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第三部 魔界探索
79 人魚姫の伝説
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俺は、子供たちに魔法で落とし穴を作るやり方を教えてやった。
「斜めに掘るのがコツだぞー」
垂直に掘ると穴を隠す手間が掛かるが、斜めから地上に近付くUの字に掘ってしまえばその必要はない。
「ありがと、お兄さん! これでコリドー先生をやっつけるよ!」
「おう、頑張れ」
子供たちはコリドー相手に罠を掘るつもりのようだ。
面白いから放っておこう。
「カナメ殿は、あのテントを使ってくれ」
役に立たない授業が終わった後、サナトリスが付近で一番大きなテントを指差して言った。
やたら目立つ紅白のテントだ。
サーカス……?
「昔、旅芸人が置いていったテントだ。今はサボテン置き場になっている」
「物置じゃねーか!」
丁重にもてなしてるのか、馬鹿にしているのか、どっちなんだ。
「? サボテン食べ放題だぞ?」
テントの中には、縄でグルグル巻きにされたサボテンのモンスターが、うごめいていた。
生きているサボテンの枝(手足)を切ってお食べ下さい、とのこと。
「エグいな……」
他に空いているテントは無いらしい。
サボテンの呻き声が満ちたテントで寝ろと……?
仕方なく俺は、穴を掘る魔法を応用して、地下室を作ることにした。
魔法で武器を作るのに比べれば、壁を作るのはずっと難易度が低い。
空っぽの部屋に、転送魔法でアダマスから取り寄せた家具を設置する。
「ふう。快適な部屋が出来たな」
「キュー!」
ウサギギツネのメロンも同意しているようだ。
こうして地下室製作にうっかり夢中になった俺は、呪いを解くのを忘れていた。
サボテン肉が嫌になったので、アダマスから茶や菓子を取り寄せたところ、サナトリスや子供たちが食べに来るようになった。
意図した訳ではないが、数日経った今では俺の作った部屋が喫茶室みたいになっている。
おかしい……俺はいったい何をしに来たのだ。
「カナメ殿、このクッキーを頂いていいか?」
「どうぞ」
コリドーも食い物には勝てなかったらしく、図々しく菓子を食べに来るようになった。ちなみに呼び捨てするなと言ったら、サナトリスと同じように殿付けに改めてくれた。当初の偉そうな態度はどこへやら、だ。
今日のクッキーは、アダマスに最近できた人気ケーキ店で販売されているもので、香ばしいナッツが練り込まれている。地球のクッキーと遜色ないレベルで大変美味だ。
日本人的なおもてなし精神で菓子と茶をふるまっているが、魔族の奴らは遠慮なく食うため、代金を徴収するか考え中だ。
「カナメ殿、知っているか?」
「何の話だ」
コリドーが顔を寄せてきたので、俺はのけぞって避けた。
「人魚姫の涙の伝説だ。私は人魚姫の涙という伝説の宝石を得るため、こんな辺鄙な村にやってきたのだ」
「人魚姫の涙?」
俺はステータスに記載されたままの「人魚姫の呪い」を思い出した。
あの後、何度か解呪に挑戦して、ことごとく失敗している。
コリドーの言う人魚姫の伝説は、俺の呪いとも関係がありそうだ。
「昔、ここは海で、蜥蜴族ではなく、人魚が住んでいたのだ。その人魚の王女が人間に恋をした」
「結ばれずに海に身を投げたんだろ……」
「よく知っているな。学者か蜥蜴族の長老しか知らない伝説なのに」
日本人なら誰でも知ってるよ。
「人魚姫を失った人間の男は、復讐と称し人魚族を皆殺しにして、人魚の血液を瓶詰めにして売った」
「え?!」
「人魚姫は同胞の仇を討つため、愛する男を殺した。嘆き悲しむ人魚姫の涙は、宝石になったという……」
知ってる話と違ってきたぞ。
綺麗な人魚姫の物語が、なぜか血で血を洗うバイオレンスな展開に。
「人魚姫の血は、男の執念と人魚姫の悲しみ、巻き添えになった人魚たちの怨念がこもった呪いアイテムだ。一方、人魚姫の涙は、浄化の力を持つ宝石と伝えられている」
俺は、誰かの呪いを解くために解呪魔法を使って失敗したようだ。記憶が怪しいところがあるが、夢を見たようにぼんやり状況を覚えている。おそらく解呪に失敗して、呪いが自分に移ってきたのだ。
解呪の前後の会話で、誰かが人魚姫の血と言っていたような。
人魚姫の涙は、浄化の力を持つという。もしや人魚姫の呪いを解くために、人魚姫の涙が必要なのか。
「この里に人魚姫の涙があるらしいが、長老も族長のサナトリスも知らないの一点張りだ。せっかくここまで来たのに」
コリドーが悔しそうにする。
俺は人魚姫の涙に興味が沸いてきたので、彼に協力することにした。
「人魚姫の涙か。俺からサナトリスに聞いてみようか?」
「良いのかカナメ殿。そうしてもらえれば助かるが」
「その代わり、魔術の奥義を教えてくれよ。あんたは偉大な魔術師なんだろ」
「もちろんだとも!」
おだてると簡単に喜ぶコリドー。
彼に協力する振りをして情報を聞き出して、人魚姫の涙は俺が頂戴しようかな。
「斜めに掘るのがコツだぞー」
垂直に掘ると穴を隠す手間が掛かるが、斜めから地上に近付くUの字に掘ってしまえばその必要はない。
「ありがと、お兄さん! これでコリドー先生をやっつけるよ!」
「おう、頑張れ」
子供たちはコリドー相手に罠を掘るつもりのようだ。
面白いから放っておこう。
「カナメ殿は、あのテントを使ってくれ」
役に立たない授業が終わった後、サナトリスが付近で一番大きなテントを指差して言った。
やたら目立つ紅白のテントだ。
サーカス……?
「昔、旅芸人が置いていったテントだ。今はサボテン置き場になっている」
「物置じゃねーか!」
丁重にもてなしてるのか、馬鹿にしているのか、どっちなんだ。
「? サボテン食べ放題だぞ?」
テントの中には、縄でグルグル巻きにされたサボテンのモンスターが、うごめいていた。
生きているサボテンの枝(手足)を切ってお食べ下さい、とのこと。
「エグいな……」
他に空いているテントは無いらしい。
サボテンの呻き声が満ちたテントで寝ろと……?
仕方なく俺は、穴を掘る魔法を応用して、地下室を作ることにした。
魔法で武器を作るのに比べれば、壁を作るのはずっと難易度が低い。
空っぽの部屋に、転送魔法でアダマスから取り寄せた家具を設置する。
「ふう。快適な部屋が出来たな」
「キュー!」
ウサギギツネのメロンも同意しているようだ。
こうして地下室製作にうっかり夢中になった俺は、呪いを解くのを忘れていた。
サボテン肉が嫌になったので、アダマスから茶や菓子を取り寄せたところ、サナトリスや子供たちが食べに来るようになった。
意図した訳ではないが、数日経った今では俺の作った部屋が喫茶室みたいになっている。
おかしい……俺はいったい何をしに来たのだ。
「カナメ殿、このクッキーを頂いていいか?」
「どうぞ」
コリドーも食い物には勝てなかったらしく、図々しく菓子を食べに来るようになった。ちなみに呼び捨てするなと言ったら、サナトリスと同じように殿付けに改めてくれた。当初の偉そうな態度はどこへやら、だ。
今日のクッキーは、アダマスに最近できた人気ケーキ店で販売されているもので、香ばしいナッツが練り込まれている。地球のクッキーと遜色ないレベルで大変美味だ。
日本人的なおもてなし精神で菓子と茶をふるまっているが、魔族の奴らは遠慮なく食うため、代金を徴収するか考え中だ。
「カナメ殿、知っているか?」
「何の話だ」
コリドーが顔を寄せてきたので、俺はのけぞって避けた。
「人魚姫の涙の伝説だ。私は人魚姫の涙という伝説の宝石を得るため、こんな辺鄙な村にやってきたのだ」
「人魚姫の涙?」
俺はステータスに記載されたままの「人魚姫の呪い」を思い出した。
あの後、何度か解呪に挑戦して、ことごとく失敗している。
コリドーの言う人魚姫の伝説は、俺の呪いとも関係がありそうだ。
「昔、ここは海で、蜥蜴族ではなく、人魚が住んでいたのだ。その人魚の王女が人間に恋をした」
「結ばれずに海に身を投げたんだろ……」
「よく知っているな。学者か蜥蜴族の長老しか知らない伝説なのに」
日本人なら誰でも知ってるよ。
「人魚姫を失った人間の男は、復讐と称し人魚族を皆殺しにして、人魚の血液を瓶詰めにして売った」
「え?!」
「人魚姫は同胞の仇を討つため、愛する男を殺した。嘆き悲しむ人魚姫の涙は、宝石になったという……」
知ってる話と違ってきたぞ。
綺麗な人魚姫の物語が、なぜか血で血を洗うバイオレンスな展開に。
「人魚姫の血は、男の執念と人魚姫の悲しみ、巻き添えになった人魚たちの怨念がこもった呪いアイテムだ。一方、人魚姫の涙は、浄化の力を持つ宝石と伝えられている」
俺は、誰かの呪いを解くために解呪魔法を使って失敗したようだ。記憶が怪しいところがあるが、夢を見たようにぼんやり状況を覚えている。おそらく解呪に失敗して、呪いが自分に移ってきたのだ。
解呪の前後の会話で、誰かが人魚姫の血と言っていたような。
人魚姫の涙は、浄化の力を持つという。もしや人魚姫の呪いを解くために、人魚姫の涙が必要なのか。
「この里に人魚姫の涙があるらしいが、長老も族長のサナトリスも知らないの一点張りだ。せっかくここまで来たのに」
コリドーが悔しそうにする。
俺は人魚姫の涙に興味が沸いてきたので、彼に協力することにした。
「人魚姫の涙か。俺からサナトリスに聞いてみようか?」
「良いのかカナメ殿。そうしてもらえれば助かるが」
「その代わり、魔術の奥義を教えてくれよ。あんたは偉大な魔術師なんだろ」
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