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「匠……あまり声を出すな」
 浅葱はそう言いながらも匠の腰を押さえたまま、動きを緩めようとはしない。
 ゆっくりと、着実に匠の体内へと浅葱が挿入されていく。

「……っぁんっ!! ……ぁぁっっ……!」
 圧し込まれてくるその熱いモノの感覚に、思わず声が漏れた。

 浅葱の脚が匠の体と密着すると、それはゆっくりと動き、匠の体を突き上げ始める。
 振動で匠の体も前後に揺れる。


「んっぁあぁあ……っっっ!!!」
 必死に手を噛んで耐えても、その快感に抗うことが出来ず、また声を上げそうになった時だった。

「声……大き過ぎだ」
 後ろから被さるように回された浅葱の手が匠の口を塞いだ。
 顎を持ち上げられ、その中指が匠の口に差し込まれる。

「んっ……んんんっっ……!」
 匠は口を押さえられて、思わず天を仰ぐ。
 指し込まれた指のせいで、口を閉じる事もできず、声も満足に出せない。


「んっーー……んっ……んっ!!!」
 口を塞がれ、腰を上げたそのままの格好で、何度も何度も奥まで突き上げられた。
 その感覚に、その激しい浅葱の要求に匠の体も応え始めていた。



「……んっ……!!!  んんんんんっー!!!!」
 ……もう……無理……いく……」
 首を大きく振り、声にならない声で、もう無理だと訴えた。

「イケばいい。何度でも……」

 
 その浅葱の声を聞き、匠の理性が外れた。
 自らも快感を求め、再び自身を動かし始める。



「ぁっ……ん……んっっ!! 
 …………も……だめ……」
 やっとの思いでそれだけを言うと、匠の体がビクンと震えた。

「んんっ……んっっぁあ!!!」
 浅葱の指を噛みながら、匠はその高みで身を任せ解放する。



 その時だった――。

 浅葱は、匠の背中が震え、その上気した身体から抜け出た龍が空へ駆け昇っていく……昇龍の姿を見た。
 それは、匠のタグと同じ勇壮な龍の姿。
 宿主である匠が真に心を許した者のみが見ることができる景色――。


 「匠……綺麗だ……」

 それを見た時、突き立てた自身のモノも熱い何かで満たされ、浅葱は匠の中で動きを止め、思わずそう呟いていた。
 


 匠もトクトクと脈動を続ける浅葱を感じ取っていた。
 自分の体内に浅葱の精が注がれる感覚……。
 満たされていく想い……。


「……ぁ……っ……。…………ん……」

 思わず大きく息をつくと、やっとその口から浅葱の指が引きぬかれた。

 
 
 うつ伏せで倒れこみ、肩で息をする匠の背中に浅葱の唇が触れる。

 以前は激しく牙を剥き、侵犯者に対し威嚇していた龍蛇。
 今、その龍は浅葱のもとで昇龍と化身し、蛇はその横でただ静かに、凛然とその姿を見せていた。

 匠もあれほど抵抗があったおぞましい自分の背中に、浅葱の唇が這う事を、その昇龍と同じく静かに受け止め、目を閉じる。

 
 浅葱は体を繋いだまま頷き、背中から順にそっと唇を上げていった。
 うなじにかかる髪に指で触れ、首から顎へ……そして振り向かせた匠の唇へ……。
 
 その想いに満ちた唇を受けながら、二人は重なり合ったまま、じっと互いを感じ続けていた。
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