駄目神チートと征く、異世界創世記

ねこのにくきう

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1章 異世界転移は無理難題

1-15 俺、サスラの領主に会うそうです

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 馬車に揺られること5分程、どうやら領主様とやらの屋敷についたようだ。こんなに近い距離なのに馬車を出してくれるなんて、相手の本気度が伺えるというもの。俺、一体どうなっちゃうんだろ……。でも、ココだけは絶対に守らないと。

 屋敷の前には、やけにガタイの良い執事服の男と使用人のような人たちが一列に並んでいた。おい、なんだ、この出迎えは。ここまで案内してくれた門番の人をちらりと見てみるが、特に気にしている様子はない。とすると、これは普通の対応なのか……びびる。

「ようこそいらっしゃいました。エリュシオン教の天司様と御付きの方、辺境伯が応接室でお待ちですので中へどうぞ」

 真ん中にいたガタイのいい執事が代表して挨拶してくれた。このおっさん本当に執事か? あれ? 俺、『天司』って名乗ったっけ? まぁ、いいか。

「私はハジメと申します。こちらは従者のココ。この度は、お招きいただき恐縮です」

 とりあえず社交辞令を交わす。早速、案内されて屋敷に入った。それにしても持ち物チェックとかしなくていいのか? 俺が暗殺者とかだったらどうする気なんだろう? 

「こちらでございます。中で辺境伯がお待ちです」

 ガタイの良い執事がノックをして、中から返事が返ってきたら扉を開けて中へ促してくれた。はぁ、もう覚悟を決めるか。なるようになれだ。

「失礼します」

 待っていたのは、もっとガタイの良い男だった。この人が辺境伯? この街はどうなってやがるんだ。こんなの完全に武闘派じゃねぇかよ。絶対何人も人を殺してる面してやがる。これは本格的に騙されたか? 

「はじめまして、本日はお招きいただきありがとうございます。私はハジメ、こちらは従者のココと申します。ココは理由あって顔を見せることができませんが、ご容赦ください」

「私がこのサスラの街を治めている領主のアルバートだ。傭兵上がりなもので、敬語はあまり慣れていなくてね。聞き苦しかったら、すまない。従者の方は事情があるならば顔は見せなくて結構だ」

 顔の割に思ったより良い人そうだった。元傭兵……どうりでこのガタイなわけだ。正直、ボディービルダーかと思ったぜ。服が筋肉でぱつんぱつんなんだぜ? やべぇ。

「我が街には巡礼の途中で訪れたと伺っているが、間違いないかね? サスラで住民登録はできないだろうから滞在許可証とこの先に行く土地の通行願いを発行しよう。他にも目的があれば、差し支えない範囲で開示頂けると滞在中のトラブルにならなくて済むのでこちらとしては助かるのだが」

 おや、早くも滞在許可はくれるようだ。交渉しなくて済んだぜ、ラッキー。しかも、他の土地へ行く案内状みたいなのも書いてくれるそうだ。何この好待遇。

「今回、訪問の目的は宣教も含むのですが、お恥ずかしながら、路銀を稼ぐ目的もあります。次の街への費用を確保でき次第、この街を発つ予定ですが、しばらくは滞在させて頂こうかと思っています」

「ほほう、あなたさえ差し支えなければ、路銀を幾ばくか、こちらで用意させてもよろしいのですが、如何か?」

 いやいやいやいや、あんたに借りを作ったら後で何を要求されるか怖えよ。これは意地でも回避すべき案件。お金は街を見回って適当に稼げばいい。最悪、『取り寄せ』したアイテム売れば、そこそこのお金はできるだろ。塩とかなら売れるだろうし。

「いえ、それには及びません。我らが女神の教えでは『他人に施し与えるもの、それは己の身より削り与えよ』という言葉がありまして、巡礼の資金は自己調達を義務付けているのですよ。ありがたい申し出なのにお断りしてすいません、領主様には感謝を」

(ぶひゃひゃひゃ、それじゃアンパ〇マンの真似じゃない。ボクの顔を食べなよ、を格好良くそれっぽく言っただけじゃん、ハジメおっかしいの! ぶひゃひゃひゃひゃ)

「……なるほど、奥が深い教えですね。いや、若いのに立派な立場にいらっしゃる」

 いや、そんな感心されても……全くの嘘っぱちなので、逆に恐縮なのですが。あと、シオンは後で殴る。俺が真面目な会話をしているのに茶々いれんな。
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