あなたのお嫁さんになりたいです!~そのザマァ、本当に必要ですか?~

古芭白あきら

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第4章 その暗躍、本当に必要ですか?

第47話 元側近達の生きる道

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「オーウェン殿下が王者の資質だとか?」
「えっ、ええ、早計なところもありますがオーウェン殿下には決断力があります」

 まだオーウェンに救いがあるとレーキは考えている。

「ご自分達を冷遇した主人への不満はないのですか?」
「私も未熟の身なれば完全に思うところが無いとはもせませんが、殿下はまだ十代なのです。軽々な判断は若気の至りと水に流せましょう」
「私もレーキの意見に賛成です。殿下には人を率いる王威が備わっております」

 レーキもジョウジも軽はずみな行動は取るつもりはない。

「さすがレーキ様とジョウジ様ですわ」

 二人の真摯しんしな訴えにウェルシェは相槌を打った。

「ご自分の境遇よりも国を憂う正に忠臣。私もオーウェン殿下にはつつがなく王位を継いでいただきたいと思っておりますの」
「ですが、今の殿下は……」
「それに、私もレーキも殿下の機嫌を損ねてしまって」

 今のオーウェンが王となれば国は乱れるだろう。だが、その時二人は政治まつりごとの中心から外されるのは目に見えている。国に献身的で優秀な二人はそれが残念でならない。

「お二方はオーウェン殿下の側近になれないから自分達には何もできないと仰いますの?」

 ところが苦虫を噛み潰したような顔で無念を訴える二人にウェルシェは鋭く切り込んできた。

「本当にもう何もできないとお思いですの?」

 それは甘えるなと叱咤しったされているように二人には思えた。

「手をこまねいていれば苦しむのは力の無い臣民なのです。力ある者が最初から諦めて何もしないのは罪です」
「で、ですが、私もジョウジもオーウェン殿下に具申できる立場ではなくなっております」
「もう我々にはどうすれば良いか……」

 二人とて悔しいのだが、アイリスに篭絡されたオーウェンには言葉は届かない。

「将来の国王たる者の側近だけが政治を正す道ではありませんわ」

 視線が地に落ちていたジョウジとレーキはハッとウェルシェを見た。

「むしろ、一歩引いた位置からの方が見えるもの、出来る事があるのではありませんの?」
「そ、それは……」

 ジョウジが問いかけたが、ウェルシェはにこりと笑って一礼するときびすを返した。

「お二方にまだ国を正していく気概がおありなら、私の助けになってくださると嬉しいですわ」

 それだけ言い残して振り返ることなくウェルシェは立ち去ったのだった。
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