ビアンカ嬢の波瀾万丈異世界生活っ!!

葵里

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パパの憂鬱

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窓から陽が注ぐ。美しい光となって執務室の己の机を照らす。外からはスワンナの囀る声が聞こえる。


「はぁ、もう朝になるのか。」


思わず溜息を吐き、右手で眉間を揉む。

私には悩みがある。それは我がルベリオン家の末娘、ビアンカとの関係である。ビアンカにどう対応すればいいのかわからないのだ。

私は、黒に近い紫紺の髪を持ち、瞳はアメジスト色をしている。顔立ちも10人中10人は振り返る美形だということも自覚している。私は、先代の王に似ているからな。

先代の王は、私とは違って明るく表情をコロコロと帰るいつも穏やかで笑顔であったが、私は常に無表情がデフォルトで声もバリトンボイスで低く、起伏がなく淡々としているため、よく怖がられる。
若い頃は、"鉄仮面王子""能面の第二王子"だの言われ、現在も"王国の最終兵器"やら、"公爵家の魔王"だの言われている。
確かに感情の起伏が乏しい自覚はあるが、感情がないわけではない。人の親として我が子が可愛いと思って何が悪いっ!まだ、ハロルドやトールとは不器用ながらも接する事ができる。だが、ビアンカとは上手くいかぬ!!

ビアンカは生まれた時から体が弱かった。薄い金髪に薄い赤紫の瞳を持つビアンカは、とても儚くいつか消えてこの世のどこにも痕跡を残さずに去ってしまうのではないかと思うほどに。
そんなビアンカにどう接すればいいのか分からないばかりに冷たい態度を取ってしまう。

それに、あの子の話をするとミアが悲しそうにする。私は誰よりもミアを愛している。

ビアンカはミアに似て美しい。故に、ミアの生き写しである愛娘が愛おしい。

しかし、ミアの頭の大部分を占めているビアンカが時折憎らしく思うことがあるのだ。

父親失格だと思われよう。

それでも、私の愛しい娘に違いない。複雑な気持ちを抱えながらも私なりにあの子を愛していきたいと思う。




隣国とのゴタゴタで私が初めてビアンカに会ったのはあの子が2歳の頃だった。
初めての娘という事もあり、可愛くて、可愛いくて仕方のない天使に早く会うために仕事も予定より3時間早く終わらせ急いで公爵邸へ帰った。
そこで見た天使は物凄く可愛かった!思わず抱きしめて愛でたいと思うほどに天使だったのだ!

最初が肝心だというし、一発で決めてやる!!

…だというのに、私は「ああ、今帰って来たよ、私の可愛いビアンカ。顔色が良くない。早く部屋に戻って休みなさい。」と言うところを「うむ。早く自室に帰りなさい。」と言ってしまったのだ。言い方があるだろう、私!

他にも散々冷たい態度を取ってしまっている。初めは肝心だというのにっ!一体私は何をしているのだ!

妻からも呆れられて苦笑された。
一度取ってしまった態度は改められずどう接すればいいのか余計に分からなくなってしまったのだ。

つい先日、セバスがビアンカからとハンカチが届いた。ビアンカが手ずから刺繍したものであった。思わず、ハンカチを握りしめて喜びのあまり大きな声を出してしまい、セバスから注意を受けたこともいい思い出だ。

次に家に帰る時はビ、ビアンカにお礼を言ってな、何か好きな物でも…買ってやっても良いかもしれんなっ!









______________________

ビアンカに対する思いが複雑ですね。
パパにとっての1番はやっぱりママさん!

ママの思考の大部分を占めるビアンカに嫉妬して憎い気持ち。

だけど、ママさんに似ているビアンカを娘として愛しいと感じる気持ち。

複雑ですね~。しかも、態度で素直に表せないというなんとも不器用なパパさん!

早くビアンカにパパさんの思いが伝わるとイイね!
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