空からのI LOVE YOU

奈津 柚亜里

文字の大きさ
30 / 35
さよなら、大好きな人。

23

しおりを挟む
「おはよう、万理さん…」

「あら、今日は早いのね?」

もう、そろそろダメだな。しんどい…。

「一つ…お願い聞いてくれるかな?」

「え?」



__________それは六限が終わり、帰ろうとしたときだった。広瀬の携帯には一本の電話。

「お、岡本!!いるか!」

突然教室に広瀬先生が入ってきた。俺に話?珍しい。

「はい?」

「坂倉がっ、今恵梨香から連絡あって!」

こよみが?!まさか…そんなの…。

「とりあえず、水瀬と矢野呼んで下まで降りてこい!俺が乗せてってやるから!」

広瀬先生の車に乗り病院へ向かう途中、菜緒はずっと震えていた。

「…いやよ。そんな、こよみ…」

エントランスに降りると万理さんが立っていた。

「はやく、こちらへ!!」

病室にいくとこよみの両親、カフェのマスター、優がもういて…こよみが目を閉じて横たわっていた。



____________私は真っ先にこよみの元へ向かった。名前を呼んでも返してはくれない。規則的な胸の上下だけが唯一の安心だった。

「もう、覚悟をして頂きたい…。今はなんとか喋ることができるようですが…」

白川先生が苦しそうに告げる。

「こよみちゃん、明だけ置いていくなんて駄目だよ!俺だけじゃ大変なんだから!」

「こよみちゃん、私もっと一緒に話したいよ!」

「なかなか一緒にいてやれなくてごめんな…しっかりしろ!」

「こよみ、明のためにもまだ一緒に居てやってくれないかな!」

みんな必死にこよみに話しかける。

「っ、こよみ!お願いよ、まだ一緒にいたいよ…。水族館でも、映画でもどこでもいいからもっと一緒にいようよ!!だからお願い…私を置いていかないで!」

「なぁ、こよみ!俺を一人にしないでくれ!死ぬな!」

私たちの顔はもう涙でぐちゃぐちゃで…。

「わ…たし。幸せ、だったよ?あり…がと。みんな…だいすき…」

こよみの目から涙がこぼれ落ちた。そしてこよみは静かに旅立っていった。

「午後…八時、五十八分。こよみちゃん、お疲れさま。よく…頑張ったねっ…」

白川先生が現実を言葉にした。受け入れられない現実を。




________________俺は何もしてあげられない。亡き大親友のそばで泣きじゃくる彼女になんと言ってあげれば良いのか、わからなかった。

「い…いや、いやよ。こよみ…こよみ!ねぇ、ただ眠っただけなんでしょう、起きてよ…ねえ、起きて…こよみぃ…」

彼女にとってあの娘がどれだけ大きな存在だったか、わかっていたつもりだった。でも俺はわかっていなかった。

「………っ」

俺の親友はただ静かに涙を流した。
気づけば自分も涙を流していた。いろんな意味でとてもとても大切な人を失ってしまったのだと、そう思った。



______________うそだ。恵さんや菜緒の姿を呆然と見つめる。そんな、バカな。あるわけねーよ…。

「みなさん実は私、こよみちゃんから手紙を預かっているんです。私はきっと今日駄目になるから、その時渡して…と。大切に読んであげてください」

そんなの、渡されたら余計に現実を見せられる。


こよみは……俺の大切な彼女はもうこの世にはいないのだと。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

可愛らしい人

はるきりょう
恋愛
「でも、ライアン様には、エレナ様がいらっしゃるのでは?」 「ああ、エレナね。よく勘違いされるんだけど、エレナとは婚約者でも何でもないんだ。ただの幼馴染み」 「それにあいつはひとりで生きていけるから」 女性ながらに剣術を学ぶエレナは可愛げがないという理由で、ほとんど婚約者同然の幼馴染から捨てられる。 けれど、 「エレナ嬢」 「なんでしょうか?」 「今日の夜会のパートナーはお決まりですか?」  その言葉でパートナー同伴の夜会に招待されていたことを思い出した。いつものとおりライアンと一緒に行くと思っていたので参加の返事を出していたのだ。 「……いいえ」  当日の欠席は著しく評価を下げる。今後、家庭教師として仕事をしていきたいと考えるのであれば、父親か兄に頼んででも行った方がいいだろう。 「よければ僕と一緒に行きませんか?」

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

処理中です...