モンスターに転生したけど種族が決まって無い(仮題)

最強願望者

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1章『自分の姿決め編』

とある不幸な少女

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これから語られるは過去の物語。

原点などではなく、終点などでもない。

ただ、『過ぎた事』を『消去』した物語。

『終わった事』の物語。




────────────────────────


少女は、物心付いた頃には両親がいなかった。

初めて『意識』を覚醒させた時、少女は思った。

どうしてだろう・・・と

何を疑問に思い、何を考えているのか、それは神を持ってしても分からず、同時に周囲へ『違和感』を植え付けた。

まず最初に考えたのは『何を考えるか』当たり前のようで当たり前なわけがないこの考えは、当時2歳と三ヶ月の幼児が考えることでは無かった。

森の湖の周りを開拓して作られた村では、ある伝承があった。

『50年に1度、初代様の力を受け継ぐための器が生まれ落ちる』

奇しくもちょうど50年、加えて同日に産まれた少女は、『何かを継ぐこと』を強要され、恐れていた。

両親がいない少女が、親身になって養ってもらっている長老の言い分を聞かないわけには行かず、嫌々ながらも従っていた。

それから1年。少女に変化が訪れた。

まずは雰囲気の違い。

その雰囲気はさながら熊のようで、強大かつ純粋な欲望によって作り出され、雰囲気という形におさまった。

それと同時に、その少女は頭が良過ぎた。



大人過ぎた。

まず考え方、リンゴが四つあります。

8人で別けたいです。

どうすれば良いでしょう。

と言った問題があるとする。

答えはまぁ、『半分にする』的なものなのだが、少女はこれを、

「私が持っているリンゴ以外を半分にして六つでしょう?足りないのならもう一つ買ってくればいい」

と答えた。もっとも、もっと舌っ足らずだったのだが・・・

ここまで傲慢な答えが3歳児から出てくるだろうか?答えは否だ。

少女はこうも言った。
模範解答を『半分にする』だと、誰も得ができない。
だったら私だけでも得をした方がよっぽどいい。
しかも、もしも買い足せるのなら誰かが私と同じくらい得をする。

流石にここまで大人っぽくはないが、当時の村人は戦慄した。

考え方は人によるが、幼少期は特に如実に出る。
他の少年少女はまだ言葉すらまともに話せず、周りに流されるだけであった。

少女は孤独だった。

少女は孤高だった。

その考え方故、周りからは拒絶され、最低限のこと以外は『無関心』で収まった。


更に2年が経ち、少女は5歳になった。
ここでようやく『初代様の力』とやらが判明し、それを磨き始めた。

その力は『同調』と呼ばれる物で、俗に言う『受け流し』の様なものだ。

向かってきた拳に手を添えて力を受け流す。

迫ってきた回し蹴りを反らして避け、その勢いで正拳突きを繰り出す。

その拳に手を添えて・・・

と、右のような事を繰り返し、繰り返し、体に覚えさせていた。



そんなある日、少女の村に盗賊が押し寄せて来た。
村にあった金品は全て持ち去られ、男や老人は全て殺された。

少女以外の女子供は全て連れていかれ、村には空っぽの家が残った。


自主練の際に林へ向かい、帰ってきたら酒を飲み浮かれている盗賊がいた。

少女は周りの空気と同調し、気配を消した。
この人数には勝てないと思ったからである。

世話になった老夫婦や、村長、肉屋のおじちゃんや八百屋のおばちゃんが殺されているのが見えたが、少女はここをどう切り抜けるかを考えていた。

もし、この盗賊達がここを拠点にしたらどうしよう。
もし、盗賊が出ていく時に村を燃やしたらどうしよう。

そんな事を考えてから、少女はその村を離れた。

村が消えるのだったらそこにいる意味は無い。
せめて食料だけでもと思ったが、盗賊が食べてしまっているだろう。
これ以上ここに留まると見つかるかもしれない。

そんな風に考えた少女は、一刻も早く離れる為に、何も持たず、ただあてのないまま走り続けた。


少女は考えた。

何故悲しまないんだろう。

少女は思った。

なんで悲しめないんだろう。

そして考え付いた。


失った物は多い。

だけど、大切なものではない。

その考えに至った瞬間、少女は自己嫌悪に呑まれそうになった。


────作者から────

どうもです!皆さんは主人公を所望かも知れません。

残念ですが、これは下準備です!ヒロイン候補です!

まぁなるかどうかは好感度次第です。

次は正真正銘主人公の過去です。
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