17 / 25
ハーベノム編
光に救われた日
しおりを挟む
両親が殺されて一人になったあの日のことを、アンナは今でもよく覚えている。
曇り空に枯れ葉が舞う秋の日だった。
アンナはその日、両親と一緒に王都アミティナに来ていた。
アンナの父とレイゼルトの父が魔法学園の同級生で親交が深く、レイゼルトとアンナは幼い頃に知り合った。それから、父が仕事で王都に来る度、アンナはレイゼルトと会っていた。
その日もアンナの両親がレイゼルトの父から借りた来客用の邸宅に、レイゼルトが遊びに来ていた。アンナは当時7歳で、レイゼルトは8歳だった。
「アンナ、かくれんぼしようよ!」
金色の髪に青色の瞳。レイゼルトは天使のように愛らしい子どもだった。
「いいよ!じゃあお母さんも誘ってオニになってもらおう!私とレイくんが隠れるの。」
肩より少し下の長さで、綺麗に揃えられた黒髪に真っ赤な瞳。自分の容姿を不気味がる大人の目線に気がついていたが、母とそっくりな自分の見た目がアンナは好きだった。
「何回もできないからね。一回だけよ。」
アンナの母、ナーシャ・リリスは忙しい合間を縫ってかくれんぼに参加してくれた。
「はーい!」
アンナは笑いながらレイゼルトと一緒に駆け出し、隠れ場所を探す。広い屋敷の中はさながら迷路のようで探検するだけで楽しかった。
アンナとレイゼルトは階段を登って、廊下にいくつも並ぶ部屋の扉を勢いよく開けながら隠れ場所を探す。四つ目の部屋の扉を開けたところで、二人で入れそうな大きなクロゼットを見つけたアンナは、そこに隠れることを決めた。
レイゼルトと一緒に部屋に入って、そっと扉を閉める。クロゼットの前まで歩いてヒソヒソ声でアンナはレイゼルトに話しかけた。
「レイくん、魔法使ってみてよ。」
「ああ。みて驚けよ!」
アンナは以前レイゼルトと会った時、レイゼルトが練習している身を隠す光魔法の話を聞いていた。
《光の幕》
レイゼルトが魔法を唱えると、頭の先からレイゼルトの姿が景色と溶けてだんだん透明になっていった。やがて足まで透明になるとレイゼルトの姿はすっかりと見えなくなった。その様子にアンナは赤い目を丸くした。
「すっごーい!」
アンナの小さな身体では収まりきらない興奮。かくれんぼの最中であることをすっかりと忘れたアンナはぴょこぴょこと飛び跳ねた。
レイゼルトが魔法を解くと、アンナの目の前に再びレイゼルトの姿が現れた。
「へへっ、そうだろ?
オレは勇者になるんだ。そんで世界樹に行って世界を救うんだ。んで、そのあとは王様になるんだ。
兄ちゃんはオレには無理だって言うけどな。オレは絶対やる!」
「私も、レイくんなら出来ると思うよ。
……でも、そうなるとレイくんはいつか遠くに旅に行ってしまうんだね。」
寂し気に目を伏せたアンナの背中をレイゼルトが軽く叩く。
「そんな顔すんなよ!そん時はアンナも一緒に行けばいいだろ!」
そんな方法があったのか。アンナの無邪気な瞳が輝きで満たされた。
「うん!」
「よし。じゃあこの中に入ってオレの魔法で隠れようぜ。」
アンナは音を立てないようにそっとクロゼットの扉を閉めた。さらにレイゼルトの魔法で姿を隠した。
お母さんきっと見つけられないだろうな、と心の中でクスクス笑いながら、アンナはナーシャが探しに来るのを待った。
突然、下の階から大きな物音がしてアンナは叫びそうになった。何かが爆発したような音だった。
「リリス家の悪魔め!葬り去ってやる!」
「何だ!お前達は。兵を呼ぶぞ!」
「うるせえ!用があるのは女の方だけだ。お前は引っ込んでろ!」
知らない大人の怒った声がして、アンナの心の中は恐怖でいっぱいになった。
「何事です?」
ナーシャの聞き慣れた声がする。
「ナーシャ!出てきてはダメだ!こいつらの狙いは君だ!」
「まさか……!貴方は逃げてください!」
「こいつだ!黒髪に赤い目!間違いない!」
そこから先の記憶は曖昧だ。耳を塞ぎたくなるような魔法での攻防の音、そして母の悲鳴と父の怒号を聞いたのは覚えている。
「まだガキがいるはずだ!探せ!」
怖い大人が自分を探している。それが分かってアンナの身体は凍りついた。
涙と震えが止まらない中、アンナは声を殺して、祈るように手を組んでただ男達が立ち去るのを待った。
レイゼルトが握ってくれた手も冷たくて震えていた。レイゼルトだってきっと怖くて仕方がないのだろう。
その後、兵が駆けつけてきてアンナは殺されずに済んだ。父が事切れる前に呼んでいたようだ。
犯人はどこで聞いたのか、リリス家に生まれる赤い目を持つ女性の正体は悪魔だと信じて、ナーシャとアンナを狙ったのだという。
その話があながち間違いではないことをアンナは幼いながら理解していた。
この事件の後、アンナは親戚の家に引き取られることになった。
✳︎✳︎✳︎✳︎
その後、アンナがレイゼルトと再会したのは一年後のことだった。レイゼルトが無理を言ってアンナの親戚の家に訪ねてきたのだ。
レイゼルトはアンナを庭園に呼び出した。
「……その、大丈夫か?」
そうレイゼルトに尋ねられて、アンナの目から涙を零れた。
何度も周りの大人に聞かれたその問いにアンナは聞かれた数だけ「大丈夫」と答えていた。本当は、大丈夫な筈がなかった。幾度となくあの日のことを夢で見て、涙が止まらなくなるのだ。
「……やる。」
「えっ?」
そう言ってレイゼルトがアンナの手に押し付けるように渡してきたのは眼鏡だった。
「あいつら、おばさんの赤い目を見て襲っただろ?だから、隠せばいいんだよ。魔法かけといた。アンナの目が赤く見えないように。」
きっとたくさん魔法の練習をしてやっと完成したのだろう。レイゼルトは一生懸命アンナのことを考えてくれていたのだ。それが分かってアンナの目からまた涙が溢れていった。
「レイくん、ありがとう。大事に、するね。」
レイゼルトはアンナと目を合わせず、うんと頷いた。
「それでもまた悪い奴がアンナのところに来たら、前みたいにオレが守るから。」
アンナはしゃくりを上げながら頷いた。泣き顔を見られたくて、顔を手で覆った。
「ったく、強がりなアンナのことだ。どうせ大人の前では泣くの我慢してたんだろ?オレの前では無理すんなよ。」
アンナはたまらずレイゼルトに抱きついた。レイゼルトが、この世界に唯一残った大切な人だ。アンナはこれからレイゼルトのために生きようと決心した。
レイゼルトはアンナが泣き止むまで、ずっとそばにいてくれた。
✳︎✳︎✳︎✳︎
アンナは目を覚ました。相当長い時間眠っていたのだろう。首を動かすと少し痛んだ。
いつもの癖で眼鏡を探して、どこにもないことに焦りを感じた。枕の右側、左側、そしてベットの淵を見たところで、自分で踏み砕いて捨てたんだと思い出した。アンナは一人、自嘲気味に笑った。
曇り空に枯れ葉が舞う秋の日だった。
アンナはその日、両親と一緒に王都アミティナに来ていた。
アンナの父とレイゼルトの父が魔法学園の同級生で親交が深く、レイゼルトとアンナは幼い頃に知り合った。それから、父が仕事で王都に来る度、アンナはレイゼルトと会っていた。
その日もアンナの両親がレイゼルトの父から借りた来客用の邸宅に、レイゼルトが遊びに来ていた。アンナは当時7歳で、レイゼルトは8歳だった。
「アンナ、かくれんぼしようよ!」
金色の髪に青色の瞳。レイゼルトは天使のように愛らしい子どもだった。
「いいよ!じゃあお母さんも誘ってオニになってもらおう!私とレイくんが隠れるの。」
肩より少し下の長さで、綺麗に揃えられた黒髪に真っ赤な瞳。自分の容姿を不気味がる大人の目線に気がついていたが、母とそっくりな自分の見た目がアンナは好きだった。
「何回もできないからね。一回だけよ。」
アンナの母、ナーシャ・リリスは忙しい合間を縫ってかくれんぼに参加してくれた。
「はーい!」
アンナは笑いながらレイゼルトと一緒に駆け出し、隠れ場所を探す。広い屋敷の中はさながら迷路のようで探検するだけで楽しかった。
アンナとレイゼルトは階段を登って、廊下にいくつも並ぶ部屋の扉を勢いよく開けながら隠れ場所を探す。四つ目の部屋の扉を開けたところで、二人で入れそうな大きなクロゼットを見つけたアンナは、そこに隠れることを決めた。
レイゼルトと一緒に部屋に入って、そっと扉を閉める。クロゼットの前まで歩いてヒソヒソ声でアンナはレイゼルトに話しかけた。
「レイくん、魔法使ってみてよ。」
「ああ。みて驚けよ!」
アンナは以前レイゼルトと会った時、レイゼルトが練習している身を隠す光魔法の話を聞いていた。
《光の幕》
レイゼルトが魔法を唱えると、頭の先からレイゼルトの姿が景色と溶けてだんだん透明になっていった。やがて足まで透明になるとレイゼルトの姿はすっかりと見えなくなった。その様子にアンナは赤い目を丸くした。
「すっごーい!」
アンナの小さな身体では収まりきらない興奮。かくれんぼの最中であることをすっかりと忘れたアンナはぴょこぴょこと飛び跳ねた。
レイゼルトが魔法を解くと、アンナの目の前に再びレイゼルトの姿が現れた。
「へへっ、そうだろ?
オレは勇者になるんだ。そんで世界樹に行って世界を救うんだ。んで、そのあとは王様になるんだ。
兄ちゃんはオレには無理だって言うけどな。オレは絶対やる!」
「私も、レイくんなら出来ると思うよ。
……でも、そうなるとレイくんはいつか遠くに旅に行ってしまうんだね。」
寂し気に目を伏せたアンナの背中をレイゼルトが軽く叩く。
「そんな顔すんなよ!そん時はアンナも一緒に行けばいいだろ!」
そんな方法があったのか。アンナの無邪気な瞳が輝きで満たされた。
「うん!」
「よし。じゃあこの中に入ってオレの魔法で隠れようぜ。」
アンナは音を立てないようにそっとクロゼットの扉を閉めた。さらにレイゼルトの魔法で姿を隠した。
お母さんきっと見つけられないだろうな、と心の中でクスクス笑いながら、アンナはナーシャが探しに来るのを待った。
突然、下の階から大きな物音がしてアンナは叫びそうになった。何かが爆発したような音だった。
「リリス家の悪魔め!葬り去ってやる!」
「何だ!お前達は。兵を呼ぶぞ!」
「うるせえ!用があるのは女の方だけだ。お前は引っ込んでろ!」
知らない大人の怒った声がして、アンナの心の中は恐怖でいっぱいになった。
「何事です?」
ナーシャの聞き慣れた声がする。
「ナーシャ!出てきてはダメだ!こいつらの狙いは君だ!」
「まさか……!貴方は逃げてください!」
「こいつだ!黒髪に赤い目!間違いない!」
そこから先の記憶は曖昧だ。耳を塞ぎたくなるような魔法での攻防の音、そして母の悲鳴と父の怒号を聞いたのは覚えている。
「まだガキがいるはずだ!探せ!」
怖い大人が自分を探している。それが分かってアンナの身体は凍りついた。
涙と震えが止まらない中、アンナは声を殺して、祈るように手を組んでただ男達が立ち去るのを待った。
レイゼルトが握ってくれた手も冷たくて震えていた。レイゼルトだってきっと怖くて仕方がないのだろう。
その後、兵が駆けつけてきてアンナは殺されずに済んだ。父が事切れる前に呼んでいたようだ。
犯人はどこで聞いたのか、リリス家に生まれる赤い目を持つ女性の正体は悪魔だと信じて、ナーシャとアンナを狙ったのだという。
その話があながち間違いではないことをアンナは幼いながら理解していた。
この事件の後、アンナは親戚の家に引き取られることになった。
✳︎✳︎✳︎✳︎
その後、アンナがレイゼルトと再会したのは一年後のことだった。レイゼルトが無理を言ってアンナの親戚の家に訪ねてきたのだ。
レイゼルトはアンナを庭園に呼び出した。
「……その、大丈夫か?」
そうレイゼルトに尋ねられて、アンナの目から涙を零れた。
何度も周りの大人に聞かれたその問いにアンナは聞かれた数だけ「大丈夫」と答えていた。本当は、大丈夫な筈がなかった。幾度となくあの日のことを夢で見て、涙が止まらなくなるのだ。
「……やる。」
「えっ?」
そう言ってレイゼルトがアンナの手に押し付けるように渡してきたのは眼鏡だった。
「あいつら、おばさんの赤い目を見て襲っただろ?だから、隠せばいいんだよ。魔法かけといた。アンナの目が赤く見えないように。」
きっとたくさん魔法の練習をしてやっと完成したのだろう。レイゼルトは一生懸命アンナのことを考えてくれていたのだ。それが分かってアンナの目からまた涙が溢れていった。
「レイくん、ありがとう。大事に、するね。」
レイゼルトはアンナと目を合わせず、うんと頷いた。
「それでもまた悪い奴がアンナのところに来たら、前みたいにオレが守るから。」
アンナはしゃくりを上げながら頷いた。泣き顔を見られたくて、顔を手で覆った。
「ったく、強がりなアンナのことだ。どうせ大人の前では泣くの我慢してたんだろ?オレの前では無理すんなよ。」
アンナはたまらずレイゼルトに抱きついた。レイゼルトが、この世界に唯一残った大切な人だ。アンナはこれからレイゼルトのために生きようと決心した。
レイゼルトはアンナが泣き止むまで、ずっとそばにいてくれた。
✳︎✳︎✳︎✳︎
アンナは目を覚ました。相当長い時間眠っていたのだろう。首を動かすと少し痛んだ。
いつもの癖で眼鏡を探して、どこにもないことに焦りを感じた。枕の右側、左側、そしてベットの淵を見たところで、自分で踏み砕いて捨てたんだと思い出した。アンナは一人、自嘲気味に笑った。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる