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1章『自分の姿決め編』
とある幸運な少年
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ある世界のある平和な街に、平凡で幸せな家族が暮らしていた。
その家族には、3歳になる息子がいた。
息子はとても賢く、3歳で既に本を読み、意味を理解する事ができた。
両親は父の方がサラリーマンをやっており、母の方が専業主婦で、マンションの三階の一室に住んでいた。
2年が経ち、しばらくした日、悲劇が起きた。
玄関からガチャっと言う音が聞こえ、父親が帰ってきたのかと思い、母が出迎えに行ったが、次の瞬間悲鳴が聞こえた。
ただならない予感がして玄関を覗くと、髪がなにかでベットリ濡れ、黒いレインコートを着た叔父がしゃがんでいた。
見れば手には何かの肉が乗っており、両手で貪っていた。
満足したのか、やがて立ち上がり、玄関を開いて出ていってしまった。
後に残ったのは内蔵を含めて腹部が綺麗に切り取られた母親だったもの、血がベットリと付いた刺身包丁、吐き気を催すような鉄の匂いだけであった。
ここに居てはいけないと思い、外に出ると、三階の全てのドアの前に血だまりが出来ており、当時5歳だった少年は全てを悟った。
父親はどうしているだろうか、と、エントランスから出る際に思ったが、エントランスの前、そこに父親が倒れていた。
四肢が無く、頬が耳まで裂かれていた。
黙祷してから少年は歩き出した。
宛はないが、ここは田舎に最も近い都会の端の端、どこかの農村にたどり着けば拾ってくれる人がいるだろう。
そう考え、ふと思った。
両親が目の前で殺された。
食された。
死んでいた。
何故嫌悪感も、憎悪も、無力感も、脱力感も、悲しみすらもないんだ?
『俺』が幸せに自由に、楽しく過ごせていたのは彼らのお陰だと言うのに、感謝の気持ちも、残念な気持ちも欠片もない。
なればこの気持ちはなんだ?安堵?自分は助かった事に安堵しているのか?
いや、違うな。
これは関心だ。
実行に移した叔父に、その背後に居るであろう何者かに、関心に似た何かを感じているんだ。
虚無感なんて無い。あるのは興味のみ。
その欲求を満たすには、自分を守る手段が必要だ。
これを満たす前に死ぬ訳には行かない。
そうして少年は、歩き、歩き、歩いた。
途中で見つけた遭難者のバックパックから食料や寝袋、飲料やサバイバルブック、サバイバルナイフを盗り、更に歩いていく。
約3日間歩き続け、たどり着いた村の入口で倒れ、とある老夫婦に拾われた。
少年が護身用に貰った、村長の家にあった空手の本を片手に村で歩いていると、白いローブを着た老人に話しかけられた。
その老人曰く、自分の培った技を受け継いで欲しいとの事だった。
次の日から老人の家に泊まり、修行をした。
まず最初に、刀や弓、投石を受け流す技術を磨くという名目の元、体の使い方をマスターしたり、体重移動を極めたり、動体視力、聴覚、触覚、嗅覚、反射神経などを満遍なく鍛え、あらゆる事に対応できるようにした。
最初は棒を立て、自分に向かって倒れる様に仕組み、それを受け流したり、天井から垂らした木の棒を揺らし、一切触れないように立ち回ったりと、どんな攻撃にも対応できるようにした。
唯一殴り合いなどの事は教えてもらえなかったものの、空手の本に書かれている組手を1人で行い、対人戦もそこそこ行ける程度にはなった。
これら全てを5歳から続け、5年が経った。
10歳になった少年は、目隠しをして、天井から吊るした5本の木の棒を揺らし、避けながらカウンターを繰り出すという事ができるようになっていた。
最近では、熊を見つけても熊が逃げて行くようになった。胸に三日月模様がある奴だ。
この時には既に両親の死の真相など興味がなく、自分が今どれほど強くなったのかを実感したかった。
更に2年が経ち、12歳になった少年は老人(師匠)に連れられ、とある道場にやって来た。
道場破りという形に収まったその試合は、少年の圧勝に終わり、後に2つの道場を破り、黒帯になるのだった。
更に3年が経った。
その日、少年は老人に弟子を卒業と言われ、それなりに喜んでいた。
辛くとも楽しい日々で、優しくも厳しい師匠。
道場破りが成功した時の達成感。
この時初めて少年は『哀愁』を覚えた。
これからも精進はするし、強い奴とも戦う。
今までの感謝を師匠に伝えようと考え、眠りに落ちた。
次に目が覚めたのは、何も無い虚無の世界だった。
『突然ですが、貴方は死にました』
────────────────────────
どうでしたか?取り敢えず女神様に会うまでを書いてみたのですが・・・
少し飛びすぎたかなーとは思ったのですが、これ以上長くすると・・・
次からはいよいよ主人公の『名前』を決める節になります。
アンケートになると思いますが、何卒ご協力下さい。
これからもよろしくお願いします。
その家族には、3歳になる息子がいた。
息子はとても賢く、3歳で既に本を読み、意味を理解する事ができた。
両親は父の方がサラリーマンをやっており、母の方が専業主婦で、マンションの三階の一室に住んでいた。
2年が経ち、しばらくした日、悲劇が起きた。
玄関からガチャっと言う音が聞こえ、父親が帰ってきたのかと思い、母が出迎えに行ったが、次の瞬間悲鳴が聞こえた。
ただならない予感がして玄関を覗くと、髪がなにかでベットリ濡れ、黒いレインコートを着た叔父がしゃがんでいた。
見れば手には何かの肉が乗っており、両手で貪っていた。
満足したのか、やがて立ち上がり、玄関を開いて出ていってしまった。
後に残ったのは内蔵を含めて腹部が綺麗に切り取られた母親だったもの、血がベットリと付いた刺身包丁、吐き気を催すような鉄の匂いだけであった。
ここに居てはいけないと思い、外に出ると、三階の全てのドアの前に血だまりが出来ており、当時5歳だった少年は全てを悟った。
父親はどうしているだろうか、と、エントランスから出る際に思ったが、エントランスの前、そこに父親が倒れていた。
四肢が無く、頬が耳まで裂かれていた。
黙祷してから少年は歩き出した。
宛はないが、ここは田舎に最も近い都会の端の端、どこかの農村にたどり着けば拾ってくれる人がいるだろう。
そう考え、ふと思った。
両親が目の前で殺された。
食された。
死んでいた。
何故嫌悪感も、憎悪も、無力感も、脱力感も、悲しみすらもないんだ?
『俺』が幸せに自由に、楽しく過ごせていたのは彼らのお陰だと言うのに、感謝の気持ちも、残念な気持ちも欠片もない。
なればこの気持ちはなんだ?安堵?自分は助かった事に安堵しているのか?
いや、違うな。
これは関心だ。
実行に移した叔父に、その背後に居るであろう何者かに、関心に似た何かを感じているんだ。
虚無感なんて無い。あるのは興味のみ。
その欲求を満たすには、自分を守る手段が必要だ。
これを満たす前に死ぬ訳には行かない。
そうして少年は、歩き、歩き、歩いた。
途中で見つけた遭難者のバックパックから食料や寝袋、飲料やサバイバルブック、サバイバルナイフを盗り、更に歩いていく。
約3日間歩き続け、たどり着いた村の入口で倒れ、とある老夫婦に拾われた。
少年が護身用に貰った、村長の家にあった空手の本を片手に村で歩いていると、白いローブを着た老人に話しかけられた。
その老人曰く、自分の培った技を受け継いで欲しいとの事だった。
次の日から老人の家に泊まり、修行をした。
まず最初に、刀や弓、投石を受け流す技術を磨くという名目の元、体の使い方をマスターしたり、体重移動を極めたり、動体視力、聴覚、触覚、嗅覚、反射神経などを満遍なく鍛え、あらゆる事に対応できるようにした。
最初は棒を立て、自分に向かって倒れる様に仕組み、それを受け流したり、天井から垂らした木の棒を揺らし、一切触れないように立ち回ったりと、どんな攻撃にも対応できるようにした。
唯一殴り合いなどの事は教えてもらえなかったものの、空手の本に書かれている組手を1人で行い、対人戦もそこそこ行ける程度にはなった。
これら全てを5歳から続け、5年が経った。
10歳になった少年は、目隠しをして、天井から吊るした5本の木の棒を揺らし、避けながらカウンターを繰り出すという事ができるようになっていた。
最近では、熊を見つけても熊が逃げて行くようになった。胸に三日月模様がある奴だ。
この時には既に両親の死の真相など興味がなく、自分が今どれほど強くなったのかを実感したかった。
更に2年が経ち、12歳になった少年は老人(師匠)に連れられ、とある道場にやって来た。
道場破りという形に収まったその試合は、少年の圧勝に終わり、後に2つの道場を破り、黒帯になるのだった。
更に3年が経った。
その日、少年は老人に弟子を卒業と言われ、それなりに喜んでいた。
辛くとも楽しい日々で、優しくも厳しい師匠。
道場破りが成功した時の達成感。
この時初めて少年は『哀愁』を覚えた。
これからも精進はするし、強い奴とも戦う。
今までの感謝を師匠に伝えようと考え、眠りに落ちた。
次に目が覚めたのは、何も無い虚無の世界だった。
『突然ですが、貴方は死にました』
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どうでしたか?取り敢えず女神様に会うまでを書いてみたのですが・・・
少し飛びすぎたかなーとは思ったのですが、これ以上長くすると・・・
次からはいよいよ主人公の『名前』を決める節になります。
アンケートになると思いますが、何卒ご協力下さい。
これからもよろしくお願いします。
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