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精霊王

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「さて、そろそろ我が義弟ヒューゴよ、
腕の中の大切な者の紹介が欲しいんだが…
よろしいか?」
「あっ…申し訳…。」
「我が義弟ヒューゴよ。堅い。堅苦しいぞ。
もっと久方ぶりなんだし、抱きつきながら
可愛~く"にいにい、寂しかった。".とか
"にいにい。"って言いながら涙を浮かべて
頭をグリグリ押し付けたりして、昔の
様に、甘えてほしいんだがな…だめか?」
「……そっ、それは。すみません、無理です。」
…俺は、ヒューゴがアジュラン様に頭を
グリグリ胸に押しつけ"にいにい"って
言いながら甘える姿を、何故か想像してしまった。
身長2m越えの筋肉質の男が、同じく2m越えの
細身の男性に甘える姿……。
……予想以上に想像力を発揮してしまい、
リアルに想像してしまった自分が、
かなり…怖かった…。

「ヒュ…ヒューゴ?!そ、そんな事
…してたんだ….可愛いかったの?!」
「おっ、話のわかる子だ。ヒューゴが
その様なカゴから、歩き出した頃か?
初々しい話し方で、今の数百倍、いや?
数千倍、可愛かったぞ。愛しの我が妻の
ヒューウンは、比べものにならん可愛さだがな……。」
アッハハと笑うアジュラン様は、本当に
愛しい者を愛でる優しい目をしながら、
ヒューウンさんを見つめていた。
俺たちも、こんなかんじなのかな?

……小さなヒューゴ、ハイハイ時期や
ヨチヨチの、乳幼児期のヒューゴかあ。
「赤ん坊や、小さな子どもは……。
す~はあ~。アジュラン義兄様、ヒューウン兄様
私の腕の中にいるのは、私の最愛の人で
唯一の人ハルト・ショウドウ・カナップです。」
「ほ~。」
「おめでとう。ヒューゴ。」
「あっ、すみません、挨拶が遅れました。
ハルト・ショウドウ・カナップです。
ヒュ、ヒューゴさんとつい…ごく最近、
一緒になりました。よ、よろしくお願いします。」
俺は、ペコっと頭を下げた。

2組の夫婦が妻をお姫さま抱っこ
し続けながら話している姿。
日本人ならありえない。
いや、地球の人類ほとんど、こんなふうに
外で話はしないだろう。

「ゆっくり話したいが…。大丈夫…そうに
見えるが……。」
「義父上殿は…ブリーチュ・ズデーチュ
男爵御一行の対応をなさってるし、
ギーニ君の部下達も優秀だから、
屋敷の一室を借りてもいいかな?」
長髪の銀色の髪に整った顔、地の精霊王
アジュラン様は、周りを魅了するかのように、
ヒューゴのお兄様ヒューウン様を
お姫様抱っこをしながら、カナップ侯爵に
話をしていた。

気づいたら俺たちは思いのほか目立っていた。
しかも、俺のすぐそばには、リームとキュイ
キュイはピクニック用のカゴに眠っている
から、見えないがリームは、例えるなら
超大型バスを2段積み上げた様な大きさ。
ドラーゴン・ゾーラってだけでも目立つのに
契約した時のやり取りも、バッチリ
見られていたのだ。

「さぁ、移動しよう。」アジュラン様がそう言うと、
ここに来る時に乗った馬車に行くんだろうか?
そう思ったのは一瞬で、あっと言う間もなく
カナップ侯爵の屋敷にたどり着いた。
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