モンスターに転生したけど種族が決まって無い(仮題)

最強願望者

文字の大きさ
27 / 33
1章『自分の姿決め編』

『ギルドにて』

しおりを挟む
1人の男が股間から不吉な音を立て始めた頃、俺は受付の獣人さんに話し掛けていた。
えっ?なんでさん付きなのかって?いやいや、俺だって初めて見たケモミミに何も感じない訳じゃないって事だよ。

まぁ、男なんだけど。

「あの~、冒険者登録したいんですが~」

我ながら凄まじい演技力で舌っ足らずな声を出すと、周りにいたショタコンや子供好きが鼻の下を伸ばしてこちらを見つめていた。・・・若干前のめりになりながら

「えっ?あっ、はい、ちょうどあと一刻で試験が開始なので、一緒に出向かれますか?」

「いいんですか~?お願いします~」

やばい、俺の馬鹿さ加減がやばい。
言葉の先を伸ばすと馬鹿さ加減が分かるという俺の持論はあながち間違ってはいなかったらしい。


──一刻後(1時間後)──

はい、という訳でね、化けの皮をここで剥がそうと思っていたのに、周りには何故か女冒険者と子持ちっぽい男冒険者が俺を見守っている。

なに?そんなに俺って幼いの?成長しようかな・・・
ちなみに、変身スキルの外見は年齢に比例するから、いくら頑張ってもこれ以上にはならない。

「それでは、これより冒険者登録試験を開始します!」

受付の獣人さんが宣言すると、途端に緊張に包まれる会場。
ちなみに、この試験はギルドの体育館?で行っており、かなり広い。
なんて言うか、ギルドの酒場よりは確実に広い。

「まずは希望番号一番前に出なさい」

俺の代わりにチンピラに突っかかられていた青年だ。
ちなみに、チンピラはもう『アレ』がないので、『ピラ』になっている(笑)。

「あそこにある的に向かって、自分が最も得意としている攻撃をしなさい」

「は、はい!」

的とは、真っ黒い石を立ててあるだけの物だ。
勿論、攻撃とは魔法や弓、剣や槍でもOKだ。
但し、魔法と物理はどっちも、もしくはどっちかというのを事前に知らせなければねらない。

俺はどっちもだがな。

「行きます!煉獄の炎!その炎に物理の力を添え、主の命に従え!!『炎の矢ファイヤーアロー』!!!」

青年が手を翳し、詠唱を終えると、その手の30cm先になんかカッコイイ魔法陣が出てきて、そこから1本の矢が飛び出した。

「「「「「「おおー!」」」」」」

周りから歓声が上がり、その矢は見事に石を貫通し、拡散した。

「ふむ、下がってよし」

「ありがとうございました!」

対して動いたわけでもないのに、汗を拭い、こちらを見ると、ニコッと笑いかける。

「「「「「「ケッ」」」」」」

数人のつばを吐く音が重なり、俺はあいつより相当強い魔術を見せてやろうと決意する。

「次、希望番号2番前へ」

「俺様は剣で行くぜ!」




そうして、俺の番が訪れるのであった。

「次、最後だな、希望番号17番前へ」

「よろしくおねがいします!」

場が緊張に包まれる。なんで?

「行きます!」

そして俺は、自分がズーと考えていた詠唱をするのであった。
しおりを挟む
感想 52

あなたにおすすめの小説

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

悪役令嬢の父は売られた喧嘩は徹底的に買うことにした

まるまる⭐️
ファンタジー
【第5回ファンタジーカップにおきまして痛快大逆転賞を頂戴いたしました。応援頂き、本当にありがとうございました】「アルテミス! 其方の様な性根の腐った女はこの私に相応しくない!! よって其方との婚約は、今、この場を持って破棄する!!」 王立学園の卒業生達を祝うための祝賀パーティー。娘の晴れ姿を1目見ようと久しぶりに王都に赴いたワシは、公衆の面前で王太子に婚約破棄される愛する娘の姿を見て愕然とした。 大事な娘を守ろうと飛び出したワシは、王太子と対峙するうちに、この婚約破棄の裏に隠れた黒幕の存在に気が付く。 おのれ。ワシの可愛いアルテミスちゃんの今までの血の滲む様な努力を台無しにしおって……。 ワシの怒りに火がついた。 ところが反撃しようとその黒幕を探るうち、その奥には陰謀と更なる黒幕の存在が……。 乗り掛かった船。ここでやめては男が廃る。売られた喧嘩は徹底的に買おうではないか!! ※※ ファンタジーカップ、折角のお祭りです。遅ればせながら参加してみます。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

処理中です...