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第5話 美少女メイドの恋?
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ルナティアはミーニャの後に続いて部屋を出た。
薬草の効能か昨日と比べ痛みはずいぶんとマシになっていて歩くだけなら問題ないようだった。
「これが魔王城……」
ルナティアが見渡すと、今まで見たどんな王城よりも豪華な作りで所々に見事な調度品に彩られた見事な廊下が広がっていた。
ルナティアの感覚がおかしくないのなら魔人の美的センスも人間にかなり近いところにあるようだ。
とはいえ普通の貴族程度では決して真似できないレベルのものなのだが。
「いかがでしょうか?」
「ま、まぁまぁね」
ルナティアは意地を張ってみた。
廊下の時点でルナティアの祖国にある王城よりも豪華かな造りである事は明らかだった。
それでも意地を張ったのは魔王城を褒めるのは勇者としてちょっと癪だったからだ。
歩いて少しすると、前方から人影が歩いてくるのが見えた。
(当たり前だけど、普通に魔人がうろついているのね。ガンでもつけてやった方がいいのかしら)
ルナティアがそんな風に前方からやってくる魔人の対応について考えていると、ミーニャが少し小走りで一足先に前方からやってくる魔人に声をかけた。
「シュトライゼン様、おはようございます!」
(ん? なんか聞いたことあるような……)
「って、うぇ、しゅ、シュトライゼン……?」
目の前の魔人の正体に気付き、ルナティアは思わず変な声を出してしまった。
黒騎士シュトライゼン。
人間界で最も知られる魔人で漆黒の鎧を身に纏う姿は人間界では恐怖の象徴として語られている。
そしてルナティアがこんな状況に陥いる原因を作った張本人でもある。
だが、目の前の魔人はあの時のような漆黒の鎧を身に纏ってはいなかった。
黒衣の衣装でイメージカラーからこそ統一しているものの、ルナティアが想像していたような偉丈夫ではなく、金の長髪をたなびかせる超が付く美青年だった。
「鎧来てねーじゃねーか!」
思わずルナティアはそんなツッコミを入れた。
心の底から出た言葉だ。
正確に言うなら「鎧来てねー上に超美青年じゃねーか」だが、ルナティアは口が裂けても絶対にそんなことは言えなかった。
シュトライゼンはというとそんなルナティアの言葉に動じた様子もなく、ただ静かに2人を見下ろしていた。
「ミーニャ卿、任務ご苦労。……ルナティア殿は少しご自分の立場を弁えて発言してもらいたいな。貴方にそんなつもりがなくとも貴方の発言で魔王様の威厳に関わる事もある。それとアレは戦闘用だ。普段からあんな物を身につけているわけがないだろう」
(いや知らんし。ていうか魔王の威厳とかもっと知らんし)
内心でそう抗議しつつ、ルナティアはシュトライゼンの言葉の違和感に気付く。
「卿ってなに?」
ルナティアの聞き間違えでなければシュトライゼンはミーニャの事をミーニャ卿と呼んでいた。
ルナティアから見ればミーニャはただただ可愛い猫耳美少女メイド以外の何物でもない。
だが、ルナティアの問いに答えたシュトライゼンの言葉は衝撃的なモノだった。
「ミーニャ卿は四天王グラガド殿のご息女で爵位を持っているのでそう呼ぶのは当然だ」
当然のようにそう答えるシュトライゼン。
何かの冗談かと思い、ルナティアがミーニャの顔を見ると、にっこりと微笑んで頷いた。
(こんな可愛い子が四天王の娘なんて……。世も末だわ)
ルナティアが勝手に勘違いしていただけだが、まさか自分のお世話をしているメイドがシュトライゼンと肩を並べる四天王の娘だとは誰も思わない。
「それでグラガド卿はいつ頃こちらに?」
(そういえば会議があるんだっけ? なんの会議だろう?)
昨日、ミーニャから四天王も集めた会議が行われると聞いていたルナティアだったが、その議題については何も聞いていない。
ルナティアは準備が出来次第、魔王城から逃亡する気だが、少なくとも体調が万全になるまでは難しい事くらい理解している。
ならば、魔王軍の内情くらいは盗み聞いてやりたい所だが、流石にこの場で会議の議題を聞けるほど甘いとはルナティアも思ってはいなかった。
(まぁいいわ、チャンスなんていくらでも……)
ルナティアがそう決意する中、気づくと2人は関係のない世間話で弾んでいた。
(こいつ、まさかミーニャに気があるんじゃないでしょうね?)
ルナティアにとっては昨日会ったばかりのミーニャだが、猫耳美少女メイドだ。
ルナティアから言わせれば世界の宝であり、こんなイケすかない黒鎧男に取られるのはとても癪な話だ。
そんなことを思いながらルナティアはシュトライゼンに睨みを利かせていたが、少しすると、2人の会話が終わる。
「では、ミーニャ卿また後で会おう」
「はい、シュトライゼン様」
そう話を締めたシュトライゼンはルナティア達の横を通り抜け、廊下の向こうへと去って行った。
そんな後姿をミーニャは名残惜しそうに見つめている。
(あれ? もしかして逆? ミーニャがシュトライゼン狙いなの?)
確かに見ようによっては超絶イケメンに見えなくもないが、シュトライゼンはいけ好かない上に魔人で人類の敵だ。
そんないけ好かない奴とミーニャがくっつくのがどうにもルナティアは納得できなかった。
それでもルナティアは可愛いもの全ての味方だ。
ミーニャの恋を応援しないなんて選択などできるはずがなかった。
ルナティアは何も言わず、シュトライゼンの後ろ姿を見つめるミーニャの肩をポンポンと叩く。
「えっ、なんでしょう?」
「頑張れ、私は応援しているよ。癪だけど」
「???」
ルナティアの言葉の意図が読めず、ミーニャは頭を傾げるのだった。
薬草の効能か昨日と比べ痛みはずいぶんとマシになっていて歩くだけなら問題ないようだった。
「これが魔王城……」
ルナティアが見渡すと、今まで見たどんな王城よりも豪華な作りで所々に見事な調度品に彩られた見事な廊下が広がっていた。
ルナティアの感覚がおかしくないのなら魔人の美的センスも人間にかなり近いところにあるようだ。
とはいえ普通の貴族程度では決して真似できないレベルのものなのだが。
「いかがでしょうか?」
「ま、まぁまぁね」
ルナティアは意地を張ってみた。
廊下の時点でルナティアの祖国にある王城よりも豪華かな造りである事は明らかだった。
それでも意地を張ったのは魔王城を褒めるのは勇者としてちょっと癪だったからだ。
歩いて少しすると、前方から人影が歩いてくるのが見えた。
(当たり前だけど、普通に魔人がうろついているのね。ガンでもつけてやった方がいいのかしら)
ルナティアがそんな風に前方からやってくる魔人の対応について考えていると、ミーニャが少し小走りで一足先に前方からやってくる魔人に声をかけた。
「シュトライゼン様、おはようございます!」
(ん? なんか聞いたことあるような……)
「って、うぇ、しゅ、シュトライゼン……?」
目の前の魔人の正体に気付き、ルナティアは思わず変な声を出してしまった。
黒騎士シュトライゼン。
人間界で最も知られる魔人で漆黒の鎧を身に纏う姿は人間界では恐怖の象徴として語られている。
そしてルナティアがこんな状況に陥いる原因を作った張本人でもある。
だが、目の前の魔人はあの時のような漆黒の鎧を身に纏ってはいなかった。
黒衣の衣装でイメージカラーからこそ統一しているものの、ルナティアが想像していたような偉丈夫ではなく、金の長髪をたなびかせる超が付く美青年だった。
「鎧来てねーじゃねーか!」
思わずルナティアはそんなツッコミを入れた。
心の底から出た言葉だ。
正確に言うなら「鎧来てねー上に超美青年じゃねーか」だが、ルナティアは口が裂けても絶対にそんなことは言えなかった。
シュトライゼンはというとそんなルナティアの言葉に動じた様子もなく、ただ静かに2人を見下ろしていた。
「ミーニャ卿、任務ご苦労。……ルナティア殿は少しご自分の立場を弁えて発言してもらいたいな。貴方にそんなつもりがなくとも貴方の発言で魔王様の威厳に関わる事もある。それとアレは戦闘用だ。普段からあんな物を身につけているわけがないだろう」
(いや知らんし。ていうか魔王の威厳とかもっと知らんし)
内心でそう抗議しつつ、ルナティアはシュトライゼンの言葉の違和感に気付く。
「卿ってなに?」
ルナティアの聞き間違えでなければシュトライゼンはミーニャの事をミーニャ卿と呼んでいた。
ルナティアから見ればミーニャはただただ可愛い猫耳美少女メイド以外の何物でもない。
だが、ルナティアの問いに答えたシュトライゼンの言葉は衝撃的なモノだった。
「ミーニャ卿は四天王グラガド殿のご息女で爵位を持っているのでそう呼ぶのは当然だ」
当然のようにそう答えるシュトライゼン。
何かの冗談かと思い、ルナティアがミーニャの顔を見ると、にっこりと微笑んで頷いた。
(こんな可愛い子が四天王の娘なんて……。世も末だわ)
ルナティアが勝手に勘違いしていただけだが、まさか自分のお世話をしているメイドがシュトライゼンと肩を並べる四天王の娘だとは誰も思わない。
「それでグラガド卿はいつ頃こちらに?」
(そういえば会議があるんだっけ? なんの会議だろう?)
昨日、ミーニャから四天王も集めた会議が行われると聞いていたルナティアだったが、その議題については何も聞いていない。
ルナティアは準備が出来次第、魔王城から逃亡する気だが、少なくとも体調が万全になるまでは難しい事くらい理解している。
ならば、魔王軍の内情くらいは盗み聞いてやりたい所だが、流石にこの場で会議の議題を聞けるほど甘いとはルナティアも思ってはいなかった。
(まぁいいわ、チャンスなんていくらでも……)
ルナティアがそう決意する中、気づくと2人は関係のない世間話で弾んでいた。
(こいつ、まさかミーニャに気があるんじゃないでしょうね?)
ルナティアにとっては昨日会ったばかりのミーニャだが、猫耳美少女メイドだ。
ルナティアから言わせれば世界の宝であり、こんなイケすかない黒鎧男に取られるのはとても癪な話だ。
そんなことを思いながらルナティアはシュトライゼンに睨みを利かせていたが、少しすると、2人の会話が終わる。
「では、ミーニャ卿また後で会おう」
「はい、シュトライゼン様」
そう話を締めたシュトライゼンはルナティア達の横を通り抜け、廊下の向こうへと去って行った。
そんな後姿をミーニャは名残惜しそうに見つめている。
(あれ? もしかして逆? ミーニャがシュトライゼン狙いなの?)
確かに見ようによっては超絶イケメンに見えなくもないが、シュトライゼンはいけ好かない上に魔人で人類の敵だ。
そんないけ好かない奴とミーニャがくっつくのがどうにもルナティアは納得できなかった。
それでもルナティアは可愛いもの全ての味方だ。
ミーニャの恋を応援しないなんて選択などできるはずがなかった。
ルナティアは何も言わず、シュトライゼンの後ろ姿を見つめるミーニャの肩をポンポンと叩く。
「えっ、なんでしょう?」
「頑張れ、私は応援しているよ。癪だけど」
「???」
ルナティアの言葉の意図が読めず、ミーニャは頭を傾げるのだった。
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