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本編(小話)
一条 龍(一匹狼)
しおりを挟む一条 龍(いちじょう りゅう)
毎日愛が自室でどんちゃん騒ぎをする為、睡眠不足とストレスがマックスになっていた
何度やめてくれと言っても聞き入れてもらえず、イライラしたが、好きな相手に嫌われたくない彼は、我慢していた
そんなある日、気に食わない男(奏。愛がやけに構う上、少しも嬉しそうじゃないどころか、困っているので、龍は嫉妬している)に会う
難癖をつけている途中で、体調不良で倒れる
奏は仕方なく、校医を呼びに行く(龍に一度殴られたことがあるので、印象は最悪。本人しか知らないが、本当は殴る気はなく、「愛に近付くな」と脅しのつもりだったが、避けると思っていた奏が避けないので、殴ってしまっただけ。奏としては、この手のタイプは、避けると更に逆上して襲いかかってくる為、敢えて殴られることでスッキリしてもらい、これ以上面倒なことに発展しないようにした。八つ当たりはしてしまうが、無抵抗な人や無力な人を傷付けることを嫌う龍は、奏に対して罪悪感があったが、なかなか謝れず、有耶無耶になってしまった)
長時間眠った龍は、朝から夕方になっていること、保健室で寝ていたことに驚く
八つ当たりをしていたにも関わらず、倒れた自分を助けてくれた奏に、忘れかけていた罪悪感が募る(連日の騒ぎで、寝不足になり、身体的にも精神的にも追い詰められていた)
「俺はクズだけど、ゴミにはなりたくねぇ…」と奏に謝罪しに行く(これまでのことを謝り、助けてくれたお礼も、誠心誠意伝えた)
まさかの土下座謝罪を受け、許したことで、憔悴している龍が(ほんの少し)気になる
とりあえず室内に招き事情を聞くと、愛と同室は想像以上に酷い状態で、(このままだと悲惨なことになるんじゃないか…)と思った奏は、龍の趣味は料理と知り、あることを提案する(龍は根が良い子だと分かったので、放っておけなくなった)
夜だけ奏と社の食事を用意してくれたら、代わりに寝泊まり自由、と提案(食費は払うし、リビングは好きに使ってくれて構わない)
隣で話を聞いていた社が渋ったが、「見捨てて何かあったら後味悪くないか?」奏にそう言われ、「ご飯が不味くなるな。…分かったよ。雪見が一条を許すなら、俺は構わない。…だけど、いいか、一条。もし、お前がまた雪見を傷付けたら、すぐに追い出すからな」と一応龍に釘を刺して、説得成功
龍は二人に申し訳なく思いながらも、何の前触れもなく倒れたことに不安があったので、奏の提案を有り難く受け入れ、二人に謝罪と礼を告げた
社の説得後、龍の寝床をどうするか、という話し合いをした際、「リビングのソファーで寝るより、客用布団を敷いた方がいいんじゃないか?ベッドがいいなら、俺の部屋使っていいよ。見られて困るものはないし。俺はどっちでも寝れる」と奏が言うと、社は断固反対し、龍は全力で遠慮した(そこまで図々しいことはできねぇ)結果的に、客用布団を借りて、リビングで寝ることになった
※寮内であれば、何日だろうと、泊まりは許可されている(相手や同室者に迷惑をかけないという前提条件は当然ある)
龍は「言っとくけど、料理は誰にも習ってねぇし、ただの趣味だから、普通のもんしか作れねえ…」と言いながら、家庭料理を作る(温かい雰囲気の食堂と料理が好きで、休みの度に、外出届けを出し、学園から色んな定食屋に通いつめ、独自に試行錯誤を重ねた)
一口食べただけで、奏と社の胃袋を掴み、提案は無事成立
「美味しい…!一条凄いな!」
奏は目を輝かせ、
「初めて食べる味だが、美味しいな…!革命だ!」
社は興奮した
奏と社に大絶賛され、龍は照れ臭そうに笑った
料理上手のベタ(王道)なツンデレ…かと思いきや、ヘタレなオカン男子(見た目はワイルドな不良少年)
家系が医療従事者(親戚を含めて、殆ど医師、たまに研究者)ばかりで、幼い頃からの厳しく躾られ、反発しながらも我慢していた
ある日、反抗する
『一条家(優秀な人間)』としてではなく『龍(息子)』として思ってくれているのかを試す為、分かりやすい見た目にイメチェン(素行は普通なまま)
すると、あっさり切り捨てられた(外聞が悪いので、学園の大学を卒業するまでは面倒を見るが、その後は絶縁する、と宣言された)
龍は、常日頃優秀な兄弟に比べられていた為、兄弟への劣等感を抱きつつ、要領が悪い自分を嫌っていた
ただ、両親は口煩いものの、自分を気に掛けているので、愛してくれていると信じていた
それが、不良少年のようなグレた姿になっただけで、何があったか聞くどころか、汚物を見る目で「出来損ないがゴミになるとはな…」と言い放たれ、人間不信になる
柵(しがらみ)から解放されたが、親に捨てられたこと、自分は要らない人間だと知ってしまったことにより、本格的にグレた。犯罪行為はしないが、不良同士で殴り合いの喧嘩に明け暮れた
グレたことで色んな人に会い、良くも悪くも人間というものを知り、人間不信ではなくなった。喧嘩仲間はいるが、薄い繋がりで満足している為、友達と呼べる相手はいない(もう二度と、信じていた人に裏切られたくなかった)
愛への恋心は憧れ
自分はかつて、嫌われたくなくて、親の言いなりになっていたが、愛の誰に嫌われてもいいから自分の好きにするという、自己主張ができるところが好きだと思っていた
奏と(社と)関わっていくうちに、少しずつ冷静になり、愛の言動は、覚悟を決めて好き勝手にしているわけではなく、無責任な我が儘だと知り、目が覚める
愛への気持ちは、恋ではなく、憧れで、その憧れも、自分が思っていたものとは違う、と気付いた
奏への気持ちは、淡い恋心に変化する(無自覚。恋には鈍感。後々、心から好きになった時、自覚するが、八つ当たりしたり殴ったりした自分には気持ちを告げる資格はない、と諦める。が、一途な龍は、奏だけを思い続ける)
恋愛に疎い、料理男子(オカン)、一条 龍
ワイルドで、経験豊富そうな、見るからに不良少年なのに、鈍感で、純情で、一途で、ヘタレな龍
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