ねぇ、大好きっていって

深智

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〝大好き〟だもん

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 新年の〝なかよし〟は、誰もいない遼ちゃんのお家で。

「親父はもう寝ちまってたし、ひまりさんとオカンは恐らくまだ楽しく呑んでるだろ。俺達が帰って来なくても、しばらくは大丈夫だ」

 久しぶりの遼ちゃんのお部屋です。タバコの香りはするけど、変わらず綺麗に片付いてます。

「パパから電話来ないかな」

 あたしが言うと、遼ちゃん、んー、と苦笑い。

「富士の山頂は、この時期は確か電話は繋がらないはず」

 そういえばいつも、パパは下山してから電話くれてた。山頂からかけてくることはなかった。

「うん、きっと大丈夫」

 あたしが言うと、遼ちゃん「ああ」と答えてあたしの傍に座って、キスしてくれた。

 大好き、遼ちゃんーー!



 まだ寒いお部屋が温まるまで、って遼ちゃんあたしを抱き締めてくれた。

 遼ちゃんのカラダ、久しぶりに全身に感じて、あたしは目を閉じた。

「あったかい」

 遼ちゃんの腕の中で呟いたら。

「あっ、んっ、ふ、ぁ」

 遼ちゃんの唇が首筋に。くすぐったくて首を竦めると。

「足、痛くないか?」

 優しい遼ちゃんの声に、あたしは。

「大丈夫だもん、遼ちゃんが一緒だから」

 そう答えると遼ちゃん、苦笑い。

「それは、大丈夫とは違うだろ」

 あたしをベッドに寝かせた遼ちゃんは、あたしの右足をそっと掴んで――、包帯巻かれた足首に、キスしてくれた。

「ちょっと無理させたから、心配してたんだ」

 遼ちゃんの優しいお顔に胸が、とくん。ゆっくりお顔が近づいて、唇が重なる。遼ちゃん、大好きだよ。

 ねえ遼ちゃん。あたし、遼ちゃんとずっと、ずっと一緒に、いられるよね?

 初詣の帰り、お寺の鐘が聞こえる中、あたしは遼ちゃんの背中で、高い高澄んだお空の、新しい年の綺麗なお星さまたちに聞いていた。

 あたしは、これからもずっと遼ちゃん大好きって言って、遼ちゃんと〝なかよし〟できますか? って。遼ちゃんがあたしから離れていっちゃうなんて事、ないですよね? って

 お星さまの言葉は聞こえないけれど、聞こえるはずがないんだけど。大丈夫だよ、ひよりはずっと遼ちゃんと一緒にいられるよ、って誰かに言って欲しかったの。



 あたしのお洋服、全部脱がせてくれた遼ちゃんとベッドに潜り込む。

 遼ちゃんの温もり、遼ちゃんの肌。全部、全部、大好き。あたしは遼ちゃんの首にしがみついた。

「遼ちゃん、遼ちゃん」
「はい」

 遼ちゃんは優しくお返事をくれて、キスをしてくれる。するりと忍び込む舌が、優しくあたしの舌をなめて、絡めて、上の歯を、ちょっと叩いた。くすぐったい。

「んん……」

 舌を吸われて、あたしも吸って。遼ちゃんの手が、指が――、

「あっ、あっ!」

 思わず、パッと唇離しちゃった。

 カラダの中に電気通されたみたい! 遼ちゃんっ、あたし、おかしくなっちゃうっ。遼ちゃんの腕にしがみついて、あたしはカラダをのけぞらせた。のけぞったあたしの胸の先――!

「ああっ、ん、りょうちゃ……っ、だめ、だめえっ、あああっ」

 いっぺんに、同時はダメですっ! あたしは遼ちゃんの肩を掴んだ。

「りょうちゃんっ、あっ、やぁっあっ」

 ビクンッ、と震えると、遼ちゃんのお顔が上がった。遼ちゃん、いたずらっ子みたいなお顔で笑うと。

「ひよ。もっとかわいい声、聞かせて」

 え? あっ! 遼ちゃんのお指がぁっ!

「やぁっ、あっ、ん! ああっあああっ」

 遼ちゃん、遼ちゃん、遼ちゃんっ! あたしは遼ちゃんのカラダにしがみついた。

「ああっ、んむっ、んー」

 また、唇ふさがれた。カラダをまっすぐに突き抜けるような痺れを逃そうとしたお口、ふさがれて。こもっちゃうのは、火照りと、熱と――。

 唇がゆっくり離れて、あたしは息をついて、遼ちゃんを見つめる。遼ちゃんが、ふわっと笑った。

「初日の出、一緒に見よう」

 そう言えば、遼ちゃんと一緒に朝を迎えたことはなかったんだ……。

「今夜は、朝まで遼ちゃんと一緒にいられるの?」
「そういうこと」

 ママは? 大丈夫かな?

 遼ちゃん「心配しなくていい」って言って、あたしのほっぺたにキスしてくれた。あたしの考えてること、遼ちゃんは分かったみたい。遼ちゃんの唇の気持ちよさに首を竦める。

「母さんが、さっきメールしてきた。ひまりさんと二人で初日の出見に散歩に出るって」

 え、そうなの? 遼ちゃんはあたしの顔を見て、プッと吹き出した。

「ひよは、分かりやす過ぎだ」

 だって。困った顔しちゃったあたしに遼ちゃん、キスしてくれた。

「ひよ、少し寝てもいいぞ。起こしてやるから」

 そう言った遼ちゃん、ベッドの中で、あたしを抱き締めてくれた。

 うん。

 あたしは、遼ちゃんの腕の中で、遼ちゃんの肌の温もりに包まれて目を閉じた。

 密着してる遼ちゃんの厚い胸。規則正しい鼓動が聞こえて、気持ちが落ち着く。

 でも。でもね遼ちゃん。

 このお家、出ちゃうの?

 まだ遼ちゃんから聞いたんじゃないから、もしかしたら間違いかもしれないでしょ?

 でも。

 でもでも、怖くて聞けないの。胸がギュッて潰れてしまうんじゃないかなって思うくらい不安なの。苦しいの。

 あたしは、遼ちゃんのカラダに腕を回して、しがみついた。

「ひよ、眠れないか?」

 遼ちゃんの優しい声に、あたしはふるふると首を振った。



 遼ちゃんが、欲しいです。



 フッと胸に浮かんだ想い。でも、こんなこと、あたしから言えないもん。

 遼ちゃんの、あたしを抱き締めてくれてる腕に、少し力が込められた。

「ひよ、大好きだよ」

 耳に、吐息とともに滑り込んだのは、甘くて優しい遼ちゃんの声。

 あたしの不安は、気のせいなのかな。

 あたしも、遼ちゃんをギュ。

「あたしの方が、大好きだもん……」
「え?」

 遼ちゃんが聞き返したけど、あたしは答えずにそのまま眠っちゃった。

 あたしの〝大好き〟の方が、大きいもん。

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