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第一章 ハムスターだもの
変身!
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魔法の種は頬袋に入れて持ってきていた。
絨毯の上に魔法の種を出す。
種は窓から入る日光を浴びて虹色に輝いた。
「…後でどんな味だったか教えてね」
「興味があるならメグも食べれば良いのに」
「人間に変身するなんて、怖くて嫌よ」
メグは小ぶりの頭をふるふる振った。
そうか、この世界のハムスターにとってはそういう感覚なのね。私だって、気がついたらハムスターでこの身体にも慣れたけど、人間の頃にハムスターになれって言われたらビビってたもの。夢に見たり憧れたりしたって、誰だって本当に変身するとなったら怖いよね。
私は元人間だから、人間の姿がそれほど怖いとは思わないけど。
怯えてるメグに押し付けるのは悪いし。しょうがないなあ、これはやっぱり私が食べるしかないのね。
「……パクリ」
卵みたいな形の虹色の種を抱えてかじる。
味?ナッツみたいで中々美味しいよ。思ったより柔らかいし。
ポリポリポリ…ゴックン。
さあ、何が起きるのかな。
待っていると身体が急に熱くなって目が眩んだ。
思わず目を閉じる。
次に目を開けた時には視線の高さが変わっていた。
「おおう…」
久しぶりの人間の身体は新鮮な感覚だ。
床からクリーム色の綺麗なハムスター、メグが目を丸くして見上げている。
「エステル?」
「うん」
メグの言葉が理解できる。私は安心した。人間になった途端、ハムスターの言葉が分からなくなってしまったら切なすぎる。
部屋を見回して、隅に鏡があるのに気付いた。
いったいどんな姿に変身したのか気になって、鏡へ向かって歩く。久しぶりの人間の姿だからか、二本足で歩く感覚が掴めなくてヨチヨチした足取りになった。
鏡の前に立つ。
少しぽっちゃりした栗色の髪の少女が銀色の鏡面の中から私を見返していた。
絨毯の上に魔法の種を出す。
種は窓から入る日光を浴びて虹色に輝いた。
「…後でどんな味だったか教えてね」
「興味があるならメグも食べれば良いのに」
「人間に変身するなんて、怖くて嫌よ」
メグは小ぶりの頭をふるふる振った。
そうか、この世界のハムスターにとってはそういう感覚なのね。私だって、気がついたらハムスターでこの身体にも慣れたけど、人間の頃にハムスターになれって言われたらビビってたもの。夢に見たり憧れたりしたって、誰だって本当に変身するとなったら怖いよね。
私は元人間だから、人間の姿がそれほど怖いとは思わないけど。
怯えてるメグに押し付けるのは悪いし。しょうがないなあ、これはやっぱり私が食べるしかないのね。
「……パクリ」
卵みたいな形の虹色の種を抱えてかじる。
味?ナッツみたいで中々美味しいよ。思ったより柔らかいし。
ポリポリポリ…ゴックン。
さあ、何が起きるのかな。
待っていると身体が急に熱くなって目が眩んだ。
思わず目を閉じる。
次に目を開けた時には視線の高さが変わっていた。
「おおう…」
久しぶりの人間の身体は新鮮な感覚だ。
床からクリーム色の綺麗なハムスター、メグが目を丸くして見上げている。
「エステル?」
「うん」
メグの言葉が理解できる。私は安心した。人間になった途端、ハムスターの言葉が分からなくなってしまったら切なすぎる。
部屋を見回して、隅に鏡があるのに気付いた。
いったいどんな姿に変身したのか気になって、鏡へ向かって歩く。久しぶりの人間の姿だからか、二本足で歩く感覚が掴めなくてヨチヨチした足取りになった。
鏡の前に立つ。
少しぽっちゃりした栗色の髪の少女が銀色の鏡面の中から私を見返していた。
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