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ディストブルグ王国──霊山編
百三十五話 共犯者
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「ノア、ヴィンツェンツね」
冷静さを欠きつつある頭で、どうにか努めて平静を装いながら言葉を繰り返す。
やがて、その一言がイェルクからの挑発めいたものと理解をして、漸く俺はある程度の落ち着きを取り戻した。
「……あんたがわざわざ俺に嘘を吐く理由はねえ」
それは和解しただとか、一度協力関係になったからだとか、そういう理由ではない。
告げられた言葉が嘘ではなく真実であると信じられる理由は、単純にイェルク・シュハウザーという人間が度し難い戦闘狂であると俺が知ってしまっているから。
俺を挑発して殺し合いに持ち込む事が目的だったならば、もっと簡単な手段がある。
フェリを含めたファイ・ヘンゼ・ディストブルグにとって家族といえる人間をたった一人でも殺せば「戦う理由」が出来上がるから。
己の欲求を満たす為なら、そういった行為も躊躇いなくやってのける人間だとイェルクに信頼があるからこそ、ここであえてまどろっこしい嘘を吐く理由が彼にはなかった。
全くもって嫌な信用だった。
「だから、それは本当なんだろうな」
あっさりと信じた俺の様子に、ラティファは驚いていた。
だが、彼女も俺であるからこそ信じる他ないのだとすぐ様理解したのだろう。
崩れた表情は程なく元に戻った。
「確かに、驚きはした。でも、それがどうしたよ。イェルク・シュハウザー」
あえて問い掛けをした理由は、彼の真意が知りたかったから。
俺がこうして、ある意味でイェルクを信頼しているように、彼もまた俺の性格を多少なり理解している筈だ。
そんなイェルクが、その言葉を口にして俺が何と言うのか。
それを理解していないとは到底思えなかった。
「俺にも家族はいた。顔も名前も、交わした言葉も、呼び方も。殆どが記憶から抜け落ちてるが、それでもいた事実は覚えてる」
何もかもが既に薄れ消えてしまっている。
覚えている事は、母が付けてくれた「シヅキ」という名前と、あの地獄の中で命賭けで助けてくれたという事実だけ。
でも、だからこそ。
「だから、先生に家族がいたところで驚きはするが、不思議に思わねえよ。ただ、俺にとって大事なのは先生だけだ。仮にそのノアって人間が、先生の母だろうが、姉だろうが、妹だろうが、俺からすれば微塵も関係ねえよ」
家族の愛情というやつが、尊ぶべきものである事はよく知っている。
前世でも、今世でもそれは嫌という程に理解している。その上で俺は、
「極論、そいつが目の前で野垂れ死ぬ事になったとしても、きっと俺は率先して手を差し伸べないし、助けようとも思わない」
これまでの多くの出会いで、俺という人間は多少なり変わった。それは間違いない。
でも、根本的な部分は何も変わってない。
少なくとも俺は、この人になら殺されても文句はないと言い切れる人間を除いて信頼も信用もしないと決めているから。
そう教えられて育ったから。
「ああ、勿論それは知ってるぜい? おめえさんが、そういう考えをしてるって事は、オイラが一番知ってる。だが、お師さんが今この時代にいる事も含めて、何もかもが繋がってるとしたらどうするよ?」
「……繋がってる?」
「あの白髪が死ぬに死ねなかった理由。生き続ける事しか選択肢が無かった理由。その全ても繋がってるとしたらどうするよ」
どうしようもなく死にたがっていた先生が、死ねなかった理由。
どうしようもなく強くて、格好よくて、憧れで。そんな先生が、死を望んでいた理由。
「おめえさんらの知るあの白髪は、あそこで死ぬ以外に道はなかったのさ」
「……どういう意味ですか」
ラティファが加わる。
「あの時、あの場所でクローグに斬り殺されるって結末を除いてあの白髪は己の末路に納得が出来なかったんでい」
頭の中が疑問符で埋め尽くされていた。
一体こいつは、何を言っているのだろうか。
わからない。
何もわからなくて、理解ができない。
「何故ならあの白髪は、ヴィンツェンツだったから」
「……なんでそこで先生の名前が出てくる」
「おいオイ、そんな事も忘れちまったのかい? いや、こいつに関しては知らされてねえが正解かあ?」
イェルクは考える素振りを見せる。
ぼそりとあの白髪のことだから、弟子共には黙ってた線もあるかと呟いた後、言葉を続けた。
「知らねえようだから教えてやろう。ヴィンツェンツってのはあの時代において数少ない意味を持った家名で、ある種の呪いでい」
「呪、い」
「ここからはお師さんからある程度の話を聞いたオイラの想像になるんだが……あの白髪は、ヴィンツェンツって呼ばれる事を嫌ってなかったかい」
「そんな事は、」
────ない。と言おうとして、俺は言葉を止めた。
脳裏に浮かんだかつての情景。
生きる術を教えてくれようとした彼を、俺が先生と呼んだ時、何故か安堵のような顔をしていた。たった一瞬の出来事だった。
でもそれが忘れられなくて、俺はその日から彼を先生と呼ぶようになった。
不意にそれが、ヴィンツェンツと呼ばれたくなかったからなんじゃないのかと思ってしまった。
「オイラはアレの生き様を知ってる。だから、おめえさんらには業腹だろうが、ある程度の気持ちは分かるのよ」
どれだけ真面を取り繕っても、あの時代に生きた人間という過去だけは変えられない。
あの地獄で培われた経験と、価値観だけは、どれだけ色褪せても誤魔化せないと俺も知っている。
「だからこそ、腹立たしくて仕方がねえわな。生き方から死に方まで手前じゃねえ誰かに決められた人生ってのは、許しがてえもんだろうねい!?」
その言葉こそが、ヴィンツェンツの名前がある種の呪いと口にしたことに繋がるのだろう。
「だからオイラは、死ねなかったんだと思うぜ。ただ死ぬだけじゃ、あいつはヴィンツェンツとして死ぬ事になる。だからおめえさんらの〝先生〟として死ねるあの機会に、どうしても死んでおきたかったんじゃねえかって────お師さんの話を聞いてオイラは思った訳よ」
あの白髪がヴィンツェンツである事から逃れられない以上、そこが唯一の納得出来る落とし所だったんじゃねえかってな。
なんて言葉が付け加えられたが、右から左に素通りをした何も頭に入ってこない。
「これはあくまでお師さんから話を聞いたオイラの想像でしかねえ。おめえさんらが事情を知れば、また違う答えが出るかもしれん。だが少なくとも、おめえさんらは知る権利があると思った。オイラ達側に巻き込みたいっつー打算とは別に、この時代に飛ばされた人間として、ねい」
「……巻き込むって、どういう事ですか」
あの時代で自分勝手に暴れ回った狂人側に、今度は自分達も加われという事であれば、交渉の余地はないとラティファは警告しようとしたのだろう。
しかし返ってきた言葉はまるで違うものだった。
「決まってるだろい。〝清算〟だよ〝清算〟」
ラティファにはいまいちピンと来なかったらしく、呆けていた。
「あの時代での借りの〝清算〟よ。あと、勘違いされるのも癪なんで言っとくが、かつての振る舞いをする気はもうねえぜい。誤解を恐れずに言ってやると、あまりにここは唆られん」
イェルクは心底つまらなさそうな表情で、滔々と語る。それは諦め切った老人のようであって、言葉の通り然程の価値も見出していない人間のソレであった。
「あの時代の連中と比べるのも失礼でい。唯一、〝氷葬〟って英雄は唆るものがあったが、他は話にならん。オイラが剣を取って殺し合いに興じたいと思える程の相手がここには全くいねえ」
どこまでも侮蔑し、貶す。
彼からすれば、平和な時代になった弊害とも言えるだろう。
だからこそ、暴れる気にすらならんと言う。
あの時代だったからこそ、剣を執った。
こんなつまらん時代で名を上げたところで、イェルク・シュハウザーの名が穢れるだけ。
言葉にこそされていないが、恐らくそのくらいに思っているのだろうと分かる感情を、イェルクは瞳の奥に湛えていた。
失礼極まりないものの、最低限の信頼をする材料としては十分に思えた。
「お陰で、こうして神父の真似事も随分と長く続ける羽目になってやがるぜい。だが、やってみるとこれが案外悪くねえ。たまぁに戦闘欲を満たしたくなる時もあるが、案外これが悪くねえのよ」
おめえさんと同じだ、ファイの坊主。
と言って、イェルクは喜色に笑んだ。
「神に祈りを捧げる真似をして。偶に見回りをして。その対価に金を貰って、酒と食いもんに費やし、惰眠を貪る。案外これも悪かねえ。悪かねえんだが────」
刹那、イェルクが吹かしていた煙管の吸い口が噛力に耐えられず壊音を響かせ砕けた。
まるでそれは、彼の苛立ちをあらわしているようでもあった。
「────もう一度あの時代が意図的に繰り返されるとなりゃあ話は別だと思わねえかい?」
一瞬、イェルクが口にした言葉の意味が分からなかった。間があきながらも、俺はやっとの思いで問い返す。
「意図、的に? あの地獄を、か?」
急速に喉が渇く感覚。
奇想天外な言葉だ。
信じられる要素など一つとして無いはずなのに、なまじあの時代を知る人間だからだろう。
冗談であっても鼓動が速くなる。
頭に響き始めるソレは、どうしようもなく煩く感じた。
「そんな事があっていいわけが。そもそも、あるわけが」
「あるわけがねえってかい!? おいおいオイ!! 笑わせやがるねい、ファイの坊主! この世界に『あるわけがない』なんて言葉ほど信用出来ねえもんも2つとねえだろい!?」
勢いに身を任せ、イェルクは捲し立てる。
「クローグがいた! 〝異形〟がいた! おめえさんらがいた! どこぞのアホが残した遺跡があった! この時代にまで、ヴィンツェンツがいた! そして、オイラまで巻き込まれた!! さあさ、この上で言えるもんなら言ってみやがれ!? ここまで揃って尚、あり得ねえ事ってなあ、一体何のことでい?」
イェルクの言葉は、正しかった。
言葉に詰まって何も言い返せなくなるほどに、何一つとしてその言葉は間違ってなかった。
同時、漸く合点がいった。
「……俺らに接触をした理由は、それか」
仮にイェルクの言葉が本当の場合、事情をある程度知った人間ならば、真っ先に話を持ち掛けるべき相手が俺達だからだ。
あの地獄を一番恨んで、誰よりも根絶させる為に奔走した人間だ。
そういう事情ならば、手を貸すと思ったのだろう。事実、目を背けられなかった。
「でも分からないな」
「何がでい?」
「あんたからすれば、この世界があの地獄に変わることになろうがむしろ望むところだろ」
イェルク・シュハウザーという男は、そういう真面じゃない側の人間だ。
ここで万が一にも、この時代の人々を守る為。なんて言葉が出てきた暁には、俺は笑い転げる自信しかなかった。
その認識は、イェルク本人にもあったのだろう。
「そうだねい。死と隣り合わせの殺し合いは、確かに望むところよ。その本質は何も変わっちゃいねえ。ただよう。その地獄が、誰かの手によって意図的に用意された鳥籠で。望む結果を得るためにオイラ達が都合のいい人形のように扱われてるとしたら────そいつは話がちげえってなるだろい?」
静謐な怒りを瞳の奥に湛えてイェルクは言う。しかしそれも刹那。
けろっとした様子で、軽佻浮薄な様子を取り戻す。キャソックに収めていた予備の煙管を取り出して、程なく煙を吐き出した。
「とはいえ、あの時代であんだけ暴れたオイラの話なんざ、信頼できたもんじゃねえだろい? だから、お師さんの話を聞いて欲しいんでい」
漸く理解が出来た。
イェルクの役目はあくまで伝言役であり、俺達の興味を引きつける事だったのだろう。
ことその役目に関していえば、彼は確かに適任だった。
けれどイェルクは一つ勘違いをしている。
俺は、やはりある意味でイェルク・シュハウザーという〝墓荒らし〟を信用している事を。
「……そうだな。あんたの話を真に受けるつもりはねえよ。きっとそれは死に際でも変わんねえ」
「随分な言い様だねい」
「当然だろ。あんたはそれだけの事をしでかしてた」
そう言うものの、かつての行為に然程の後悔もないのだろう。屈託のない笑みは、極めて腹立たしいものであった。
「でも、あの時代の人間だったから分かる事もある。ある意味で俺は、あんたを信用してるんだ、〝墓荒らし〟」
「ほ、ぉ?」
「でんか……?」
ラティファとイェルクから驚愕の声が飛ぶ。
「別に驚く事じゃねえよ。俺はただ、あんたのその無駄に高いプライドと、そこにくっついてくるアホさを信用してるだけだ」
予想外の言葉だったのだろう。
まるで聞いたことの無い宇宙の言葉でも耳にしたかのように、ラティファとイェルクの表情が固まった。
やがて我に返ったかと思えば、イェルクの怒声にも似た叫び声が鼓膜を揺らした。
「聞き捨てならないねぃ!? アホさだあ!? 無駄にたけえプライドだあ? いい度胸してるねい!? 上等だあ、その喧嘩買ってやるぜい」
殺し合ったから分かる事もある。
少なくともイェルクは、最後の最期まで群れる事を良しとせず、独りを貫いていた人間だ。
────戦うために戦う。
そんな科白を当然のように口にする戦闘狂だったからこそ、プライドの高さは異常とも言えるほどだった。
生き残る為に、万事を尽くす。
偽りの表情を張り付ける事もあれば、独りの美学も持たない。プライドなどそこらの狗に食わせ、最善を尽くしてきた。
そんな教えを受けた俺からすれば、イェルクはアホとしか言いようがない。
共感し、理解し合う事はもう一度生まれ変わっても無理だと分かる相性の悪さだった。
「だから、そんな奴が自分の信条を覆してまで行う事が誰かを陥れる為っていう、しょうもないもんだとは思えねえ。きっと、大事な何かなんだろ」
この時代に染まったといえばそうなのかもしれない。
けれど、遠回しにノア・ヴィンツェンツに力を貸してやってくれと言わんばかりのソレは、かつてのイェルクを知る人間からすれば到底信じられないものであった。
「……おめえさん、変わったねい?」
「考え方は何も変わってねえ。でも少しだけ。ほんの少しだけ、丸くなったのかもしれねえが」
「昔よりもずっと温厚になってるのはそうだが……変わったのはもっと根本的なもんだろい。まあ、あえての指摘は野暮か」
意味深な事を口にしてイェルクは閉口。
内容を問い詰めたくはあったが、今は聞かなかった事にしておく。
「あんたのお師さんとやらの下には、行ってもいい。勿論、諸々の障害はあるだろうが」
主にフェリの監視と、強化された兄上達からの監視である。
この様子だとラティファも怪しい。
連れ出せるものなら連れ出してみろ状態であった。
「まあそこは何とかするぜい。丁度その当てはあるからねい」
どこぞの英雄を運び屋代わりに使いそうな未来が見えたが、気付いてもそこは黙っておく事にした。
「そうかよ。まあ、そういう訳だから先に聞かせろよ。結局一体、俺達に何をさせる気だ」
「殿下! 私はまだ納得はしてませんし、そもそもこんな煙臭い老け顔の偽物神父の戯言なんか、本気にする必要はどこにもありません!」
「ボロクソに言い過ぎだろい!? 百歩譲って煙臭いと偽物神父は許容するが、老け顔って何でえ!?」
ただの悪口だろうがい! なんて文句と、更なる罵倒のような言葉が飛び交うやり取りが十数秒ほど続き、漸く収まったところで脱線した話が戻される。
「……そこの暴言メイドは放っておいて、話を戻そうかい。おめえさんらに何をさせたいかって話だったねい。なに、簡単な話よ。オイラ達はただ────〝共犯者〟を探してるだけでい」
「共犯、者?」
「オイラ達は、一緒にあの時代の〝清算〟をやれる共犯者を探してるんでい。だが、そこにゃ勿論条件がある。たった一つの条件。だが、この時代の人間にゃ、どうあっても乗り越えられねえ条件よ」
おめえさんらは、その条件をちゃんと満たしてる。だから、こうして誘ってんでい。と締め括られた。
イェルクが過去話を用いてこちらの興味を引いた言動といい、これまでの事を考えればすぐに答えは幾つかに絞られる。
故に、答えに辿り着く事は決して不可能ではなかった。
安直に答えるならばきっと、
「────〝過去〟の人間であること、か」
「それは必須ではあるが、前提でい。条件とはちげえ」
「過去の人間にあって、この時代に無いものといえば一つですね」
ため息混じりに答えを理解したラティファがイェルクに変わって告げた。
「〝血統技能〟。アレを使える人間っていうのが、貴方が言う条件なんじゃないんですか」
言葉を受けて、イェルクは心底愉快だと言わんばかりに口角を上げた。
「おうとも。この時代の人間には決して届かねえ〝血統技能〟の有無。それがオイラ達の〝共犯者〟になれる唯一の条件でい」
冷静さを欠きつつある頭で、どうにか努めて平静を装いながら言葉を繰り返す。
やがて、その一言がイェルクからの挑発めいたものと理解をして、漸く俺はある程度の落ち着きを取り戻した。
「……あんたがわざわざ俺に嘘を吐く理由はねえ」
それは和解しただとか、一度協力関係になったからだとか、そういう理由ではない。
告げられた言葉が嘘ではなく真実であると信じられる理由は、単純にイェルク・シュハウザーという人間が度し難い戦闘狂であると俺が知ってしまっているから。
俺を挑発して殺し合いに持ち込む事が目的だったならば、もっと簡単な手段がある。
フェリを含めたファイ・ヘンゼ・ディストブルグにとって家族といえる人間をたった一人でも殺せば「戦う理由」が出来上がるから。
己の欲求を満たす為なら、そういった行為も躊躇いなくやってのける人間だとイェルクに信頼があるからこそ、ここであえてまどろっこしい嘘を吐く理由が彼にはなかった。
全くもって嫌な信用だった。
「だから、それは本当なんだろうな」
あっさりと信じた俺の様子に、ラティファは驚いていた。
だが、彼女も俺であるからこそ信じる他ないのだとすぐ様理解したのだろう。
崩れた表情は程なく元に戻った。
「確かに、驚きはした。でも、それがどうしたよ。イェルク・シュハウザー」
あえて問い掛けをした理由は、彼の真意が知りたかったから。
俺がこうして、ある意味でイェルクを信頼しているように、彼もまた俺の性格を多少なり理解している筈だ。
そんなイェルクが、その言葉を口にして俺が何と言うのか。
それを理解していないとは到底思えなかった。
「俺にも家族はいた。顔も名前も、交わした言葉も、呼び方も。殆どが記憶から抜け落ちてるが、それでもいた事実は覚えてる」
何もかもが既に薄れ消えてしまっている。
覚えている事は、母が付けてくれた「シヅキ」という名前と、あの地獄の中で命賭けで助けてくれたという事実だけ。
でも、だからこそ。
「だから、先生に家族がいたところで驚きはするが、不思議に思わねえよ。ただ、俺にとって大事なのは先生だけだ。仮にそのノアって人間が、先生の母だろうが、姉だろうが、妹だろうが、俺からすれば微塵も関係ねえよ」
家族の愛情というやつが、尊ぶべきものである事はよく知っている。
前世でも、今世でもそれは嫌という程に理解している。その上で俺は、
「極論、そいつが目の前で野垂れ死ぬ事になったとしても、きっと俺は率先して手を差し伸べないし、助けようとも思わない」
これまでの多くの出会いで、俺という人間は多少なり変わった。それは間違いない。
でも、根本的な部分は何も変わってない。
少なくとも俺は、この人になら殺されても文句はないと言い切れる人間を除いて信頼も信用もしないと決めているから。
そう教えられて育ったから。
「ああ、勿論それは知ってるぜい? おめえさんが、そういう考えをしてるって事は、オイラが一番知ってる。だが、お師さんが今この時代にいる事も含めて、何もかもが繋がってるとしたらどうするよ?」
「……繋がってる?」
「あの白髪が死ぬに死ねなかった理由。生き続ける事しか選択肢が無かった理由。その全ても繋がってるとしたらどうするよ」
どうしようもなく死にたがっていた先生が、死ねなかった理由。
どうしようもなく強くて、格好よくて、憧れで。そんな先生が、死を望んでいた理由。
「おめえさんらの知るあの白髪は、あそこで死ぬ以外に道はなかったのさ」
「……どういう意味ですか」
ラティファが加わる。
「あの時、あの場所でクローグに斬り殺されるって結末を除いてあの白髪は己の末路に納得が出来なかったんでい」
頭の中が疑問符で埋め尽くされていた。
一体こいつは、何を言っているのだろうか。
わからない。
何もわからなくて、理解ができない。
「何故ならあの白髪は、ヴィンツェンツだったから」
「……なんでそこで先生の名前が出てくる」
「おいオイ、そんな事も忘れちまったのかい? いや、こいつに関しては知らされてねえが正解かあ?」
イェルクは考える素振りを見せる。
ぼそりとあの白髪のことだから、弟子共には黙ってた線もあるかと呟いた後、言葉を続けた。
「知らねえようだから教えてやろう。ヴィンツェンツってのはあの時代において数少ない意味を持った家名で、ある種の呪いでい」
「呪、い」
「ここからはお師さんからある程度の話を聞いたオイラの想像になるんだが……あの白髪は、ヴィンツェンツって呼ばれる事を嫌ってなかったかい」
「そんな事は、」
────ない。と言おうとして、俺は言葉を止めた。
脳裏に浮かんだかつての情景。
生きる術を教えてくれようとした彼を、俺が先生と呼んだ時、何故か安堵のような顔をしていた。たった一瞬の出来事だった。
でもそれが忘れられなくて、俺はその日から彼を先生と呼ぶようになった。
不意にそれが、ヴィンツェンツと呼ばれたくなかったからなんじゃないのかと思ってしまった。
「オイラはアレの生き様を知ってる。だから、おめえさんらには業腹だろうが、ある程度の気持ちは分かるのよ」
どれだけ真面を取り繕っても、あの時代に生きた人間という過去だけは変えられない。
あの地獄で培われた経験と、価値観だけは、どれだけ色褪せても誤魔化せないと俺も知っている。
「だからこそ、腹立たしくて仕方がねえわな。生き方から死に方まで手前じゃねえ誰かに決められた人生ってのは、許しがてえもんだろうねい!?」
その言葉こそが、ヴィンツェンツの名前がある種の呪いと口にしたことに繋がるのだろう。
「だからオイラは、死ねなかったんだと思うぜ。ただ死ぬだけじゃ、あいつはヴィンツェンツとして死ぬ事になる。だからおめえさんらの〝先生〟として死ねるあの機会に、どうしても死んでおきたかったんじゃねえかって────お師さんの話を聞いてオイラは思った訳よ」
あの白髪がヴィンツェンツである事から逃れられない以上、そこが唯一の納得出来る落とし所だったんじゃねえかってな。
なんて言葉が付け加えられたが、右から左に素通りをした何も頭に入ってこない。
「これはあくまでお師さんから話を聞いたオイラの想像でしかねえ。おめえさんらが事情を知れば、また違う答えが出るかもしれん。だが少なくとも、おめえさんらは知る権利があると思った。オイラ達側に巻き込みたいっつー打算とは別に、この時代に飛ばされた人間として、ねい」
「……巻き込むって、どういう事ですか」
あの時代で自分勝手に暴れ回った狂人側に、今度は自分達も加われという事であれば、交渉の余地はないとラティファは警告しようとしたのだろう。
しかし返ってきた言葉はまるで違うものだった。
「決まってるだろい。〝清算〟だよ〝清算〟」
ラティファにはいまいちピンと来なかったらしく、呆けていた。
「あの時代での借りの〝清算〟よ。あと、勘違いされるのも癪なんで言っとくが、かつての振る舞いをする気はもうねえぜい。誤解を恐れずに言ってやると、あまりにここは唆られん」
イェルクは心底つまらなさそうな表情で、滔々と語る。それは諦め切った老人のようであって、言葉の通り然程の価値も見出していない人間のソレであった。
「あの時代の連中と比べるのも失礼でい。唯一、〝氷葬〟って英雄は唆るものがあったが、他は話にならん。オイラが剣を取って殺し合いに興じたいと思える程の相手がここには全くいねえ」
どこまでも侮蔑し、貶す。
彼からすれば、平和な時代になった弊害とも言えるだろう。
だからこそ、暴れる気にすらならんと言う。
あの時代だったからこそ、剣を執った。
こんなつまらん時代で名を上げたところで、イェルク・シュハウザーの名が穢れるだけ。
言葉にこそされていないが、恐らくそのくらいに思っているのだろうと分かる感情を、イェルクは瞳の奥に湛えていた。
失礼極まりないものの、最低限の信頼をする材料としては十分に思えた。
「お陰で、こうして神父の真似事も随分と長く続ける羽目になってやがるぜい。だが、やってみるとこれが案外悪くねえ。たまぁに戦闘欲を満たしたくなる時もあるが、案外これが悪くねえのよ」
おめえさんと同じだ、ファイの坊主。
と言って、イェルクは喜色に笑んだ。
「神に祈りを捧げる真似をして。偶に見回りをして。その対価に金を貰って、酒と食いもんに費やし、惰眠を貪る。案外これも悪かねえ。悪かねえんだが────」
刹那、イェルクが吹かしていた煙管の吸い口が噛力に耐えられず壊音を響かせ砕けた。
まるでそれは、彼の苛立ちをあらわしているようでもあった。
「────もう一度あの時代が意図的に繰り返されるとなりゃあ話は別だと思わねえかい?」
一瞬、イェルクが口にした言葉の意味が分からなかった。間があきながらも、俺はやっとの思いで問い返す。
「意図、的に? あの地獄を、か?」
急速に喉が渇く感覚。
奇想天外な言葉だ。
信じられる要素など一つとして無いはずなのに、なまじあの時代を知る人間だからだろう。
冗談であっても鼓動が速くなる。
頭に響き始めるソレは、どうしようもなく煩く感じた。
「そんな事があっていいわけが。そもそも、あるわけが」
「あるわけがねえってかい!? おいおいオイ!! 笑わせやがるねい、ファイの坊主! この世界に『あるわけがない』なんて言葉ほど信用出来ねえもんも2つとねえだろい!?」
勢いに身を任せ、イェルクは捲し立てる。
「クローグがいた! 〝異形〟がいた! おめえさんらがいた! どこぞのアホが残した遺跡があった! この時代にまで、ヴィンツェンツがいた! そして、オイラまで巻き込まれた!! さあさ、この上で言えるもんなら言ってみやがれ!? ここまで揃って尚、あり得ねえ事ってなあ、一体何のことでい?」
イェルクの言葉は、正しかった。
言葉に詰まって何も言い返せなくなるほどに、何一つとしてその言葉は間違ってなかった。
同時、漸く合点がいった。
「……俺らに接触をした理由は、それか」
仮にイェルクの言葉が本当の場合、事情をある程度知った人間ならば、真っ先に話を持ち掛けるべき相手が俺達だからだ。
あの地獄を一番恨んで、誰よりも根絶させる為に奔走した人間だ。
そういう事情ならば、手を貸すと思ったのだろう。事実、目を背けられなかった。
「でも分からないな」
「何がでい?」
「あんたからすれば、この世界があの地獄に変わることになろうがむしろ望むところだろ」
イェルク・シュハウザーという男は、そういう真面じゃない側の人間だ。
ここで万が一にも、この時代の人々を守る為。なんて言葉が出てきた暁には、俺は笑い転げる自信しかなかった。
その認識は、イェルク本人にもあったのだろう。
「そうだねい。死と隣り合わせの殺し合いは、確かに望むところよ。その本質は何も変わっちゃいねえ。ただよう。その地獄が、誰かの手によって意図的に用意された鳥籠で。望む結果を得るためにオイラ達が都合のいい人形のように扱われてるとしたら────そいつは話がちげえってなるだろい?」
静謐な怒りを瞳の奥に湛えてイェルクは言う。しかしそれも刹那。
けろっとした様子で、軽佻浮薄な様子を取り戻す。キャソックに収めていた予備の煙管を取り出して、程なく煙を吐き出した。
「とはいえ、あの時代であんだけ暴れたオイラの話なんざ、信頼できたもんじゃねえだろい? だから、お師さんの話を聞いて欲しいんでい」
漸く理解が出来た。
イェルクの役目はあくまで伝言役であり、俺達の興味を引きつける事だったのだろう。
ことその役目に関していえば、彼は確かに適任だった。
けれどイェルクは一つ勘違いをしている。
俺は、やはりある意味でイェルク・シュハウザーという〝墓荒らし〟を信用している事を。
「……そうだな。あんたの話を真に受けるつもりはねえよ。きっとそれは死に際でも変わんねえ」
「随分な言い様だねい」
「当然だろ。あんたはそれだけの事をしでかしてた」
そう言うものの、かつての行為に然程の後悔もないのだろう。屈託のない笑みは、極めて腹立たしいものであった。
「でも、あの時代の人間だったから分かる事もある。ある意味で俺は、あんたを信用してるんだ、〝墓荒らし〟」
「ほ、ぉ?」
「でんか……?」
ラティファとイェルクから驚愕の声が飛ぶ。
「別に驚く事じゃねえよ。俺はただ、あんたのその無駄に高いプライドと、そこにくっついてくるアホさを信用してるだけだ」
予想外の言葉だったのだろう。
まるで聞いたことの無い宇宙の言葉でも耳にしたかのように、ラティファとイェルクの表情が固まった。
やがて我に返ったかと思えば、イェルクの怒声にも似た叫び声が鼓膜を揺らした。
「聞き捨てならないねぃ!? アホさだあ!? 無駄にたけえプライドだあ? いい度胸してるねい!? 上等だあ、その喧嘩買ってやるぜい」
殺し合ったから分かる事もある。
少なくともイェルクは、最後の最期まで群れる事を良しとせず、独りを貫いていた人間だ。
────戦うために戦う。
そんな科白を当然のように口にする戦闘狂だったからこそ、プライドの高さは異常とも言えるほどだった。
生き残る為に、万事を尽くす。
偽りの表情を張り付ける事もあれば、独りの美学も持たない。プライドなどそこらの狗に食わせ、最善を尽くしてきた。
そんな教えを受けた俺からすれば、イェルクはアホとしか言いようがない。
共感し、理解し合う事はもう一度生まれ変わっても無理だと分かる相性の悪さだった。
「だから、そんな奴が自分の信条を覆してまで行う事が誰かを陥れる為っていう、しょうもないもんだとは思えねえ。きっと、大事な何かなんだろ」
この時代に染まったといえばそうなのかもしれない。
けれど、遠回しにノア・ヴィンツェンツに力を貸してやってくれと言わんばかりのソレは、かつてのイェルクを知る人間からすれば到底信じられないものであった。
「……おめえさん、変わったねい?」
「考え方は何も変わってねえ。でも少しだけ。ほんの少しだけ、丸くなったのかもしれねえが」
「昔よりもずっと温厚になってるのはそうだが……変わったのはもっと根本的なもんだろい。まあ、あえての指摘は野暮か」
意味深な事を口にしてイェルクは閉口。
内容を問い詰めたくはあったが、今は聞かなかった事にしておく。
「あんたのお師さんとやらの下には、行ってもいい。勿論、諸々の障害はあるだろうが」
主にフェリの監視と、強化された兄上達からの監視である。
この様子だとラティファも怪しい。
連れ出せるものなら連れ出してみろ状態であった。
「まあそこは何とかするぜい。丁度その当てはあるからねい」
どこぞの英雄を運び屋代わりに使いそうな未来が見えたが、気付いてもそこは黙っておく事にした。
「そうかよ。まあ、そういう訳だから先に聞かせろよ。結局一体、俺達に何をさせる気だ」
「殿下! 私はまだ納得はしてませんし、そもそもこんな煙臭い老け顔の偽物神父の戯言なんか、本気にする必要はどこにもありません!」
「ボロクソに言い過ぎだろい!? 百歩譲って煙臭いと偽物神父は許容するが、老け顔って何でえ!?」
ただの悪口だろうがい! なんて文句と、更なる罵倒のような言葉が飛び交うやり取りが十数秒ほど続き、漸く収まったところで脱線した話が戻される。
「……そこの暴言メイドは放っておいて、話を戻そうかい。おめえさんらに何をさせたいかって話だったねい。なに、簡単な話よ。オイラ達はただ────〝共犯者〟を探してるだけでい」
「共犯、者?」
「オイラ達は、一緒にあの時代の〝清算〟をやれる共犯者を探してるんでい。だが、そこにゃ勿論条件がある。たった一つの条件。だが、この時代の人間にゃ、どうあっても乗り越えられねえ条件よ」
おめえさんらは、その条件をちゃんと満たしてる。だから、こうして誘ってんでい。と締め括られた。
イェルクが過去話を用いてこちらの興味を引いた言動といい、これまでの事を考えればすぐに答えは幾つかに絞られる。
故に、答えに辿り着く事は決して不可能ではなかった。
安直に答えるならばきっと、
「────〝過去〟の人間であること、か」
「それは必須ではあるが、前提でい。条件とはちげえ」
「過去の人間にあって、この時代に無いものといえば一つですね」
ため息混じりに答えを理解したラティファがイェルクに変わって告げた。
「〝血統技能〟。アレを使える人間っていうのが、貴方が言う条件なんじゃないんですか」
言葉を受けて、イェルクは心底愉快だと言わんばかりに口角を上げた。
「おうとも。この時代の人間には決して届かねえ〝血統技能〟の有無。それがオイラ達の〝共犯者〟になれる唯一の条件でい」
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