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無自覚な君と。 下
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「あ……うん、忘れてた……。ありがとう、瑞貴」
あやめはにこりと笑った瑞貴の表情を見つめ、箱に視線を移していく。そのまま、差し出された箱を両手で受け取りながらあやめははにかむように微笑んだ。
ふわふわと、そしてひたひたと。あやめの心の中に、あたたかいなにかが沁みていく。くすぐったいような、うまく言葉にできないような。そんな感覚を覆い隠すように、あやめは眉を下げた。
「なんか……照れ、るなぁ」
「えぇ? そうかな」
ひとりごとのように囁いた言葉は瑞貴にも聞こえていたらしい。瑞貴は整った顔立ちをくしゃりとさせ、いたずらっ子のように艶やかに笑っていた。
祝ってもらえたということも嬉しいが、それ以上に、瑞貴が自分の誕生日を覚えていてくれていた事の方があやめはとびきりに嬉しかった。瑞貴が家元の代理で担っている仕事や門下生たちに向けて行っている稽古等、日々忙しくしていることを、あやめは知っている。そんな中で、幼馴染みとはいえ一友人の誕生日など忘れていて当然だ、と思っていた。
「ありがとう……」
あやめは込み上げてきた面映ゆさを隠すように開けていいか、と瑞貴に確認する。彼の手がどうぞ、とジェスチャーをし、あやめはそれに従いそっとその箱を開封した。
「わ……! これ、ネットで話題になってた……!」
「そそ。金木犀の香水。今回のフランス出張で立ち寄った店で見つけてね。あやめが好きそうだなぁって思って。仕事中は無理だろうけど、お休みの時とか使ってくれたら私も嬉しい」
あやめが手にしたその小瓶は雫型で、切子のような繊細な細工が目に入るデザインだ。全体的に磨り硝子加工が施されていて、中には黄色っぽい液体が入っていた。外側のラベルにはブランドにあまり詳しくないあやめでも知っている世界的に有名なブランドのロゴマークが印字されている。そのロゴマークの下には筆記体で小さく『Osmanthus』と記されていた。
「うわぁ、嬉しい。本当にありがとう、瑞貴~!」
喜びのあまり、あやめは思わず瑞貴に抱きつく。顔を寄せた瑞貴の着流しから香るせっけんの匂いに包まれて、忙しさでささくれ立っていたあやめの心もゆっくりと解れていく。そんなふたりの様子を後ろで頬杖をついてつまらなさそうに見ていた晴臣が仏頂面で声を上げた。
「はいはい、おふたりさん。職場でいちゃつくな」
「違うもん。単なるスキンシップです~」
晴臣の言葉に頬を膨れさせたあやめが後ろを振り返り、ぎゅっと晴臣を睨んだ。反抗的な妹の様子を見遣った晴臣が呆れたようにため息をつく。
「次期家元サマは他人サマの好きな物のこともご存じなんスねぇ」
「幼馴染みのことだから、ですよ。なんでも知ってるわけじゃないですし」
「そうかぁ? 俺にはそー見えねぇけどな」
「晴臣さんにもお土産ありますから、すねないでください」
「……話を逸らすな。んで年上を子ども扱いすンな、コラ」
晴臣の辛辣な言葉に苦笑を落とした瑞貴はもうひとつの紙袋を近くのテーブルに置いた。すると、事務室の電話が大きな音を立てて呼び出し音を奏でていく。あやめは弾かれたように走り出し、受話器を取り上げる。
「はい、和菓子屋梅津です。あ、的場さん! お世話になっております~。……え、もう仕上がったんですか?」
電話は梅津家が長年お世話になっている的場畳店からだった。喫茶スペースの椅子は的場畳店が手がけた畳椅子を使用しており、秋の例大祭前に修繕が必要な一脚の畳の張り替えをお願いしていたのだった。それの修繕が先ほど仕上がったらしい。
「少々お待ちくださいね。……お兄ちゃん! 的場さんのところに、椅子を取りに行って欲しいんだけど」
「あ? 俺は今日工房から離れられねぇよ。明後日オヤジに取りに行ってもらえば?」
「そんなこと言ったって、的場さんだって作業場に置きっぱなしにはできないでしょ? アレ幅もあって場所も取るし」
「ん゛~……どうすっかなぁ」
そんな兄妹の話をなんとなく聞いていたのだろう、瑞貴が事務室の入り口の扉にもたれかかったまま、すっと手を上げた。
「あやめ。私、一緒に行こうか? 荷物持ちならできるよ。というか、私もこのあと的場さんのお店に寄るつもりだったから」
「おお、瑞貴。そりゃ助かるわ、俺からも頼む」
「うん、いいよ、晴臣さん。あやめ、今から行くって的場さんに返事して?」
「え? え、瑞貴、ほんとに?」
想いもよらぬ幼馴染みの申し出に晴臣は躊躇なく乗っかり、あやめは驚いて目を瞠る。お土産を渡しに来た幼馴染みをこき使うようで悪いけれど、今は猫の手も借りたいくらいなのだ。兄妹そろって厚かましいが、ありがたくその申し出に乗っかろうと判断したあやめは電話を切り大急ぎで財布を握り締める。
「ごめんね、瑞貴……」
「ううん、いいんだって。茶室の畳の裏返しをお願いしないといけなかったから」
平身低頭に頭を下げるあやめに、瑞貴はふたたび苦笑いを落とした。そのままゆっくりとふたりは茶屋街を歩いていく。見渡す街並みは道行く人々の喧騒に紛れ、次第に広がっていく。
10月になったとはいえ、日中はまだ日差しは強い。じりじりと照りつけるような太陽の眩しさにあやめが目を細めると、瑞貴は手に持った日傘をパチンと差してそっとあやめを太陽から庇った。
「本当に人手不足なんだね、梅津家は」
瑞貴は優しい。彼の心配りに、あやめはありがとうと頭を下げた。瑞貴は男性とは思えないくらいに女性の心の機微に気が利く。肌や髪にも気を使い、物腰も柔らかなうえに日頃から私服でも中性的な服装を好んでいるからこそ、あやめは瑞貴をなんでも話せる親友のように感じていた。
「うん……パートさんでもいいから、一人増員してくれってお父さんに頼もうと思ってる」
「それがいいよ。だって、将来晴臣さんが結婚して奥さんがお手伝いしてくれることになっても、あまりにも仕事の負担が大きかったら逃げられちゃうかもしれないし」
「……その前に、学生のころからの初恋を拗らせてるあのお兄ちゃんに彼女ができるかが心配よ、妹は」
「あはは、それは言えてる。私も心配かも」
他愛のない会話を交わしながらふたりは街角を曲がり、小さな路地に入った。ここを少し行った先に的場畳店がある。この茶屋街は、近くに神社仏閣が立ち並んでいることや茶道の家元である白木院家があることから、神具・仏具をはじめ、茶道や華道に関連したお店を営む商店が多い。
「それはさておき。あやめもいつか彼氏ができて結婚して家を出るとなったら、和菓子屋のみんなも困るでしょう? それまでになんとかなってないと、あやめの性格だったら家のことが心配すぎてプロポーズも断っちゃいそうよねぇ」
「……」
瑞貴から投げかけられた言葉に、あやめは目を瞬かせた。考えたことも――なかった、けれど。
(……そ、っか)
和菓子屋や甘味処を回していくことで頭がいっぱいだったが、自分もいつか。兄と同じように――誰かに恋して、そのひとと人生を共にしようと心に決める日がくるのだろうか。それを認識すると、なぜだか妙な違和感があやめを包んだ。
(……なん…だろう)
胸を刺す、小さな棘。わけもわからず眦に生まれた涙が零れそうになるのを、あやめは必死に堪えた。
「……あやめ? どうしたの、具合でも悪い?」
ひょい、と。瑞貴は腰を曲げ、あやめの顔を覗き込んでいた。その言葉にあやめは否応なく現実に引き戻される。瞬きを数度すれば、至近距離にある瑞貴の整った顔が視界に飛び込んできて、あやめは思わず悲鳴を上げそうになった。
(ちょっ……)
どくん、と、大きな鼓動が耳をつく。心臓に悪すぎる。そんな言葉があやめの心の中に落ちてきた。顔を上げ深呼吸をひとつして、あやめは顔に笑顔を貼り付けた。
「う、ううん。なんでもない。まぁ、私のことはどうでもいいんだけど、人員のことをほんとにどうかしないと。頑張ってくれてるスタッフさんたちにいつまでも負担かけ続けるわけにはいかないし。私もちゃんとお休み取りたいし!」
あやめは、今は考えても詮のないことを思考の端の端まで追いやり、瑞貴に椅子を運んでもらったあとの今日の仕事をどう片づけるか、ということに思考を巡らせ始めた。
あやめはにこりと笑った瑞貴の表情を見つめ、箱に視線を移していく。そのまま、差し出された箱を両手で受け取りながらあやめははにかむように微笑んだ。
ふわふわと、そしてひたひたと。あやめの心の中に、あたたかいなにかが沁みていく。くすぐったいような、うまく言葉にできないような。そんな感覚を覆い隠すように、あやめは眉を下げた。
「なんか……照れ、るなぁ」
「えぇ? そうかな」
ひとりごとのように囁いた言葉は瑞貴にも聞こえていたらしい。瑞貴は整った顔立ちをくしゃりとさせ、いたずらっ子のように艶やかに笑っていた。
祝ってもらえたということも嬉しいが、それ以上に、瑞貴が自分の誕生日を覚えていてくれていた事の方があやめはとびきりに嬉しかった。瑞貴が家元の代理で担っている仕事や門下生たちに向けて行っている稽古等、日々忙しくしていることを、あやめは知っている。そんな中で、幼馴染みとはいえ一友人の誕生日など忘れていて当然だ、と思っていた。
「ありがとう……」
あやめは込み上げてきた面映ゆさを隠すように開けていいか、と瑞貴に確認する。彼の手がどうぞ、とジェスチャーをし、あやめはそれに従いそっとその箱を開封した。
「わ……! これ、ネットで話題になってた……!」
「そそ。金木犀の香水。今回のフランス出張で立ち寄った店で見つけてね。あやめが好きそうだなぁって思って。仕事中は無理だろうけど、お休みの時とか使ってくれたら私も嬉しい」
あやめが手にしたその小瓶は雫型で、切子のような繊細な細工が目に入るデザインだ。全体的に磨り硝子加工が施されていて、中には黄色っぽい液体が入っていた。外側のラベルにはブランドにあまり詳しくないあやめでも知っている世界的に有名なブランドのロゴマークが印字されている。そのロゴマークの下には筆記体で小さく『Osmanthus』と記されていた。
「うわぁ、嬉しい。本当にありがとう、瑞貴~!」
喜びのあまり、あやめは思わず瑞貴に抱きつく。顔を寄せた瑞貴の着流しから香るせっけんの匂いに包まれて、忙しさでささくれ立っていたあやめの心もゆっくりと解れていく。そんなふたりの様子を後ろで頬杖をついてつまらなさそうに見ていた晴臣が仏頂面で声を上げた。
「はいはい、おふたりさん。職場でいちゃつくな」
「違うもん。単なるスキンシップです~」
晴臣の言葉に頬を膨れさせたあやめが後ろを振り返り、ぎゅっと晴臣を睨んだ。反抗的な妹の様子を見遣った晴臣が呆れたようにため息をつく。
「次期家元サマは他人サマの好きな物のこともご存じなんスねぇ」
「幼馴染みのことだから、ですよ。なんでも知ってるわけじゃないですし」
「そうかぁ? 俺にはそー見えねぇけどな」
「晴臣さんにもお土産ありますから、すねないでください」
「……話を逸らすな。んで年上を子ども扱いすンな、コラ」
晴臣の辛辣な言葉に苦笑を落とした瑞貴はもうひとつの紙袋を近くのテーブルに置いた。すると、事務室の電話が大きな音を立てて呼び出し音を奏でていく。あやめは弾かれたように走り出し、受話器を取り上げる。
「はい、和菓子屋梅津です。あ、的場さん! お世話になっております~。……え、もう仕上がったんですか?」
電話は梅津家が長年お世話になっている的場畳店からだった。喫茶スペースの椅子は的場畳店が手がけた畳椅子を使用しており、秋の例大祭前に修繕が必要な一脚の畳の張り替えをお願いしていたのだった。それの修繕が先ほど仕上がったらしい。
「少々お待ちくださいね。……お兄ちゃん! 的場さんのところに、椅子を取りに行って欲しいんだけど」
「あ? 俺は今日工房から離れられねぇよ。明後日オヤジに取りに行ってもらえば?」
「そんなこと言ったって、的場さんだって作業場に置きっぱなしにはできないでしょ? アレ幅もあって場所も取るし」
「ん゛~……どうすっかなぁ」
そんな兄妹の話をなんとなく聞いていたのだろう、瑞貴が事務室の入り口の扉にもたれかかったまま、すっと手を上げた。
「あやめ。私、一緒に行こうか? 荷物持ちならできるよ。というか、私もこのあと的場さんのお店に寄るつもりだったから」
「おお、瑞貴。そりゃ助かるわ、俺からも頼む」
「うん、いいよ、晴臣さん。あやめ、今から行くって的場さんに返事して?」
「え? え、瑞貴、ほんとに?」
想いもよらぬ幼馴染みの申し出に晴臣は躊躇なく乗っかり、あやめは驚いて目を瞠る。お土産を渡しに来た幼馴染みをこき使うようで悪いけれど、今は猫の手も借りたいくらいなのだ。兄妹そろって厚かましいが、ありがたくその申し出に乗っかろうと判断したあやめは電話を切り大急ぎで財布を握り締める。
「ごめんね、瑞貴……」
「ううん、いいんだって。茶室の畳の裏返しをお願いしないといけなかったから」
平身低頭に頭を下げるあやめに、瑞貴はふたたび苦笑いを落とした。そのままゆっくりとふたりは茶屋街を歩いていく。見渡す街並みは道行く人々の喧騒に紛れ、次第に広がっていく。
10月になったとはいえ、日中はまだ日差しは強い。じりじりと照りつけるような太陽の眩しさにあやめが目を細めると、瑞貴は手に持った日傘をパチンと差してそっとあやめを太陽から庇った。
「本当に人手不足なんだね、梅津家は」
瑞貴は優しい。彼の心配りに、あやめはありがとうと頭を下げた。瑞貴は男性とは思えないくらいに女性の心の機微に気が利く。肌や髪にも気を使い、物腰も柔らかなうえに日頃から私服でも中性的な服装を好んでいるからこそ、あやめは瑞貴をなんでも話せる親友のように感じていた。
「うん……パートさんでもいいから、一人増員してくれってお父さんに頼もうと思ってる」
「それがいいよ。だって、将来晴臣さんが結婚して奥さんがお手伝いしてくれることになっても、あまりにも仕事の負担が大きかったら逃げられちゃうかもしれないし」
「……その前に、学生のころからの初恋を拗らせてるあのお兄ちゃんに彼女ができるかが心配よ、妹は」
「あはは、それは言えてる。私も心配かも」
他愛のない会話を交わしながらふたりは街角を曲がり、小さな路地に入った。ここを少し行った先に的場畳店がある。この茶屋街は、近くに神社仏閣が立ち並んでいることや茶道の家元である白木院家があることから、神具・仏具をはじめ、茶道や華道に関連したお店を営む商店が多い。
「それはさておき。あやめもいつか彼氏ができて結婚して家を出るとなったら、和菓子屋のみんなも困るでしょう? それまでになんとかなってないと、あやめの性格だったら家のことが心配すぎてプロポーズも断っちゃいそうよねぇ」
「……」
瑞貴から投げかけられた言葉に、あやめは目を瞬かせた。考えたことも――なかった、けれど。
(……そ、っか)
和菓子屋や甘味処を回していくことで頭がいっぱいだったが、自分もいつか。兄と同じように――誰かに恋して、そのひとと人生を共にしようと心に決める日がくるのだろうか。それを認識すると、なぜだか妙な違和感があやめを包んだ。
(……なん…だろう)
胸を刺す、小さな棘。わけもわからず眦に生まれた涙が零れそうになるのを、あやめは必死に堪えた。
「……あやめ? どうしたの、具合でも悪い?」
ひょい、と。瑞貴は腰を曲げ、あやめの顔を覗き込んでいた。その言葉にあやめは否応なく現実に引き戻される。瞬きを数度すれば、至近距離にある瑞貴の整った顔が視界に飛び込んできて、あやめは思わず悲鳴を上げそうになった。
(ちょっ……)
どくん、と、大きな鼓動が耳をつく。心臓に悪すぎる。そんな言葉があやめの心の中に落ちてきた。顔を上げ深呼吸をひとつして、あやめは顔に笑顔を貼り付けた。
「う、ううん。なんでもない。まぁ、私のことはどうでもいいんだけど、人員のことをほんとにどうかしないと。頑張ってくれてるスタッフさんたちにいつまでも負担かけ続けるわけにはいかないし。私もちゃんとお休み取りたいし!」
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