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二十歳のミュンヘン
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二十歳そこそこのうら若き乙女にとって、遊びたい盛りの少々やんちゃな少年にピアノを教えるというミッションは、
「また逃げた……」
もはや苦行だ。
グランドピアノの蓋に、書置きのようなメモが置かれていた。
「『先生、ふた、開けてみて』……?」
ため息混じりにメモを手に取ったわたしは蓋を開けて絶句した。
八十八鍵ある鍵盤の真ん中あたりの白鍵部分に、黒いペンで落書きされていた。
『ばーか』
一文字一鍵の丁寧さ。いや、感心している場合じゃない。
「あの、くそガキ……」
ピアノに携わる者なら誰しもが一度はフル演奏に使用したい、と思うベーゼンドルファーのグランドピアノ。それほどの名器にこのいたずらは音楽に対する冒涜と言っても過言じゃない。
マジックで落書きされた鍵盤を見つめて呆然としていたわたしは頬にヒヤッとした風を感じて顔を上げた。どこから? と思って窓を見るとカーテンが揺れていた。
窓が開いてる? そっと窓辺に近づくと大きな開き窓が少し開いていて、下の方に黒いものがちらりと見えた。
この領事公邸の屋敷から逃げ出すつもりだな。窓を全開にし、わたしは身を乗り出した。
ミュンヘンの三月は、昼間は寒さも緩み温かくはなるものの、まだ道路淵や日陰に雪が残っている。サッカーボールを抱えて、どこに行く。
「こら、少年」
隠れるように身体を屈めて走り出そうとしていた少年の背中がビクッと震え、サッカーボールが足元に転がった。肩を竦めた状態で、恐る恐る振り返る。
まるで漫画みたいな反応だわ。わたしは吹き出しそうになるのを堪えてニッコリ微笑み、手招きした。
「逃げられると思いなさんな」
「象牙の鍵盤にこんな落書きをして。消えるかどうかわからないわよ」
わたしは厳しい口調で言いながら、湿らせて硬く絞ったティッシュにほんの少し除光液を垂らした。
ピアノを弾く人間であってもたまにはネイルのお洒落はしたい。でも、いつでもどこでも直ぐに落とせるよう、除光液を持ち歩いている。その除光液がこんな使われ方をする日が来るなんて。
サインペンは恐らく落ちる、でもこの鍵盤は象牙。ダメージは未知数だけど背に腹は代えられない。
ほら、とわたしは少年に即席リムーバーティッシュを渡した。けれど彼はむくれてなかなか受け取ろうとしない。それどころかわたしを見上げて言った。
「僕はさ、ピアノなんてやりたくないんだ。友達とサッカーをしたいんだ」
そんな事はわたしの知ったことではない。それよりも、ピアノにこんな悪戯をして、駐ドイツ総領事様のご子息じゃなかったらげんこつの一発もお見舞いしているところだ。
わたしは小さくため息を吐く。親戚どころか知り合いもいない異国の地。しがない留学生をやっているわたしにとっての頼みの綱は母国の総領事館しかない。よって、そこで働く総領事様御家族との間に下手な波風を立てるわけにはいかない。
とりあえず。わたしは少年を睨んだ。
「そういう話しは、お母様にしなさい。わたしはただ、あなたのお母様の御好意で、ご子息にピアノを教える、という仕事のご依頼をいただいているだけだから。それよりも、ピアノをやりたくない、という気持ちはこんな事をやっていい理由にはならないからね」
キツめの口調で言ったわたしは少々乱暴に少年の手を取り、ティッシュを握らせた。絶対に自分でやらせてやる。
わたしと少年は視線をぶつけ、にらみ合った。けれど、さすがは外交官の息子。育ちの良さは折り紙付き。でも普通のボンボンとは訳が違う。海外渡り歩いているだけあって肝が据わっている。八つも年上のわたしに対して一歩も引く様子がなかった。
少年の名前は、手塚玲。
大人びた端正な顔立ちに聡明な光を湛える瞳を持つ。つい最近十二歳になったばかりだというのに将来どんな美貌に育つのか末恐ろしいその顔は睨むと迫力があった。
でも!
「そんなに睨んでみせたって、わたしは今までの先生達とは違うわよ! 引かないわよ!」
身長は、辛うじてまだわたしが勝っていた。仁王立ちで見下ろすわたしに、玲君は一瞬怯んだ。その隙に、わたしは彼の両肩をガシッと掴んでピアノに向かわせた。
「さ、やって」
ちぇっ、という悔しそうな声を出した玲君は、観念したようにわたしから受け取ったティッシュで鍵盤の〝ば〟の字を消し始めた。
わたしはその脇で、さっき蓋の上に置かれていた手紙をもう一度見た。
「『Versuchen Sie diesen deckle zu oeffnen!』か」
ドイツに来て半年も経つのに未だドイツ語発展途上というわたしの弱点を知った上でこの手紙。しかもこの少年、なまりの強いバイエルン州に住みながら、お手本のような標準ドイツ語を使いこなす。
本当に憎ったらしい、と思いながら玲君を見た。
あれだけ文句を言ってはいたけれど、真剣に消し取り作業に取り組む横顔が目に映る。子供のくせに鼻筋の通った顔は大人びた印象を与えはするけれど、やっぱりまだ日本でいう小学六年生。おでこと顎に丸みを残す短い顔は幼かった。
わたしの脳裏に、弟の顔が蘇る。
元気に、してるのかしら。ママに、迷惑かけてないかしら――。胸に去来した郷愁をため息で消し去り、わたしは玲君の横に立った。
「消えるでしょ」
一緒に消し取り作業を始めたわたしに玲君は怪訝な表情を向けた。
「咲希先生?」
負けん気の強そうな少年の顔を見、わたしは言う。
「許したわけじゃないわよ、ただ、早く終わらせないとレッスンに移れないから手伝うだけ」
「……はい」
なんだかんだ言ってもやっぱりまだ子供。案外、素直な時がある。
頭のいい子だと思う。こういう子に無理矢理ピアノを教えたって頑なになるだけで、行く行くはきっとピアノが嫌いになってしまう。じゃあ、どうするか。
「消えたーっ!」
「んー……」
象牙が少々変色して、微かに『ばーか』の跡が残っている気もするけど。
「まあいっか、よし! よくやった!」
頭を撫でると玲君は意外にも、うん、と素直に頷きクシャッとした笑顔を見せた。
始めから、あんな悪戯しなければこんな労力は必要なかった、と言えばそれまでなのだけど、初めて心からのあどけない笑顔をわたしに見せたから許す! とりあえず自分のした事の後始末をした、という達成感は悪くないだろうから。
どうせバレるとは思うけど。
「これは、わたし達だけの秘密にしよう」
わたしの提案に玲君は驚いたような顔をした。
「バレるよ、こんなの」
「いや、きっと大丈夫」
「そう!?」
「うん」
なんの根拠もないけど頷いたわたしに玲君は、アハハと笑った。
「負けた」
「ん?」
想定外の言葉にわたしは目を丸くした。
「咲希先生には負けた、って言ったの。僕やるよ、ちゃんと」
数分前、どうしようか、なんて思っていたのに、なんだか拍子抜け。突然の豹変は要するに、わたしを認めてくれた、っていう事?
この生意気なガキンチョの上からな感じには苦笑を禁じ得ないけれど……ピアノレッスンちゃんと受けてくれるなら良しとするか。
「じゃあ、せっかくやる気になってくれたから、ピアノをこの先嫌いになって欲しくないから、一つだけ話しをさせて」
玲君を椅子座らせたわたしは、目線を合わせて向き合った。玲君は真っすぐにわたしを見つめた。
初めてまともに見た彼の目は澄んでいて、美しい群青色に見えた。その瞳を真っ直ぐに見据えてわたしは話した。
「ピアノはね、自分の為に弾くんじゃないの、大好きな人、大事な人の為に弾くものなのよ」
「大好きな人の為?」
「そう」と答えたわたしに、何か考えていた玲君は聞いた。
「咲希先生も、誰かの為に弾いてる?」
ドキッとした。逆質問されるとは。わたしは、ちょっと考えて、口を開く。
「わたしは――」
脳裏にフッと母の顔が浮かんで、消えた。わたしは苦笑を心の中にしまい込んで言葉を継いだ。
「わたしはプロになる為にピアノを弾いてるの。わたしは、わたしの演奏を聴いてくれる人の為に弾き続けるの」
玲君はわたしの心を覗くように目を見詰めて、ふうん、と言い、ニッと笑った。
「じゃあ、僕は、咲希先生の為に弾くよ」
「へ?」
まったく想定外の言葉。
「な、なに言って」
「咲希先生、嬉しい?」
完全にからかわれてる? こんな子供に!
「大人をからかうんじゃありません!」
「咲希先生はまだ学生、なんだよね? 大人とは言えないと思うよ」
一瞬でお湯が沸きそうなくらい、きーっ! となった頭に深呼吸で酸素を送って、クールダウンし、自分に語り掛けた。
落ち着け、咲希。
「じゃあ、今やってるショパンの幻想即興曲、ちゃーんと完璧に弾けるようになって」
「わかった! 弾けるようになったら、咲希先生は僕のFreundin(彼女)になること!」
この子、こんなマセた子だったんだ!?
いつ、形勢逆転した? いつの間にかご機嫌になってニコニコと笑顔を見せるにわたしはタジタジになった。
初めてわたしを口説いた男は、年下の男だった。それもとびっきり下の。
「分かった、楽しみにしてる。ちゃんと弾けるようになって」
この曲を課題にした意味、彼はちゃんと分かってくれると思う。誰かの為に弾くという事を、この曲が教えてくれると思う。
「じゃあ、始めようか」
「はい」
この数日後、全てが、わたしを取り巻く環境が、わたしの世界が、百八十度変わってしまうなんて思わなかった。
わたしが、別れも告げる事が出来ないまま彼の前から姿を消さなければならない事態が起きるなんて。
「また逃げた……」
もはや苦行だ。
グランドピアノの蓋に、書置きのようなメモが置かれていた。
「『先生、ふた、開けてみて』……?」
ため息混じりにメモを手に取ったわたしは蓋を開けて絶句した。
八十八鍵ある鍵盤の真ん中あたりの白鍵部分に、黒いペンで落書きされていた。
『ばーか』
一文字一鍵の丁寧さ。いや、感心している場合じゃない。
「あの、くそガキ……」
ピアノに携わる者なら誰しもが一度はフル演奏に使用したい、と思うベーゼンドルファーのグランドピアノ。それほどの名器にこのいたずらは音楽に対する冒涜と言っても過言じゃない。
マジックで落書きされた鍵盤を見つめて呆然としていたわたしは頬にヒヤッとした風を感じて顔を上げた。どこから? と思って窓を見るとカーテンが揺れていた。
窓が開いてる? そっと窓辺に近づくと大きな開き窓が少し開いていて、下の方に黒いものがちらりと見えた。
この領事公邸の屋敷から逃げ出すつもりだな。窓を全開にし、わたしは身を乗り出した。
ミュンヘンの三月は、昼間は寒さも緩み温かくはなるものの、まだ道路淵や日陰に雪が残っている。サッカーボールを抱えて、どこに行く。
「こら、少年」
隠れるように身体を屈めて走り出そうとしていた少年の背中がビクッと震え、サッカーボールが足元に転がった。肩を竦めた状態で、恐る恐る振り返る。
まるで漫画みたいな反応だわ。わたしは吹き出しそうになるのを堪えてニッコリ微笑み、手招きした。
「逃げられると思いなさんな」
「象牙の鍵盤にこんな落書きをして。消えるかどうかわからないわよ」
わたしは厳しい口調で言いながら、湿らせて硬く絞ったティッシュにほんの少し除光液を垂らした。
ピアノを弾く人間であってもたまにはネイルのお洒落はしたい。でも、いつでもどこでも直ぐに落とせるよう、除光液を持ち歩いている。その除光液がこんな使われ方をする日が来るなんて。
サインペンは恐らく落ちる、でもこの鍵盤は象牙。ダメージは未知数だけど背に腹は代えられない。
ほら、とわたしは少年に即席リムーバーティッシュを渡した。けれど彼はむくれてなかなか受け取ろうとしない。それどころかわたしを見上げて言った。
「僕はさ、ピアノなんてやりたくないんだ。友達とサッカーをしたいんだ」
そんな事はわたしの知ったことではない。それよりも、ピアノにこんな悪戯をして、駐ドイツ総領事様のご子息じゃなかったらげんこつの一発もお見舞いしているところだ。
わたしは小さくため息を吐く。親戚どころか知り合いもいない異国の地。しがない留学生をやっているわたしにとっての頼みの綱は母国の総領事館しかない。よって、そこで働く総領事様御家族との間に下手な波風を立てるわけにはいかない。
とりあえず。わたしは少年を睨んだ。
「そういう話しは、お母様にしなさい。わたしはただ、あなたのお母様の御好意で、ご子息にピアノを教える、という仕事のご依頼をいただいているだけだから。それよりも、ピアノをやりたくない、という気持ちはこんな事をやっていい理由にはならないからね」
キツめの口調で言ったわたしは少々乱暴に少年の手を取り、ティッシュを握らせた。絶対に自分でやらせてやる。
わたしと少年は視線をぶつけ、にらみ合った。けれど、さすがは外交官の息子。育ちの良さは折り紙付き。でも普通のボンボンとは訳が違う。海外渡り歩いているだけあって肝が据わっている。八つも年上のわたしに対して一歩も引く様子がなかった。
少年の名前は、手塚玲。
大人びた端正な顔立ちに聡明な光を湛える瞳を持つ。つい最近十二歳になったばかりだというのに将来どんな美貌に育つのか末恐ろしいその顔は睨むと迫力があった。
でも!
「そんなに睨んでみせたって、わたしは今までの先生達とは違うわよ! 引かないわよ!」
身長は、辛うじてまだわたしが勝っていた。仁王立ちで見下ろすわたしに、玲君は一瞬怯んだ。その隙に、わたしは彼の両肩をガシッと掴んでピアノに向かわせた。
「さ、やって」
ちぇっ、という悔しそうな声を出した玲君は、観念したようにわたしから受け取ったティッシュで鍵盤の〝ば〟の字を消し始めた。
わたしはその脇で、さっき蓋の上に置かれていた手紙をもう一度見た。
「『Versuchen Sie diesen deckle zu oeffnen!』か」
ドイツに来て半年も経つのに未だドイツ語発展途上というわたしの弱点を知った上でこの手紙。しかもこの少年、なまりの強いバイエルン州に住みながら、お手本のような標準ドイツ語を使いこなす。
本当に憎ったらしい、と思いながら玲君を見た。
あれだけ文句を言ってはいたけれど、真剣に消し取り作業に取り組む横顔が目に映る。子供のくせに鼻筋の通った顔は大人びた印象を与えはするけれど、やっぱりまだ日本でいう小学六年生。おでこと顎に丸みを残す短い顔は幼かった。
わたしの脳裏に、弟の顔が蘇る。
元気に、してるのかしら。ママに、迷惑かけてないかしら――。胸に去来した郷愁をため息で消し去り、わたしは玲君の横に立った。
「消えるでしょ」
一緒に消し取り作業を始めたわたしに玲君は怪訝な表情を向けた。
「咲希先生?」
負けん気の強そうな少年の顔を見、わたしは言う。
「許したわけじゃないわよ、ただ、早く終わらせないとレッスンに移れないから手伝うだけ」
「……はい」
なんだかんだ言ってもやっぱりまだ子供。案外、素直な時がある。
頭のいい子だと思う。こういう子に無理矢理ピアノを教えたって頑なになるだけで、行く行くはきっとピアノが嫌いになってしまう。じゃあ、どうするか。
「消えたーっ!」
「んー……」
象牙が少々変色して、微かに『ばーか』の跡が残っている気もするけど。
「まあいっか、よし! よくやった!」
頭を撫でると玲君は意外にも、うん、と素直に頷きクシャッとした笑顔を見せた。
始めから、あんな悪戯しなければこんな労力は必要なかった、と言えばそれまでなのだけど、初めて心からのあどけない笑顔をわたしに見せたから許す! とりあえず自分のした事の後始末をした、という達成感は悪くないだろうから。
どうせバレるとは思うけど。
「これは、わたし達だけの秘密にしよう」
わたしの提案に玲君は驚いたような顔をした。
「バレるよ、こんなの」
「いや、きっと大丈夫」
「そう!?」
「うん」
なんの根拠もないけど頷いたわたしに玲君は、アハハと笑った。
「負けた」
「ん?」
想定外の言葉にわたしは目を丸くした。
「咲希先生には負けた、って言ったの。僕やるよ、ちゃんと」
数分前、どうしようか、なんて思っていたのに、なんだか拍子抜け。突然の豹変は要するに、わたしを認めてくれた、っていう事?
この生意気なガキンチョの上からな感じには苦笑を禁じ得ないけれど……ピアノレッスンちゃんと受けてくれるなら良しとするか。
「じゃあ、せっかくやる気になってくれたから、ピアノをこの先嫌いになって欲しくないから、一つだけ話しをさせて」
玲君を椅子座らせたわたしは、目線を合わせて向き合った。玲君は真っすぐにわたしを見つめた。
初めてまともに見た彼の目は澄んでいて、美しい群青色に見えた。その瞳を真っ直ぐに見据えてわたしは話した。
「ピアノはね、自分の為に弾くんじゃないの、大好きな人、大事な人の為に弾くものなのよ」
「大好きな人の為?」
「そう」と答えたわたしに、何か考えていた玲君は聞いた。
「咲希先生も、誰かの為に弾いてる?」
ドキッとした。逆質問されるとは。わたしは、ちょっと考えて、口を開く。
「わたしは――」
脳裏にフッと母の顔が浮かんで、消えた。わたしは苦笑を心の中にしまい込んで言葉を継いだ。
「わたしはプロになる為にピアノを弾いてるの。わたしは、わたしの演奏を聴いてくれる人の為に弾き続けるの」
玲君はわたしの心を覗くように目を見詰めて、ふうん、と言い、ニッと笑った。
「じゃあ、僕は、咲希先生の為に弾くよ」
「へ?」
まったく想定外の言葉。
「な、なに言って」
「咲希先生、嬉しい?」
完全にからかわれてる? こんな子供に!
「大人をからかうんじゃありません!」
「咲希先生はまだ学生、なんだよね? 大人とは言えないと思うよ」
一瞬でお湯が沸きそうなくらい、きーっ! となった頭に深呼吸で酸素を送って、クールダウンし、自分に語り掛けた。
落ち着け、咲希。
「じゃあ、今やってるショパンの幻想即興曲、ちゃーんと完璧に弾けるようになって」
「わかった! 弾けるようになったら、咲希先生は僕のFreundin(彼女)になること!」
この子、こんなマセた子だったんだ!?
いつ、形勢逆転した? いつの間にかご機嫌になってニコニコと笑顔を見せるにわたしはタジタジになった。
初めてわたしを口説いた男は、年下の男だった。それもとびっきり下の。
「分かった、楽しみにしてる。ちゃんと弾けるようになって」
この曲を課題にした意味、彼はちゃんと分かってくれると思う。誰かの為に弾くという事を、この曲が教えてくれると思う。
「じゃあ、始めようか」
「はい」
この数日後、全てが、わたしを取り巻く環境が、わたしの世界が、百八十度変わってしまうなんて思わなかった。
わたしが、別れも告げる事が出来ないまま彼の前から姿を消さなければならない事態が起きるなんて。
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