奴隷少女は騎士となる

灰色の街。

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行方不明事件④

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侯爵家に着くと既に侯爵家の執事やメイドさんらしき人が並んでいた。因みにこの侯爵家はいくつかの侯爵家の中でもかなりの歴史を持つ家で、国からの信頼も厚いらしい。
そして門の側にいる人達は心なしか皆顔が青い。そりゃ自分が主催したパーティーの直後に騎士団の班長が数名行方不明になったなんて聞かれたらびびるよな。

「ターリスク王国騎士団第1班です。昨日の件についてお伺いしたいのですが、シャイク·リーガ殿はいらっしゃいますか?」

流石侯爵家。理解が早く、直ぐに案内してくれた。さて、先輩達が話を聞いている間に私は見回りですしますか。
あって欲しくはないが、ものここの侯爵家が隣国と協力関係に合った場合、その証拠を見つけないといけない。隣国の機械とやらは、あくまで憶測であって、証拠はない。その為に見回りをして、証拠探しをするというわけだ。
本当は私がやるつもりではなかったのだけど、私は皆より小柄なので、それを活かして見回りをしろとのこと。要するに、ばれないように入るのが禁止されている地下や倉庫に潜入しろということだ。

気配を消すのは得意だし、その役を引き受けたのだが、思ったよりも管理が厳重だ。まあ侯爵家だし見られてはダメなもの、1つや2つあるとは思うが、警備員も常時いるとかは聞いていない。しかも2人。警備員は獣人だから魔法を使ったら直ぐにばれる。空間魔術で姿を消すのは出来ない。どうしようか。
悪いことをしていると確信が着いていない以上無闇に強行突破はしたくない。まあ、先輩達からは無理そうだったら強行突破でもいいとは言われているが。

私は気配をできる限り消し、曲がり角ギリギリのところに立ち、投げナイフを1本床に落とした。床がカーペットのせいか、あまり音はでなかったが、少しの物音と私のマントをチラ見せしたお陰で気付いたようだ。 

「誰だ!」

「……気配がかなり消されている。かなりの手練れだから2人で言った方がいいか」

2人がこちらに向かってくる。ここまでくれば私の勝ちだ。私は角から飛び出し、即効性の睡眠スプレーを吹き掛ける。一度眠ると暫くは目を覚まさないので、ゆっくり調べれる。少し強行突破的なことをしてしまったが、騒ぎにはなってないので大丈夫だろう。

部屋に入るとそこにはピアノが1つ、部屋の中央に置かれていてそれ以外にはなにも置かれていなかった。たかがピアノの部屋に警備員2人もつけるか?なんて疑問に思いながらも調べていく。

「ん……これはなんでしょう」

ピアノの前に置かれていた椅子のクッション部分に不自然な突起がついていた。それを上に引っ張ると、クッションごと持ち上げられ、中が見えるようになっていた。中は空洞になっていて、折り畳まれた紙が入っていた。
少し緊張しながら紙を開くと、"人々がこの国で最初にいく場所。そこから丑寅の方向に暫く行ったところにて"と書かれていた。

「……はぁ」

この嫌な予感的に、ここに班長達がいそうだ。だがそう簡単に行かせてもらえないのだろうな。
……場所は掴んだ。後は心の準備だけ。本当は皆にも報告したいが時間が勿体ないし、何よりこの報告を侯爵家の誰かに聞かれでもしたら大変だから止めた方がいいか。
取り敢えずこの場所に向かうか。
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