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第二十二話

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森で一夜を明かした裕也率いる生徒たち一行は、翌朝、王都に向かって歩みを再開させた。

彼らが森を抜けたのは、出発して数時間が経った頃だった。

それまでにモンスターと三度遭遇したが、いずれも最初に遭遇した緑色の小柄なモンスターであり、戦闘スキルを持った生徒たちによって簡単に倒された。

当初こそ未知の存在であるモンスターに怯えていた生徒たちだったが、四度もの遭遇で一人も犠牲者を出さずに簡単に倒すことができたため、すっかり自信をつけていた。

生徒たちの表情は明るく、裕也の言葉を信じ、日本帰還に期待を寄せているように思われた。

もちろん裕也は最悪他の生徒を犠牲にしてでも、自分さえ日本に帰れればいいと考えているのだが、彼らは知る由もない。

森を抜けた先には草原地帯が広がっており、遠くの方に人の営みが見えた。

ガイドスキル持ちの斎藤春樹によると、王都に向かうにはあの街を経由するのが最適らしい。

「みんな…!見てくれ…!街が見えてきたぞ…!」

裕也が前方を指差してそういった。

「うおおおお!」

「すげぇ…!」

「あれが異世界の街か…!」

「ようやく人の住む場所に辿り着いたぞ…!」

生徒たちから歓喜の声が上がる。

裕也はそうやって時折生徒たちを励ましながら、草原地帯を街に向かって歩いていく。

「ふふ…黒崎さん…ずいぶん限界が近いみたいだな…」

途中、裕也は歩きながらちらりと後方を確認する。

そこには、生徒たちの集団から少し離れるようにしてとぼとぼと歩いている麗子の姿があった。

「一日食事を取らずあれだけの険しい道のりを歩いたんだ…これは相当応えているはずだぞ…くひひ…」

裕也は生徒たちに隠れて、卑屈な笑いを漏らす。

「いつまで耐えられるのか見ものだな、黒崎さん…さっさとプライドを捨てて俺に抱かれたほうがいいんじゃないのか…?」

裕也は麗子が自分のものにあるまで彼女を追い詰めることをやめるつもりはなかった。

裕也はプライドの高い麗子が、命惜しさに自分に体を捧げる様を見たいという願望があった。

そのためにどこまでも麗子を追い詰めるつもりでいた。

「さぁて、街に着いたらどうしてくれようか…」

これからどのようにして麗子を追い詰めて行こうか。

そんなことを考えながら、裕也は生徒たちを率いて草原地帯を進んでいくのだった。



やがて裕也たちは街にたどり着いた。

春樹のガイドスキルによれば、街の名前はカナンというらしい。

「うおおおおお!!すげぇ!」

「これが異世界の街か…!」

「歴史の教科書に出てきそう…!」

「中世ヨーロッパの世界ってやつか…!」

「ゲームとかにこういうのありそうだよねー!」

クラスメイトたちが無邪気な感想を漏らす中、裕也はガイドスキル持ちの春樹に尋ねた。

「斎藤くん、街に入ったら俺たちはどうすればいいのかな?」

「ええと…街へ入ったら、僕たちは冒険者ギルドって場所に行くんだ…そしたらそこで、寝床と食事が得られるんだって…詳しいことはまだわからないかな」

「なるほど…とりあえず街に入ることか」

「そうだね」

春樹のガイドスキルによれば、『冒険者ギルド』という施設にさえ行けば、とりあえず住む場所と食事の問題はなんとかなるらしい。

「それじゃあ、行こうかみんな…!」

指針を得た裕也は、生徒たちを率いいて、街の入り口に近づいていく。

「おいおい、ちょっと待てよ」

「お前ら勝手に通ろうとするな。通行証を見せてもらおうか、もしくは通行料払え」

すると、入り口の両脇に立っていた槍を持った男が二人、裕也たちの前へと立ちはだかったのだった。

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