駄目神チートと征く、異世界創世記

ねこのにくきう

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1章 異世界転移は無理難題

1-27 俺、サスラの街でお料理教室を開くそうです

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 豚の出荷事件から1週間が経った。

捕まったヤツラは速やかに尋問されて、関係者が次々と捕まっていった。街の中にも協力者がかなりおり、全容の解明にはもう少し時間がかかりそうらしい。

 そして、俺たちは相変わらずアルバート様の屋敷にお世話になっていて、

「ハジメ様、こんな感じでしょうか?」

「んー、だいぶ良くはなっていますけど、もうちょっとですね。でもかなり美味しくなりましたよ。やはり、みんなで考えると早いですねぇ」

 屋敷の料理人たち+αを集めて、料理のレクチャーをしていた。事の発端は、アルバート様とフェリア様に飲ませたオニオンコンソメスープ。あれが、いつの間にか料理人たちにも振る舞われ、噂が噂を呼んで収拾がつかなくなった。俺にとっては何でもないものでも、彼らに与えた衝撃は想像を絶するものがあったのだろう。人間は一度美味しいモノを食べると、もっと食べたい欲求が生まれる生き物なのだ。

 はい、そこ! 布教活動はどうしたの? とか考えちゃった、君! 俺だって正直そう思うんだから、わざわざ言わなくてもよろしいのです!

 どうやらこの国では、旨みという概念がまったく存在しておらず、塩味だけとか、素材そのものの味で料理が出てくることが多いようだ。一部には料理らしい料理もあるが、日本ほどの洗練さを感じない。というか、日本の食文化には並々ならなぬ先人の知恵や情熱が幾重にも注がれているのだから、もはや変態の領域である。

 俺の作るスープは、実際は食の変態文化日本が誇るオニオンコンソメスープ(インスタント)なのだが、絶品との噂があちこちで囁かれ、いつしかサスラの街では、女神エリュシオンは美味美食を重んじる神として認知されつつあるらしい。

(食いしん坊と思われるのは、心外ですー!)

「おい! ハジメ! 今日の昼食の支度はどうだ!?」

 俺が料理人たちと試行錯誤しながら料理を作っていると、厨房に駆け込んでくるひとがいた。そう、|アルバート様が現れた。

「お兄さん……そろそろお昼時だと言っても、領主自らが厨房に赴いては料理人たちも困ってしまいますよ。もうすぐお時間ですから、大人しくお仕事をしていてください」

「フェリア、そうは言っても、楽しみで楽しみで、待ちきれないんだが……」

「はぁ、そんな子供みたいなこと言って……」

 そして、驚いたことに料理人たちに交じって俺たちと料理をしているのはフェリア様だ。フェリア様の身体はもうすっかり良くなり、今は日常生活の中でなるべく運動をして筋肉を取り戻すようにしている。今日は本人たっての願いで俺たちと料理をしている。

「ハジメ~、今日のご飯は何~? お腹へった~」

 空腹に駆られ、御飯を待ちきれないのかココも厨房に現れた。なんと欠食児童が多いことか。そうそう、ココが獣人だとわかってからも、サスラの街の人たちの対応は変わらなかった。打ち明けた当初こそは混乱したが、今はもう何事もなかったかのように過ごしている。

「ココ、もう少しでできるから、もうちょっと待ってなさい」

「はーい」


 今日のメニューは具沢山のコンソメ味のポトフとハンバーグ、いずれとも試作品だがまぁまぁ美味しいものができたと思う。正直、コンソメ(というかまずはブイヨンから)をイチから作るのがこんなに苦労するとは思わなかった。あとサスラには、鶏ガラからスープを作るという概念が無かったので、初めて作り方を教えた時は料理人たちから、こいつ何考えてるんだ? みたいな目で見られた。その目で見つめられるとゾクゾクするので、やめて頂きたい。

 だが、ある程度、仕込みが進んでくると厨房にいい匂いが立ち込めて、料理への期待感が増幅されることになった。古今東西、食欲をそそる匂いというものは原始的な欲求を刺激するものだ。カレーとかな。あー、カレー食いたい……。
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