空からのI LOVE YOU

奈津 柚亜里

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闘い

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ドアをノックする音で目がさめる。どうやら眠ってしまったらしい。

「安藤万理です。よろしくね?」

とても可愛らしい人だなぁ、というのが第一印象。

「こよみです。よろしく」

「点滴するねー」

え、嫌です。ほんと、嫌です。

万理さんは、大丈夫よー私上手いから、なんて鼻歌まで歌っているし…。

「…はい、痛くない。そろそろ学校終わる時間ね?誰か来るの?」

「多分、二人…あ、来たかも」

丁度ドアが開いた。

「こよみ大丈夫??」

「平気か?」

拓人くんは、いないのね。

「拓人は委員会よ。初めまして。水瀬菜緒です。そしてこっちが岡本明」

「よろしくね、安藤万理です。万理さんって呼んでね」

「えっと、菜緒は私の親友。明は…彼氏です」

あ、なんか急に恥ずかしくなってきた…。

「こよみちゃん彼氏いたの?!まぁ、そうよね…。でも私には…誰かいないかなぁ」

「だ、大丈夫ですよ!万理さんお綺麗ですし、若いですし!」

「そう?あ、看護師長に呼ばれてた、じゃあね」


「…菜緒から聞いたよ。頑張ったんだって?お疲れ様」

「あの後ねみんな廊下で泣いちゃって大変だったのよ。先生も目が赤かったし」

「あはは、そんなに涙もろいんだ?そういえばそうと、お見舞来てくれてありがとね」

「俺は多分毎日来るよ。あ、それと優が熱出してな…」

「大丈夫なの?心配ね」

「ほら、こよみは自分の心配しなさいよ。じゃあそろそろ弟のご飯作りに帰るね」

「バイバイ」

二人が帰るとまた静まり返る病室。すごく心細い。すでにホームシックになりそうだよ…。


それから毎日明は病室に通ってくれた。

「こよみちゃん、おはよう…はい、終わり」

「ん…おはよう。眠たい…」

どうやら万理さんは私が寝ぼけているときに点滴をしたらいいということを発見したらしい。
そしてその日のお昼過ぎ、私は白川先生に検査の結果を聞いていた。

「今の所、進んではいないようね。このまま固形物食べれたら一回家に帰る?」

「ほんと?やった…」

………しばらくして、お母さんが私を訪れた。

「あら、おかえり。そうそう、この前のブランドね、名前決まったのよ」

この前のブランド、とは私が最後のデートのときに着た服のブランドだ。

「え、なに??」

「LOVELY ANGEL」

ラブリー…エンジェル…。どういう意図でそんな名前にしたんだろう。

「理由はまた今度、楽しみにしててね。あ、そろそろ会議だから行かないと…ごめんね、こよみ」

「いいよ、行ってらっしゃい」

お母さんと入れ違いに万理さんが入ってきた。

「ね、万理さん。今度お母さんの新しいブランドが出来るの。それで、その名前がね『LOVELY ANGEL』って言うの。まだ内緒よ?」

そう言うと万理さんは少し考え込んだようで、

「…可愛らしい…天使?まさか」

「なに?」

「…なんでもないわ。そうそう、リゾット食べてみる?」

「少し」

私はリゾットを出してもらって食べたんだけど、やっぱり三分の一くらいしか食べられなかった。それより、病院食の味じゃなかった…。後から聞くと、どうやら本物のシェフが作ったとかなんとか…。

そのあとはとりあえず何もなかったんだけど。…胸あたりに異変を感じた午前一時半ごろ。

気持ち…悪い。
ナースコールを押すと万理さんがすぐに来てくれた。

「気持ち悪い?よしよし、全部出しちゃっていいからね」

結局、夜食べたのもは全て吐き出してしまった。

「大丈夫よ。だから寝よう?」

「うん」

私は少し悔しくなった。
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