太陽神は創造神の手に余る異世界で破壊神になるらしいので見物に行くことになった道中記

餅狐様

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第参記  陽狐の交わり

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 うーちゃんが鎮座されてから数日が経った。

 今では二柱とも、立派なロリニートへと変貌を遂げている。

 彼女らの身なりは、ジャージ姿のあーちゃんに対して、うーちゃんはキャラクターものの着ぐるみパジャマだ。


 最近、一つだけ分かったことがある。
 あーちゃんがうーちゃんとの接触を特に嫌がっていた理由についてだ。

 俺は、他の女神故に、嫉妬していたからだと思っていたが、どうやら的外れらしい。


「おばちゃま! ウチも動画が見たいのじゃ!」


「じゃあ、ウカが見てる間に、あたしはアニメの消化でも……」


「おばちゃま! くりっく? しても動かないで、変なのが出るのじゃ」


「あーー、それは右クリックね。左だよこうやってやるの」


「おばちゃま、流石なのじゃ!」


「……てか、さっきから、おばちゃまおばちゃまうるせぇよ! 天照かあーちゃんとお呼びなさい」


「ふむ、だってのう……父上は素戔嗚尊スサノオのミコトで、その姉上は天照坐皇大御神あまてらシマススメおおみかみなのじゃから……おばちゃまじゃろう?」


 困ったと言わんばかりの表情を見せつつ、最後はしっかりと煽るうーちゃん。


「まぁ、そうだけどさぁ……ってか、正式名称やめて! 恥ずかしいから!」


 手のかかる妹を見るような、呆れ顔のあーちゃん。

 姪っ子うーちゃんを、本気で嫌っている訳ではなさそうで、俺は安心している。

 おばちゃんというよりも、面倒見の良いお姉ちゃんだ。

 姉気質故に、気疲れしてしまうから避けていたのであって、きっと本当はうーちゃんのことが大好きなんだと思う。


 話は変わって、神様と言えば、全知全能で何でも出来る印象が、少なからずあるかもしれない。

 だがしかし、実際のところはそれぞれに個性はあり、ゲームを通してニート達の得意不得意も分かってきた。


「あれぇ? ウカァ、落とし穴で動けないねぇ?」


「メーーーーリケンッ!!」


「あぁぁぁああああ! おばちゃまやめるのじゃ!! 早まるでない!! 待つのじゃぁぁぁぁぁああああああ!!!」


「戦に待ったは、ないでしょ」


「パーーーーーーンチッ!!!!」


「嫌じゃぁぁぁぁぁああああああああ!!!!」


 ズドン!! と快音と共に、画面外まで吹っ飛ばされるうーちゃん。

 格ゲーは苦手な模様。

 まず、分かりやすいメリケンパンチへの誘導に、正面から引っかかるやつがいるんだなと、己の常識という檻から、救いだしてくれるうーちゃんである。

 肝心のあーちゃんはというと……正直俺より強い。


 そんな格ゲーが苦手なうーちゃんは、戦略ゲームのほうが得意だ。


「ウカァ? あたしのレベル一○○の伝説のうちもんに勝てる?」


「もちろんなのじゃ、おばちゃま。一対一のうちもんタイマンでもするかの?」


「あたしはレベル一○○の叔父二おじツーよ」


「ウチはレベル一曾祖母ひいばあじゃ」


 実を言うと、これでも昔は生配信で、実況者をしていたことがある俺である。

 昔の血が騒ぐので二柱のバトルを遠目で見つつ、心の中で実況を始めた。


 うちもんバトルーーースターットォォ!!


 先手は青コーナー、あーちゃん。


「いくわよ、叔父二! 初手テラ進化! テラワロス叔父二!」


 おおっと、ここで切り札のテラ進化だ!

 出るのか、あの最強の、専用技が!


「テラワロス叔父二! 実家から金を搾取する攻撃!」


 搾取の矛先がレベル一の、そう、まさに家庭内ヒエラルキー最下位の曾祖母に向かっていくぅ!


 効果は抜群だぁ!!


 甘過ぎる曾祖母は通帳、つまりは己のライフポイントを、テラワロス叔父二に引き渡してしまった!!


 勝利を確信したあーちゃん。


 それを尻目に、ニヤリと不適な笑みを浮かべるうーちゃん。


「ウカは舐めプし過ぎなのよ。これで分からせてやるから……ってライフポイントが一残ってる!?」


「ニシシシ!! おばちゃまぁ、引っ掛かったのう。曾祖母には孫からの支援でどんなに支払いが起きてもライフを一だけ残してくれるのじゃ!」


「でも、どうするのよ? ライフポイントは一なのに」


「いくのじゃ、曾祖母! それでもあなたが愛しい攻撃!」


 テラワロス叔父二の精神に響いたぁぁぁあああ!!

 体は立派でも己の過ちを省みて、精神的にきているぅぅぅ!!

 おおっと、曾祖母のそれでもあなたが愛しい攻撃の効果、自分のライフと相手のライフを同じにするにより、ここで叔父二のライフポイントが一になったぞ!!


「ちょっと、テラワロス叔父二! 省みることはないわ! あなたはもうどうしようも無い、甲斐性無しのクズじゃない! 今さら更生しようとしないでよおおおお!」


 あーちゃんの神様らしからぬ全力発言に、思わず吹き出す俺。


 さぁ、お互いライフポイントは一だ!

 先手はどっちがとるのか!

 素早さの面では、圧倒的にテラワロス叔父二が有利だぞ!


「ウカ、まーさーかー、このあたしが! 先制技を入れてないとでも思ったわけ?」


 うーちゃんの表情が曇る。

 先制技があれば、素早さのステータスを無視に、先手が取れるのだ。


「ウカの作戦負けね! テラワロス叔父二! 速飲みして缶を投げつける攻撃!」


 テラワロス叔父二は、今にも速飲みを始めようとしているぞ!!

 絶体絶命の曾祖母は、どうする!?


「……見事なのじゃ、おばちゃま。確かにウチは、おばちゃまが先制技を切って高火力技で固めていると踏んで、先制技を選択しているのじゃ。両者が先制技を選択した時の優先度は素早さ順じゃから、普通に考えればウチの負けじゃのう。ところで、曾祖母の資質は、ご存じかの?」


 うーちゃんは静かに告げる。


「もちろんよ。生まれつきの性質で曾祖母なら……まったりでしょ」


「ふむ。通常の資質ならそうじゃのう。……悟り資質は知らんのかの?」


「あ……」


 あーちゃんの顔色が、すこぶる悪くなる。

 それを見たうーちゃんの曇り顔はみるみるうちに、ニヤニヤァっとしたゲス顔に変わっていく。


「曾祖母! 悟り資質、ゆっくりゆっくり! そこのせっかちさんを封じるのじゃ!!」


 悟り資質、ゆっくりゆっくりとは。

 相手の先制技を無効化できる最強の資質の一つ。


 テラワロス叔父二は、曾祖母のゆっくり飲みなさいの発言を真に受けて、先制技が発動できない!!


 ここで曾祖母のターンだ!!


「曾祖母とどめじゃぁぁああ! 過ちを許す攻撃!」


 テラワロス叔父二に効果は抜群だぁ!

 精神的に完全に落ちてしまった!

 勝者は赤コーナー、うーちゃーーん!!


「おばちゃま? ウチに一体何を分からせてくれるのじゃ?」


「あたし、うちもん何て……もうしない」


「ニシシ! 愉快なのじゃ!」



 そんなゲームでいがみ合う二柱も、唯一息の合うゲームがある。


 FPSゲームだ。


 彼女らの特徴からして、協力したら絶対強い確信はあった。


 故に、やらせてみた。


「おばちゃま、ウチがサブマシンガンで突っ込むから、スナイパーでサポートするのじゃ。ウチは正面しかやらないから他方面はよろしくなのじゃ」


「りょーかいー」


「そろそろ、回り込まれる可能性があるのじゃ。罠のセットを忘れるでないぞ」


「はいはい、ウカも正面油断しない」


 不意討ちスライディングショットをかまそうとしてきた敵を、役割担当外のあーちゃんが、針の穴に糸を通すかのような華麗なクイックショットで容易く敵の頭蓋を砕いてみせた。


「流石はおばちゃまなのじゃ!」


 敵陣へ駆けるうーちゃんの後ろには屍しか残らない。

 近距離戦ではうーちゃんの先読み力が冴え渡り、ダメージを最小に留めている。

 対して、サブマシンガンの間合いに分の悪い遠距離には、獲物に狙いを付けるトンビが如く、スナイパーを構えるあーちゃんの目が光る。


「そろそろ戦車の来る頃ね。ウカ、下がってサポートする」


「了解じゃ。後ろは任せたのじゃ」


 うーちゃんは戦場を全力で後退。

 敵は今が好機とばかりに、一斉にうーちゃんに照準を合わす。

 敵に背を向けているのだから、まさに的、当然である。

 だがしかし、うーちゃんを的にした輩は全てあーちゃんにキルされる。


 まさに神のご加護だ。


 撤退中のうーちゃんの元に、敵戦車が全速力で向かって来た。

 ちょこちょこと動くうーちゃんのプレイに敵戦車も火を吹くに吹けない。

 スナイパーの射程圏で、威力最大ギリギリの場所まで引き付けたうーちゃんにあーちゃんは告げる。


「ウカ! いい感じにジャンプ!」


 飛び上がった隙だらけのうーちゃんに、敵戦車は素早く照準を合わす。

 うーちゃんは空中でひらりと身をひねると、敵戦車の照準とあーちゃんの眼光が点と点を結ぶ一つの線を書く。

 あーちゃんはその一瞬を逃さず、静かに引き金を引いた。





 地鳴りがするほどの轟音と爆風を伴って木っ端微塵にデカブツは吹っ飛んだ。

 あーちゃんの精密なショットは戦車の銃口を撃ち抜き、戦車の中の火薬を暴発させたのだ。


 もちろん、二柱共に一度も死ぬことなくクリア。


 彼女らの成績は、同時に参加していた顔も知らぬ同胞の倍以上だ。


 まさにシナジー。


 太陽と白狐、息の相性が他の方面にも良い風に活かされれば良いのだが……と、少々心配な反面、仲良く遊ぶ姿を見ているのは和むなぁ、と思う俺であった。


――あーちゃんとうーちゃんの相性に磨きがかかった――
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