1 / 232
story-0
しおりを挟む
静かな室内に息使いだけが漏れていた。
「……んっ……ぁ……もう……無理……」
「……」
「お願い……もう……じらさないで……。……っ……んっ……」
「なんだもう無理なのか?」
少し挑発するように見下ろす目は、どこか冷たい印象を与える。
「…………もう……イキたい……」
「もう終わりか? これしきで根を上げるとはな……。
……じゃあ、うつ伏せになれ」
驚いたように見上げる目。
「……! ……いやだ……このままで……」
「ではダメだ。これで終わりだ」
冷たく言い放ち繋がった体を外しかける。
「……んっ……抜かない……で……」
この男には敵わない。
諦めたような悲しい表情になり、その男は細くしなやかな体をうつ伏せた。
冷たかった目がその背中を見つめる。
「……まだ痛むのか……?」
そう尋ねた声は、先程よりほんの少しだけ優しくなっていた。
「少し……」
「そうか……」
そう言いながらそっと指で背中に触れた。
「……んっ……あまり……見ないで……。
触ら……ないで……」
それは辛そうな、悲しい声だった。
うつ伏せたその背中には、痛々しい程の傷があった。
戦闘で傷ついた物とは明らかに違う。
銃創でも、ナイフでの創傷でもない傷。
それは紛れも無く、灼き付けられた刻印……。
「……んっ……ぁ……もう……無理……」
「……」
「お願い……もう……じらさないで……。……っ……んっ……」
「なんだもう無理なのか?」
少し挑発するように見下ろす目は、どこか冷たい印象を与える。
「…………もう……イキたい……」
「もう終わりか? これしきで根を上げるとはな……。
……じゃあ、うつ伏せになれ」
驚いたように見上げる目。
「……! ……いやだ……このままで……」
「ではダメだ。これで終わりだ」
冷たく言い放ち繋がった体を外しかける。
「……んっ……抜かない……で……」
この男には敵わない。
諦めたような悲しい表情になり、その男は細くしなやかな体をうつ伏せた。
冷たかった目がその背中を見つめる。
「……まだ痛むのか……?」
そう尋ねた声は、先程よりほんの少しだけ優しくなっていた。
「少し……」
「そうか……」
そう言いながらそっと指で背中に触れた。
「……んっ……あまり……見ないで……。
触ら……ないで……」
それは辛そうな、悲しい声だった。
うつ伏せたその背中には、痛々しい程の傷があった。
戦闘で傷ついた物とは明らかに違う。
銃創でも、ナイフでの創傷でもない傷。
それは紛れも無く、灼き付けられた刻印……。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
118
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる