいベッドに横づけしてもらった。そこに料理を移動させ、ベッドに座ったままの夕食となった。
ルナティアは料理のうちの一つである薄くスライスされたローストビーフらしき物をフォークに突き刺した。肉の横には見たことのない色のソースが添えられている。
肉にソースを絡ませルナティアは肉を口に入れた。
(なにこれ? うまっ! 魔界じゃ捕虜にこんなものを食べさせるの?)
明らかにルナティアが普段食べている肉よりも数段上質な肉の味がした。只柔らかいだけでなく肉自体の味が最高に美味しい。
そんな考えを見抜いたのかミーニャがルナティアに微笑みかけた。
「魔王様と同じ食事を出すよう魔王様から仰せつかっています。お口に合いましたでしょうか?」
(魔王のやつ、いつもこんなに美味しいもの食べてるの? ……よく太らないわね)
その他の料理も食べたが、その全てがルナティアが普段食べている料理より数段上の美味さだった。
意外と魔人と人間の味の感覚は近いのかもしれない。
夢中で全てを食べ終えたルナティアはふとミーニャの方を見るとじっと見つめられていたことに気づく。
「な、なに?」
「えっと、魔王様のお妃様はどんな方かと気になりまして……申し訳ありません」
「違うから!」
慌てて、ルナティアは否定した。
「えっ、でも魔王様が「あれは俺の女だ! 誰も手を出すなよ!」と魔王城の者達全員の前ではっきりと……」
「あの野郎……」
(魔王のくせに周囲から固めに来やがった)
だが、そんなことではルナティアの意思は揺らいだりしない。
どんなことをしたってルナティアが魔人の事を好きになる事など絶対にないのだから。
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