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先生の連絡先をゲットしてしまったんだが?
今度はぶつからない様にと俺に声をかけ、先生が立ち止まる。二つの荷物を片手で抱え直し準備室の扉を開けると、空いた左手で俺の荷物を軽々と受け取ってしまった。
あれ? 別に、俺いなくても良かったんじゃね? 先生一人でも、余裕だったのでは?
「お疲れ様。ありがとうシュン君、助かったよ。これは手伝ってくれたお礼だよ」
呆然と扉の前で立ち尽くす俺の背を、先生が抱いて部屋に招き入れる。
おもむろに懐から取り出された小さな何か。そっと手を取られ、掌の上にポトッと落とされたのは、青い包装紙に包まれた一口サイズのチョコレートだった。
……そういえば、先生は甘党だったな。
ん? というかコレ……実質プレゼントでは? 推しからの! これは大事に保管せねば。
「もしかして……チョコは苦手だったかな?」
「だ、大好きですっ!!」
物凄く勿体無いけど食べます! いや食べさせて頂きます!! だからそんな寂しそうな顔しないで下さい!
「じゃあ、これも食べるかい? お勧めなんだ」
俺の言葉に気を良くしたのか、満面の笑みを浮かべた先生が次々にチョコをのせていく。
あっという間に俺の両手の上は、色とりどりの粒で一杯になった。
可愛い。ウキウキでチョコ勧めてくる推し可愛い。
「こんなに沢山貰ってしまって良いんですか? 俺、大して役に立てて無かったのに」
推しのお勧めチョコは嬉しいけど……何だか申し訳なくなってしまうな。運んだのはダンボール一個だけだしさ。
「あー……いや、実は荷物運びはただの口実でね……君に頼みたいことは別に有るんだ。ただ、人前では少しね……」
え。じゃあ二人きりになりたかったの? 俺と? ゲームでもこんな素敵イベント無かったぞ! どうなってんだ?
あー……でも可愛いな。照れくさそうに頬をかく推し。
「……実は、君に私の絵のモデルを頼みたいんだ」
へぇ、ここはゲーム通りなんだな。でも、早くね? まだ初日だぞ?
絵のモデルって……美術部入って、先生の好感度が3以上にならないと発生しないイベントのはずでは? フラグどうなってるんだよこれ。
「駄目かな……?」
「い、いえっ大丈夫です! でも、俺で良いんですか? 自分で言うのも何ですけど……あまり、描きがいがないと思うんですけど……」
顔は平凡だし筋肉も普通。黒髪黒目だから色も地味だし、何か悲しくなってきたな。
「……君が良いんだ。いや、君じゃなくちゃ駄目なんだよ。細めだがしっかり鍛えられた身体に、柔らかい印象の黒い瞳、さらさらとした黒い髪……一目惚れなんだよ」
先生の節くれ立った指が俺の目元を、頬をなぞって俺の短い髪をそっと撫でる。いつの間にか壁際に追いやられていたせいで身動きが取れずに、俺は先生のなすがままだ。
これは、もはや……壁ドンなのでは? ドンされてないけど。
そんなことより、まさか口説かれてるのか? 俺が? 推しに?
いやいや……この世界では、逆に黒髪黒目が珍しいんだよ! そうに決まってる!
だって、まだ先生の好感度は1のはずだ。口説かれる訳がない。そうだ。うん、絶対そうだ。
「場所は私のアトリエで、日にちや時間は君の都合に合わせるよ。どうかな?」
「アッハイ……それで、大丈夫です」
思わず片言になりかけた。落ち着け俺。
「じゃあ連絡先を交換してもいいかな? 勿論、皆には内緒だよ?」
「……はい」
口の前に人差し指を立ててウインクする推し……という、目の前で繰り広げられたとは思えない神スチル。素晴らしすぎる仕草にノックアウトされてる間に、俺の端末に先生のアドレスが追加された。
「じゃあ、これから宜しくね。気をつけて帰るんだよ」
駄目押しに頭を優しく撫でられ、両手にチョコの山を抱えたまま、俺は廊下で呆然と立ち尽くしていた。
あれ? 別に、俺いなくても良かったんじゃね? 先生一人でも、余裕だったのでは?
「お疲れ様。ありがとうシュン君、助かったよ。これは手伝ってくれたお礼だよ」
呆然と扉の前で立ち尽くす俺の背を、先生が抱いて部屋に招き入れる。
おもむろに懐から取り出された小さな何か。そっと手を取られ、掌の上にポトッと落とされたのは、青い包装紙に包まれた一口サイズのチョコレートだった。
……そういえば、先生は甘党だったな。
ん? というかコレ……実質プレゼントでは? 推しからの! これは大事に保管せねば。
「もしかして……チョコは苦手だったかな?」
「だ、大好きですっ!!」
物凄く勿体無いけど食べます! いや食べさせて頂きます!! だからそんな寂しそうな顔しないで下さい!
「じゃあ、これも食べるかい? お勧めなんだ」
俺の言葉に気を良くしたのか、満面の笑みを浮かべた先生が次々にチョコをのせていく。
あっという間に俺の両手の上は、色とりどりの粒で一杯になった。
可愛い。ウキウキでチョコ勧めてくる推し可愛い。
「こんなに沢山貰ってしまって良いんですか? 俺、大して役に立てて無かったのに」
推しのお勧めチョコは嬉しいけど……何だか申し訳なくなってしまうな。運んだのはダンボール一個だけだしさ。
「あー……いや、実は荷物運びはただの口実でね……君に頼みたいことは別に有るんだ。ただ、人前では少しね……」
え。じゃあ二人きりになりたかったの? 俺と? ゲームでもこんな素敵イベント無かったぞ! どうなってんだ?
あー……でも可愛いな。照れくさそうに頬をかく推し。
「……実は、君に私の絵のモデルを頼みたいんだ」
へぇ、ここはゲーム通りなんだな。でも、早くね? まだ初日だぞ?
絵のモデルって……美術部入って、先生の好感度が3以上にならないと発生しないイベントのはずでは? フラグどうなってるんだよこれ。
「駄目かな……?」
「い、いえっ大丈夫です! でも、俺で良いんですか? 自分で言うのも何ですけど……あまり、描きがいがないと思うんですけど……」
顔は平凡だし筋肉も普通。黒髪黒目だから色も地味だし、何か悲しくなってきたな。
「……君が良いんだ。いや、君じゃなくちゃ駄目なんだよ。細めだがしっかり鍛えられた身体に、柔らかい印象の黒い瞳、さらさらとした黒い髪……一目惚れなんだよ」
先生の節くれ立った指が俺の目元を、頬をなぞって俺の短い髪をそっと撫でる。いつの間にか壁際に追いやられていたせいで身動きが取れずに、俺は先生のなすがままだ。
これは、もはや……壁ドンなのでは? ドンされてないけど。
そんなことより、まさか口説かれてるのか? 俺が? 推しに?
いやいや……この世界では、逆に黒髪黒目が珍しいんだよ! そうに決まってる!
だって、まだ先生の好感度は1のはずだ。口説かれる訳がない。そうだ。うん、絶対そうだ。
「場所は私のアトリエで、日にちや時間は君の都合に合わせるよ。どうかな?」
「アッハイ……それで、大丈夫です」
思わず片言になりかけた。落ち着け俺。
「じゃあ連絡先を交換してもいいかな? 勿論、皆には内緒だよ?」
「……はい」
口の前に人差し指を立ててウインクする推し……という、目の前で繰り広げられたとは思えない神スチル。素晴らしすぎる仕草にノックアウトされてる間に、俺の端末に先生のアドレスが追加された。
「じゃあ、これから宜しくね。気をつけて帰るんだよ」
駄目押しに頭を優しく撫でられ、両手にチョコの山を抱えたまま、俺は廊下で呆然と立ち尽くしていた。
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