処刑された悪役令嬢は敵国に華麗に転生する

くしゃみ。

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見掛けによらない出会い

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 あれからすぐにあの場を離れたからどうなったかはわからないが、リリスは騒ぎに気付かず帰ったみたいだ。城を後にする背中を見てほっとする。
 …後々気付くことであっても、現場を見る方がつらい。
 脳裏にエドワードとアリアの二人が浮かんで、ぎゅっと胸が締め付けられた。

 それにしても……アリアがすがっていたガイという男は何者なんだろうか。以前からアリアを知っていたようだけど……学園に通っていた人だろうか。管理されているはずの過去の入学一覧を見ればわかるかな。
 こそこそと城壁沿いに歩いて、城門を覗き込む。当然だが見張りが居て、どうやって出ようか考える。
 前世では顔パス…ではあったけど、さすがに今はそうはいかない。使用人の子供だと言っても疑われたら終わりだし……。
 どうしようかと悩んでいると服を中途半端に着たニコルが急いだ様子で走り去っていった。城門の兵士が呼び止めようとしたが慌てた様子だったので諦めたようだ。

「……リアマリア皇女?」

 わたしも驚いてしまって見詰めていれば不意に背中から声を掛けられて。いや……この声は。

「ぎ、ギル王子……!?なぜここに…!」
「何故はこちらの台詞です。リアマリア皇女…ですよね?」
「あっい、いえ、人違いですわ…」

 ばっちり顔を見られているが暗いから気付いていない…と信じたい。ちょっと声色を変えて慌てて否定したが腕を捕まれたかと思えば軽く引き寄せられて、月の明かりに顔が照らされる。

「…リアマリア皇女、何故ここに……っ!?」

 突然ギル王子が後ろに引っ張られて、腕を捕まれたわたしも前によろけてしまうのをギル王子が抱き止めてくれた。ほっとする顔を見上げて、急に近づいた距離に鼓動が早くなる。

「おいギル。おめー婚約者いるつった癖に女と夜に逢い引きとかしてんのか?あ?」

 ギル王子の後ろから顔を出したのは、ぱっちりしたまんまるの瞳、薄い桃色の髪をした…少し口調は粗暴だけど、可愛い女の子だ。

「ルナマリア…」
「俺、そういうの嫌いだって知ってんだろ?」
「ルナマリア」
「つーか俺は今夜こそあの女に親父に手ェ出すなって言いにきたんだよ」
「ルナマリア、紹介するよ。婚約者のリアマリア皇女だよ」

 ルナマリアと呼ばれた女の子は早口でギル王子に捲し立てるが呆れた様子のギル王子がわたしの体勢を整えてから、改めて向き合う。

「……は?」

 大きな瞳がぱちくりと更に真ん丸にしている。

「リアマリア皇女、こちらは騎士団長の息子のルナマリア」
「え…?」

 …息子…。
 今、息子とはっきり言った?

「お、男の子なの?」
「皇女サマなの!?」

 薄暗い城門の前で、わたしたちの声が被った――。
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