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第十話
時に神が不公平で無情に思える理由【二】
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……あー、そうだ。早急に就職先探さないと……
見つめ合ってラブラブオーラ全開の二人を見ながら、脳内は目まぐるしく明日からの事を考える。結局、トータルで三カ月にも満たない内にお払い箱とは。いくら何でも早すぎではないかと思うが、そもそもが分不相応過ぎる棚ボタ的ラッキーな出来事だに偶然遭遇しただけなので、むしろ貴重な経験を三カ月近くもさせて頂けた、何てラッキーだったんだろう、と喜ぶべきなのかも知れないけれど。誕生日を目前にして、失業かよ。
待て、これは死活問題ではないか? そうだよ、明日から住むところとかさぁ。あーもう、どうすんだよ……
イチャツク二人を冷めた目で見つつも、考えれば考えるほど切羽詰まった問題に焦りを感じ始める。今更実家に戻ろうという選択肢は、最後の最後に取っておきたい。せっかく、厄介払いが出来たとホッとしてる実家の連中に、やっと家を出られたと喜び希望を見出せたあたし。誰がどう考えても、相性が悪過ぎではないだろうか。
差し当たって、あれか。住む場所はネットカフェで凌ぐか……
「おい、どうした?」
日比谷が気遣わし気に声をかけた。ここは、完全に二人だけの世界に入っている目の前のお二方に気付いて貰う為にも、彼の問いかけに乗ろう。
「ん? あぁ。明日からの住む場所と就職先を早急に探さないと、と思って」
「いやいや、いくら何でも明日からどうこう、てのはないだろう?労働基準法とかでもさぁ……」
「でも……」
察しろ、というようにあたしはお二方を見やる。あぁ、と苦笑すた日比谷は、
「だとさ、どうするつもりで?」
と粋蓮に水を向けてくれた。うん、いい奴じゃん、天界の住民にしては。お二方は漸く照れたように互いを見つめるとあたしに目を向けた。
「お住まいの事は、今すぐこちらに来る事は不可能ですし……」
咲夜さんははにかみながらチラチラと粋蓮を見つつあたしに話しかける。はいはい、ご馳走様。何でも、彼女は大手有名銀行の頭取お嬢様で、これから粋蓮をご両親に紹介して……と段階が必要なのだそうだ。そこは普通に人間としての手順を踏むのか。
「何せ人間見習いなもので、そういう手順も重要課題となるのですよ」
あたしの心を見透かしたように粋蓮は言った。なる程ね。
「でも……御二人は形だけど関係とは言っても。わたくしがツクヨミ様と正式にお付き合いをするようになってから結婚するまでの間、妃翠さんがここに居続けるのはちょっと……」
と突如として彼女は顔を曇らせた。憂いを秘めた面差しが堪らなく色香が漂う。一応同性のあたしから見てもそうなのだから、これが男なら……ほーら、「大丈夫ですよ」と彼女を抱き寄せる粋蓮。はいはい、と。
つまり、暗にあたしに出て行って欲しいという事ね。何だかなー。どこか思いやりに欠けるというか、自分の欲望だけに忠実というか。
そうか!
唐突に理解した。神が不公平とかいい加減だな、と思う理由だ。なまじ完全無欠の存在故に、あたしみたいなポンコツだけどまともな部類に入る凡人の心情が分からないのだ。パンがないならお菓子を食べたらいい、というような感覚に近いか。でもあの台詞の真意は違うという説もあるし。優れた選手が必ずしも優れた指導者になるとは限らない、に近いか?
「分かりました。住む場所は出来るだけ早くなんとかします」
そう答えるしかないだろう。しかし、本当に早く何とかしないと。そうと決まれば、こんなところで油を売っている暇はない。「じゃ、住むところと就職先見つめなければなので失礼しますね」そう声をかけて自室に引き上げる。嘆いている暇なんてありはしない。非常にモヤモヤと不快な思いは拭えないけれど。
見つめ合ってラブラブオーラ全開の二人を見ながら、脳内は目まぐるしく明日からの事を考える。結局、トータルで三カ月にも満たない内にお払い箱とは。いくら何でも早すぎではないかと思うが、そもそもが分不相応過ぎる棚ボタ的ラッキーな出来事だに偶然遭遇しただけなので、むしろ貴重な経験を三カ月近くもさせて頂けた、何てラッキーだったんだろう、と喜ぶべきなのかも知れないけれど。誕生日を目前にして、失業かよ。
待て、これは死活問題ではないか? そうだよ、明日から住むところとかさぁ。あーもう、どうすんだよ……
イチャツク二人を冷めた目で見つつも、考えれば考えるほど切羽詰まった問題に焦りを感じ始める。今更実家に戻ろうという選択肢は、最後の最後に取っておきたい。せっかく、厄介払いが出来たとホッとしてる実家の連中に、やっと家を出られたと喜び希望を見出せたあたし。誰がどう考えても、相性が悪過ぎではないだろうか。
差し当たって、あれか。住む場所はネットカフェで凌ぐか……
「おい、どうした?」
日比谷が気遣わし気に声をかけた。ここは、完全に二人だけの世界に入っている目の前のお二方に気付いて貰う為にも、彼の問いかけに乗ろう。
「ん? あぁ。明日からの住む場所と就職先を早急に探さないと、と思って」
「いやいや、いくら何でも明日からどうこう、てのはないだろう?労働基準法とかでもさぁ……」
「でも……」
察しろ、というようにあたしはお二方を見やる。あぁ、と苦笑すた日比谷は、
「だとさ、どうするつもりで?」
と粋蓮に水を向けてくれた。うん、いい奴じゃん、天界の住民にしては。お二方は漸く照れたように互いを見つめるとあたしに目を向けた。
「お住まいの事は、今すぐこちらに来る事は不可能ですし……」
咲夜さんははにかみながらチラチラと粋蓮を見つつあたしに話しかける。はいはい、ご馳走様。何でも、彼女は大手有名銀行の頭取お嬢様で、これから粋蓮をご両親に紹介して……と段階が必要なのだそうだ。そこは普通に人間としての手順を踏むのか。
「何せ人間見習いなもので、そういう手順も重要課題となるのですよ」
あたしの心を見透かしたように粋蓮は言った。なる程ね。
「でも……御二人は形だけど関係とは言っても。わたくしがツクヨミ様と正式にお付き合いをするようになってから結婚するまでの間、妃翠さんがここに居続けるのはちょっと……」
と突如として彼女は顔を曇らせた。憂いを秘めた面差しが堪らなく色香が漂う。一応同性のあたしから見てもそうなのだから、これが男なら……ほーら、「大丈夫ですよ」と彼女を抱き寄せる粋蓮。はいはい、と。
つまり、暗にあたしに出て行って欲しいという事ね。何だかなー。どこか思いやりに欠けるというか、自分の欲望だけに忠実というか。
そうか!
唐突に理解した。神が不公平とかいい加減だな、と思う理由だ。なまじ完全無欠の存在故に、あたしみたいなポンコツだけどまともな部類に入る凡人の心情が分からないのだ。パンがないならお菓子を食べたらいい、というような感覚に近いか。でもあの台詞の真意は違うという説もあるし。優れた選手が必ずしも優れた指導者になるとは限らない、に近いか?
「分かりました。住む場所は出来るだけ早くなんとかします」
そう答えるしかないだろう。しかし、本当に早く何とかしないと。そうと決まれば、こんなところで油を売っている暇はない。「じゃ、住むところと就職先見つめなければなので失礼しますね」そう声をかけて自室に引き上げる。嘆いている暇なんてありはしない。非常にモヤモヤと不快な思いは拭えないけれど。
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