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第8章 通貨制度構築編
第198話 羊毛刈って帰って来た
一週間後、カイベルと分身体の二人が帰って来た。
「随分かかったね、お疲れ様」
何だか自分の分身ながら、少しやつれて見える……
「うん……量が量だけにね……じゃあ私は休むから……おやすみ……」
分身体を取り込んだ。
一週間分の記憶が流れ込む!
………………
す、凄い量刈って来たのね!
「カイベルもありがとう、毛刈りお疲れ様」
「はい」
「じゃあ十分休んで」
「いえ、私は疲れませんので大丈夫です」
「あ、ああっそうか……」
人型してるから疲れると勘違いしてしまったけど、自動人形だからいくら動いても疲れることはないのか。
その代わり私の分身体が疲れてたわけね。魔力の補充は必要だっただろうし、テキパキ仕事するカイベルの後ろをくっ付いて歩くのも大変だったんだろう。毛刈りしまくったカイベルの後ろを、せっせと回収しながら歩いた記憶がある……
「羊毛は分身体様に亜空間収納ポケット内に入れていただきましたので、そちらをご覧ください。と言っても記憶は分身体様と共有しているのでしたね」
「一週間も行ってたけど、あれで何頭分刈ったの? まさか全部刈ったりとかしてないよね?」
「いえ、あの辺りにいる全ての羊の毛を刈り尽くしました」
……か……刈り尽くした……だと……?
「か、刈り尽くして大丈夫なの……?」
「大丈夫です。分身体様と共に、アスモデウス様のところに許可を頂きに行きましたので」
あ、確かに受け取った記憶の中にアスモに許可取った記憶あるわ。
でも刈り尽くすとまでは言わなかったけど……ホントに大丈夫かしら……
「刈り尽くすということまで許可は取らなかったよね? 後で雷の国から文句言われたりとか……」
「大丈夫です、私が刈り尽くして良いかどうかまで聞いて許可を頂きましたので。曰く『……誰も刈らないし……どうせまた生えてくる……刈り尽くしても大丈夫……』と仰られたので遠慮無く刈らせていただきました」
アスモの声色を再現してみせた。
「え!? 私の知らないところでそんな交渉してくれてたの!?」
敏腕!
それにしても、他人の声真似する機能なんてものもあったのね……
「そ、それで全部で何頭分なの?」
「七千八百三十二頭分あります」
す、凄い……これだけあれば、かなりの数賄える!
◇
一週間前に宣言した通り、エルフィーレのところへ羊毛を卸しに行った。
「あ、アルトラ様こんにちは。ここを訪れたということはカイベルさん帰って来たんですね! それでどれくらい刈って来たんですか」
「え~と……ちょっと多くて、ドン引きされるかも」
「え?」
「詳しくは亜空間収納ポケットを直接見てもらえれば……」
亜空間収納ポケット内を直接覗かせる。
「私、この中見るの初めてです!」
中を見ると、そこには一面真っ白な物体。
「…………何か白いものしか見えませんけど? どれが素材ですか?」
「その白いのが全部羊毛です……」
「こんなに!? 何頭分あるんですか!? 一面真っ白なので、そういう部屋なのかと思いました!」
「カイベルから聞いた話では、七千八百頭分くらいあるらしい」
「!!?」
話を聞いてエルフィーレが固まってしまった。
今必死に頭の中で整理していると思われる。
数秒して――
「ア、アルトラ様……もしかして全部使えとか言いませんよね?」
「うん、この半分を使って服の制作をお願いしたい。時間かかっても良いから徐々に作っていってもらえる? 残り半分は布団作るのに使おうと思ってる」
「わ、わかりました、何とか作ってみます。ただ、これを大量の置いておくと、流石に置き場所も無いので、三日ごとぐらいに羊毛の補充に来てもらえませんか?」
「わかったわ。無理しない程度にお願い」
「はい」
◇
縫製所に羊毛を卸して我が家へ帰宅。
「さてカイベル、羊毛に続いて悪いんだけど、綿花の不足問題を何とかしたい。どこかに綿花が生えてるところない?」
「アクアリヴィアには大量に原生しているところがありますが……」
やっぱり水の国だけあって雨が多いから自然に生育するのかな? 綿花って水が沢山必要って聞くし。
「原生か……採って良いかな? そこってどこ?」
「首都から少し離れた諸島です。無人島なので誰の手も入っていないようです」
誰の手も入っていない無人島とは言え、他人の国のものを採るのは気が引ける。
一応許可は取っておくべきだな。
「じゃあレヴィのところへ許可貰いに行ってくる」
「なぜですか? 黙って採っても気付かれないと思いますが……」
「無人島の物を勝手に持って来たら犯罪にはなるの?」
「アクアリヴィアにそのような法律はありません」
「だとしても、こういうのは順序というものがあるから、やっぱり許可は取っておくべきだと思うの」
例え犯罪にはならなくても、後々勝手に採ったことが知られて心象悪くするってこともあり得るし。
「しかし、断られたらどうするのですか?」
「そうしたら別の手段を探すよ。最悪メリルの綿花畑のものを何回か成長促進魔法を使って、急激に増やせば良いし。じゃあちょっと行ってくるね」
◇
そういうわけで、女王レヴィアタンのところへ綿花の採取の打診に来た。
「綿花……そんなところに原生してるのね。と言うか無人島がそんなところにあったことすら知らなかったわ。じゃあ地図に追加しておかなきゃ。と言うかそこに無人島があって、綿花が原生してるってどこで知ったの?」
ギクッ
カイベルのことなんか当然言うわけにはいかないから――
「え、え~と……散歩?」
「散歩? こんなところまで?」
「あ、ああ、ごめん、間違えた! 私、世界の観測が趣味で、こういう能力があるの」
と言いながら『千里眼』を使う。
「あ、これって遠くを見る魔法だね。利用次第で遠くの景色を見るためにも使えるのね。良いなぁ、それちょうだい」
「あげないよ」
うぉぉ……久しぶりのちょうだい攻撃。うっかり肯定しないように気を付けないと。
「でもこれって複数の空間魔術師でようやく安定させられるものなのに、あなたやっぱり凄いわね」
「この魔法知ってるの?」
「空間魔術師が沢山集まる七大国会談では毎回使われてる魔法よ。普通は空間魔術師が最低三人か四人いないと映像が安定しないし、維持するのが大変だから、平時に使われることなんかほとんど無いけどね」
「へぇ~、じゃあこの魔法が何かのカギになってたりするの?」
「ううん、別にそんなことはないよ。ただ属国や小国が七大国の様子を見られるようにするだけの魔法。七大国にとっては無きゃ無くても良いけど、属国や小国は七大国の状況を知るためにあった方が良いんじゃないかな?」
「ふ~ん」
七大国会談がどんな感じかわからんから、今の私がこれを聞いてもわからないな……
「それで話を戻すけど、すぐにでも綿花が大量に必要だから、ここの綿花を採らせてもらいたいんだけど……」
「OKOK、良いよ。ベルゼが採った後に生えたのは私たちで使って良いんだよね?」
「それはもちろん。ただ、今回採った後も、もう少しだけ融通してもらえるかな? 最低限、命の危機が無くなるくらいになるまで」
「い、今命の危機なの? 何で綿花の採取が命を救うのかわからないけど……」
水の国は年中通して快適な気温って聞いてるから、寒さで死ぬってことがわからないのかな?
「良いよ、その程度で済むなら、群生地教えてくれただけありがたいし」
「ありがとう! じゃあ今回は刈り尽くすけど良いね?」
「どうぞ」
よし! これで女王様の許可も取れた!
「随分かかったね、お疲れ様」
何だか自分の分身ながら、少しやつれて見える……
「うん……量が量だけにね……じゃあ私は休むから……おやすみ……」
分身体を取り込んだ。
一週間分の記憶が流れ込む!
………………
す、凄い量刈って来たのね!
「カイベルもありがとう、毛刈りお疲れ様」
「はい」
「じゃあ十分休んで」
「いえ、私は疲れませんので大丈夫です」
「あ、ああっそうか……」
人型してるから疲れると勘違いしてしまったけど、自動人形だからいくら動いても疲れることはないのか。
その代わり私の分身体が疲れてたわけね。魔力の補充は必要だっただろうし、テキパキ仕事するカイベルの後ろをくっ付いて歩くのも大変だったんだろう。毛刈りしまくったカイベルの後ろを、せっせと回収しながら歩いた記憶がある……
「羊毛は分身体様に亜空間収納ポケット内に入れていただきましたので、そちらをご覧ください。と言っても記憶は分身体様と共有しているのでしたね」
「一週間も行ってたけど、あれで何頭分刈ったの? まさか全部刈ったりとかしてないよね?」
「いえ、あの辺りにいる全ての羊の毛を刈り尽くしました」
……か……刈り尽くした……だと……?
「か、刈り尽くして大丈夫なの……?」
「大丈夫です。分身体様と共に、アスモデウス様のところに許可を頂きに行きましたので」
あ、確かに受け取った記憶の中にアスモに許可取った記憶あるわ。
でも刈り尽くすとまでは言わなかったけど……ホントに大丈夫かしら……
「刈り尽くすということまで許可は取らなかったよね? 後で雷の国から文句言われたりとか……」
「大丈夫です、私が刈り尽くして良いかどうかまで聞いて許可を頂きましたので。曰く『……誰も刈らないし……どうせまた生えてくる……刈り尽くしても大丈夫……』と仰られたので遠慮無く刈らせていただきました」
アスモの声色を再現してみせた。
「え!? 私の知らないところでそんな交渉してくれてたの!?」
敏腕!
それにしても、他人の声真似する機能なんてものもあったのね……
「そ、それで全部で何頭分なの?」
「七千八百三十二頭分あります」
す、凄い……これだけあれば、かなりの数賄える!
◇
一週間前に宣言した通り、エルフィーレのところへ羊毛を卸しに行った。
「あ、アルトラ様こんにちは。ここを訪れたということはカイベルさん帰って来たんですね! それでどれくらい刈って来たんですか」
「え~と……ちょっと多くて、ドン引きされるかも」
「え?」
「詳しくは亜空間収納ポケットを直接見てもらえれば……」
亜空間収納ポケット内を直接覗かせる。
「私、この中見るの初めてです!」
中を見ると、そこには一面真っ白な物体。
「…………何か白いものしか見えませんけど? どれが素材ですか?」
「その白いのが全部羊毛です……」
「こんなに!? 何頭分あるんですか!? 一面真っ白なので、そういう部屋なのかと思いました!」
「カイベルから聞いた話では、七千八百頭分くらいあるらしい」
「!!?」
話を聞いてエルフィーレが固まってしまった。
今必死に頭の中で整理していると思われる。
数秒して――
「ア、アルトラ様……もしかして全部使えとか言いませんよね?」
「うん、この半分を使って服の制作をお願いしたい。時間かかっても良いから徐々に作っていってもらえる? 残り半分は布団作るのに使おうと思ってる」
「わ、わかりました、何とか作ってみます。ただ、これを大量の置いておくと、流石に置き場所も無いので、三日ごとぐらいに羊毛の補充に来てもらえませんか?」
「わかったわ。無理しない程度にお願い」
「はい」
◇
縫製所に羊毛を卸して我が家へ帰宅。
「さてカイベル、羊毛に続いて悪いんだけど、綿花の不足問題を何とかしたい。どこかに綿花が生えてるところない?」
「アクアリヴィアには大量に原生しているところがありますが……」
やっぱり水の国だけあって雨が多いから自然に生育するのかな? 綿花って水が沢山必要って聞くし。
「原生か……採って良いかな? そこってどこ?」
「首都から少し離れた諸島です。無人島なので誰の手も入っていないようです」
誰の手も入っていない無人島とは言え、他人の国のものを採るのは気が引ける。
一応許可は取っておくべきだな。
「じゃあレヴィのところへ許可貰いに行ってくる」
「なぜですか? 黙って採っても気付かれないと思いますが……」
「無人島の物を勝手に持って来たら犯罪にはなるの?」
「アクアリヴィアにそのような法律はありません」
「だとしても、こういうのは順序というものがあるから、やっぱり許可は取っておくべきだと思うの」
例え犯罪にはならなくても、後々勝手に採ったことが知られて心象悪くするってこともあり得るし。
「しかし、断られたらどうするのですか?」
「そうしたら別の手段を探すよ。最悪メリルの綿花畑のものを何回か成長促進魔法を使って、急激に増やせば良いし。じゃあちょっと行ってくるね」
◇
そういうわけで、女王レヴィアタンのところへ綿花の採取の打診に来た。
「綿花……そんなところに原生してるのね。と言うか無人島がそんなところにあったことすら知らなかったわ。じゃあ地図に追加しておかなきゃ。と言うかそこに無人島があって、綿花が原生してるってどこで知ったの?」
ギクッ
カイベルのことなんか当然言うわけにはいかないから――
「え、え~と……散歩?」
「散歩? こんなところまで?」
「あ、ああ、ごめん、間違えた! 私、世界の観測が趣味で、こういう能力があるの」
と言いながら『千里眼』を使う。
「あ、これって遠くを見る魔法だね。利用次第で遠くの景色を見るためにも使えるのね。良いなぁ、それちょうだい」
「あげないよ」
うぉぉ……久しぶりのちょうだい攻撃。うっかり肯定しないように気を付けないと。
「でもこれって複数の空間魔術師でようやく安定させられるものなのに、あなたやっぱり凄いわね」
「この魔法知ってるの?」
「空間魔術師が沢山集まる七大国会談では毎回使われてる魔法よ。普通は空間魔術師が最低三人か四人いないと映像が安定しないし、維持するのが大変だから、平時に使われることなんかほとんど無いけどね」
「へぇ~、じゃあこの魔法が何かのカギになってたりするの?」
「ううん、別にそんなことはないよ。ただ属国や小国が七大国の様子を見られるようにするだけの魔法。七大国にとっては無きゃ無くても良いけど、属国や小国は七大国の状況を知るためにあった方が良いんじゃないかな?」
「ふ~ん」
七大国会談がどんな感じかわからんから、今の私がこれを聞いてもわからないな……
「それで話を戻すけど、すぐにでも綿花が大量に必要だから、ここの綿花を採らせてもらいたいんだけど……」
「OKOK、良いよ。ベルゼが採った後に生えたのは私たちで使って良いんだよね?」
「それはもちろん。ただ、今回採った後も、もう少しだけ融通してもらえるかな? 最低限、命の危機が無くなるくらいになるまで」
「い、今命の危機なの? 何で綿花の採取が命を救うのかわからないけど……」
水の国は年中通して快適な気温って聞いてるから、寒さで死ぬってことがわからないのかな?
「良いよ、その程度で済むなら、群生地教えてくれただけありがたいし」
「ありがとう! じゃあ今回は刈り尽くすけど良いね?」
「どうぞ」
よし! これで女王様の許可も取れた!
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