妄想女子のLOVEマーケット!

ひろろ

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先輩と私

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 ここは、スーパーマーケットまる川株式会社 本社ビル。


本日は、各地にある店舗から、グロサリーチーフが集合している。


天羽あまはさん、お久しぶりです」


「ああ桂木さん、凄く久しぶりだね。

今、麦星店だっけ?

今日は、向坂さきさかさんの代わりに来たの?」


「そうなんです。
向坂チーフってば、予定があるから、チーフ会議は お前が行け!って。

他の店舗は、ちゃんとにチーフが来ているのになあ」


「あはは、向坂さんは自由人だからね!
諦めた方がいいよ。

そうだそうだ、丁度、桂木さんと話したいな、って思っていたの。

会議が終わったら、ご飯に行かない?」


「はい、喜んで!」


 天羽さんは、私が南墨崎店にいた頃の上司だ。


男ばかりの店舗社員の中で、バリバリと仕事をこなし、常に売上予算を達成させている、凄腕女性チーフなんだよね。


私の憧れる先輩の1人だ。


30代前半だったかな?


確か、まだ独身のはず。

………………

「ごめんね、付き合わせて。
ところで、彼氏は出来たの?」


 本社の近くにあるファミレスで、注文を終えると、天羽さんが聞いてきた。


「えっ?いえ、いません。
出逢いのチャンスが、全くありませんから!」


「南墨崎店の時、待ち人がいる!って言っていたけど?
その人と、結局、逢えなかったわけ?」


 あっ、岩瀬さんの事を言っているんだな。


「ええと、結果的には会えました。
すっごい偶然に! 

いえ、違うかもしれないけど。

私は、運命的な再会?と思ったんですよ。

でも、その先、特に進展はありませんでした。

それよりも、天羽さんの事ですよ。
私と話したい!って、何かあったんですか?」


「あ……。そう言ったかな?」


 天羽さんはそう言って、水をひと口飲んだ。


後輩に話すべき事なのか、迷っているのかもしれない。


「どうしたんですか?

私達は、南墨崎店の女組と言って、仲良くしていたじゃないですか?

どうぞ、何でも話して下さい」


 天羽さんは笑って頷いた。


「えーと、あれは2、3ヶ月前くらいかな?

メーカー様から、口腔洗浄剤の回収令が出たの、覚えている?」


「あっ、はい。異物混入の恐れがあるとかって。
麦星店は、該当品は無かったですけど。
それが何か?」


 うちの店は、その辺の売れ行きが鈍いから、入れ替えが少ないのよね。


「こっちは該当品が、回収令の前日に入荷して。

で、その日に買った方がいたの!

普段なら、お客様からの申告を待つけど、メーカー様からの願いだったから。

レシート情報で、購入者を探したんだよ」


 わあ、それは大変な作業だ!


目が乾いて痛くなるから、出来れば調べたくないですよね。


「それは、お疲れ様でした。
と言うことは、そのお客様に連絡をして、回収したんですね?」


「そっ、当たり!

電話をして、お詫びをして……。
それで……あの」


 天羽さんは、言いにくそうに話した。


「えっ、そのお客様から、該当品を受け取ったのに、返金作業をしないで、後日、新品を渡すという形にしたんですか?

なぜ?どうしてですか?

もしかして、その方に、また会いたかったとか?」


「いや、いや、それは無いから。
お客様のご希望だったの!

新しいのが入荷したら、連絡をしてと言われてね。

それで、それから。

顔見知りになって、挨拶をするようになったんだけど。

ホテルに行った時に、偶然、会って……」


 うん?顔が紅くなった?


「偶然会って?どうしたんですか?

あっ、ホテル!って、まさかのまさか?」


「は?何言ってんの!
そんなのあり得ないでしょっ!
もう、何を言い出すのっ!」


 天羽さんは、かなり怒りながらも、詳細を話してくれた。

…………………

「いいなぁ。彼氏、出来たんですね」


「やっだぁ。違う、違う!
一緒に、食事に行っているだけだし。

しかも、仕事絡みみたいだしね。

向こうは、私の事を相手にしていないと思うよ。

年齢が、明らかに私より上だし……。
あっ!」


 天羽さんはスープを飲もうと、持ち上げていたスプーンを、そのままにして停止した。
 

「ど、どうしました?」


「やだ、どうしよう。

確認してない!
私、既婚者かどうかを確認してないよ」


「えっ……」


 これには、私も絶句だ。


「……えっと、天羽さん。
因みに、薬指は確認をしました?」


「ううん、見てない。
でも指輪は無かった、と思う……。
私、誘われたから、てっきり独身と思っていて……。あーーー」


 ポロン!


「天羽さん、スマホの音がしましたよ」


「あ、うん。……彼からだ」


 テーブルに置いていたスマホを 急いで確認する天羽さんが、とても可愛く見えた。


羨ましいと心から思う。


でも、次の瞬間、彼女の表情が変わった。


「えー!どういうこと?」


そう言ったきり、黙ってスマホを見つめている。


とても混乱している様子だ。


「どうしたんですか?」


 聞いてみたけど、聞こえていないらしい。


なぜ、考え込んでいるの?


天羽さんっ、早く話して下さい!


気になります!

…………………

「ただいまぁ。

なんて言っても、誰もいないよね。

居たら、逆に怖いわあ」


 あの後、結局、はぐらかされちゃった。


あんなに話してくれていたのに、突然ダンマリになって、考え事をしちゃうなんて、どうしたんだろう?


それにしても、天羽さんは恋をしているのか、羨ましいなあ。


 うん?いや、待てよ。


もしかして、相手が既婚者だと判明したとか?


それで、私に話せなくなった、とか?


もしそうだったとしたら、止めるべきかな?


いやいや、私にそんな権利は無いか。


 ちょっと、天羽さん、妄想が止まらないから、早く話して下さーい!
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