モンスターに転生したけど種族が決まって無い(仮題)

最強願望者

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一章『自分の姿決め編』【2節】

『初仕事』

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ギルドでやらかした次の日、ギルドマスターから呼び出しを喰らった。

まぁ当然っちゃ当然だな、あんだけ大きくやっちまったし、怒るのも分からなくもない。

というか死んで無かったんだ。周りの事とか、多分あるだろう二階のことは一切気にしてなかったのに。

「すいませーん、ギルドマスターから呼び出し食らったのでー、案内して貰ってもいいですかー?」

うん、自分でも図々しい奴だと思う。
あ、やべぇ、話し掛けた受付嬢さん?が頬をひくつかせてる。

「えーと、スライム君・・・ですよね?」

「はい!そうです!」

『今は』の部分を強調された事に疑問を感じる受付嬢だが、気のせいかと割り切る。
それ位の事を疑問に感じていたら受付嬢等到底出来る仕事じゃあ無い。

「少々お待ち下さい。ギルマスに確認を取ります」

「お願いします」

受付嬢は知らないんだな。俺が壊した張本人だって。
しっかしギルマスかー。なんか最近有名所が多くないか?

暫くすると、細長い耳の先が尖っていて、金髪で、瞳が緑のエルフが受付の奥から出てきた。
うわぁ、美人だなぁ・・・胸はご愛嬌という事で。

「はじめまして、当ギルドのマスターを受け持っております、エリル・ラスタークと申します」

「これはご丁寧に・・・僕はスライムと名乗る馬鹿な冒険者のガキです。あまり気負わずにお話ください」

エリルさんは俺の丁寧語(敬語と言うには余りにも自虐が過ぎる)を聞いて、不思議そうに、それでいて興味深そうに目を輝かせていた。

「ではこちらへ・・・」

たっぷり僕を眺めた後、受付の奥に案内された。
奥のドアを開け中に入ると、執務室のような部屋になっていた。

「今回お呼びしたのは、貴方様の魔法とその魔力の件です」

ふむふむ、魔法は分かるけど、魔力とは?
あれか?体に眠る無限の可能性的な?
まあ、冗談は置いといて、本題を聞こうじゃないか。

「私は看破の魔眼をもっています」

魔眼・・・実は俺も持っている。
変身すると変わるのだが、一つずつ説明しよう。

まずは魔眼とは、生まれつき、もしくは後天的な様々な効果を持つ一種の特殊能力だ。
俺が持っている魔眼は8つで、スライム、吸血鬼、ドラゴン、ネクロマンサー、ゴブリン、フェンリル、バジリスク、ゴーレムの魔眼だ。

スライムの魔眼・・・『擬態』
言葉のとおり、周りの景色と同化したり、変身の下位互換ではあるが、触れたものも擬態できる。ステータスや種族、あらゆるものを偽装できる。

吸血鬼の魔眼・・・『夜目』
暗い場所や夜に物が見えやすくなる。
他にも、血が美味しそうに見えるなどの意味不名な効果もある。

ドラゴンの魔眼・・・『王者』
常時威圧や殺気、風格を出す。
自らよりレベルが低い者に命令ができる。
レベルの上限を解放する。

ネクロマンサーの魔眼・・・『傀儡』
死体を操る事ができる。
洗脳魔法や精神操作の耐性、及び行使が可能になる。

ゴブリンの魔眼・・・『恐怖』
常に相手を恐怖させる。
状態異常『恐慌』『竦み』『麻痺』を相手に付与する。
自分が恐怖を感じた場合、ステータスを一時的に4倍にする。

フェンリルの魔眼・・・『束縛』
目を見つめて瞬間に相手の動きを止める。
時に時間を止め、時に縄で縛り、時に気絶させる。要は確実に対象を束縛する。

バジリスクの魔眼・・・『絶望』
相手の戦意を完全に消失させる。
相手は体の力が抜け、生命活動が疎かになる。
生命活動が疎かになった体は石のように固くなり、元に戻らない。

ゴーレムの魔眼・・・『自動』
人形などの稼働可能な物体を操る事ができる。
オートマタ、それに準ずるものを作成可能。
魂を入れる事が稀に可能。

と言った感じだ。
かなりチートな感じがするが、これは同時展開も個別展開もオンオフも切り替え可能だ。
バジリスクの魔眼とドラゴンの魔眼、ゴブリンの魔眼を同時展開した所、馬鹿と定評のあるコボルトが心臓麻痺で死んだ。

しかし、自分よりレベルが高い者には効かないと言う欠点があり、丁度今ギルマスにゴブリンの魔眼が効かないのが証拠だ。

「しかし、貴方様のステータスは一切見えず、年齢や性別、スキルの数すらも分かりません。これは驚くべきことなんですよ?」

片目を瞑り、人差し指を立てるギルマス。
その顔でそれはやめて欲しい。
かと言って偽装と言えばスライムの魔眼のみだし、スキルには何も無い。
可能性としては、看破は人間にしか使えないとかだろうか?

「貴方様は看破以上のスキルか魔眼を持っているのですか?」

貴方様ってなんか感慨深いな。
持ってないんだが・・・どうしたもんか・・・
俺が黙っていると、ギルマスがため息をついて椅子に深く座った。

「・・・まぁいいです。次に試験の話なんですが、あの魔法は何でしょうか?歌や演奏、そういったものだと言うのは分かったのですが、私は世界を覆い尽くす程の光量を持つ闇を知りません」

つまり、新しい魔法を試験で使ったのはいいが、全く知らない・・・と言うか有り得ない威力の魔法すぎて理解が出来ない・・・と言った所か?

「あれは私のオリジナル魔法でして、詠唱に魔力ではなく意思を乗せて紡ぎ、それを魔法に変換すれば魔力が意思を塗りつぶそうと増幅します。そのまま放っておくとああなります」

取り敢えずそれっぽい事を言っておく。
そもそも魔法とはなんぞやって感じの世界からの来訪だよ?知ってる方がおかしいわ。
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