【銀梅花の咲く庭で】~秋扇の蕾~

大和撫子

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第三話

夏休みの計画③

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 「わぁ! やったぁ!!」

 帝国からの手紙の内容は、私を舞い上がらせた。魔塔見学の許可証が同封されていたからだ。ずっと憧れていた。今から千年以上昔極めた挙句に自然を破壊し尽くし、地球滅亡に導いたという科学を全人類が安全に扱えるようにと魔術との融合を研究。ついに地球にも人にも優しい魔法を開発して人類に広めた。魔道具をもっと日常生活に浸透させたい、という夢を抱いている私からしたら、魔塔は夢と憧れの場所だ。しかも一人で見学出来るなんて!!
 魔塔主の土御門元康様が、大層な美形という噂で。一瞬でも良いからお見掛け出来たら僥倖だな……などいうミーハーな気持ちも少しはあるが。うん、少しだけね。

 日時は指定されているから、それに合わせて他の計画を立てれば良い。あぁ、楽しみだ、今からワクワクする。

 私は夕食前に宿題のレポートを終わらせてしまおうと、机の上の魔術製ノート型パーソナルコンピューターを開いた。母親と同じ黒水晶モリオン製の魔法石を使用したのもので、その辺りにウヨウヨ漂って、通信障害の原因となり得る邪気や邪念から保護する力が強い性質を持つ。お陰で殆ど通信障害に煩わされる事は無い。全体的にコンパクトになった程度で、形自体は2000年代とさほど変わらない。
 但しこれは一般家庭に広く普及されているものだ。貴族や裕福な家庭では、魔術製の意思疎通自動パーソナルコンピューターだ。これは一見すると魔法石のインテリアのようでお洒落だ。キーボードもなく、欲しい情報は思うだけで3Dのように部屋全体に映し出される。勿論、文字や映像の大きさの調整なども思うだけで可能だ。一般的なものより一桁は違うもので、就職してお金を貯めて。いつか母にプレゼントするのも目標の一つだ。

 「あら?」

ふと、メールを受信していた事に気づいた。早速開いてみる。「え?」と思わず声を出してしまう。まさかの以前、投稿した、帝国が世界各国に向けてインターネット内に設けている『ご意見や質問、ご要望の目安箱』に書き込んでみした返事が届いていたのだ。日々無数に届くであろうメールの中で、直ぐに読まれるとも思えないし。仮に直ぐに読まれたにしても返事は来ないだろう、と思いつつも。半分は好奇心、もう半分は投げやりな気持ちで投稿したのだ。匿名や仮名での投稿可とされているが、実際はどこの誰が買い込んだのかすぐに解る仕組みだろう。プライバシーは最高に守られている筈だし、仮名を使わずに投稿したのだが……

 『拝啓ミルティア様

 この度は体験談と共に貴重なご意見誠に有難うございます。ご質問の過聖女絡みの過去の出来事の件についてですが、そのようなお悩みを抱えてらっしゃる方は少なくないと推測され、早急に解決策を導入しなければならない案件の一つだと考えております。全力で研究しております故、どうぞ今しばらくの猶予をお許しくださいませ。

 尚、魔塔にご見学なされる際、聖女の事に関しても質問を受け付けております。当日はどうぞ存分に、お気軽にお申しつけくださいませ。

 シュペール帝国 「ご意見や質問、ご要望の目安箱」担当ヘイデンより』

 との返信内容だった。

 ……魔塔に見学できるだけでなく、聖女の事についても質問出来るの?! 確かに、聖女の魅惑とかマインドコントロールだか、歴史の紐を解いてあらゆる角度から研究して全世界に聖女禁止令とその対策を発表したらしいけど……

 それこそ四年に一度有るか無いかの特大の幸運に、しばらくの間興奮冷めやらぬ私だった。

 
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