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第十一話

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パンパカパーン!!

~ブラック・ウルフ5体の討伐を確認しました~

~レベルが12に上がりました~

~スキルポイント80を獲得しました~

「…?」

ミカを死なせてしまい、呆然としていた俺を我に帰らせたのは、頭の中でなったファンファーレの音だ。

機械音のアナウンスが鳴り響き、俺のレベルが上がったことやスキルポイントを獲得したことが告げられる。

「ごめん…ミカ…」

俺は最後にもう一度ミカに謝ってから、自分のステータス画面を開いた。

名前:西村博隆
レベル:12
スキルポイント:80
スキル:回復
獲得可能スキル一覧
・加速スキル(必要スキルポイント10)
・収納スキル(必要スキルポイント50)

「ずいぶんレベルが上がったな…」

俺が倒したこの獣のモンスターはブラック・ウルフというらしい。

合計5体を金属バットで滅多打ちにしたおかげで、俺のレベルは一気に12まで上がったようだ。

スキルポイントは80隣、新たに獲得可能なスキルも増えていた。

「収納スキル…か…」

一切説明がないのでどのようなスキルかはわからないが、察するに何かモノを収納することが出来るようなスキルだと思う。

必要スキルポイントが50で割高だ。

それだけ価値のあるスキルということだろうか。

「獲得しようか…いや、今はやめておこう」

もし俺の想像通りのスキルならば相当便利な代物なのだが、しかし、今この収納スキルを獲得するのは早計だろう。

今後もっと有用なスキルが獲得可能になるかもしれないし、このスキルポイントは保持しておいた方が良さそうだ。

「さて…コンビニに向かうか…」

ミカをこのまま放置することには気が引けたが、しかし、あまりここに長居をすると、またモンスターに襲われないとも限らない。

今は平時じゃなくて非常時なんだ。

いつまでも落ち込んでいられない。

気持ちを切り替える必要がある。

「ごめん、ミカ…俺いくよ」

ミカに最後に一度だけ謝ってから、俺はコンビニへと向かう道を進み始めた。



「にしても、なんで俺には襲いかかってこなかったんだろうな…」

慎重に歩みを進めながら、俺は先ほどのブラック・ウルフとの戦闘のことを考えていた。

いや、戦闘というよりもあれは一方的な虐殺に近かった。

なぜならブラック・ウルフはほとんど俺に興味を示さずに、襲ってこなかったからだ。

「そういや、クロをゴブリンから助けた時もだったよな…」

俺は最初のモンスターとの戦闘…クロを襲っていたゴブリンのことを思い出す。

あの時も、ゴブリンはクロだけを狙っていてこちらには全く関心を示さなかった。

俺は勝手に自分の中で、モンスターにはより弱い生物を集中して狙う性質でもあるのか、という過程を立てていたが、今回のことでその過程は崩れた。

どう考えたってブラック・ウルフの方が俺よりも強かったからだ。

「わからん…なんで俺は狙われなかったんだ…?本来なら俺もミカと同じように食い殺されてもおかしくなかったよな…?」

自分が未だ無事でいる謎に俺は首を傾げる。

…そんな時だった。

「…っ!?」

ズン、ズン、という重々しい足音が聞こえてきたのは。


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