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闘い
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私は朝制服に袖を通して鏡を見た。きっとこれが最後なんだろうね。
「広瀬先生はいらっしゃいますか?」
学校に着いて職員室に行くと少し暖房がきいてて暖かかった。
「…ってことはみんなに言うのか。じゃあ二限目はHRに変えるか…」
「ありがとうございます…」
自分で言わないと意味がないの。もう決心はついたのだから。
「おーい、席つけー。二限はHRにする」
「えーなにすんの??」
私は廊下で一人待ちながら呼ばれるのを待った。
「坂倉から話がある」
私は促されるまま教団に上がる。でも立つのはもうしんどいので椅子に座ることにした。
「…わたしは、みなさんに秘密にしていたことがあります。それはみなさんにとって関係のないことかもしれません。これから話すことは少し辛いかもしれないけど最後まで聴いてくれると嬉しいです」
菜緒と目があう。心配そうに見てくる…。
私は、大丈夫だから…。
「私は、余命宣告をされていました」
クラスが一斉にどよめき、ざわつく。
「…されたのはもう随分前のことに感じます。
余命宣告をされた時、延命治療を受けるか受けないかと聞かれ、受けない選択をしました。
どうして、と思う人もいることでしょう。でも、私は自由に生きたいと思ったから…。
今まで出来ていたことが日に日に出来なくなっていくのが悔しくて、悲しくて…。
そして、日々の何気ない生活が大切なんだと、気付かされました。
…私は今までみなさんとあまり話したことがなかったよね…。でも、最後の文化祭とってもとっても楽しかった。…もっと欲を言えば、もっと仲良くしたかった。一緒にっ…思い出を作りたかった。
これは…私の唯一の後悔です。
そして、今日こんな話をするのは、私が今日から入院するからです…。きちんと学校に来れるのは、もうきっと…最後です。みなさんと会えるのも、もうこれで最後です」
…最後の方はきっと涙で言葉が詰まって聞き取りにくかったことでしょう。
みんなの顔を見ると何人か目が赤い人や泣いている人もいてくれた。
「笑顔で送ってやろう?」
広瀬先生のその言葉にみんなが頷いた。
「みんな、ありがとう…。またね」
さよならは言わないと決めていた。あえて「またね」と言ったのは、私の最後の反抗だったのかもしれない…。
校門を抜けて車に乗り込もうとした時、こよみ!!と私を呼ぶ声が聞こえた。まだを見ると三階のところからクラスのみんながいて…。
「どうして……」
「…せーのっ、坂倉頑張れ!!」
「みんな待ってるから!!」
「っ…ありがとう…本当に、本当にありがとう」
私はなんて恵まれているのだろう。想ってくれる人がいる、それがどんなに嬉しいことか、あのとき違う選択をしていたら私はきっと知ることがなかった。
___病院に着くとすぐに部屋に案内された。なんというか…とても家みたいな病室?病室みたいな家?な部屋だった。
「…検査は明日からよ。固形物が食べられるようになったら家には帰れるからね」
家には…ね。私はどうも思っているより重症らしい。
「……辛い思いをさせちゃってごめんね。とりあえずベットに入って大人しくしておこうね。じゃあ、また来るから」
白川先生が部屋を出たあと、少し…泣きそうになった。
「広瀬先生はいらっしゃいますか?」
学校に着いて職員室に行くと少し暖房がきいてて暖かかった。
「…ってことはみんなに言うのか。じゃあ二限目はHRに変えるか…」
「ありがとうございます…」
自分で言わないと意味がないの。もう決心はついたのだから。
「おーい、席つけー。二限はHRにする」
「えーなにすんの??」
私は廊下で一人待ちながら呼ばれるのを待った。
「坂倉から話がある」
私は促されるまま教団に上がる。でも立つのはもうしんどいので椅子に座ることにした。
「…わたしは、みなさんに秘密にしていたことがあります。それはみなさんにとって関係のないことかもしれません。これから話すことは少し辛いかもしれないけど最後まで聴いてくれると嬉しいです」
菜緒と目があう。心配そうに見てくる…。
私は、大丈夫だから…。
「私は、余命宣告をされていました」
クラスが一斉にどよめき、ざわつく。
「…されたのはもう随分前のことに感じます。
余命宣告をされた時、延命治療を受けるか受けないかと聞かれ、受けない選択をしました。
どうして、と思う人もいることでしょう。でも、私は自由に生きたいと思ったから…。
今まで出来ていたことが日に日に出来なくなっていくのが悔しくて、悲しくて…。
そして、日々の何気ない生活が大切なんだと、気付かされました。
…私は今までみなさんとあまり話したことがなかったよね…。でも、最後の文化祭とってもとっても楽しかった。…もっと欲を言えば、もっと仲良くしたかった。一緒にっ…思い出を作りたかった。
これは…私の唯一の後悔です。
そして、今日こんな話をするのは、私が今日から入院するからです…。きちんと学校に来れるのは、もうきっと…最後です。みなさんと会えるのも、もうこれで最後です」
…最後の方はきっと涙で言葉が詰まって聞き取りにくかったことでしょう。
みんなの顔を見ると何人か目が赤い人や泣いている人もいてくれた。
「笑顔で送ってやろう?」
広瀬先生のその言葉にみんなが頷いた。
「みんな、ありがとう…。またね」
さよならは言わないと決めていた。あえて「またね」と言ったのは、私の最後の反抗だったのかもしれない…。
校門を抜けて車に乗り込もうとした時、こよみ!!と私を呼ぶ声が聞こえた。まだを見ると三階のところからクラスのみんながいて…。
「どうして……」
「…せーのっ、坂倉頑張れ!!」
「みんな待ってるから!!」
「っ…ありがとう…本当に、本当にありがとう」
私はなんて恵まれているのだろう。想ってくれる人がいる、それがどんなに嬉しいことか、あのとき違う選択をしていたら私はきっと知ることがなかった。
___病院に着くとすぐに部屋に案内された。なんというか…とても家みたいな病室?病室みたいな家?な部屋だった。
「…検査は明日からよ。固形物が食べられるようになったら家には帰れるからね」
家には…ね。私はどうも思っているより重症らしい。
「……辛い思いをさせちゃってごめんね。とりあえずベットに入って大人しくしておこうね。じゃあ、また来るから」
白川先生が部屋を出たあと、少し…泣きそうになった。
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