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さよなら、大好きな人。
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「おはよう、万理さん…」
「あら、今日は早いのね?」
もう、そろそろダメだな。しんどい…。
「一つ…お願い聞いてくれるかな?」
「え?」
__________それは六限が終わり、帰ろうとしたときだった。広瀬の携帯には一本の電話。
「お、岡本!!いるか!」
突然教室に広瀬先生が入ってきた。俺に話?珍しい。
「はい?」
「坂倉がっ、今恵梨香から連絡あって!」
こよみが?!まさか…そんなの…。
「とりあえず、水瀬と矢野呼んで下まで降りてこい!俺が乗せてってやるから!」
広瀬先生の車に乗り病院へ向かう途中、菜緒はずっと震えていた。
「…いやよ。そんな、こよみ…」
エントランスに降りると万理さんが立っていた。
「はやく、こちらへ!!」
病室にいくとこよみの両親、カフェのマスター、優がもういて…こよみが目を閉じて横たわっていた。
____________私は真っ先にこよみの元へ向かった。名前を呼んでも返してはくれない。規則的な胸の上下だけが唯一の安心だった。
「もう、覚悟をして頂きたい…。今はなんとか喋ることができるようですが…」
白川先生が苦しそうに告げる。
「こよみちゃん、明だけ置いていくなんて駄目だよ!俺だけじゃ大変なんだから!」
「こよみちゃん、私もっと一緒に話したいよ!」
「なかなか一緒にいてやれなくてごめんな…しっかりしろ!」
「こよみ、明のためにもまだ一緒に居てやってくれないかな!」
みんな必死にこよみに話しかける。
「っ、こよみ!お願いよ、まだ一緒にいたいよ…。水族館でも、映画でもどこでもいいからもっと一緒にいようよ!!だからお願い…私を置いていかないで!」
「なぁ、こよみ!俺を一人にしないでくれ!死ぬな!」
私たちの顔はもう涙でぐちゃぐちゃで…。
「わ…たし。幸せ、だったよ?あり…がと。みんな…だいすき…」
こよみの目から涙がこぼれ落ちた。そしてこよみは静かに旅立っていった。
「午後…八時、五十八分。こよみちゃん、お疲れさま。よく…頑張ったねっ…」
白川先生が現実を言葉にした。受け入れられない現実を。
________________俺は何もしてあげられない。亡き大親友のそばで泣きじゃくる彼女になんと言ってあげれば良いのか、わからなかった。
「い…いや、いやよ。こよみ…こよみ!ねぇ、ただ眠っただけなんでしょう、起きてよ…ねえ、起きて…こよみぃ…」
彼女にとってあの娘がどれだけ大きな存在だったか、わかっていたつもりだった。でも俺はわかっていなかった。
「………っ」
俺の親友はただ静かに涙を流した。
気づけば自分も涙を流していた。いろんな意味でとてもとても大切な人を失ってしまったのだと、そう思った。
______________うそだ。恵さんや菜緒の姿を呆然と見つめる。そんな、バカな。あるわけねーよ…。
「みなさん実は私、こよみちゃんから手紙を預かっているんです。私はきっと今日駄目になるから、その時渡して…と。大切に読んであげてください」
そんなの、渡されたら余計に現実を見せられる。
こよみは……俺の大切な彼女はもうこの世にはいないのだと。
「あら、今日は早いのね?」
もう、そろそろダメだな。しんどい…。
「一つ…お願い聞いてくれるかな?」
「え?」
__________それは六限が終わり、帰ろうとしたときだった。広瀬の携帯には一本の電話。
「お、岡本!!いるか!」
突然教室に広瀬先生が入ってきた。俺に話?珍しい。
「はい?」
「坂倉がっ、今恵梨香から連絡あって!」
こよみが?!まさか…そんなの…。
「とりあえず、水瀬と矢野呼んで下まで降りてこい!俺が乗せてってやるから!」
広瀬先生の車に乗り病院へ向かう途中、菜緒はずっと震えていた。
「…いやよ。そんな、こよみ…」
エントランスに降りると万理さんが立っていた。
「はやく、こちらへ!!」
病室にいくとこよみの両親、カフェのマスター、優がもういて…こよみが目を閉じて横たわっていた。
____________私は真っ先にこよみの元へ向かった。名前を呼んでも返してはくれない。規則的な胸の上下だけが唯一の安心だった。
「もう、覚悟をして頂きたい…。今はなんとか喋ることができるようですが…」
白川先生が苦しそうに告げる。
「こよみちゃん、明だけ置いていくなんて駄目だよ!俺だけじゃ大変なんだから!」
「こよみちゃん、私もっと一緒に話したいよ!」
「なかなか一緒にいてやれなくてごめんな…しっかりしろ!」
「こよみ、明のためにもまだ一緒に居てやってくれないかな!」
みんな必死にこよみに話しかける。
「っ、こよみ!お願いよ、まだ一緒にいたいよ…。水族館でも、映画でもどこでもいいからもっと一緒にいようよ!!だからお願い…私を置いていかないで!」
「なぁ、こよみ!俺を一人にしないでくれ!死ぬな!」
私たちの顔はもう涙でぐちゃぐちゃで…。
「わ…たし。幸せ、だったよ?あり…がと。みんな…だいすき…」
こよみの目から涙がこぼれ落ちた。そしてこよみは静かに旅立っていった。
「午後…八時、五十八分。こよみちゃん、お疲れさま。よく…頑張ったねっ…」
白川先生が現実を言葉にした。受け入れられない現実を。
________________俺は何もしてあげられない。亡き大親友のそばで泣きじゃくる彼女になんと言ってあげれば良いのか、わからなかった。
「い…いや、いやよ。こよみ…こよみ!ねぇ、ただ眠っただけなんでしょう、起きてよ…ねえ、起きて…こよみぃ…」
彼女にとってあの娘がどれだけ大きな存在だったか、わかっていたつもりだった。でも俺はわかっていなかった。
「………っ」
俺の親友はただ静かに涙を流した。
気づけば自分も涙を流していた。いろんな意味でとてもとても大切な人を失ってしまったのだと、そう思った。
______________うそだ。恵さんや菜緒の姿を呆然と見つめる。そんな、バカな。あるわけねーよ…。
「みなさん実は私、こよみちゃんから手紙を預かっているんです。私はきっと今日駄目になるから、その時渡して…と。大切に読んであげてください」
そんなの、渡されたら余計に現実を見せられる。
こよみは……俺の大切な彼女はもうこの世にはいないのだと。
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