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番外編
熱の発生源
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頭がぼぉっとする。唾を飲み込むと喉にひりひりとした嫌な痛みがある。
小さな咳が絶えずにこみ上げてくる、
完全に風邪だった、寒気もあるし、熱もあるかもしれない、額に乗せられた濡れタオルの冷たさが心地よかった
寝てしまおう。私はずっとそう思いながらなにもできないでいた。
ベットの横には椅子に腰掛けた花がじぃと私を見つめていた。
(落ち着かないなぁ)
そう思いながらも私は嬉しい気持ちでいっぱいだった。今朝体がひどくだるかったため、花に仕事を休むといったところ、私も休んで看病すると言いだしたのだ。私は寝てるだけだから大丈夫と言ったのだが、花は断固としてそれを聞き入れなかった
花に無理矢理ベットに寝かされ、布団をかけられ、額に濡れタオルを乗せられて現在に至る
花「しゅう、眠ったほうががいいよ?」
花の声が静かな部屋に響いた。その声が耳に心地良かった。
集「うん。でもなかなか眠れなくて」
私は困ったように笑いかける。
すると花の瞳が小さく揺れた
花「私邪魔かな?」
落ち込んだ様子の花に焦った私は慌てて声をかける
集「そ、そんなことないよ!風邪のときって人恋しくなるし、花がいてくれてすごく嬉しいよ!」
花「ほんとう?」
私の言葉ななおも不安そうに花は尋ねる
集「ほんとうだってば。…えっと、手を握っててもらっていいかな?」
なんて女々しいことを言ってるんだ、と自己嫌悪に陥った私だったが、嬉しそうに頷きながら口元を小さくゆるませる花を見たらそんな思いはどこかに行ってしまった。
壊れ物でも扱うかのように、花は両手でそっの私の手を包む。
滑らかでひんやりとした花の手が心地よかった。
風邪とは違う別の熱が湧いてくるのを私は感じた
私は優しげな視線を送ってくれる花を見た
花は肩を露出させた白いワンピースを着ているだけだ。色白な肌とワンピースから覗く綺麗な鎖骨がとても妖艶だった。しなやかにのびる四股は肉感的でとても美しい。細く滑らかな両手の指は今は私の手を包み込んでいる。
宝石のような瞳と、白い肌に浮かぶ形の良い唇は笑みをうかべていて……。
私の中に湧いた熱は全身に広がっていく。
ぼぉっとする頭ではもはやなにを考えているのかわからなくなり、ただ花に見惚れた
私は無意識のうちに上半身を起こすと花を引き寄せた。花がすこし驚いたように目を見開いたのが見えたが、抱き寄せて細い肩の上に顎を乗せると、花の顔は見えなくなった。
ただただ愛おしい存在をその両腕に抱きしめる。花の体温を全身に感じる。今は私の体温が高いため花の体は冷たく感じて気持ちよかった。柔らかな感触と甘い香りが私の脳をさらに麻痺させた。
花の鼓動を感じる
薄桃色の滑らかな髪をなでる。絹のような髪が指の間をさらさらと流れていった
頭を撫でると花の両腕がゆっくりと私の背に回された。そのことが嬉しくて、私は抱きしめる両腕に力を込めた。花への愛しい思いはどんどん膨らんでいく。
おもむろに花の両肩に手を置き、顔を覗き込む。
まっすぐにこちらを見る綺麗な瞳に胸が高鳴った。私はゆっくりと花に顔を近づけた。花の顔がどんどん近づいてくる。私の視線は花の唇に注がれていた。
しかし、お互いの吐息がかかる程近づいたとき
花「しゅう?」
その瞬間私ははっとしてから花から顔を離した
集(いま僕はなにをしようとした!?)
風邪の熱と花への愛おしさが混ざり合い、途中からは無意識に行動していた。
集「ご、ごめん!僕、なんか頭がぼぉっとしてて…!」
必死に弁解する私を花は小首を傾けながら見ている。
集(熱に浮かされたとはいえなんてことしようとしてるんだ僕は!風邪が移ったらどうするんだよ!……ってそういう問題じゃなくて!!)
私が混乱して頭を抱えていると、花が椅子から立ち上がって身を乗り出しているのが視界に入った。そして、花の顔がゆっくりと近づいてきて
集「え?」
『ちゅ』という音が静かな部屋に響いたかと思うとすぐに花は離れていった
私は自分の唇を手で覆って呆然とした。そしたなにが起きたのかを理解する。と。すごい勢いで顔が赤くなってきた、風邪のものではない熱が身体中に広がる。
集「は、花……、今!?」
花「ちゃんと眠らないとよくならない」
慌てふためく私をよそに、花は平然としていた。私の両肩を抑えるとベットに押し倒して掛け布団を掛けてしまった
………眠れるわけない
END
小さな咳が絶えずにこみ上げてくる、
完全に風邪だった、寒気もあるし、熱もあるかもしれない、額に乗せられた濡れタオルの冷たさが心地よかった
寝てしまおう。私はずっとそう思いながらなにもできないでいた。
ベットの横には椅子に腰掛けた花がじぃと私を見つめていた。
(落ち着かないなぁ)
そう思いながらも私は嬉しい気持ちでいっぱいだった。今朝体がひどくだるかったため、花に仕事を休むといったところ、私も休んで看病すると言いだしたのだ。私は寝てるだけだから大丈夫と言ったのだが、花は断固としてそれを聞き入れなかった
花に無理矢理ベットに寝かされ、布団をかけられ、額に濡れタオルを乗せられて現在に至る
花「しゅう、眠ったほうががいいよ?」
花の声が静かな部屋に響いた。その声が耳に心地良かった。
集「うん。でもなかなか眠れなくて」
私は困ったように笑いかける。
すると花の瞳が小さく揺れた
花「私邪魔かな?」
落ち込んだ様子の花に焦った私は慌てて声をかける
集「そ、そんなことないよ!風邪のときって人恋しくなるし、花がいてくれてすごく嬉しいよ!」
花「ほんとう?」
私の言葉ななおも不安そうに花は尋ねる
集「ほんとうだってば。…えっと、手を握っててもらっていいかな?」
なんて女々しいことを言ってるんだ、と自己嫌悪に陥った私だったが、嬉しそうに頷きながら口元を小さくゆるませる花を見たらそんな思いはどこかに行ってしまった。
壊れ物でも扱うかのように、花は両手でそっの私の手を包む。
滑らかでひんやりとした花の手が心地よかった。
風邪とは違う別の熱が湧いてくるのを私は感じた
私は優しげな視線を送ってくれる花を見た
花は肩を露出させた白いワンピースを着ているだけだ。色白な肌とワンピースから覗く綺麗な鎖骨がとても妖艶だった。しなやかにのびる四股は肉感的でとても美しい。細く滑らかな両手の指は今は私の手を包み込んでいる。
宝石のような瞳と、白い肌に浮かぶ形の良い唇は笑みをうかべていて……。
私の中に湧いた熱は全身に広がっていく。
ぼぉっとする頭ではもはやなにを考えているのかわからなくなり、ただ花に見惚れた
私は無意識のうちに上半身を起こすと花を引き寄せた。花がすこし驚いたように目を見開いたのが見えたが、抱き寄せて細い肩の上に顎を乗せると、花の顔は見えなくなった。
ただただ愛おしい存在をその両腕に抱きしめる。花の体温を全身に感じる。今は私の体温が高いため花の体は冷たく感じて気持ちよかった。柔らかな感触と甘い香りが私の脳をさらに麻痺させた。
花の鼓動を感じる
薄桃色の滑らかな髪をなでる。絹のような髪が指の間をさらさらと流れていった
頭を撫でると花の両腕がゆっくりと私の背に回された。そのことが嬉しくて、私は抱きしめる両腕に力を込めた。花への愛しい思いはどんどん膨らんでいく。
おもむろに花の両肩に手を置き、顔を覗き込む。
まっすぐにこちらを見る綺麗な瞳に胸が高鳴った。私はゆっくりと花に顔を近づけた。花の顔がどんどん近づいてくる。私の視線は花の唇に注がれていた。
しかし、お互いの吐息がかかる程近づいたとき
花「しゅう?」
その瞬間私ははっとしてから花から顔を離した
集(いま僕はなにをしようとした!?)
風邪の熱と花への愛おしさが混ざり合い、途中からは無意識に行動していた。
集「ご、ごめん!僕、なんか頭がぼぉっとしてて…!」
必死に弁解する私を花は小首を傾けながら見ている。
集(熱に浮かされたとはいえなんてことしようとしてるんだ僕は!風邪が移ったらどうするんだよ!……ってそういう問題じゃなくて!!)
私が混乱して頭を抱えていると、花が椅子から立ち上がって身を乗り出しているのが視界に入った。そして、花の顔がゆっくりと近づいてきて
集「え?」
『ちゅ』という音が静かな部屋に響いたかと思うとすぐに花は離れていった
私は自分の唇を手で覆って呆然とした。そしたなにが起きたのかを理解する。と。すごい勢いで顔が赤くなってきた、風邪のものではない熱が身体中に広がる。
集「は、花……、今!?」
花「ちゃんと眠らないとよくならない」
慌てふためく私をよそに、花は平然としていた。私の両肩を抑えるとベットに押し倒して掛け布団を掛けてしまった
………眠れるわけない
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