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第2章 その入学、本当に必要ですか?
第25話 色とりどり
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「何あれ!?」
思わず素が飛び出すウェルシェ。
彼女は年齢の割に泰然としていおり、いつもなら何が起きても猫の皮が剥がれることはない。つまり、それ程この光景にウェルシェは驚いたのである。
「ウェルシェ?」
「あっ、いえ、何ですのあれは?」
慌てて取り繕うウェルシェの様子に訝しんだが、キャロルは特に深く考えず視線をピンク頭の少女に戻した。
「あれがウェルシェとイーリヤ様に続くマルトニア学園三大美少女最後の1人『スリズィエの聖女』アイリス・カオロ男爵令嬢よ」
ねっ可愛い娘でしょ、と訊かれてウェルシェは反応に困った。
「いえ、まあ、可愛いですが、私が聞いているのは周囲の人達の方ですわ」
「ああ、あれね」
なんとベンチに座るピンク頭を中心に色とりどりの男達が群がっているのだ。
「破廉恥ですわ」
「初心で純なウェルシェにはちょっと刺激が強いかな?」
ウェルシェは初心でも純でもなかったが、これまで高位貴族の令嬢として教育を受けてきている。だからウェルシェにとって大勢の男性を侍らせる令嬢など想像の埒外だったのだ。
いったい何人いるのかとひーふーみーと数えて途中で止めた。2人であろうと10人であろうと複数の男性と交友している事実の免罪符にはならない。
「刺激と言うより非常識に不快を覚えますわ。あれのどこが聖女なんですの?」
「男達からすると励ましの言葉で心を救ってくれる慈母のような女性なんだそうよ」
なんだそれは?
時に、言葉は人生を劇的に変える力を持つ。
それをウェルシェは否定するつもりはない。
だが、そんな事例は稀有であるし、人を救う言葉を紡ぐには人生の重みが必要だ。あんなに大勢の男達が同年代の少女の言葉で簡単に救われるものだろうか?
それが本当ならアイリス・カオロが噂通りの聖女であるか、男達の悩みが薄っぺらかっただけのどちらかだろう。いや、アイリスが天性の詐欺師という可能性もありえるか。
「分別も無く殿方に囲まれて嬉しそうにしている姿からは聖女とは思えませんわ」
「まあねえ、男ってバカだから」
これは後者の方だなとウェルシェは呆れた。
「それにしてもカラフルで目がチカチカしますわ」
薄桃色のアイリスを囲む男性陣の髪が赤、白銀、青、緑、黒、金と多種多様に彩っている。
「ぷっ、くすくす、ウェルシェって気にするところが時々ズレてるわよね」
「そうでしょうか?」
それにしても美男ばかり集めたものだと逆に感心して眺めていたが、ウェルシェは顔ぶれの中に既知を見つけて驚嘆した。
その人物とは――
「ピンク頭の隣りに座っている金髪はオーウェン殿下ではありませんか!?」
思わず素が飛び出すウェルシェ。
彼女は年齢の割に泰然としていおり、いつもなら何が起きても猫の皮が剥がれることはない。つまり、それ程この光景にウェルシェは驚いたのである。
「ウェルシェ?」
「あっ、いえ、何ですのあれは?」
慌てて取り繕うウェルシェの様子に訝しんだが、キャロルは特に深く考えず視線をピンク頭の少女に戻した。
「あれがウェルシェとイーリヤ様に続くマルトニア学園三大美少女最後の1人『スリズィエの聖女』アイリス・カオロ男爵令嬢よ」
ねっ可愛い娘でしょ、と訊かれてウェルシェは反応に困った。
「いえ、まあ、可愛いですが、私が聞いているのは周囲の人達の方ですわ」
「ああ、あれね」
なんとベンチに座るピンク頭を中心に色とりどりの男達が群がっているのだ。
「破廉恥ですわ」
「初心で純なウェルシェにはちょっと刺激が強いかな?」
ウェルシェは初心でも純でもなかったが、これまで高位貴族の令嬢として教育を受けてきている。だからウェルシェにとって大勢の男性を侍らせる令嬢など想像の埒外だったのだ。
いったい何人いるのかとひーふーみーと数えて途中で止めた。2人であろうと10人であろうと複数の男性と交友している事実の免罪符にはならない。
「刺激と言うより非常識に不快を覚えますわ。あれのどこが聖女なんですの?」
「男達からすると励ましの言葉で心を救ってくれる慈母のような女性なんだそうよ」
なんだそれは?
時に、言葉は人生を劇的に変える力を持つ。
それをウェルシェは否定するつもりはない。
だが、そんな事例は稀有であるし、人を救う言葉を紡ぐには人生の重みが必要だ。あんなに大勢の男達が同年代の少女の言葉で簡単に救われるものだろうか?
それが本当ならアイリス・カオロが噂通りの聖女であるか、男達の悩みが薄っぺらかっただけのどちらかだろう。いや、アイリスが天性の詐欺師という可能性もありえるか。
「分別も無く殿方に囲まれて嬉しそうにしている姿からは聖女とは思えませんわ」
「まあねえ、男ってバカだから」
これは後者の方だなとウェルシェは呆れた。
「それにしてもカラフルで目がチカチカしますわ」
薄桃色のアイリスを囲む男性陣の髪が赤、白銀、青、緑、黒、金と多種多様に彩っている。
「ぷっ、くすくす、ウェルシェって気にするところが時々ズレてるわよね」
「そうでしょうか?」
それにしても美男ばかり集めたものだと逆に感心して眺めていたが、ウェルシェは顔ぶれの中に既知を見つけて驚嘆した。
その人物とは――
「ピンク頭の隣りに座っている金髪はオーウェン殿下ではありませんか!?」
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