11 / 29
見掛けによらない出会い
しおりを挟むあれからすぐにあの場を離れたからどうなったかはわからないが、リリスは騒ぎに気付かず帰ったみたいだ。城を後にする背中を見てほっとする。
…後々気付くことであっても、現場を見る方がつらい。
脳裏にエドワードとアリアの二人が浮かんで、ぎゅっと胸が締め付けられた。
それにしても……アリアがすがっていたガイという男は何者なんだろうか。以前からアリアを知っていたようだけど……学園に通っていた人だろうか。管理されているはずの過去の入学一覧を見ればわかるかな。
こそこそと城壁沿いに歩いて、城門を覗き込む。当然だが見張りが居て、どうやって出ようか考える。
前世では顔パス…ではあったけど、さすがに今はそうはいかない。使用人の子供だと言っても疑われたら終わりだし……。
どうしようかと悩んでいると服を中途半端に着たニコルが急いだ様子で走り去っていった。城門の兵士が呼び止めようとしたが慌てた様子だったので諦めたようだ。
「……リアマリア皇女?」
わたしも驚いてしまって見詰めていれば不意に背中から声を掛けられて。いや……この声は。
「ぎ、ギル王子……!?なぜここに…!」
「何故はこちらの台詞です。リアマリア皇女…ですよね?」
「あっい、いえ、人違いですわ…」
ばっちり顔を見られているが暗いから気付いていない…と信じたい。ちょっと声色を変えて慌てて否定したが腕を捕まれたかと思えば軽く引き寄せられて、月の明かりに顔が照らされる。
「…リアマリア皇女、何故ここに……っ!?」
突然ギル王子が後ろに引っ張られて、腕を捕まれたわたしも前によろけてしまうのをギル王子が抱き止めてくれた。ほっとする顔を見上げて、急に近づいた距離に鼓動が早くなる。
「おいギル。おめー婚約者いるつった癖に女と夜に逢い引きとかしてんのか?あ?」
ギル王子の後ろから顔を出したのは、ぱっちりしたまんまるの瞳、薄い桃色の髪をした…少し口調は粗暴だけど、可愛い女の子だ。
「ルナマリア…」
「俺、そういうの嫌いだって知ってんだろ?」
「ルナマリア」
「つーか俺は今夜こそあの女に親父に手ェ出すなって言いにきたんだよ」
「ルナマリア、紹介するよ。婚約者のリアマリア皇女だよ」
ルナマリアと呼ばれた女の子は早口でギル王子に捲し立てるが呆れた様子のギル王子がわたしの体勢を整えてから、改めて向き合う。
「……は?」
大きな瞳がぱちくりと更に真ん丸にしている。
「リアマリア皇女、こちらは騎士団長の息子のルナマリア」
「え…?」
…息子…。
今、息子とはっきり言った?
「お、男の子なの?」
「皇女サマなの!?」
薄暗い城門の前で、わたしたちの声が被った――。
2
あなたにおすすめの小説
彼女が高級娼婦と呼ばれる理由~元悪役令嬢の戦慄の日々~
プラネットプラント
恋愛
婚約者である王子の恋人をいじめたと婚約破棄され、実家から縁を切られたライラは娼館で暮らすことになる。だが、訪れる人々のせいでライラは怯えていた。
※完結済。
ヒロインだと言われましたが、人違いです!
みおな
恋愛
目が覚めたら、そこは乙女ゲームの世界でした。
って、ベタすぎなので勘弁してください。
しかも悪役令嬢にざまあされる運命のヒロインとかって、冗談じゃありません。
私はヒロインでも悪役令嬢でもありません。ですから、関わらないで下さい。
乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった私は、全力で死亡フラグを回避したいのに、なぜか空回りしてしまうんです(涙)
藤原 柚月
恋愛
(週一更新になります。楽しみにしてくださる方々、申し訳ありません。)
この物語の主人公、ソフィアは五歳の時にデメトリアス公爵家の養女として迎えられた。
両親の不幸で令嬢になったソフィアは、両親が亡くなった時の記憶と引き替えに前世の記憶を思い出してしまった。
この世界が乙女ゲームの世界だと気付くのに時間がかからなかった。
自分が悪役令嬢と知ったソフィア。
婚約者となるのはアレン・ミットライト王太子殿下。なんとしても婚約破棄、もしくは婚約しないように計画していた矢先、突然の訪問が!
驚いたソフィアは何も考えず、「婚約破棄したい!」と、言ってしまう。
死亡フラグが立ってしまったーー!!?
早速フラグを回収してしまって内心穏やかではいられなかった。
そんなソフィアに殿下から「婚約破棄はしない」と衝撃な言葉が……。
しかも、正式に求婚されてしまう!?
これはどういうこと!?
ソフィアは混乱しつつもストーリーは進んでいく。
なんとしてても、ゲーム本作の学園入学までには婚約を破棄したい。
攻略対象者ともできるなら関わりたくない。そう思っているのになぜか関わってしまう。
中世ヨーロッパのような世界。だけど、中世ヨーロッパとはわずかに違う。
ファンタジーのふんわりとした世界で、彼女は婚約破棄、そして死亡フラグを回避出来るのか!?
※この作品はフィクションです。
実在の人物、団体などに一切関係ありません。
誤字脱字、感想を受け付けております。
HOT ランキング 4位にランクイン
第1回 一二三書房WEB小説大賞 一次選考通過作品
この作品は、小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
光の王太子殿下は愛したい
葵川真衣
恋愛
王太子アドレーには、婚約者がいる。公爵令嬢のクリスティンだ。
わがままな婚約者に、アドレーは元々関心をもっていなかった。
だが、彼女はあるときを境に変わる。
アドレーはそんなクリスティンに惹かれていくのだった。しかし彼女は変わりはじめたときから、よそよそしい。
どうやら、他の少女にアドレーが惹かれると思い込んでいるようである。
目移りなどしないのに。
果たしてアドレーは、乙女ゲームの悪役令嬢に転生している婚約者を、振り向かせることができるのか……!?
ラブラブを望む王太子と、未来を恐れる悪役令嬢の攻防のラブ(?)コメディ。
☆完結しました。ありがとうございました。番外編等、不定期更新です。
悪役令嬢に転生したけど、知らぬ間にバッドエンド回避してました
神村結美
恋愛
クローデット・アルトー公爵令嬢は、お菓子が大好きで、他の令嬢達のように宝石やドレスに興味はない。
5歳の第一王子の婚約者選定のお茶会に参加した時も目的は王子ではなく、お菓子だった。そんな彼女は肌荒れや体型から人々に醜いと思われていた。
お茶会後に、第一王子の婚約者が侯爵令嬢が決まり、クローデットは幼馴染のエルネスト・ジュリオ公爵子息との婚約が決まる。
その後、クローデットは体調を崩して寝込み、目覚めた時には前世の記憶を思い出し、前世でハマった乙女ゲームの世界の悪役令嬢に転生している事に気づく。
でも、クローデットは第一王子の婚約者ではない。
すでにゲームの設定とは違う状況である。それならゲームの事は気にしなくても大丈夫……?
悪役令嬢が気付かない内にバッドエンドを回避していたお話しです。
※溺れるような描写がありますので、苦手な方はご注意ください。
※少し設定が緩いところがあるかもしれません。
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
良くある事でしょう。
r_1373
恋愛
テンプレートの様に良くある悪役令嬢に生まれ変っていた。
若い頃に死んだ記憶があれば早々に次の道を探したのか流行りのざまぁをしたのかもしれない。
けれど酸いも甘いも苦いも経験して産まれ変わっていた私に出来る事は・・。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる