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 繋がっていた体を外されると、匠はぐったりとベッドに横たわり、荒い息を繰り返していた。
 両手は苦しそうに胸のタグを握り締めている。

「……痛むか……?」
 そう聞く浅葱に、匠はただ首を振っただけだったが、それだけでも背中に振動が伝わるのか、
「……んっ……」
 と小さく呻いた。


「匠、こっちへ来い」
 浅葱は慣れた手つきで匠を抱き起こすと、いつも寝かせていたように自分の膝に乗せ、抱きしめた。
 その体はかなり体温が上がり燃えるように熱い。
 
 匠も目を閉じて必死に呼吸を整えようとしていた。
 背中も腕も目も、激しく痛んでいたが、浅葱にいつものように抱き上げられると、背中の痛みだけは軽くなる気がした。
 だが、挿入され突き上げられていた体の奥は、それとは違う鈍い痛みがずっと続いている。

 この痛み……。
 それは忘れる事などできない、苦しく、辛い痛み……。

「大丈夫か……? ……匠……」
 目を開けると心配そうに自分を見つめる浅葱の顔が見えた。

 そう……この痛みは……浅葱さんがくれた……。

 腕を伸ばし浅葱にしがみ付いた。
「浅葱さん……浅葱さん…………浅葱さん…………」
 祈りのように、そして自分に言い聞かせるように、何度も繰り返し名前を呼びながら、匠は浅葱を離さなかった。

「……匠……」
 浅葱も匠をしっかり抱きしめ、そっと頭を撫でてくれる。

「浅葱さん……」
 その温もりに救われ、何度も小さく頷いた。


「少し休め……」
 そう言われ、軽く唇に触れられた。
 だが匠は黙ったまま返事をしなかった。

「どうした……?」
「……もう一回……まだ……。…………もう一回……」

 その言葉に浅葱が匠の顔を見る。

「お願い……もう一回……。
 今度は最初から……全部、浅葱さんだと……そう思いたい……」
 そう言って顔を伏せた匠の、しがみ付く腕に力が入る。
 
 背中の傷はまだ出血していた。
 体温調節ができない体も熱い。

「無理するな、少し休んで……」
「嫌……だ……このまま……」

 浅葱はしばらく目を閉じていた。

 そして再び匠を見つめると、
「……わかった。だが、今度は自分でやってみろ」
「自分……で……?」
「ああ。無理矢理、犯されるのではなく、自分の意思でするんだ。
 ……本当にそうしたいと思うなら……」
 そう言って匠を抱き起こした。


 匠を一旦、ベッドに座らせると、今度は反対に浅葱が横になり、座っている匠を自分の上に跨らせた。
 これなら、背中に負担をかける事もない。

 匠は浅葱の太腿の上に座らされたまま、どうしていいのかわからず、じっと俯いていた。
 そんな匠の手を取ると、浅葱は自分のモノに触れさせる。
 たった今、匠の中でったはずのそれは、まだ雄々しく勃っていた。

「ここへ跨って、自分で入れてみろ」
「……そ……んな……」
 小さな声で匠が驚いた。
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