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第2章 その入学、本当に必要ですか?

第26話 脅威!顔面偏差値

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 なんと第一王子にして次期国王のオーウェンが取り巻きの一人になっているではないか!

「イーリヤ様と言う素晴らしい婚約者がありながら……」

 アイリスの肩に手を回し、オーウェンは鼻の下を伸ばしまくっている。

「あんなだらしない顔をして」

 ウェルシェはあまりの事態に眩暈を覚えた。

「イーリヤ様はこの事をご存知なのかしら?」
「お忙しい方だから最近はあまり学園にいらしていないわ」

 多くの習い事の他、王妃直々の教育も受けているイーリヤは他にも自分で商社を経営しており多忙を極めている。学園生活を謳歌する余裕などないのだ。

「その不在を良い事にアイリス様と学園でイチャイチャしたり街へ繰り出したりしてるみたいよ」
「ご自分の婚約者が懸命に己を磨いていますのに、殿下は他の令嬢を侍らせて遊び回っているのですか」

 オーウェンの愚かな振る舞いにウェルシェは頭が痛くなってきた。

「いったい殿下の側近は何をして……って、一緒になって彼女の取り巻きですか」

 よく見れば周りを固めているのはオーウェンの側近ばかり。
 当然、その側近の中にはキャロルの婚約者クラインもいる。

 赤髪で精悍な顔つきの逞しい男性だったとウェルシェは記憶していたが……見ればその赤髪はだらしなく緩んだ表情で聖女様とやらを見つめている。

「愚行を諌めるのが側近の忠義でしょうに」
「聖女様と親交を深めるのは有意義なんだそうよ」

 どうやら既にキャロルは婚約者に釘を刺したらしい。もっとも返ってきた答えは脳をお花畑で満たされたものみたいだったが。

「諫言した方もいたみたいだけど、オーウェン殿下の不興を買って側近から外されたみたい」
「言われてみれば幾人か側近の方の姿が見えませんね」

 将来を見据えてウェルシェはオーウェンの側近を全員把握している。国王や王妃が選定しただけあって優秀な人材が豊富なのだ。

 しかし、レーキ・ノモ子爵令息やジョウジ・シキン伯爵令息などウェルシェが目をつけていた者達の姿がオーウェンの周り見えない。

「……これは青田買いのチャンスね」

 国王と王妃に先を越されてしまった人材おたからが野に放たれ手つかずとなっている。ウハウハずっと掴み取りタイム自分のターンである。

「え? ナニ?」
「あんな有能な賢臣を退けるなんてオーウェン殿下は何を考えているのかしらと申したのですわ」
「アイリス様のお眼鏡に叶う美形でないとダメなんですって」
「えっ! 能力より顔ですの!?」

 判断基準はまさかの顔面偏差値だった!?
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