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匠と深月を地下に残し、浅葱は一気に階段を駆け上った。
5階だけは階下と違い電気が点いていた。
激しい交戦の跡があり、その廊下には多くの男達が転がっている。
そして随所に爆破された跡。
しかもそれは “証拠隠滅” などという目的とはかけ離れた、ただの “破壊” にしか見えなかった。
自分達の仕事は、できるだけ静かに秘密裏に行われ、公になる事を嫌う。
今回も爆破など、最初から想定していない。
こんな事をしたのは奴等自身。それは明白だった。
こんな古い施設、ただ匠を監禁しただけの場所を、なぜ、わざわざ大掛かりに爆破などしたのか……。
そのあまりの狂気に、浅葱は違和感を覚え眉を顰めた。
転がる男達をすり抜け、未だ銃声が聞こえる方へと走った。
屋上からだった。
最後の階段を駆け上る。
そこは雨の中にもかかわらず、炎と煙と熱風に覆われていた。
炎煙の向こうに多くの人影が動いているのが見える。
四人が手前の瓦礫の陰で、必死の交戦を続けていた。
「遅くなった」
そこへ素早く走り込んだ。
「匠は大丈夫か?」
一人が声を掛けてくる。
浅葱は匠のあの状態を思い出し、一瞬答えに迷ったが「ああ」とだけ答えると、すぐに前を見据えた。
「敵は?」
「残り、30ちょい……ってとこか」
「ヤツもあそこか?」
「ああ、白衣を着た爺さんも一緒だった。たぶん、例の医者だろう」
「……数は楽勝なんだ、がな…………」
そう言いながら一人が上を見る。
上空で旋回するヘリの音がしていた。
煙と炎で降下できず、タイミングを計っているらしかった。
「ヤバいな。あれが降りたら、ヤツは兵隊を盾に逃げるつもりだ」
「急ごう!」
五人は散開し、次々と煙の中へと消えていった。
再びあちこちで銃声が響き始める。
煙幕の奥でヘリの音が近付いていた。
浅葱は音のする方へ真っ直ぐ走った。
そこにヤツがいるはずだ。
匠をあんな姿にしたヤツが……!
ヘリの起こす風で煙が払われ、一瞬視界が開けた時、乗り込もうとしている白衣の老人が見えた。
その後ろに続く男の姿……。
「……待て!」
浅葱は思わず叫んでいた。
その声に、男がゆっくりと振り返る。
「……やぁ。どうしてここがわかった……?」
男はかくれんぼで見つかった子供のように、この状況を楽しんでいた。
「……ああ! あの携帯か……。
あんな物を置くんじゃなかったね。
お前を嫉妬させてやろうと思ったのが間違いだったかな。
あの時はまだ、これほどタクミが欲しくなるとは思っていなかったんだ。
あれさえなければ、タクミも連れて行けたのに……」
「お喋りは止めて、そろそろケリをつけようぜ……」
浅葱の目が鋭く睨んだ。
5階だけは階下と違い電気が点いていた。
激しい交戦の跡があり、その廊下には多くの男達が転がっている。
そして随所に爆破された跡。
しかもそれは “証拠隠滅” などという目的とはかけ離れた、ただの “破壊” にしか見えなかった。
自分達の仕事は、できるだけ静かに秘密裏に行われ、公になる事を嫌う。
今回も爆破など、最初から想定していない。
こんな事をしたのは奴等自身。それは明白だった。
こんな古い施設、ただ匠を監禁しただけの場所を、なぜ、わざわざ大掛かりに爆破などしたのか……。
そのあまりの狂気に、浅葱は違和感を覚え眉を顰めた。
転がる男達をすり抜け、未だ銃声が聞こえる方へと走った。
屋上からだった。
最後の階段を駆け上る。
そこは雨の中にもかかわらず、炎と煙と熱風に覆われていた。
炎煙の向こうに多くの人影が動いているのが見える。
四人が手前の瓦礫の陰で、必死の交戦を続けていた。
「遅くなった」
そこへ素早く走り込んだ。
「匠は大丈夫か?」
一人が声を掛けてくる。
浅葱は匠のあの状態を思い出し、一瞬答えに迷ったが「ああ」とだけ答えると、すぐに前を見据えた。
「敵は?」
「残り、30ちょい……ってとこか」
「ヤツもあそこか?」
「ああ、白衣を着た爺さんも一緒だった。たぶん、例の医者だろう」
「……数は楽勝なんだ、がな…………」
そう言いながら一人が上を見る。
上空で旋回するヘリの音がしていた。
煙と炎で降下できず、タイミングを計っているらしかった。
「ヤバいな。あれが降りたら、ヤツは兵隊を盾に逃げるつもりだ」
「急ごう!」
五人は散開し、次々と煙の中へと消えていった。
再びあちこちで銃声が響き始める。
煙幕の奥でヘリの音が近付いていた。
浅葱は音のする方へ真っ直ぐ走った。
そこにヤツがいるはずだ。
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「……待て!」
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「……やぁ。どうしてここがわかった……?」
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お前を嫉妬させてやろうと思ったのが間違いだったかな。
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