34 / 73
キッカケ
しおりを挟む
「仲直りのキッカケか」
爽やかに去って行った長身痩躯の後ろ姿を見送りながら、俺は誠の言ってくれた言葉を小さく呟いていた。
完全に逸してしまってるよ。
肩を竦め、改札を通らずに、もう一度駅から外に出た。街の中はすっかりクリスマス色に彩られていた。
クリスマス。考えてみたらひよにプレゼントとかした事ないな、俺。
――ああ、ホームランボール何回かやったか。
とってあるのかな、ひよ。
「わー、かわいくない、これー?」
「こんなのクリスマスにほし――」
ジュエリーショップの前でOL達が盛り上がっていた。
指輪は、まだ誰にもあげた事はない。今まで何人か、欲しいって言ってた女がいたけど、どうしても指輪だけは――どんな安物でも――あげられなかった。
自分の中で変なこだわりがあったんだ。でもひよになら。
気付くとその店の前で俺は立ち止まっていた。
*
クリスマス・イルミネーション、ってなんだよソレ。
なんて思う。教師から見りゃ、キリスト教の学校でもないのにな、と。
でも、生徒会の企画立案実行だし、生徒達が楽しければいいか。管理は大変だけどな。
時間交代で、ハメを外しすぎた生徒がいないかを巡回してきた俺は、次の先生と交代して数学準備室に戻った。
暗くした室内から、これから点灯するツリーを見上げる楽しそうな生徒達が見える。
ひより、あの中にいるのかな。
こういう時、ホント切なくなる。年の差以上に遠く感じる。そう思った時だった。
「茉奈ちゃん、どこー……?」
廊下から聞こえたその声は――、
ひよだ!
「ひより――! どこ――――?」
「茉奈ちゃーん! あたし、ここ―……」
暗闇の中で戸を開けるとそこには。
ひよ!
グッと腕を掴み、引き込んだ。
「え!?」
柔らかな身体が自分の胸元に飛び込む。
「シッ! 声を出すな!」
俺の声がわかったらしいひよりが息を呑むのが肌を通して伝わってきた。
そのまま戸を閉めて、鍵を掛けた。
ひよのドキドキという鼓動が、触れている、抱きしめる自分の腕に伝わってくる。
「ドキドキしてる?」
「うん……」
すごく久しぶりに触れた気がした。ひよの香りが鼻先をくすぐる。
「目、閉じて――」
爽やかに去って行った長身痩躯の後ろ姿を見送りながら、俺は誠の言ってくれた言葉を小さく呟いていた。
完全に逸してしまってるよ。
肩を竦め、改札を通らずに、もう一度駅から外に出た。街の中はすっかりクリスマス色に彩られていた。
クリスマス。考えてみたらひよにプレゼントとかした事ないな、俺。
――ああ、ホームランボール何回かやったか。
とってあるのかな、ひよ。
「わー、かわいくない、これー?」
「こんなのクリスマスにほし――」
ジュエリーショップの前でOL達が盛り上がっていた。
指輪は、まだ誰にもあげた事はない。今まで何人か、欲しいって言ってた女がいたけど、どうしても指輪だけは――どんな安物でも――あげられなかった。
自分の中で変なこだわりがあったんだ。でもひよになら。
気付くとその店の前で俺は立ち止まっていた。
*
クリスマス・イルミネーション、ってなんだよソレ。
なんて思う。教師から見りゃ、キリスト教の学校でもないのにな、と。
でも、生徒会の企画立案実行だし、生徒達が楽しければいいか。管理は大変だけどな。
時間交代で、ハメを外しすぎた生徒がいないかを巡回してきた俺は、次の先生と交代して数学準備室に戻った。
暗くした室内から、これから点灯するツリーを見上げる楽しそうな生徒達が見える。
ひより、あの中にいるのかな。
こういう時、ホント切なくなる。年の差以上に遠く感じる。そう思った時だった。
「茉奈ちゃん、どこー……?」
廊下から聞こえたその声は――、
ひよだ!
「ひより――! どこ――――?」
「茉奈ちゃーん! あたし、ここ―……」
暗闇の中で戸を開けるとそこには。
ひよ!
グッと腕を掴み、引き込んだ。
「え!?」
柔らかな身体が自分の胸元に飛び込む。
「シッ! 声を出すな!」
俺の声がわかったらしいひよりが息を呑むのが肌を通して伝わってきた。
そのまま戸を閉めて、鍵を掛けた。
ひよのドキドキという鼓動が、触れている、抱きしめる自分の腕に伝わってくる。
「ドキドキしてる?」
「うん……」
すごく久しぶりに触れた気がした。ひよの香りが鼻先をくすぐる。
「目、閉じて――」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる